【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社企業グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。「(1)経営成績等の状況の概要」における前連結会計年度との比較は、収益認識会計基準等を適用する前の前連結会計年度の連結業績を基礎とする基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。
詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)における当社企業グループの事業環境は、新型コロナウイルスオミクロン変異株の感染拡大により、まん延防止等重点措置が36都道府県に発出され、第7波、第8波の感染拡大により感染者数が増加し、個人の消費行動は停滞が続きました。また、米国金利引上げに起因する急激な円安進行により金融市場は大きく変動し、資源・エネルギー高による世界的なインフレの消費への影響が懸念されており、さらには、長期化が見込まれるウクライナ情勢、それに伴う国際的な物流への支障、物資の供給懸念など、経済状況は不安定であり、紙やインクなどを含めた原材料価格、物流価格は上昇の傾向にありました。一方で、感染症拡大防止への取り組みやオミクロン対応ワクチン接種も進み、イベントの開催が再開されるなど、企業活動は回復しつつあり、コロナ禍での新しい社会生活に即したサービスや販促ツール・サービスの需要が増加いたしました。
当社企業グループは、お客さまに、より付加価値の高いサービスを提供するため、事業環境の変化や事業戦略に基づき将来の成長分野に事業資産を機動的に集中させております。岡山市の研精堂印刷株式会社では、枚葉・輪転印刷から製本までを一貫して行う新工場を稼働させ西日本地域での生産体制を強化いたしました。また、茨城県行方市にグラビア印刷機と各種用途に応じた自動製袋機を備え、様々な形状の商品生産と短納期対応を強みとする工場を持ち、パッケージ・包装資材および販促商品の企画・製造・販売を行う株式会社リングストンを連結子会社といたしました。さらに、広告宣伝の企画・立案・制作を事業とする株式会社ダイアモンドヘッズ、モデルマネジメントを事業とする株式会社バークインスタイル、「GetNavi」「CAPA」「ムー」「TV ライフ」「POTATO」「BOMB」「mer」「FYTTE」「学研キッズネット」など広く深く認知されている定期雑誌ブランドを保有する株式会社ワン・パブリッシング、映像・音響・ICTに関わるプロジェクトをワンストップで提供するジャパンブロードキャストソリューションズ株式会社、屋外広告・交通広告を中心に特化し独自のノウハウと実績をもつ大光宣伝株式会社およびその関係会社2社を連結子会社とし、メディア関連事業を強化いたしました。企画提案・製造・制作から配信までをトータルでカバーできるユニークな企業体として、クリエイティブサービス事業の領域拡大に取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績の状況は、売上高644億16百万円(前連結会計年度比17.9%増)、営業利益32億48百万円(前連結会計年度比86.2%増)、経常利益は、助成金収入の減少に加え貸倒引当金繰入額の計上等がありましたが36億44百万円(前連結会計年度比50.6%増)となりました。経常利益に減価償却費、のれんの償却額および金融費用を加えたEBITDAは57億40百万円(前連結会計年度比26.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は20億3百万円(前連結会計年度比110.5%増)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、当連結会計年度において、株式会社ダイアモンドヘッズ、株式会社バークインスタイル、株式会社ワン・パブリッシング、株式会社リングストン、ジャパンブロードキャストソリューションズ株式会社、大光宣伝株式会社および株式会社アムと株式会社大宣工房が連結子会社となったことにより、資産及び負債が総じて増加しております。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、主に、現金及び預金、短期貸付金及び投資その他の資産のその他の減少がありましたが、受取手形、売掛金、電子記録債権、商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品の増加により、前連結会計年度末に比べて11億76百万円増加し、677億71百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、主に、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金、退職給付に係る負債の減少がありましたが、買掛金、繰延税金負債、流動負債のその他及び固定負債のその他の増加により、前連結会計年度末に比べて7億83百万円増加し、550億35百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、主に、非支配株主持分の減少がありましたが、支払配当金を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べて3億92百万円増加し、127億36百万円となりました。
なお、当社企業グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて18億61百万円減少し、103億55百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は22億38百万円(前連結会計年度比24億35百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益33億57百万円、減価償却費16億45百万円、減損損失4億95百万円、仕入債務の増加額2億14百万円により資金の増加がありましたが、売掛債権の増加額11億89百万円、棚卸資産の増加額6億13百万円、法人税等の支払額14億82百万円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2億3百万円(前連結会計年度比82億16百万円減)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入10億27百万円、投資有価証券の売却による収入3億48百万円、貸付金の回収による収入42億45百万円がありましたが、有形固定資産の取得による支出14億64百万円、投資有価証券の取得による支出2億90百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出19億40百万円、貸付けによる支出20億44百万円により資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は39億1百万円(前連結会計年度は14億89百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入22億円がありましたが、長期借入金の返済による支出36億円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出17億52百万円、配当金の支払額5億39百万円により資金の減少があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社企業グループは、クリエイティブサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
