【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の分析
現在、日本においては、労働人口の減少による人手不足の深刻化が進む一方で、今後、インフラ設備の老朽化の進行が見込まれ、労働力の需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。持続可能な社会インフラを構築するために省人化・無人化を推進することは社会的な要請であります。
当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。日本の社会課題である労働力のミスマッチに対し、当社グループのコアである独自開発の制御技術とそれを利用した産業用ドローンの社会実装により、当社グループのミッション・ヴィジョンの実現を通じて社会課題の解決を目指しております。
当社グループは、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーとして、黎明期に求められる概念検証(PoC)を通して「特化するべき用途」を明らかにし、特定した有用な用途について特化型機体を開発し、社会実装を実現するために用途特化型機体の量産体制の構築・販売を行っております。
国内ドローン市場を取り巻く環境は、地政学的リスクの高まりや不安定な世界情勢などから経済安全保障への関心が強くなっており、日本政府はドローンの調達にあたり、公共の安全と秩序維持等に支障の生じるおそれがある業務等に用いられるドローンの調達は、セキュリティが担保されたドローンに限定し、既に導入されているドローンについても速やかな置き換えを実施する方針を公表しております。
国内ドローンを取り巻く法制度は、「レベル4」(有人地帯上空における目視外飛行)に関する航空法及び同施行規則等の改正が行われ、当社グループでは、レベル4に対応したドローンの第一種型式認証の申請を実施し、2023年3月に無人航空機の型式認証制度において、第一種型式認証を日本で初めて取得しております。今後、レベル4相当の飛行が可能となることで、既に実用化が進んでいるレベル1~3の市場に加えて、ドローン物流など、我が国においてドローンで利用可能な巨大な空間・市場が出現する見込みです。
当社は2022年1月に示した中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」で掲げた「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するための取り組みを推進してまいりました。用途特化型機体の量産化と社会実装については、大部分の機体が先行的な開発投資のフェーズから、上市・初期市場対応(顧客フィードバックへの対応)を実施するフェーズへ移行しつつあります。
国内における直近の進捗としては、国産の高セキュリティ対応の小型空撮ドローン「SOTEN」を2022年3月に出荷を開始し、ドローンの利活用にあたりセキュリティ対応が求められる顧客から多くの引き合いを頂いております。また、リリース後も継続的な機能アップデートを実施して需要創出を図っております。空撮以外の分野においても国産のセキュアなドローンが求められており、当社の中型プラットフォーム機体であるPF2をより使いやすく、よりセキュアにカスタマイズした産業用ドローン「PF2-AE」を展開しております。2023年7月からは顧客ニーズより新用途としてレーザー測量用ドローン「PF2-AE Survey」の受注を開始いたしました。物流用ドローンについても、物流専用ドローン「AirTruck」の量産及び出荷を開始しており、全国自治体におけるデジタル田園都市国家構想に関連した事業で、AirTruck並びにセイノーホールディングス株式会社・株式会社エアロネクストが推し進めるSkyHub®が採用されるなど社会実装を進めております。また、日本郵便株式会社が実施する「ドローンによる郵便物などの配送試行」に国産ドローンを提供し、2023年3月に日本で初めてレベル4でのドローン配送に成功いたしました。日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、2023年度以降のローンチを目指すレベル4対応の物流専用機の開発をはじめ、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。
ESGの取組みについては、2023年9月末時点において、全従業員に対する外国籍の従業員の比率は約20%となっており、研究開発部門においては約38%のメンバーが外国籍となっております。また、ガバナンスの強化として2023年3月開催の株主総会において監査等委員会設置会社に移行し、現時点において取締役会における社外取締役の比率は71%(7人中5人)、女性の比率は29%(7人中2人)となっております。
海外ドローン市場においては、日本以上に経済安全保障への関心が高く、昨今の世界情勢の状況により転換期を迎えております。特に当社グループが展開を進めているアメリカではNational Defense Authorization Actが施行され、ロシア製や中国製のドローンの政府調達が禁止されており、加えて、中国製ドローンメーカーのDJI社は、2022年10月より米国国防総省の「中国軍事関連企業」に指定されるなど、経済安全保障を強く意識した施策が行われております。また、インドでは海外製のドローン完成品の輸入が禁止されております。当社グループはセキュリティが担保された国産ドローンを有しているのみならず、企業向け対応および用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能であり、海外におけるセキュアなドローンへの需要にも適応することができる可能性が高く、当社製品は海外市場においても十分に競争力を持つ製品であると認識しております。
米国市場では官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、カリフォルニア州の当社子会社ACSL, Inc.を2023年1月に設立いたしました。ACSL, Inc.のCEOには、直近まで米国大手ドローンソフトウェア開発企業であるAuterion社や中国ドローンメーカーDJI社にて北米の企業向けドローン市場において大きな成果を発揮してきました、シンシア・ホァン(Cynthia Huang)が就任しております。また、米国進出に向けて、グローバルCTO兼ACSL, Inc.の取締役であるクリス・ラービ(Chris Raabe)が米国に駐在し、海外市場の立ち上げ、技術開発をリードしております。加えて、米国市場での当社製品の販売、サポート、修理及びサービス支援を行うディストリビューターとして、General Pacific社との間で2023年7月に戦略的販売代理店パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結いたしました。また、2023年8月に米国における送電線などのインフラ点検分野でドローンを活用したソリューションを提供しているConket2社とインフラ点検用途でのドローン導入と利用を促進することを目的とした戦略的パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結いたしました。現在、米国市場向けにSOTENの販売輸出許可の申請を経済産業省に行っております。
