【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績 (単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
増減率
売上高
66,403
60,619
△5,784
△8.7%
営業利益
9,323
6,569
△2,754
△29.5%
経常利益
11,659
9,058
△2,601
△22.3%
親会社株主に帰属する四半期純利益
11,438
7,591
△3,847
△33.6%
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は60,619百万円、営業利益は6,569百万円、経常利益は円安による為替差益(1,746百万円)の計上等により9,058百万円、税金等調整前四半期純利益は9,088百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は税負担増(前期比1,034百万円増)もあって7,591百万円となりました。このように前年同期間比では減収減益となりましたが、前年同期間における海外子会社の2隻の竣工時売船による増収(約100億円)・増益(約13億円)や工事損失引当金の戻し入れによる増益(約95億円)等の要因を剥落させれば当第2四半期連結累計期間は増収増益となります。
2023年7月6日に当社と日本鉄塔工業株式会社殿との共同企業体が静岡市清水区尾羽の国道1号静清バイパス道路工事現場において発生させた橋桁落下事故の処理に必要と見込まれる費用につきましては、当第2四半期連結累計期間の業績に含まれておりますが、詳細は次頁からの<セグメント別概況>〈鉄構・機械事業〉をご参照ください。
当第2四半期連結累計期間の為替レートは以下のとおりです。
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
差額
期末レート (第2四半期連結会計期間末)(注1)
144.81円/US$
149.58円/US$
4.77円 円安
売上高平均レート(第2四半期連結累計期間)(注2)
128.62円/US$
143.44円/US$
14.82円 円安
工事損失引当金適用レート(第2四半期連結会計期間末)(注3)
138.27円/US$
144.63円/US$
6.36円 円安
(注1)未入金かつ未予約のドル建売上高は当第2四半期連結会計期間末のレートでもって円換算しております。
(注2)売上高平均レートは、「為替予約済レートを含む円換算売上高総額」÷「ドル建て売上高総額」であります。(注3)工事損失引当金適用レートは、翌四半期連結累計期間以降に売上計上予定の未予約ドル貨を円換算する際に使用している社内レートで、期末レートと直近3か月の日次平均レートを比較して円高となる方のレートを採用することとしており、当第2四半期の決算では直近3か月の日次平均レートを採用しております。
<セグメント別概況>当第2四半期連結累計期間のセグメント別概況は以下のとおりです。(単位:百万円)
売上高
営業利益(△は損失)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
増減率
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
増減率
新造船
52,320
45,819
△6,501
△12.4%
9,527
7,188
△2,339
△24.6%
修繕船
7,874
8,573
699
8.9%
464
647
183
39.6%
鉄構・機械
3,361
3,217
△144
△4.3%
52
△316
△368
-
その他
2,848
3,010
162
5.7%
250
221
△29
△11.6%
計
66,403
60,619
△5,784
△8.7%
10,293
7,740
△2,553
△24.8%
消去又は全社
-
-
-
-
△970
△1,171
△201
-
連結
66,403
60,619
△5,784
△8.7%
9,323
6,569
△2,754
△29.5%
〈新造船事業〉当社および函館どつく株式会社における新造船建造工事は順調に進捗し、当連結累計期間の売上高は45,819百万円、営業利益は7,188百万円となりました。いずれも前年同期間比は下回っておりますが、前述のように前年同期間には海外子会社による2隻の竣工時売船取引による売上高や利益、多額の工事損失引当金の戻し入れ益が含まれております。製造原価の過半を占める資機材価格の高騰が続いておりますが、海外を含むサプライチェーンを見直すとともに、設計と製造とのコラボレーションによるグループ一丸となった原価削減活動等に取り組んでおります。当第2四半期連結累計期間におきましては、地球環境に配慮したLPG燃料対応大型LPG・アンモニア運搬船(VLGC)1隻、大型撒積運搬船2隻など計4隻を完工、大型撒積運搬船2隻など計12隻を受注し、当第2四半期連結会計期間末の受注残高は277,763百万円(前年同期比24.7%増)となりました。VLGCは、当社がこれまで建造した中小型LPG運搬船における知見と経験を基に、三菱造船株式会社殿との技術提携により建造・完工した第1番船であり、今後の主力商品の一つに成長するものと期待しております。
