【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、第1四半期に引き続いて緩やかに持ち直しつつある状況にあります。日銀短観6月調査によれば、大企業・非製造業の景況感が宿泊・飲食サービスなどを中心に5四半期連続で上昇したことに加え、大企業・製造業の景況観が7四半期ぶりに上昇に転じました。個人消費、設備投資及びインバウンド需要の3つが景気をけん引しているとみられます。
医薬品業界におきましては、好調な海外売上を軸に増収増益となった企業がある一方、薬価改定による国内売上の減少から営業赤字となる企業も出てきております。また、業界団体が薬価制度を含めた創薬イノベーション・エコシステムの強化を求める中、6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)では、「イノベーションの適切な評価などさらなる薬価上の措置」を行うことが記されました。さらに、厚生労働省による「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告書で、創薬力の強化として、新規モダリティの創出支援、創薬エコシステムの創出や革新的創薬に向けた研究開発への経営資源の集中化が提言に織り込まれるなど、国内の医薬品業界の課題や対策に関する議論が様々な場で行われております。
このような環境下において、当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は以下の通りとなりました。
ヒト用医薬品につきましては、HK inno.N Corporation(本社:韓国・オソン、以下「HKイノエン社」)が韓国で販売中の胃食道逆流症治療薬K-CAB®(一般名:tegoprazan、以下「tegoprazan」)の売上が順調に推移しております。当第2四半期連結累計期間の売上は、院外処方データで741億ウォン(前年同期比22.2%増、約74億円/1韓国ウォン=0.10円)であり、韓国の抗潰瘍剤市場でのシェア第1位を維持しております。
Tegoprazanのグローバル展開も着実に進展しております。当社は、HKイノエン社との間で、tegoprazanの開発・販売及び製造の再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約を締結しております。当第2四半期連結会計期間末の時点で、韓国を除く35の国において、HKイノエン社とライセンス契約を締結した企業がそれぞれの国・地域で開発・製造・販売にかかる取り組みを進めております。当第2四半期連結会計期間におきましては、メキシコにおいて製品(製品名:Ki-CAB®)の販売が開始されました。これにより、tegoprazan製品が販売されている国は韓国、中国、モンゴル、フィリピン及びメキシコの5カ国となりました。このほか、インドネシアとシンガポールの2カ国で発売準備中であり、アルゼンチン、ペルー等、20以上の国で現地の規制当局による承認審査が行われております。
ペット用医薬品につきましては、Elanco Animal Health Inc.(本社:米国・インディアナ州)に導出した犬の骨関節炎治療薬GALLIPRANT®(一般名:grapiprant)、犬の食欲不振症の適応を持つENTYCE®(一般名:capromorelin)、及び慢性腎疾患の猫の体重減少管理の適応を持つELURA®(一般名:capromorelin)の売上が順調に推移しております。
その他の導出済みプログラムにつきましても、導出先企業及びサブライセンス先が前臨床開発段階以降の取り組みを進めております。当第2四半期連結累計期間におきましては、当社が株式会社AskAt(本社:愛知県名古屋市、以下「AskAt社」)に導出し、AskAt社からOxford Cannabinoid Technologies Holdings plc(本社: 英国・ロンドン、以下「OCT社」)にライセンスされたカンナビノイドCB2受容体作動薬RQ-00202730/AAT-730/OCT461201、以下「CB2作動薬」)につきまして、OCT社が、英国の規制当局および倫理審査委員会から第Ⅰ相臨床試験実施に係る承認を取得しました。OCT社は、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を主な適応症としてCB2作動薬の臨床開発を進めることを計画しており、被験者への投与開始の準備を進めております。
また、当第2四半期連結累計期間におきましては、従来行っておりました事業開発活動の成果として、新たなライセンス先企業を獲得いたしました。2023年4月、当社はVetbiolix SAS(本社:フランス・ロース、以下「Vetbiolix社」)との間で、当社が創製した5-HT4作動薬(RQ-00000010)につきまして、犬・猫の腸管運動障害を対象としたペット用医薬品を開発するためのオプションおよびライセンス契約を締結しました。当該契約に基づき、当社は、Vetbiolix社に対し、RQ-00000010を含有する動物用医薬品の開発、製造および販売に関する、独占的かつ全世界を対象としたサブライセンス可能なライセンスに関する独占的オプションを付与しました。Vetbiolix社による独占的オプションが行使された場合、当社はVetbiolix社からオプション料の支払いを受けるとともに、開発の進捗に応じたマイルストンおよび製品の売上に応じた販売ロイヤルティ等を受け取る権利を取得します。
その他の導出準備プログラムにつきましても、対面での面談とオンライン会議を機動的に組み合わせて、さらなるライセンス先企業の獲得に向けた事業開発活動を展開しております。Tegoprazanにつきましては、日本における開発・製造・販売にかかる権利を当社が保有しておりますが、国内での速やかな開発と上市を目指してライセンス先候補企業と協議中です。また、大型のライセンス契約の獲得を目指して、自社で開発を進めているグレリン受容体作動薬につきましては、引き続き様々な前臨床試験を実施しているほか、2024年12月期の臨床試験開始を目指して臨床試験用原薬の製造も行っております。
