【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当第2四半期連結累計期間における連結売上高は、メディカルシステム、イメージング等を中心に売上を伸ばし、1,388,470百万円(前年同期比2.9%増)となりました。営業利益は、125,546百万円(前年同期比3.9%増)となりました。税金等調整前四半期純利益は、投資有価証券評価益の増加等により152,074百万円(前年同期比17.4%増)、当社株主帰属四半期純利益は113,560百万円(前年同期比19.3%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末では、総資産は有形固定資産の増加等により392,661百万円増加し、4,526,972百万円(前年度末比9.5%増)となりました。負債は社債及び短期借入金の増加等により202,089百万円増加し、1,548,540百万円(前年度末比15.0%増)となりました。純資産は為替換算調整額の増加等により190,572百万円増加し、2,978,432百万円(前年度末比6.8%増)となりました。
事業セグメント別の業績は次のとおりであります。
(事業セグメント別の連結売上高)
セグメント
前第2四半期
連結累計期間
(百万円)
当第2四半期
連結累計期間
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
ヘルスケア
421,246
448,218
26,972
6.4
マテリアルズ
346,857
319,616
△27,241
△7.9
ビジネスイノベーション
398,423
401,478
3,055
0.8
イメージング
183,405
219,158
35,753
19.5
連結合計
1,349,931
1,388,470
38,539
2.9
(事業セグメント別の営業利益)
セグメント
前第2四半期
連結累計期間
(百万円)
当第2四半期
連結累計期間
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
ヘルスケア
44,505
41,826
△2,679
△6.0
マテリアルズ
38,427
18,642
△19,785
△51.5
ビジネスイノベーション
30,096
32,980
2,884
9.6
イメージング
26,615
49,360
22,745
85.5
全社費用及び
セグメント間取引消去
△18,833
△17,262
1,571
-
連結合計
120,810
125,546
4,736
3.9
① ヘルスケア部門
本部門の連結売上高は、448,218百万円(前年同期比6.4%増)となりました。営業利益は、41,826百万円(前年同期比6.0%減)となりました。
メディカルシステム事業では、内視鏡、医療IT等の分野で販売が好調に推移したことにより、売上が増加しました。X線画像診断分野では、中南米を中心にデジタルマンモグラフィ撮影装置「Amulet Innovality」の販売が伸長したこと等により、売上が増加しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」や3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」を中心としたシステム・サービス販売が米国・欧州を中心に伸長し、売上が増加しました。超音波診断分野では、据置型超音波診断装置の新製品DeepInsightシリーズの販売が日本を中心に伸長したものの、中国での販売の低調により、売上が減少しました。内視鏡分野では、粘膜の僅かな色の違いを強調し、内視鏡観察をサポートするLCI(Linked Color Imaging)をはじめとする画像強調機能を搭載した「7000システム」等の販売が日本・欧州・中国を中心に伸長し、売上が大幅に増加しました。体外診断(IVD)分野では、血液生化学検査「富士ドライケム」機器・スライドの販売は堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)関連の検査試薬の需要低下の影響を受けて、売上が減少しました。CT・MRI画像診断分野では、中南米や中東でのCT販売が伸長したことに加え、国内では半導体等部品不足の解消に伴いMRIの販売が順調に進捗し、売上が増加しました。
バイオCDMO事業では、抗体医薬品の製造受託が堅調に推移したことに加え、デンマーク拠点での生産性向上等が寄与し、売上が増加しました。2023年6月には、日本・アジア市場におけるバイオ医薬品の開発・製造受託ビジネスを拡大するため、富士フイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ・ジャパン㈱を設立しました。国内製薬企業を中心とするお客様に対しサービス提供を開始し、順調に立ち上がっています。今後、当社は日本・アジア・欧州・米国でグローバルかつ統一的なオペレーションを展開することで、事業の成長を一段と加速していきます。
ライフサイエンス事業では、培地の販売伸長や、細胞創薬支援が堅調に推移したことで売上が増加しました。培地のグローバル市場は、抗体医薬品の需要増に伴い成長が続いています。当社は米国・欧州・日本のグローバル生産体制で、バイオ医薬品の研究開発・製造を強力にサポートしていきます。
医薬品事業では、抗菌剤の需要回復や、COVID-19に対する国産ワクチンの治験薬受託製造が寄与し、売上が増加しました。
コンシューマーヘルスケア事業では、化粧品の新製品「ASTALIFT ADVANCED LOTION(アスタリフト アドバンスドローション)」や「ASTALIFT ADVANCED CREAM(アスタリフト アドバンスドクリーム)」、「ASTALIFT THE SERUM(アスタリフト ザ セラム)」シリーズの販売を伸ばしましたが、サプリメントの販売減少等により、事業全体では売上が減少しました。
② マテリアルズ部門
本部門の連結売上高は、319,616百万円(前年同期比7.9%減)となりました。営業利益は、18,642百万円(前年同期比51.5%減)となりました。
電子材料事業では、半導体市場の市況軟化の影響を受けて売上が減少しました。2023年10月には、米国Entegris社の半導体用プロセスケミカル事業の買収を完了しました。今後、製品ラインアップ拡充による顧客提案力強化を通じて、新規ビジネスのさらなる拡大を図っていきます。また、今後の半導体市場拡大を見据えて、2023年4月には欧州における半導体材料工場の製造設備増強、2023年5月には、台湾における最先端半導体材料工場の新設を発表しました。積極的な設備投資を継続し、高品質材料の安定生産や強固なグローバル製造体制を構築していきます。
