【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年6月30日)現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当社グループは、中期経営計画「ASAHI Going Beyond 1000」において、連結売上高1,000億円を超えて更に成長していくことを目標に、以下の4つの基本方針を定めております。①グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大②グローバルニッチ市場における新規事業の創出③グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築④持続的成長に向けた経営基盤の確立その実現に向けた施策として、当連結会計年度では、①末梢血管系ガイドワイヤーの新製品「CROSSLEAD」の米国市場での販売開始、②Penumbra Inc.(米国)の末梢血管用血栓吸引デバイスの日本市場における独占販売に向けた基本合意書を締結、③DK MEDTECH(蘇州)有限公司の「DK Score冠動脈スコアリングバルーン拡張カテーテル」の中国市場での独占販売契約を締結、④消化器分野の強化を目的としたレイクR&D株式会社の株式取得、⑤超小型化・超高感度化を可能にしたGSRセンサを使用したガイドワイヤー・カテーテルの企画開発・製造を目的とした株式会社マグネア(100%子会社)の設立、⑥当社グループとして初の統合報告書を発行、などを実施いたしました。今後におきましても、中期経営計画に基づく成長戦略を着実に進めていくことにより、企業価値の向上を目指してまいります。上記のような環境の中、当社グループの当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染症による症例数の減少影響が、多くの地域において少なくなりつつあることや、為替が円安に推移したことなどのプラスの外部環境に加えて、特にメディカル事業の海外市場を中心に、当社製品の市場浸透が大変好調であり、901億1百万円(前年同期比15.9%増)となりました。 売上総利益は、売上高の増加に伴い、588億32百万円(同15.2%増)となりました。営業利益は、販促活動強化などに伴う営業関係費用の増加や、研究開発費の増加、経営基盤の強化などにより、販売費及び一般管理費が増加したものの、180億30百万円(同18.3%増)となりました。経常利益は、為替差損が増加したものの、176億35百万円(同8.0%増)となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、セブ工場の台風被害に伴う災害保険金収入3億5百万円の計上などにより、131億6百万円(同20.7%増)となりました。なお、当連結会計年度における外国為替レート実績は、下記となります。 1米ドル=137.49円(前年同期117.46円、比17.1%増) 1ユーロ=143.92円(前年同期132.15円、比8.9%増) 1中国元=19.75円(前年同期18.18円、比8.6%増) 1タイバーツ=3.90円(前年同期3.51円、比11.1%増)
セグメントごとの経営業績は、次のとおりであります。(メディカル事業)メディカル事業は、新型コロナウイルス感染症による症例数の減少影響が多くの地域において少なくなりつつあることや、為替が円安に推移したことなどのプラスの外部環境に加えて、海外市場を中心として当社製品の市場浸透が大変好調であり、売上高は大きく増加いたしました。国内市場においては、消化器分野の売上が増加したものの、医療償還価格の下落や、OEMの内視鏡取引の縮小などにより、売上高は減少いたしました。海外市場においては、症例数回復や為替による恩恵に加えて、循環器領域を中心にPCIガイドワイヤーや貫通カテーテルなどの既存製品が大変好調に推移したことや、非循環器領域についても、買収した連結子会社のRev.1社(米国)の受託開発取引が好調であることや、海外医療機器メーカーからのOEM・ODM取引の受注が増加したことなどにより、売上高は増加いたしました。以上の結果、売上高は785億52百万円(前年同期比14.9%増)となりました。また、セグメント利益は、164億3百万円(同16.7%増)となりました。
(デバイス事業)デバイス事業は、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復による市場ニーズの増加や、為替が円安に推移したことなどにより、海外市場の医療部材を中心に売上高は増加いたしました。医療部材については、国内市場は、横ばいに推移いたしましたが、海外市場は、循環器系超音波カテーテル部材や循環器系検査用カテーテル部材の取引が増加したことなどから、売上高は増加いたしました。産業部材につきましては、国内市場の建築関連取引が縮小したものの、海外市場のレジャー関連取引が好調に推移したことや、為替の恩恵などから、売上高は横ばいに推移いたしました。以上の結果、売上高は、115億49百万円(前年同期比22.8%増)となりました。また、セグメント利益は、外部売上高及びセグメント間売上高の増加により、61億7百万円(同14.6%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
メディカル事業
66,984
16.3
デバイス事業
41,037
20.4
合計
108,021
17.8
(注)
1
セグメント間取引については、相殺消去しております。2
