【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における300mm半導体用シリコンウェーハ市場は、5G化の進展等により通信容量が増大し、データセンター向け需要が拡大したことや、EVと自動運転の普及による車載向け需要の成長などに牽引された結果、第3四半期まではロジック・メモリー向けともに供給能力を上回る需要が継続しました。しかしながら、第4四半期に入り、パソコン・スマホの需要が軟化したことで、全体の需給はバランスし始めました。また、200mmウェーハ市場につきましては、車載・産業向けで堅調な需要が継続しましたが、150mm以下の小口径ウェーハにつきましては、年度後半から民生向けを中心に調整局面に入りました。
このような環境のもと、当社グループでは、「SUMCOビジョン」の実現に向け、顧客の高精度化要求や製品の差別化に対応した技術開発により先端製品の高シェアを維持するとともに、AIを活用した生産性向上により、コスト競争力を強化することで、収益向上にも努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高441,083百万円(前年同期比31.4%増)、営業利益109,683百万円(前年同期比112.8%増)、経常利益111,339百万円(前年同期比117.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益70,205百万円(前年同期比70.7%増)となりました。なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当連結会計年度末における財政状態は、資産合計は892,555百万円(前年同期比127,734百万円増)、負債合計は301,071百万円(前年同期比59,092百万円増)、純資産合計は591,484百万円(前年同期比68,641百万円増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ34,631百万円増加し、259,305百万円となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローが179,462百万円、投資活動によるキャッシュ・フローが△126,351百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが△23,153百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額が4,674百万円となったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績当社グループの事業は「高純度シリコン」のみの単一セグメントであり、セグメント情報に関連付けては記載しておりません。
a.生産実績当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
高純度シリコン
300,530
117.9
(注) 金額は製造原価によっております。
b.受注実績当社グループの生産及び販売製品は、大半が受注生産形態をとらないため、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
c.販売実績当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
高純度シリコン
441,083
131.4
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
住友商事株式会社
61,654
18.4
89,235
20.2
Samsung ElectronicsCo., Ltd.
43,385
12.9
52,675
11.9
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析当連結会計年度は、地政学的リスクの顕在化及び各国のインフレによるエネルギー・原材料等の資源価格の上昇があったものの、半導体用シリコンウェーハ需要は、5Gの普及に後押しされたデータセンター需要の伸長、また、自動車のEV化・自動運転機能の搭載による車載需要も創出され300mmウェーハ需要は増加いたしました。また200mm以下小口径需要についても堅調に推移いたしましたが、第4四半期に入ると調整局面に転じ始めました。このような環境のもと、当連結会計年度の当社グループ業績は、電力・資材価格等のコストアップはあったものの、販売数量の増加及び販売価格改善や大幅な円安効果に支えられ、売上高441,083百万円、営業利益109,683百万円、親会社株主に帰属する当期純利益70,205百万円を計上し、営業利益率は24.9%、ROEは13.9%となりました。
b.財政状態の分析(資産)当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ127,734百万円増加し、892,555百万円となりました。有形固定資産が 73,868百万円増加したこと、及び現金及び預金が 32,331百万円増加したことが主な要因であります。
(負債)当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ59,092百万円増加し、301,071百万円となりました。その他流動負債が 28,079百万円増加したこと、未払法人税等が 15,372百万円増加したこと、及び支払手形及び買掛金が 7,293百万円増加したことが主な要因であります。
(純資産)当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ68,641百万円増加し、591,484百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が 49,250百万円増加したこと、及び非支配株主持分が 11,237百万円増加したことが主な要因であります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ74,753百万円増加し、179,462百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益が60,232百万円増加したこと、及び減価償却費が8,206百万円増加したことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ支出が59,014百万円増加し、△126,351百万円となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が57,667百万円増加したことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△23,153百万円となりました。これは配当金の支払額が △21,010百万円、非支配株主への配当金の支払額が △2,082百万円あったことが主な要因であります。
b.資本の財源及び資金の流動性(財務戦略の基本的な考え方)当社グループは、継続的な収益向上に取り組んでおり、獲得した資金につきましては、設備投資資金に充てる一方で、財務体質の健全性にも留意しつつ、大規模な設備投資の資金需要に対しても、機動的かつ効果的に対応してまいります。また、当社は、適正な株主還元を経営の重要課題として認識しており、柔軟かつ積極的な株主還元を実施してまいります。
(資金需要の主な内容)当社グループの資金需要は、運転資金に加え、生産能力増強、製品の高精度化、研究開発を目的とした設備投資等があります。
(資金の流動性)資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、必要とされる資金水準を十分満たす流動性を保持していると考えております。
(資金調達)当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金及び外部資金を有効に活用しております。また、安定的な外部資金調達能力の確保は重要な経営課題と認識しており、取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しております。
③ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成において、資産・負債及び収益・費用の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点において入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮したうえで行なっておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。