【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1)
業績当事業年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)のわが国経済及び世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に大打撃を受けましたが、ロックダウンや本邦における緊急事態宣言が繰り返し発令される中ではあるもののワクチン接種も始まり、経済活動は段階的に再開されてきています。当社は、がん免疫治療薬(がんを駆逐する免疫の仕組みを利用して治療する薬)の新規開発を手掛けています。がん免疫治療薬は、これまで約50年サイクルで起こってきたがん治療の革新をもたらし、近年の全医薬品市場成長を大きく牽引している領域です。ブレイクスルーをもたらした免疫チェックポイント阻害抗体の適応がん種の拡大と、抗体以外への多様な医薬品形態への展開が進められています。しかし、がんという病気が根治に至るまでにはまだ隔たりがあり、アンメット・メディカルニーズは依然として大きく、「がん免疫」という科学的に証明されたメカニズムを用いた治療薬が、現在進行形のがん治療の革新をさらに推し進める余地は大きく残されています。当社はこの開発領域において、がんワクチン、細胞医薬、そして抗体医薬という医薬品形態の開発パイプラインを、探索から早期臨床試験段階において、同時並行で進めています。パイプラインの中で現在臨床試験段階にあるのが、がんペプチドワクチン(GRN-1201)で、現在は米国で、非小細胞肺がんを対象に、免疫チェックポイント阻害抗体ペンブロリズマブとの併用による第二相臨床試験を進めています。また、2020年6月からiPS細胞由来再生NKT細胞療法(iPS-NKT)の、頭頸部がんを対象とする医師主導治験が開始されました。本治験は、国立研究開発法人理化学研究所と国立大学法人千葉大学が主体となって実施されています。細胞医薬パイプラインとしては、国立大学法人信州大学から導入したHER2 CAR-T細胞療法(BP2301)が臨床試験開始にむけて具体的な準備に入っています。抗体医薬パイプラインは、PD-1/PD-L1に次いでT細胞の疲弊や機能抑制に関する免疫チェックポイント分子としてそれを阻害することの有効性が科学的に示される途上にある標的分子に対する抗体の開発を進めています。これらに加え、国立研究開発法人国立がん研究センターとの間のネオアンチゲンワクチン設計に用いる抗原予測アルゴリズムを新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス抗原同定に活用する共同研究があります。
これらの結果、当事業年度につきましては、研究開発活動の拡大により、営業損失は1,732,802千円(前年同期の営業損失は1,827,349千円)、経常損失は1,738,636千円(前年同期の経常損失は1,823,996千円)、当期純損失は1,719,634千円(前年同期の当期純損失は1,857,774千円)となりました。
(2) 財政状態の状況 ① 流動資産当事業年度末における流動資産は前事業年度末より322,806千円増加し3,650,992千円となりました。これは、現金及び預金が研究開発に関連する支出等で減少したものの、それを上回る株式の発行による収入により247,031千円増加したことが主な要因であります。
② 固定資産当事業年度末における固定資産は前事業年度末より48,017千円減少し98,435千円となりました。これは、研究機器の減価償却等により工具、器具及び備品が48,954千円減少したことが主な要因であります。
③ 流動負債当事業年度末における流動負債は前事業年度末より16,456千円減少し156,405千円となりました。これは、前事業年度末と比べて研究開発費等が減少したことにより未払金が15,847千円減少したことが主な要因であります。
④ 固定負債当事業年度末における固定負債は前事業年度末より11,159千円減少し55,379千円となりました。これは、退職金の支払により退職給付引当金が11,249千円減少したことが主な要因であります。
⑤ 純資産当事業年度末における純資産は前事業年度末より302,405千円増加し、3,537,642千円となりました。これは、新株の発行により資本金及び資本剰余金の合計が2,053,001千円増加し、当期純損失により1,719,634千円減少したことが主な要因であります。以上の結果、自己資本比率は前事業年度末の91.5%から93.7%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて247,031千円増加し、3,265,388千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は1,769,848千円(前事業年度は1,784,461千円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失1,717,214千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は36,211千円(前事業年度は106,879千円の支出)となりました。これは主に研究開発機器等の有形固定資産の取得による支出34,920千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は2,053,090千円(前事業年度は8,521千円の収入)となりました。これは、主に新株予約権の行使による株式の発行による収入2,052,505千円によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)
生産実績当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
医薬品開発事業
1,145
△21.9
合計
1,145
△21.9
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)
受注実績当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
医薬品開発事業
802
△90.3
-
-
合計
802
△90.3
-
-
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
医薬品開発事業
2,504
△77.8
合計
2,504
△77.8
(注)1.最近事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
