【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が解除されたことにより、個人消費に持ち直しの動きがみられ、企業業績は総じて緩やかに改善しました。
一方、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰に加え、為替相場の円安進行、物価の上昇等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
また、当社事業と関連性が強い国内証券市場においては、日銀の金融緩和策の継続や国内の景気回復への期待等を背景に、日経平均株価が一時33,000円台をつけ、バブル後の最高値を更新しました。当第1四半期連結累計期間の日経平均株価は概ね31,000円台を中心に推移し、前年同期の当該株価水準(26,800円台中心)を上回る結果となりました。
このような経済状況のもと、当社グループにおいては、本年3月にイベント映像機材・運営支援会社である株式会社シネ・ホールディングス及び株式会社シネ・フォーカスを連結子会社化したことが業績に大きく寄与しました。また、当社主力製品である株主総会招集通知は、本年3月開催の株主総会から電子提供制度が導入されたこと等により、印刷ページ数が減少したものの、個人株主数の増加、印刷用紙代等コスト上昇に応じた適正価格での受注推進、制度変更に対応した新サービスの受注促進により増収となりました。一方、債券と金融派生商品を組み合わせた仕組み債の起債がなくなったことで、外国債券関連製品が大幅減収となりましたが、増収がこれを上回った結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上収益は、前年同期比824百万円増(同7.5%増)の11,800百万円となりました。
利益面では、主に株主総会招集通知の電子提供制度の導入による作業工程の変更や工数増加、新サービス開始に対応するため、労務費を中心に初期コストが発生したほか、営業体制強化に伴う人件費等が増加したものの、増収効果により営業利益は前年同期比225百万円増(同7.5%増)の3,221百万円となりました。また、税引前四半期利益は前年同期比230百万円増(同7.6%増)の3,248百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比168百万円増(同8.2%増)の2,224百万円となりました。
当社グループの事業セグメントは、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおり、ディスクロージャー関連事業の単一セグメントでありますが、取扱製品を区分した売上収益の概況は、次のとおりであります。
①
上場会社ディスクロージャー関連
主力製品である株主総会招集通知については、本年3月開催の株主総会から電子提供制度が導入されるとともに、前年同期に当該制度対応のため多くの上場会社で定款変更を実施した反動減により、印刷ページ数が減少しました。一方、電子提供制度導入初年度においては、株主総会招集通知を従来通り印刷する上場会社が現段階で約7割を占めていることに加え、個人株主数の増加、印刷用紙代等コスト上昇に応じた適正価格での受注推進、制度変更に対応した新サービスの受注促進により、株主総会招集通知は増収となりました。また、働き方改革による業務効率化ニーズが根強く、開示書類作成アウトソーシングサービスの受注が増加しました。これらの結果、上場会社ディスクロージャー関連の売上収益は、前年同期比184百万円増(同3.0%増)の6,256百万円となりました。
②
上場会社IR・イベント関連等
本年3月にイベント映像機材・運営支援会社である株式会社シネ・ホールディングス及び株式会社シネ・フォーカスを連結子会社化したことで、株主総会を始めとしたイベント事業が業績に大きく寄与しました。また、昨年4月に東京証券取引所の新市場区分がスタートし、サステナビリティや英語での情報開示の充実等を求めるプライム市場向けのコーポレートガバナンス・コードが適用されたことで、非財務情報関連ツール作成支援・英文翻訳サービスの受注が増加しました。これらの結果、上場会社IR・イベント関連等の売上収益は、前年同期比661百万円増(同21.5%増)の3,739百万円となりました。
なお、当該製品区分の名称につきましては、イベント事業の売上収益構成比が増加していることから、当第1四半期連結累計期間より上場会社IR関連等から「上場会社IR・イベント関連等」に変更しております。
③
金融商品ディスクロージャー関連
J-REIT関連では、前年同期に比べて資金調達件数が増加したことに伴い、ファイナンス関連製品の受注が増加しました。また、投資信託関連においては、昨年度下期の新規受注が寄与し、主力製品である目論見書、運用報告書が増収となりました。一方、債券と金融派生商品を組み合わせた仕組み債の起債がなくなったことで、外国債券関連製品が大幅減収となりました。これらの結果、金融商品ディスクロージャー関連の売上収益は、前年同期比20百万円減(同1.3%減)の1,551百万円となりました。
④
データベース関連
データベース関連では新規顧客の受注獲得に努めたものの、既存顧客との契約更改に際し、一部解約や単価ダウンがありました。その結果、データベース関連の売上収益は前年同期比1百万円減(同0.5%減)の254百万円となりました。
(製品区分別売上収益)
区分
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減
(△印減)
金額
(千円)
構成比
(%)
金額
(千円)
構成比
(%)
金額
(千円)
増減率
(%)
上場会社ディスクロージャー関連
6,071,507
55.3
6,255,953
53.0
184,446
3.0
上場会社IR・イベント関連等
3,077,936
28.1
3,739,255
31.7
661,320
21.5
金融商品ディスクロージャー関連
1,571,222
14.3
1,550,757
13.1
△20,465
△1.3
データベース関連
255,622
2.3
254,301
2.2
△1,322
△0.5
合計
10,976,287
100.0
11,800,266
100.0
823,979
7.5
(注)金額は販売価格によっております。
なお、当社グループは事業の性質上、業績に次のとおり季節的変動があります。
(第1四半期連結累計期間の季節性)
当社グループの売上収益の約3分の2を占める事業会社向け製品・サービスは、顧客の約65%が3月決算会社であるため、決算及び株主総会関連製品の受注が集中する第1四半期連結会計期間(4-6月期)の売上収益が、下表のとおり最も多くなっております。
(参考)2023年3月期
第1四半期
(4-6月期)
第2四半期
(7-9月期)
第3四半期
(10-12月期)
第4四半期
(1-3月期)
年度計
売上収益
(百万円)
10,976
5,042
5,213
5,572
26,804
構成比
(%)
40.9
18.8
19.5
20.8
100.0
(利益の概況)
