【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は674,367千円となり、前事業年度末に比べ229,347千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が124,847千円、売掛金及び契約資産が75,163千円増加したことによるものであります。固定資産は55,114千円となり、前事業年度末に比べ10,372千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が8,460千円、投資その他の資産が8,589千円増加した一方で、無形固定資産が6,676千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、729,482千円となり、前事業年度末に比べ239,720千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は163,579千円となり、前事業年度末に比べ47,272千円増加いたしました。これは主に未払費用が16,146千円、未払法人税等が18,697千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、163,579千円となり、前事業年度末に比べ47,272千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は565,902千円となり、前事業年度末に比べ192,448千円増加いたしました。これは札幌証券取引所アンビシャスへの新規上場に伴う公募増資等により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ32,430千円、当期純利益の計上により利益剰余金が127,588千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は77.6%(前事業年度末は76.3%)となりました。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種や感染症対策により、経済活動は緩やかに持ち直しの動きが見られました。
しかしながら、新たな変異株による感染再拡大に伴う景気回復の遅れや消費マインドの低下、ウクライナ情勢の緊迫化や急激な円安の進行、原材料・エネルギー価格の高騰等により、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のもと、DXの流れが進展する中、IT活用による戦略的な事業拡大や生産性向上及び業務効率化等、お客様のニーズは高度化・多様化しております。今後も、このようなニーズに加え、SDGs(持続可能な開発目標)等の環境と社会問題の解決に向けても、IT活用の重要性はさらに拡大するものと考えております。また、ウィズコロナ以降を見据えたデジタル化による事業構造の変革や競争力の強化を狙う製品開発や設備投資の動きは継続し、業務課題を解決するためにクラウドサービスを活用する企業も増加しております。
当社が事業を行うクラウドサービス市場においても、顧客からのニーズは非常に多く、依然として拡大しております。2022年9月15日にIT専門調査会社IDC Japan株式会社が発表した「国内パブリッククラウドサービス市場予測」によりますと、2022年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比29.8%増の2兆1,594億円になり、2021年から2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は20.8%で推移し、2026年の市場規模は2021年比2.6倍の4兆2,795億円になると予測しております。
このように、引き続き国内クラウド市場が急速に成長している環境のもと、当社は札幌を拠点に、Salesforce導入支援及びSalesforce製品開発支援を展開しており、ITコンサルティング・要件定義・設計・開発・システムテスト・運用保守といったシステム開発の全工程をITエンジニア自身が一気通貫に提供できることが当社事業の特徴であります。当社のITエンジニアはシステム開発における一工程を担当するのではなく、お客様のビジネスを理解して継続的なシステムの拡張を支援し、また新たな技術トレンドの情報提供等、お客様の多くの相談事項にも対応しております。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高706,347千円(前年比22.4%増)、営業利益183,436千円(同62.2%増)、経常利益177,538千円(同52.7%増)、当期純利益は127,588千円(同64.9%増)となりました。
なお、当社の事業はクラウドソリューション事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ124,847千円増加し、472,461千円となりまし
た。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果得られた資金は85,234千円(前年比6.1%減)となりました。これは主に、税引前当期純利益が177,538千円の計上等に対し、法人税等の支払額43,785千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果使用した資金は13,870千円(前年比229.5%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出11,106千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果得られた資金は53,484千円(前事業年度は財務活動によるキャッシュ・フローはありませんでした。)となりました。これは主に、株式の発行による収入64,860千円等があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社はクラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当事業年度
(自2022年1月1日
至2022年12月31日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
777,838
128.0
144,093
198.5
c.販売実績
当社はクラウドソリューション事業の単一セグメントとしておりますが、当事業年度の販売実績をサービス区分ごとに示すと次のとおりであります。
サービスの名称
当事業年度
(自2022年1月1日
至2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
クラウドソリューション
699,971
126.0
ライセンス販売
6,376
-
合計
706,347
122.4
(注)1.2022年12月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用するため、ライセンス販売は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期増減率は記載しておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自2021年1月1日
至2021年12月31日)
当事業年度
(自2022年1月1日