金額は販売価格によっております。
② 受注実績当社グループの製品は、見込み生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
③ 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
メディカル事業
78,552
14.9
デバイス事業
11,549
22.8
合計
90,101
15.9
(注)
セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 財政状態当連結会計年度末の資産につきましては、総資産額が1,726億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ175億17百万円増加しております。主な要因は、愛知県瀬戸市に新棟を建設している事に伴い建設仮勘定が45億67百万円増加したことや現金及び預金が25億63百万円、受取手形及び売掛金が6億91百万円、商品及び製品が27億83百万円それぞれ増加したことによるものであります。負債につきましては、負債合計額が383億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億47百万円増加しております。主な要因は、未払法人税等が6億18百万円減少した一方、短期借入金が45億46百万円増加したことによるものであります。純資産につきましては、純資産合計額が1,343億円となり、前連結会計年度末に比べ131億69百万円増加しております。主な要因は、利益剰余金が98億49百万円、為替換算調整勘定が29億68百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、348億84百万円(前年同期比7.9%増)となっております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は、191億38百万円(前年同期比18億35百万円増)となりました。これは主に、棚卸資産が27億93百万円増加したこと及び法人税等の支払額が49億3百万円であったものの、税金等調整前当期純利益が177億43百万円、減価償却費が75億13百万円であったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により使用した資金は、151億35百万円(前年同期比35億68百万円減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が122億91百万円、無形固定資産の取得による支出が4億22百万円、投資有価証券の取得による支出が11億23百万円であったことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により使用した資金は、23億42百万円(前年は113億68百万円の調達)となりました。これは主に、短期借入金が51億65百万円増加したものの、長期借入金の返済による支出が39億27百万円、配当金の支払額が32億56百万円であったことによるものであります。
(4) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。(繰延税金資産の回収可能性)当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、スケジューリングの結果に基づき回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ課税所得が減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損処理)当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、継続的に損益の把握を実施している単位ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額の算定にあたっては、外部の情報源に基づく情報等を含む決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
(のれん及びその他の無形固定資産の評価)資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年6月30日)現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(a) 今後の見通し当社グループは、中期経営計画「ASAHI Going Beyond 1000」において、連結売上高1,000億円を超えて更に成長していくことを目標に、以下の4つの基本方針を定めております。①グローバル市場の戦略的な開拓と患部・治療領域の拡大②グローバルニッチ市場における新規事業の創出③グローバル展開に最適な研究開発・生産体制の構築④持続的成長に向けた経営基盤の確立2024年6月期においても、当中期経営計画に基づく成長戦略を着実に実行することで、高い成長性を維持・拡大して参る所存であり、それにより、2024年6月期の業績予想は、マイルストーンとしております『連結売上高1,000億円』を超える見込みです。(単位:百万円)
2023年6月期
2024年6月期
増減額
増減率
売上高
90,101
100,353
10,251
11.4%
のれん償却額等を除く営業利益
19,934
21,942
2,007
10.1%
営業利益
18,030
20,073
2,042
11.3%
経常利益