〈修繕船事業〉函館どつく株式会社と佐世保重工業株式会社が担う修繕船事業は、艦艇や巡視船、探査船の検査・修繕工事に加えてLNG運搬船等の商船や漁船の修繕工事にも積極的に取り組み、当第2四半期連結累計期間の売上高は8,573百万円(前年同期比8.9%増)、営業利益は647百万円(前年同期比39.6%増)となり、当第2四半期連結会計期間末の受注残高は9,456百万円(前年同期比28.2%増)であります。昨年秋に大型船建造ドックを修繕船との併用ドックに改造した佐世保重工業株式会社の第4ドックは要員の育成・強化も進み、グループの修繕船事業に大きく寄与しております。
〈鉄構・機械事業〉舶用機械部門においては、日本の新造船建造量が昨年に引き続き低水準で推移していることから操業量の確保に苦しみ、鉄構橋梁部門においては7月6日に発生しました橋桁落下事故により当該工事の進捗が大幅に遅延していることもあって、当第2四半期連結累計期間の売上高は3,217百万円(前年同期比4.3%減)にとどまりました。損益面では、舶用機械部門が主要原材料であるインゴット価格の高騰に悩まされ、鉄構部門は橋桁落下事故に伴う費用を織り込んだことから、316百万円の営業損失(前年同期は52百万円の営業利益)となりました。橋桁落下事故に伴う発生費用として、落下した橋桁の撤去費用および現場復旧費用、工期遅延に伴う損害賠償など計約5億円と見積り、第3四半期以降に損失の発生が見込まれる費用も当第2四半期末に工事損失引当金として計上しております。当第2四半期連結会計期間末の受注残高は8,196百万円(前年同期比3.1%減)となりましたが、舶用機械部門においては新造船市場の好転に伴って今後の受注増が期待されます。鉄構橋梁部門では橋桁落下事故の対応を最優先させて信用の回復に努めるとともに橋梁以外の鉄構品の受注拡大を図ります。
〈その他事業〉当第2四半期連結累計期間の売上高は3,010百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は221百万円(前年同期比11.6%減)となりました。当第2四半期連結会計期間末の受注残高は事業環境の好転により2,640百万円(前年同期比26.3%増)となりました。
(2) 財政状態の状況(単位:百万円)
前連結会計年度末(2023年3月31日)
当第2四半期連結会計期間末(2023年9月30日)
増減
総資産
124,901
145,525
20,624
負債
74,937
82,729
7,792
(内有利子負債)
(11,290)
(10,033)
(△1,257)
純資産
49,964
62,796
12,832
自己資本比率
39.8%
43.0%
3.2ポイント
有利子負債比率
22.7%
16.0%
△6.7ポイント
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、業績の好転や新造船の受注増による現預金、契約資産の増加、保有する投資有価証券の時価上昇等により前連結会計年度末に比べて20,624百万円増加して145,525百万円となりました。負債は、新規受注案件の増加に伴う契約負債の増加により前連結会計年度末に比べて7,792百万円増加して82,729百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益7,591百万円を計上し、また、その他有価証券評価差額金が5,350百万円増加したことから、前連結会計年度末に比べて12,832百万円増加して62,796百万円となり、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は3.2ポイント増の43.0%となりました。
当社グループは、今後も長期的視野に立ったグループ経営により、持続的発展に向けて財務状態を含む事業基盤の一層の強化を図るとともに、ステークホルダーとの良好な関係の構築に努めてまいります。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)につきましては、前連結会計年度末に比べ3,901百万円増加し、33,357百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、新規受注案件の増加に伴い契約負債が増加したことなどにより6,547百万円の資金の増加になりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得などにより856百万円の資金の減少になりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより1,699百万円の資金の減少になりました。
(4) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更および新たに定めたものはありません。 (5) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(6) 財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第2四半期連結累計期間において、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発活動は、主に中核事業である新造船事業において環境に配慮した省燃費船型の研究や既存製品の品質向上、船型開発を中心とした開発等を外部研究機関とも連携し取り組み、研究開発費の総額は353百万円となりました。
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