【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における当社を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の再開が進むなか、世界的な金融引き締めを背景とした景気の低迷など先行き不透明な状況が続いております。また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化を受けてエネルギー相場や原材料価格、物流費が上昇すると共に、消費者物価の高騰など依然として厳しい状況が続いております。
このような状況の中、売上高は、飼料工場部門の事業廃止の影響がありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための行動制限が緩和されたことに伴う外食産業の回復により増収となり、全体で35,930百万円(前年同期比1.1%増)となりました。経常利益は、卸売部門において仕入価格の上昇や冷蔵倉庫部門において電気料金の高騰などにより売上総利益が減少し231百万円(前年同期比38.4%減)となり、当期純利益は、302百万円(前年同期比23.2%減)となりました。
翌事業年度につきましては、出荷者との繋がりを深め、養殖魚や他魚種の集荷に取り組むなど、自然の影響を受けやすい天然魚の漁獲量減少に対応します。また、持続可能な水産物のサプライチェーンに付与されるマリン・エコラベル・ジャパン(MEL)の認証を取得しており、資源や環境に配慮したサステナブルな水産物の取扱いにも関わってまいります。また、2022年12月に「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」(水産流通適正化法)が施行されました。違法に採捕された水産動植物の流通を防止するため、当社も水産流通適正化法を遵守してまいります。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(卸売部門)
鮮魚は、国内天然魚の漁獲量減少や海外水産物の調達難の影響により取扱数量は減少しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための行動制限が緩和されたことに伴う外食産業の回復があり、ぶり、養殖真鯛、まぐろなどが増加し売上増となりました。
塩冷加工品は、国際的な需要増加により取扱量減少、円安による仕入価格の上昇もあり、原料の供給懸念から加工業者の引き合いが強く冷ずわいがに、冷いかなど売上増となった一方で、物価高騰よる仕入コスト上昇分の価格転嫁が十分に進まず収益を押し下げ減益となりました。
この結果、売上高は35,283百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益は217百万円(同29.7%減)となりました。
(冷蔵倉庫部門)
諸経費の削減を推し進めるなど業績の向上に努めましたが、原油価格の高騰に伴う電気料金の高騰が利益を圧迫する結果となり、売上高は424百万円(前年同期比21.4%減)、営業利益は85百万円(同40.7%減)となりました。
(不動産賃貸部門)
主な事業である賃貸マンションが順調に稼働した結果、売上高は222百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益は159百万円(同14.8%増)となりました。
② 財政状態の状況
(流動資産)
当事業年度末の流動資産は、9,930百万円(前事業年度末は9,299百万円)となり、前事業年度末比630百万円(6.8%)増加しました。これは主に、商品767百万円、有価証券95百万円、売掛金79百万円の増加、現金及び預金293百万円の減少によるものです。
(固定資産)
当事業年度末の固定資産は、5,750百万円(前事業年度末は5,957百万円)となり、前事業年度末比207百万円(3.5%)減少しました。これは主に、投資有価証券240百万円の減少によるものです。
(流動負債)
当事業年度末の流動負債は、2,148百万円(前事業年度末は1,805百万円)となり、前事業年度末比343百万円(19.0%)増加しました。これは主に、買掛金472百万円の増加、未払法人税等75百万円、未払金71百万円の減少によるものです。
(固定負債)
当事業年度末の固定負債は、570百万円(前事業年度末は570百万円)となり、前事業年度末比で同程度となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、12,961百万円(前事業年度末は12,881百万円)となり、前事業年度末比79百万円(0.6%)増加しました。これは主に、繰越利益剰余金156百万円、株価の回復によりその他有価証券評価差額金141百万円の増加、自己株式の取得により214百万円の減少によるものです。
当事業年度末の自己資本比率は、82.7%(前事業年度末84.4%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動により269百万円増加となりましたが、営業活動により97百万円、財務活動により363百万円それぞれ減少となったため、前事業年度末に比べ191百万円(5.3%)減少し、当事業年度末には3,436百万円となりました。
また、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は97百万円(前年同期は得られた資金131百万円)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額766百万円、法人税等の支払額215百万円の資金減少要因が、仕入債務の増加額479百万円、税引前当期純利益451百万円の資金増加要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は269百万円(前年同期は使用した資金113百万円)となりました。これは主に、有価証券の償還による収入400百万円の資金増加要因が、投資有価証券の取得による支出102百万円の資金減少要因を上回ったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は363百万円(前年同期比129.0%増)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出214百万円、配当金の支払額149百万円によるものであります。
④ 販売、仕入及び生産の状況
イ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
金額(千円)
卸売部門
35,283,322
103.0
冷蔵倉庫部門
424,499
78.6
不動産賃貸部門
222,531
109.0
合計
35,930,353
101.1
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
丸鮮㈱
5,028,554
14.2
4,908,486
13.7
ロ 商品仕入実績
当事業年度における商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
金額(千円)
卸売部門
34,526,774
103.5
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
ハ 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
金額(千円)
冷蔵倉庫部門
430,636
89.9
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容
売上高については、35,930百万円(前年同期比1.1%増)となりました。これは、飼料工場部門の事業廃止の影響がありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための行動制限が緩和されたことに伴う外食産業の回復によるものです。
利益面では、営業利益が128百万円(前年同期比49.9%減)となり、経常利益が231百万円(前年同期比38.4%減)となりました。これは、卸売部門において仕入価格の上昇などや冷蔵倉庫部門において電気料金の高騰などによるものであります。一層の経費削減に努め、利益拡大に取り組んでまいります。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載しておりますが、当事業年度におきましてもリスクを最小化するために、適時、迅速な対応を図ります。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要のうち主なものは、水産物卸売のための商品仕入、集荷に伴う運送費等の経費、冷蔵倉庫稼働に伴う経費、一般管理費等の営業費用、システム投資及び不動産の購入等に係る投資であります。これらの資金需要に対し、当社では主に自己資金を充当しております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載しておりますとおり、中長期の予測は困難であるため、当事業年度の売上高及び営業利益を目標数値としております。当事業年度の目標数値及びその達成状況については以下のとおりです。
売上高:35,550百万円以上(達成率101.1%)、営業利益:290百万円以上(達成率44.2%)
営業利益につきましては、達成率が100%に達しておりませんが、特別利益に助成金制度利用による補助金収入219百万円を計上しており、それを加算しますと119.9%となっております。
なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析、検討内容については、水産物卸売業の比率が極めて高く、また、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」の記載内容と概ね同一と考えられますので、記載を省略します。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。