インド市場への進出については、現地パートナー企業(Aeroarc社)と2023年5月に今後2年間で総額3,000万米ドル(4,050,000千円相当(1米ドル=135円で算定))のドローン及びロボティクスに関するプロジェクトを検討及び具体化していくための戦略提携覚書(MOU)を締結しました。同MOUに基づき、ArcV Holdings Private Ltd.よりインドにおける地上走行ロボットの販売として1,362万米ドル(1,838,700千円相当(1米ドル=135円で算定))の受注をいたしました。なお、本案件については現在、対象品の輸出に関する許認可の手続きおよびリスクアセスメントを進めておりますが、許認可の状況又はリスクアセスメントの結果によっては対象品が販売できない可能性があります。また、本案件の会計処理については検討中です。
インド、米国市場以外においても、積極的な海外展開を進めており、2023年7月に欧州のエストニアに拠点を置くHepta Group Airborne社(Hepta社)との間で、欧州及び南米市場における送電線点検用途でのドローンの導入に関する戦略提携覚書(MOU)を締結いたしました。Hepta社は欧州や南米市場を中心に18か国においてインフラ企業向けにAIを搭載したデータ管理プラットフォームを展開しており、多くの送電線点検に利用されております。また、台湾に拠点を置く台灣翔棋科技股份有限公司(Xiangqi Technology社)、台灣先創國際股份有限公司(SENTRA社)及び台灣敦陽科技股份有限公司(Stark Technology社)との間で、2023年8月に台湾市場における当社製品の販売に関する戦略的販売代理店パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結いたしました。同月、インドネシアにおいては、インドネシア全土において、官公庁向けにセキュリティや防衛に関する高度な技術とソリューションを提供しているSORA GROUP INDONESIA社との間で、物流、インフラ点検、災害時調査、農業、安全保障分野などにおける、ASEAN市場での当社製品の販売、サポート、修理及びサービス支援を行う戦略的販売代理店パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結いたしました。
海外展開に向けた投資としては、現地規制に対応する機体のカスタマイズ及び輸出規制への対応、加えて、販売体制の構築などを積極的に進めていく予定です。
当社グループの研究開発投資は、短期的な利益を追うのではなく、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行ってきました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高657,289千円、営業損失1,398,374千円、経常損失1,444,245千円、親会社株主に帰属する四半期純損失1,458,026千円となりました。
当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。そのため、当社の販売実績を主な内訳別に区分した売上高の状況は次のとおりであります。
(単位:千円)
区分(注)
前第3四半期連結累計期間
(自 2022年1月1日
至 2022年9月30日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2023年1月1日
至 2023年9月30日)
実証実験
294,479
297,490
プラットフォーム機体販売
66,769
51,995
用途特化型機体販売
703,671
201,905
その他
96,730
105,898
合計
1,161,650
657,289
(注)1.サービス提供の各段階に関して、実証実験として、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを提供しております。概念検証(PoC)を経て、顧客先の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。
2.プラットフォーム機体販売においては、顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでの導入として、当社のプラットフォーム機体をベースにした機体の生産・供給を行っております。
3.用途特化型機体販売においては、特定の領域において量産が見込める機体について、量産機体の開発・生産・販売を行っております。
4.その他においては、機体の保守手数料や消耗品の販売に加えて、一般的に国家プロジェクトにおいて、受託先が収受する補助金等のうち、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的のプロジェクトについての売上高を含んでおります。
② 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は2,987,145千円となり、前連結会計年度末に比べ585,780千円減少いたしました。これは主に原材料が503,231千円増加、現金及び預金が662,331千円、売掛金が321,869千円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は1,484,150千円となり、前連結会計年度末に比べ80,400千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が66,349千円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は4,471,295千円となり、前連結会計年度末に比べ505,379千円減少いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は1,055,202千円となり、前連結会計年度末に比べ948,332千円減少いたしました。これは主に買掛金が562,429千円、短期借入金が210,000千円それぞれ減少したことによるものであります。固定負債は1,453,777千円となり、前連結会計年度末に比べ1,419,418千円増加いたしました。これは転換社債型新株予約権付社債が1,389,500千円、繰延税金負債が29,918千円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は2,508,979千円となり、前連結会計年度末に比べ471,086千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は1,962,316千円となり、前連結会計年度末に比べ976,466千円減少いたしました。これは主に資本金及び資本準備金がそれぞれ205,108千円増加、利益剰余金が1,458,026千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は41.4%(前連結会計年度末は57.1%)となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、555,808千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