クリエイティブサービス事業
64,390
117.9
b.受注実績
当社企業グループは、クリエイティブサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
クリエイティブサービス事業
64,527
116.5
4,266
102.7
c.販売実績
当社企業グループは、クリエイティブサービス事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
クリエイティブサービス事業
64,416
117.9
(注)総販売実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社企業グループの当連結会計年度末における財政状態は、総資産677億71百万円(前連結会計年度末比1.8%増)、負債550億35百万円(前連結会計年度末比1.4%増)、純資産127億36百万円(前連結会計年度末比3.2%増)となりました。また、自己資本比率につきましては、前連結会計年度に比して1.7ポイント改善し18.1%となりました。総資産、負債及び純資産の概況及び詳細につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
当連結会計年度の経営成績につきましては次のとおりであります。
(売上高)
売上高は、644億16百万円(前連結会計年度546億20百万円)となりました。売上高の概況及び詳細については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、464億24百万円(前連結会計年度395億76百万円)となりました。その結果、売上総利益は、179億92百万円(前連結会計年度150億44百万円)、売上総利益率が27.93%(前連結会計年度27.54%)となりました。
販売費及び一般管理費は、エネルギー、燃料資源の価格高騰による運搬費、水道光熱費、維持管理費等の増加、また、新規連結による費用が増加となり、147億43百万円(前連結会計年度132億99百万円)となりました。
以上の結果、営業利益は32億48百万円(前連結会計年度17億45百万円)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、主に助成金収入が減少したため、9億99百万円(前連結会計年度13億55百万円)、営業外費用は、主に支払手数料が減少したため、6億3百万円(前連結会計年度6億80百万円)となりました。
以上の結果、経常利益は36億44百万円(前連結会計年度24億20百万円)となりました。
(特別損益)
特別利益は、固定資産売却益5億29百万円、投資有価証券売却益1億43百万円、負ののれん発生益50百万円、持分変動利益1億円等を計上した結果、9億1百万円(前連結会計年度2億87百万円)となりました。特別損失は、固定資産除却損35百万円、投資有価証券評価損94百万円と前連結会計年度に比して減少しましたが、固定資産売却損33百万円、減損損失4億95百万円、退職給付制度終了損4億20百万円、段階取得に係る差損54百万円、持分変動損失12百万円等を計上したため、11億89百万円(前連結会計年度8億1百万円)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は20億3百万円(前連結会計年度9億51百万円)となりました。
② 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因につましては「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載しておりますのでご参照ください。
③ 経営方針・経営戦略の現状と見通し
当社企業グループの経営方針・経営戦略の現状と見通しにつきましては「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますのでご参照ください。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社企業グループは「クリエイティブをサポートする企業集団」として、クリエイティブサービス事業を軸にビジネス展開を推進することで、お客さまにとって必要不可欠な企業集団として企業価値の向上を図るべく日々努めております。その実現のため、当社企業グループの中期経営計画において、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重要な指標としております。加えてEBITDA、自己資本比率、キャッシュ・フローを重視した経営により、企業の経営基盤を強化し、安定的な成長を図っていく所存であります。
当連結会計年度における営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益及びEBITDAの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」を、キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を、自己資本比率の分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析」をご参照ください。
⑤ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社企業グループの運転資金、設備投資等の所要資金につきましては、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、原則自己資金及び借入金で賄うこととしております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を、設備投資等や長期運転資金の調達は金融機関からの長期借入を基本としており、必要に応じて資金調達を実施いたします。また、当社企業グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。
資金の流動性につきましては、安定的な営業キャッシュ・フロー及び自己資金に加え、金融機関からの借入等により十分な手元流動性を確保しております。
⑥ 重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。
連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者の判断により一定の会計基準の範囲内で会計上の見積りを行う必要があり、会計上の見積りの金額が資産・負債、収益・費用の数値に反映されております。連結会計年度末における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、退職給付引当金、資産除去債務、繰延税金資産及び市場価格のない投資有価証券、固定資産の減損、のれんの評価であり、これらの見積り及びその基礎となる仮定は、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。
連結財務諸表の作成にあたって、必要な会計上の見積りは合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定の判断につきましては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照ください。
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