至2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
労働金庫連合会
-
-
129,764
18.4
NECソリューションイノベータ株式会社
95,728
16.6
123,202
17.4
株式会社シナプスイノベーション
76,583
13.3
120,868
17.1
株式会社テラスカイ
-
-
71,382
10.1
3.前事業年度の労働金庫連合会に対する販売実績は、販売実績がないため記載をしておりません。
4.前事業年度の株式会社テラスカイに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ129,291千円増加し、706,347千円(前期比22.4%増)となりました。
クラウドソリューション売上につきましては、案件数が前年に比べ67件(前期比26.0%増)増加いたしました。その結果、699,971千円(前期比26.0%増)となりました。ライセンス販売売上については、新規顧客の増加、既存顧客による契約が継続したことにより、6,376千円となりました。なお、当事業年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用するため、ライセンス販売売上は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期増減率は記載しておりません。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ26,653千円増加し、358,660千円(前期比8.0%増)となりました。
クラウドソリューション部門の人員増加により労務費が53,155千円増加いたしました。
以上の結果、売上総利益は347,687千円(前期比41.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ32,266千円増加し、164,251千円(前期比24.4%増)となりました。
これは主に、人員増加により人件費が6,946千円増加、採用費用として従業員募集費が4,341千円増加、従業員数増加に伴い、自社利用のクラウドサービス月額使用料等の増加により、業務委託費が3,585千円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、営業利益は前事業年度に比べ70,370千円増加し、183,436千円(前期比62.2%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は5,478千円(前事業年度3,334千円)となりました。これは主に、人材開発支援助成金である助成金収入5,384千円(前事業年度3,221千円)を計上したことによるものであります。また、営業外費用は上場関連費用が11,375千円(前事業年度はその他120千円)となりました。
以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ61,258千円増加し、177,538千円(前期比52.7%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度及び前事業年度における特別損益の発生はありません。
当事業年度における法人税等合計は、前事業年度に比べ11,033千円増加し、49,950千円(前期比28.4%増)となりました。
以上の結果、当期純利益は前事業年度に比べ50,225千円増加し、127,588千円(前期比64.9%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロ
ーの状況」に記載のとおりであります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える会計上の見積り及び仮定の設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.一定の期間にわたり充足される履行義務による収益
当社はクラウドソリューション事業の一部においては、履行義務を充足するにつれて顧客が便益を享受する場合には、進捗度に応じて行った期間にわたり収益を認識しております。具体的には、見積総原価に対する発生原価の割合をもって売上高を計上しております。当社は、案件ごとに進捗状況に応じて見積総原価や予定案件期間の見直しを継続的に実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、その見積総原価や案件の進捗率は見通しに基づき計上しているため、修正される可能性があり、それらの見直しが必要になった場合は、売上計上時期の変更等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b.のれんの減損
のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。
c.繰延税金資産
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると慎重に判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の主な資金需要は、ITエンジニアに係る人件費のほか、営業費用にかかる投資であります。特に優秀な人材確保のための積極的な採用活動及び本社改装工事の実施に充当する計画であり、これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄えるものと判断しておりますが、必要に応じ銀行借入等により対応してまいります。
⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、会社の成長性を判断する「売上高」及び収益性を図る「営業利益・営業利益率」を経営の重要な指標として位置付けております。
⑧ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社がサービスを提供しているSalesforceを含むクラウドサービス市場は今後も大きく成長していくと予想され、DXの加速化により、顧客のビジネス変化が速く、かつ、要求も変化し続けております。このような変化は、当社にとって追い風である一方で、顧客の要求の変化等に対応し、積極的に提案することのできる人材の育成は当社の重要な課題であります。ITエンジニアはシステム開発における一工程のみ担当するだけでは、顧客のビジネス変化に対応できないと考えております。ITコンサルティング・要件定義・設計・開発・システムテスト・運用保守といったシステム開発の全工程を、ITエンジニアがワンストップに提供することで、顧客と直接コミュニケーションを取る機会が増え、顧客のビジネスを理解し、顧客の信頼を獲得し持続的にサービスを提供することで、顧客のビジネスの成功に貢献し、当社のビジネスも成長すると考えております。
また、「北海道から日本のクラウドビジネスを支える。」を目指し、クラウドビジネスを通じて北海道の発展に貢献することにも努めております。
当社がクラウド環境における新しい変化を捉え、その市場のリーダーとなり、北海道の発展に貢献するために、経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対して、弛まぬ努力をもって対処していかなければならないことを認識しております。
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