ディスプレイ材料事業では、サプライチェーン全体での生産調整期にあった前年同期に対して、売上が増加しました。
産業機材事業では、大手IT企業によるデータセンター建設への投資抑制を受けたデータアーカイブ用のテープ需要停滞や、業務用PCの需要低迷の影響を受けたタッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売減少等により、売上が減少しました。
ファインケミカル事業では、重合材料の欧州での需要低迷等の影響を受け、化成品販売が減少したことにより、売上が減少しました。
グラフィックコミュニケーション事業では、刷版材料分野において欧米を中心とした印刷物需要減の影響等により、売上が減少しました。デジタル印刷分野においては、2023年4月から開始した米国・英国・フランス・カナダにおける当社デジタル印刷機(Print On Demand)の販売活動拡大に加えて、日本及びアジアパシフィック市場向けの、カラー中高速クラスのプロダクションカラープリンター「Revoria Press EC1100」及び「Revoria Press SC180 / SC170」の販売を開始する等、さらなる事業拡大を図っています。
インクジェット事業では、セラミック市場向けインクジェットヘッドの販売が、中国の不動産市場における需要低迷の影響を受けて減少したこと等により、売上が減少しました。
③ ビジネスイノベーション部門
本部門の連結売上高は、401,478百万円(前年同期比0.8%増)となりました。営業利益は、32,980百万円(前年同期比9.6%増)となりました。
オフィスソリューション事業では、新規OEMの拡大やワールドワイドでの販売価格改定効果等があったものの、欧米向け輸出が減少したこと等により、売上が減少しました。2023年7月には、業界トップクラスの低温定着性能を実現するSuper EA-Ecoトナーの生産能力増強を発表しました。今後も多数ある機能材料や機能部品の環境性能向上、リユース・リサイクルにつながる研究・開発を促進し、製造時並びにお客様使用時の両面でCO2排出量削減に取り組み、脱炭素社会へ貢献していきます。
ビジネスソリューション事業では、自治体向け売上が国内で増加したことや、2022年度に買収した豪州MicroChannel Services社の売上が寄与したこと等により、売上が増加しました。2023年6月には、お客様のDX活動を通じた成功体験 CHX(カストマー・ハッピー・エクスペリエンス)を実現するソリューション・サービスとして、IT資産の可視化や運用/管理から環境改善支援まで、お客様のニーズに合わせてワンストップで提供するITサポートサービス「IT Expert Services」の提供を開始しました。また、2023年9月には、自治体における住民異動届の手続きのデジタル化を実現する「異動受付支援システム」の契約数が100自治体に到達しました。今後も業種・業務ソリューションの拡大に加え、基幹DXソリューションの拡大や業務改革を実現するBPOサービス、ITインフラ環境の構築・運用を支援するITOサービスの展開等によって、当事業の成長を加速していきます。
④ イメージング部門
本部門の連結売上高は、219,158百万円(前年同期比19.5%増)となりました。営業利益は、49,360百万円(前年同期比85.5%増)となりました。
コンシューマーイメージング分野では、インスタントフォトシステムINSTAXの販売が好調に推移し、売上が増加しました。2023年9月には、INSTAX“チェキ”シリーズの世界的な需要増に対応するため、チェキフィルムの生産設備増強を発表、また新たなラインアップとして、いつでもどこでも気軽に撮影できる“手のひらサイズカメラ”「INSTAX Pal™」を発表しました。「INSTAX Pal™」は、撮影シーンや撮影体験を広げる豊富な機能を搭載し、スマホプリンター「INSTAX Link™」シリーズ等とBluetoothで接続することで、撮った画像をチェキプリントにして楽しむことができます。当社は、今後も“撮ったその場で、すぐにプリントが楽しめる”インスタントフォトシステムINSTAXの世界を広げていきます。
プロフェッショナルイメージング分野では、デジタルカメラ「Xシリーズ」の売上が大幅に増加しました。前年度に発売した「X-H2」「X-H2S」「X-T5」の好調な販売に加え、小型軽量ボディに大容量バッテリー・高性能AF・動画撮影機能を搭載したオールインワンモデル「X-S20」を2023年6月に発売し、ラインアップを拡充しました。また、2023年9月には「GFXシリーズ」の最新モデルとして、シリーズ最高の高速連写・AF・動画性能を実現したフラッグシップモデル「GFX100 II」を発売しました。今後も、「GFXシリーズ」ではラージフォーマットによる圧倒的高画質を、「Xシリーズ」では画質とサイズのベストバランスを実現し、魅力的な製品を提供していきます。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より53,575百万円増加し、当第2四半期連結会計期間末においては322,183百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は145,421百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して90,740百万円増加(前年同期比165.9%増)しておりますが、これは棚卸資産の増加額が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は187,948百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して24,815百万円増加(前年同期比15.2%増)しておりますが、これは有形固定資産の購入額が増加したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は72,592百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して28,573百万円増加(前年同期比64.9%増)しておりますが、これは満期日が3ヶ月以内の短期債務が増加したこと等によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、78,421百万円(前年同期比2.5%増)であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 重要な会計上の見積り
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④重要な会計上の見積り」の記載について重要な変更はありません。