相手先
前事業年度(自
2019年4月1日至
2020年3月31日)
当事業年度(自
2020年4月1日至
2021年3月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
株式会社日本バイオセラピー研究所
2,991
26.5
1,702
68.0
富士フイルム株式会社
809
7.2
802
32.0
大日本住友製薬株式会社
7,500
66.4
-
-
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は下記のとおりであります。なお、当社は、医薬品開発事業の単一事業であるため、セグメント別の業績に関する記載を省略しております。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(経営指標について)当社は、創薬ベンチャーであり、研究開発活動という投資期間が長く、その研究開発活動の成果として、ライセンスアウトによる契約一時金やマイルストン収入等などを獲得するビジネスモデルであります。中長期的視点からの経営の安定化、企業価値の向上を目指して、また著しい技術革新がなされ、大きな期待を受けているがん免疫治療薬分野における大きな事業機会を逃さないために、既存のパイプラインの推進のみならず、新規のパイプラインを積極的に導入していく方針であります。従いまして、売上高や当期純損益の推移やROE、ROAといった経営指標を目的とすることはせずに、現預金残高の推移、研究開発活動の効率化、パイプライン数の拡大・充実について、財務状況を勘案しながら、早期のライセンスアウト及び黒字化の実現に向けて、事業を進めてまいります。
(1) 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。この見積りに関しては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づいて合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと相違する可能性があります。
(2) 当事業年度末の財政状態の分析
①
資産の状況当事業年度末における資産合計は、前事業年度末より274,789千円増加し3,749,428千円となりました。これは、現金及び預金が研究開発に関連する支出等で減少したものの、それを上回る株式の発行による収入により247,031千円増加したことが主な理由であります。また、当事業年度末における資産の内訳としましては、現金及び預金が3,265,388千円と、資産の合計の87.1%を占めており、研究開発を推進していくにあたり、当面の資金は確保している状況にあります。今後の現金及び預金の残高推移については、株式市場等からの資金調達やライセンスアウトによる契約一時金収入・マイルストン収入の獲得が実施されるまでの期間において、主に研究開発費用及び研究機器等の購入に伴う支出により減少する傾向にあります。現金及び預金の残高推移を注視しつつ、がん免疫治療薬分野の最先端の研究開発を積極的に推進してまいります。
②
負債の状況当事業年度末における負債合計は、前事業年度末より27,615千円減少し211,785千円となりました。これは久留米大学への包括的業務契約に基づくロイヤリティ支払により買掛金が346千円減少したこと、前事業年度末と比べて研究開発費等が減少したことにより未払金が15,847千円減少したことが主な理由であります。当事業年度末における総資産に占める負債の割合は5.6%であります。当社の有するパイプライン開発の推進に伴い、未払金は増加する傾向にあります。当事業年度末における現金及び預金の残高に対する負債の割合は非常に小さいと考えており、引き続き効率的な研究開発活動を推進してまいります。
③
純資産の状況当事業年度末における純資産は、前事業年度末より302,405千円増加し3,537,642千円となりました。これは新株発行により資本金及び資本剰余金の合計が2,053,001千円増加し、当期純損失により1,719,634千円減少したことが主な理由であります。自己資本比率は前事業年度末の91.5%から93.7%となりました。
(3) 当事業年度の経営成績の分析
①
売上高の状況当事業年度の売上高につきましては、前事業年度と比べ8,796千円減少(77.8%減)し、2,504千円となりました。
②
営業損益の状況当事業年度における営業損失は、前事業年度と比べ94,547千円損失が減少し1,732,802千円となりました。当社は新規のがん免疫治療薬に開発領域を特化し、がんワクチン、細胞医薬、抗体医薬モダリティに関する探索から早期臨床試験段階にある複数のパイプラインの開発を同時並行で進めておりますが、当事業年度の研究開発費は前事業年度と比べ5.1%減少し1,408,443千円となりました。当社の販管費に占める研究開発費の割合は81.3%となり、研究開発費の推移が営業損益に直接影響を与える構造となっております。各パイプラインの推進に加え、日進月歩でサイエンスが進む環境に迅速に適合していくためにも、新規シーズの導入は今後も引き続き積極的に行っていく方針であるとともに、川崎創薬研究所において創出している新規医薬品候補の開発を順次進めてまいります。
③
当期純損益の状況当事業年度における当期純損益は、前事業年度と比べ138,139千円損失が減少し1,719,634千円となりました。当事業年度の研究開発費が前事業年度と比べ76,411千円減少、減損損失が前事業年度と比べ38,529千円減少したことが主な要因であります。
(4) 当事業年度のキャッシュ・フローの分析当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因は、当社が推進する研究開発を遅延又は中止させる事象でありますが、詳細については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
(6) 資金の財源及び資金の流動性についての分析当社の資金需要は、研究開発にかかる人件費、試薬等材料費、消耗品費、外部委託費及び研究機器の購入等及び事業運営・上場維持にかかる人件費、外部委託費及び特許関連費用等であります。これらの費用及び研究機器の購入等については、自己資金により支出していく予定であります。自己資金については、すべて銀行預金としておりますので、すべての支出について迅速かつ確実に対応できるよう資金の流動性を確保しております。
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