探索研究段階におきましても、新たな開発化合物の創出に向けた探索研究プログラムに注力しているほか、当社の成長戦略の根幹として創薬研究基盤の強化に取り組んでおります。既存技術と新たな取り組みの相乗効果によって次世代の自社創薬バリューチェーンを確立することを目指して、2022年より自社単独の研究に加えてスタートアップ・創薬ベンチャーとの連携を強化しておりますが、当第2四半期連結累計期間におきましては、leadXpro AG(本社:スイス・ビリゲン)との間で、膜タンパク質の3次元立体構造解析により創薬研究のスピードアップを図る協業を開始いたしました。なお、2019年7月より行っておりましたあすか製薬株式会社(本社:東京都港区)との共同研究につきましては、双方の合意により共同研究契約を終了いたしました。
当社連結子会社のテムリック株式会社(以下「テムリック」)がSyros Pharmaceuticals Inc.(本社:米国・マサチューセッツ州、以下「シロス社」)に導出したレチノイン酸受容体α作動薬(タミバロテン/AM80/TM-411/SY-1425)につきましては、骨髄異形成症候群(MDS)及び急性骨髄性白血病(AML)を対象とした臨床試験が米国において進行中です。当第2四半期連結累計期間におきまして、テムリックはシロス社より臨床開発の実施に伴い発生する手数料を受領いたしました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、事業収益1,014百万円(前年同四半期比29.9%減)、営業損失23百万円(前年同四半期は、営業利益551百万円)、経常利益36百万円(前年同四半期比94.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益25百万円(前年同四半期比94.6%減)となりました。
事業費用については、総額が1,037百万円(前年同四半期比15.8%増)となり、その主な内訳は事業原価122百万円(前年同四半期比16.9%増)、研究開発費603百万円(前年同四半期比14.2%増)及びその他の販売費及び一般管理費311百万円(前年同四半期比18.7%増)となりました。
(2)財政状態の分析
(資 産)
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ946百万円増加(15.1%増)し、7,204百万円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産の増加213百万円、前払費用の増加276百万円及び投資有価証券の増加387百万円によるものであります。
(負 債)
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ54百万円減少(7.1%減)し、706百万円となりました。これは主に、買掛金の減少59百万円、未払金の減少78百万円、繰延税金負債の増加69百万円によるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,001百万円増加(18.2%増)し、6,498百万円となりました。これは主に、第三者割当増資に伴う資本金及び資本準備金の増加786百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益25百万円の計上及びその他有価証券評価差額金の増加158百万円によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は89.8%(前連結会計年度末比2.1ポイント増)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前連結会計年度末に比べ113百万円減少(3.1%減)し、3,565百万円(前年同四半期は、2,845百万円)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は、715百万円(前年同四半期は、資金の獲得609百万円)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益36百万円及び減価償却費71百万円を計上した一方で、売上債権の増加213百万円、前払費用の増加261百万円及び未払金の減少144百万円による資金の使用によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、295百万円(前年同四半期比220.7%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出119百万円及び投資有価証券の取得による支出160百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、826百万円(前年同四半期は、資金の使用1百万円)となりました。これは主に、株式の発行による収入782百万円及び長期借入れによる収入50百万円によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、603百万円であります。また、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保及び株主価値向上のための資金調達戦略の実行を基本方針としております。
資本の財源につきましては、医薬品の上市品目が増えたことにより、長期的かつ安定的なロイヤルティ収入が主要な財源となっております。一定規模以上の臨床開発を除き、ロイヤルティ収入を財源として医薬品の研究開発を進めてまいります。また、今後の臨床開発等の資金需要に対して、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するため、複数の金融機関と総額17億円(2023年7月末時点)のコミットメントライン契約を締結しているほか、ファイナンス・リースや銀行借入等のチャネルの活用により財務基盤の強化を図っております。
資金の流動性につきましては、当第2四半期連結会計期間末における流動比率は1,476.9%となっており、十分な流動性を確保できているものと認識しております。
当第2四半期連結累計期間の四半期連結キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
