【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症収束を受けた社会経済活動の正常化を反映してインバウンドやレジャー需要回復の動きが強まった一方で、エネルギー価格上昇・生活必需品の値上げ等の物価高や、台風による人流・物流の停滞、長期化する人手不足等の影響により緩やかな回復に留まりました。また、欧米各国の金融引き締めや円安進行の継続、地政学リスク等により先行きは極めて不透明な状況となりました。
原料とうもろこしのシカゴ相場は、期初657セント/ブッシェル台で始まり主産地の降雨や米国農務省の新穀作付面積の上方修正等から7月に476セント/ブッシェル台迄値を下げましたが、中旬にはロシアが黒海の穀物輸送回廊の延長に合意せず離脱を表明し、ウクライナ情勢の緊迫から一時560セント/ブッシェル台迄値を上げました。しかしその後、米国の豊作観測が強まったことやブラジル産穀物の堅調な輸出等から値を下げ、第2四半期末時点では476セント/ブッシェル台となりました。
WTI原油相場は期初80ドル/バレル台で始まり、欧米利上げを受け景気後退感による需要減退観測や米国債務上限問題によるリスク回避の売りや、イラン核合意再建により原油供給が増加する見込み等から67ドル/バレル台迄値を下げましたが、ウクライナ情勢の悪化による地政学リスクの高まりやOPECプラスの減産に加えサウジアラビアやロシアの自主減産による供給減少懸念等から値を上げ、第2四半期末時点では90ドル/バレル台となりました。
米国から日本までの穀物海上運賃は、期初53ドル/トン台で始まり荷動きが低調に推移し、船舶余剰感から43ドル/トン台迄値を下げましたが、原油相場の高騰に伴う船舶燃料油の上昇や南米産穀物の荷動き増加等から値を上げ、第2四半期末時点では56ドル/トン台となりました。
為替相場は、期初134円/ドル台で始まり、好調な米国経済指標等から米金利上昇が継続する一方、本邦では金融緩和を継続し、日米金融政策の違いを背景にしたドル買いによる円安が進行し、その後も市場予想を上回る米経済指標を受け追加利上げ観測が強まったことや本邦金融政策の現状維持が発表されたこと等から更に円安が進行し、第2四半期末時点では149円/ドル台となりました。
販売面では、社会経済活動の正常化が進み、人流が回復したことで、観光、イベントといった分野でチラシ・パンフレットに使用される澱粉製品の需要が回復傾向であったものの、新聞、雑誌のデジタル化等の影響が色濃く、紙の生産量の減少が依然として続いており、製紙向け澱粉の販売数量は前年同四半期に比べ減少しました。糖化製品は、新型コロナウイルス感染症の法的な扱いが2類から5類へ移行したことによる人流回復と、大型連休が天候に恵まれ需要増の期待があった中、物価上昇の影響で一般消費者の節約志向が強まり、需要が減退する場面もありましたが、夏の猛暑の影響により飲料向けを中心に販売数量は増加しました。外食産業を始めとする業務用需要も回復傾向であることによる同用途向けの販売数量も増加し、糖化製品全体でも販売数量が増加する結果となりました。なお、売上高については、原料とうもろこし及び原油相場高騰による製造費用上昇を背景とした製品価格の適正化が進捗したことにより、澱粉製品、糖化製品いずれも前年同四半期に比べて増収となりました。
また、2023年5月に当社が保有していた株式会社サニーメイズの全株式の譲渡を行ったため、同社を関連会社から除外しております。これに伴い、関係会社株式売却益566百万円を特別利益として計上しております。
この結果、当第2四半期累計期間における当社の売上高は、361億2千万円(前年同四半期比10.6%増)、営業利益は
22億1千万円(前年同四半期比18.5%減)、経常利益は30億1千万円(前年同四半期比0.5%減)、四半期純利益は25億7千
万円(前年同四半期比23.3%増)となりました。
次に、各部門の販売概況は以下のとおりです。
(澱粉部門)
澱粉部門は、社会経済活動が再開したことにより食品向け澱粉需要は回復傾向にあるものの、製紙向け澱粉需要が全体的に減少したことを受け、澱粉製品の販売数量は減少しました。一方、原料や燃料の高騰を背景とした製品価格の適正化が進捗したことで、売上高は70億2千万円と前年同四半期比3億2千万円(4.8%)の増収となりまし
た。
(糖化品部門)
糖化品部門は、経済再開により外出機会が増加したことで業務用販売が回復、更に夏の猛暑の影響により飲料向け販売数量が増加しました。製品価格の適正化が進捗したことにより、売上高は234億円と前年同四半期比28億円
(13.6%)の増収となりました。
(ファインケミカル部門)
ファインケミカル部門は、社会経済活動の正常化が進んだ影響により国内向け製品販売も緩やかに回復、売上高
は11億8千万円と前年同四半期比1億2千万円(12.3%)の増収となりました。
(副産物部門)
副産物部門は、主製品の販売増により生産量が増加、更に前年と同様に穀物相場高に伴う価格上昇の影響を受け、売上高は45億1千万円と前年同四半期比1億9千万円(4.6%)の増収となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下資金という)の残高は、2億2千万円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は2億9千万円となりました。
これは主として、税引前四半期純利益35億8千万円に棚卸資産の減少額11億6千万円、減価償却費11億円を加算した額から売上債権の増加額29億3千万円、法人税等9億3千万円、賞与引当金の減少額7億4千万円を控除した額等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は8億8千万円となりました。
これは主として、当社工場設備への投資などの有形固定資産の取得による支出12億9千万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は4億1千万円となりました。
これは主として、短期借入金の増加額13億円から配当金の支払額8億7千万円を控除した額等によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期累計期間において、新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期累計期間の研究開発費の総額は48百万円であります。
(6)生産、受注及び販売の実績
当第2四半期累計期間において、前年同四半期に比べファインケミカル部門の生産高が著しく増加しております。主な要因は販売数量の増加による生産数量増加等によるものです。
① 生産実績
当第2四半期累計期間における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
生産高(百万円)
前年同四半期比(%)
澱粉部門
6,149
111.7
糖化品部門
23,082
114.2
ファインケミカル部門
1,320
123.5
副産物部門
4,436
101.2
合計
34,989
112.2
(注)金額は、販売価格によっております。
② 当社は受注生産を行っておりません。
③ 販売実績
当第2四半期累計期間における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
販売高(百万円)
前年同四半期比(%)
澱粉部門
7,023
104.8
糖化品部門
23,403
113.6
ファインケミカル部門
1,183
112.3
副産物部門
4,514
104.6
合計
36,123
110.6