当第1四半期連結累計期間の売上収益は、上場会社ディスクロージャー関連、上場会社IR・イベント関連等の製品区分において前年同期を上回り、824百万円の増加となりました。売上原価は、株主総会招集通知の電子提供制度の導入による作業工程の変更や工数増加、新サービス開始により労務費を中心に初期コストが発生したこと等により、385百万円増加いたしました。売上原価率については、増収効果により前年同期比0.5ポイント減の54.2%となりました。この結果、売上総利益は前年同期比439百万円増(同8.8%増)の5,407百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、主に営業体制強化に伴う人件費増加により前年同期比216百万円増(同10.9%増)の2,200百万円となり、販売費及び一般管理費率は前年同期比0.5ポイント増の18.6%となりました。これらの結果、営業利益は前年同期比225百万円増(同7.5%増)の3,221百万円となりました。
また、金融収益を28百万円、金融費用を5百万円、持分法による投資利益を5百万円それぞれ計上した結果、税引前四半期利益は前年同期比230百万円増(同7.6%増)の3,248百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比168百万円増(同8.2%増)の2,224百万円となりました。
(2)財政状態の状況
当社グループの第1四半期連結会計期間末は、前述の季節的要因により、資産合計、負債合計、資本合計とも、前連結会計年度末に比べ例年大きく増加いたします。当第1四半期連結会計期間末も以下のとおり同様の傾向となっております。
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,326百万円増加し44,244百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の増加2,162百万円、営業債権及びその他の債権の増加4,302百万円及びその他の金融資産(非流動資産)の増加1,072百万円等であります。
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,801百万円増加し17,283百万円となりました。主な要因は、借入金(流動負債)の増加1,200百万円、契約負債の増加1,160百万円及びその他の流動負債の増加981百万円等であります。
当第1四半期連結会計期間末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,525百万円増加し26,961百万円となりました。主な要因は、親会社の所有者に帰属する四半期利益2,224百万円の計上による増加、その他の包括利益759百万円の計上による増加及び剰余金の配当459百万円による減少等であります。この結果、親会社所有者帰属持分比率は、60.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,162百万円増加し、9,736百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は1,969百万円(前年同期は1,438百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前四半期利益3,248百万円に対し、非資金損益項目等の調整を加減した営業取引による収入2,357百万円、利息及び配当金の受取額41百万円等であり、支出の主な内訳は、法人所得税の支払額424百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は395百万円(前年同期は722百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出98百万円、無形資産の取得による支出299百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は573百万円(前年同期は697百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は短期借入金の純増減額1,200百万円であり、支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出170百万円、配当金の支払額440百万円等であります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、前連結会計年度の有価証券報告書に記載の課題及び課題に対する当第1四半期連結累計期間中の主な進捗状況は以下のとおりであります。
(会社の対処すべき課題)
事業環境が大きく変化するなかで、事業領域の拡張、競争力・収益力・顧客満足の向上に努めてまいります。
①
株主総会プロセスの電子化・開示制度の変化に対応した中核ビジネスの強化と拡張
・本年3月開催の株主総会から導入された招集通知の電子提供制度に伴い、お客様の実務負荷を軽減し、Web・印刷両面で株主への情報提供・対話の充実に寄与する「招集通知電子化対応サービス」の受注を推進。
・株主総会招集通知のコンテンツを軸としたWeb化、英文化、株主総会ビジュアル化等、中核商材周辺の付加価値サービスの拡大に注力。
②
制作・製造プロセスの電子化対応と生産性向上・収益性改善
・「招集通知電子化対応サービス」の導入等による作業工程の見直しや、各制作・製造工程におけるデジタル化や帳票類の電子化を促進。
・印刷用紙代等のコスト上昇に応じた適正価格での受注を推進。
③
DX・働き方改革に対応したシステム・コンサルティング・BPOサービス強化
・投資信託書類作成支援システム「PRONEXUS FUND DOCUMENT SYSTEM」の機能拡張・導入拡大により、お客様の実務効率化を支援。
・コンサルティングサービスの拡大を図るとともに、根強い業務効率化ニーズに対応するため、協業先を含むBPOサービス提供体制を強化。
④
非財務情報開示の充実に対応したコンサルティング・英文開示・Webサービスの拡大と体制強化
・上場会社・金融機関におけるサステナビリティ情報開示の充実に対応し、非財務情報関連ツール作成支援サービスやコンサルティングサービスを拡大。
・当社グループにおけるWebサイトの企画・制作・運用・品質管理・収益管理体制を継続的に強化。
・連結子会社である日本財務翻訳株式会社を中心に、協業先を含めた英文翻訳サービス体制強化・効率化を推進。
⑤
グループ事業の強化と新たなビジネス領域の拡大
・イベント映像機材・運営支援会社である株式会社シネ・ホールディングス及び株式会社シネ・フォーカスを本年3月に連結子会社化し、既存の株主総会支援サービスをさらに強化するとともに、株主総会以外のイベント事業を強化。
⑥
ESG・サステナビリティ経営への取り組み
・事業領域拡大に伴い、新たな事業における腐敗防止に向けた規程改訂や運用面の整備を推進。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間において、該当事項はありません。
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