17,635
19,951
2,316
13.1%
親会社株主に帰属する当期純利益
13,106
14,872
1,766
13.5%
<売上高>(メディカル事業)メディカル事業においては、特に海外売上高の成長が高く、増収となる見込みです。国内市場では、非循環器系領域において、市場シェア拡大に伴う消化器系製品の増加、仕入商品の販売に伴う末梢血管系製品の増加、国内企業向けのOEM取引の増加があることに加えて、新規事業領域において、ロボティクス製品の販売を開始することなどにより、売上高は増加する見込みです。海外市場では、新型コロナウイルス感染症による症例数の減少影響が、多くの地域において無くなりつつあることや、既存製品のシェアの拡大、非循環器系領域を中心とした新製品の投入などにより、循環器系領域及び非循環器系領域共に増加する見込みです。海外の循環器系領域は、全地域において増加することを見込んでおります。新型コロナウイルス感染症の影響は、医療現場においても無くなりつつあり、販売活動が活発化してまいります。米国市場のPCIガイドワイヤーについては、直接販売体制を活かし、引き続き市場シェアの拡大を目指してまいります。欧州市場においては、直接販売を行っているドイツ・フランス・イタリアでの拡販や、代理店販売をしている西欧・東欧地域の増加などにより、売上の増加を目指します。中国市場においては、内陸部を中心に症例数が大きく伸びており、引き続き着実に売上拡大を目指してまいります。海外の非循環器系領域においては、北米市場と中国市場を中心に増加することを見込んでおります。なお、米国市場において、前期に投入した末梢血管系ガイドワイヤーの新製品「CROSSLEAD」の拡販を進め、市場シェア拡大を目指してまいります。中国市場においては、脳血管系や腹部血管系を中心に、拡販を進めます。海外のODM・OEM分野については、米国を中心に増加する予定です。買収した連結子会社のRev.1社(米国)の受託開発取引が好調に推移することや、米国医療機器メーカーからのOEM・ODM取引の受注増加などにより、売上高は増加する予定です。
(デバイス事業)デバイス事業は、医療部材・産業部材ともに売上高が増加し、やや増収となる見込みです。医療部材については、国内向け及び米国向けカテーテル部材の取引増加などにより、売上高は増加する見込みです。産業部材については、国内向けの自動車関連が減少するものの、米国向けレジャー関連取引が順調に推移することなどにより、売上高は増加する見込みです。
<売上総利益>売上総利益は、増収に比例して、増加する予定です。売上総利益率については、タイバーツ高などの為替影響や、生産移管や、在庫調整に伴う生産影響などにより、やや低下する見込みです。<販売費及び一般管理費>販売費及び一般管理費は、将来の成長性を持続し、更に伸張させるための先行的な費用を引き続き積極的に投下することを予定しております。
研究開発費は、既存・新規領域共に増加し、売上高比率11.0%となります。 販売関連費用は、新型コロナウイルスの影響が縮小し、営業活動が活発化しはじめていることや、新製品の市場浸透をより図るための販促を強化することなどにより、米国を中心とした販売・マーケティングなどの費用の増強を予定しております。 上記以外の費用としては、経営基盤強化のための費用の増加などを見込んでおります。<営業外損益・特別損益>営業外損益及び特別損益におきましては、影響額の大きな取引などは、現在のところ見込んでおりません。なお、本業績予想において、主な外国為替レートは、下記を見込んでおります。
(単位:円)
US$
EURO
中国元
BAHT
2024年6月期 予想前提
137.50
145.00
19.50
4.10
2023年6月期 実績
137.49
143.92
19.75
3.90
(b) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループを取り巻く事業環境に関連して経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2
事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。また、資本の財源及び資金の流動性について、運転資金及び設備資金は、自己資金によりまかなっております。(参考)キャッシュ・フロー指標のトレンド
回次
第43期
第44期
第45期
第46期
第47期
決算年月
2019年6月
2020年6月
2021年6月
2022年6月
2023年6月
自己資本比率(%)
77.6
76.8
80.5
77.0
76.6
時価ベースの自己資本比率(%)
818.8
852.0
612.0
358.6
442.3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
0.6
0.8
1.0
0.7
0.8
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
195.3
134.0
67.0
106.7
73.1
(注) 1
自己資本比率:自己資本/総資産2
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー4
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い5
各指標は、連結ベースの財務数値より計算しております。6
営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
