【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は、次のとおりであります。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和等により、社会経済活動に持ち直しが見られましたが、変異株による感染再拡大、急激な為替相場の変動、原材料やエネルギー価格の高騰、米中問題などの地政学的リスクの高まりにより景気の先行きが不透明な状況が続いています。
このような状況下、当社グループは、中期経営計画「Evolving Growth Plan」(2022年度~2024年度)に掲げる重点戦略を強力に推進し、企業価値の向上および経営基盤の強化を図るとともに受注・売上の確保に努めました。
この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ9,718百万円増加し、199,280百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,272百万円減少し、97,384百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ15,990百万円増加し、101,895百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は162,689百万円(前期138,408百万円に比し17.5%増)となりました。損益面におきましては、営業利益は24,155百万円(前期14,144百万円に比し70.8%増)、経常利益は23,501百万円(前期16,313百万円に比し44.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は17,830百万円(前期12,278百万円に比し45.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
1) 理科学・計測機器事業
各国政府の活発な科学技術投資および半導体や次世代電池の研究開発関連の活況な需要により、
受注・売上は引き続き好調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は94,795百万円(前期比11.3%増)となりました。
2) 産業機器事業
マルチビームマスク描画装置は半導体市況の調整局面の影響により受注は軟調な状況が継続しましたが、売上は前期比で増加しました。シングルビームマスク描画装置はパワー半導体需要により堅調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は49,463百万円(前期比45.5%増)となりました。
3) 医用機器事業
国内市場における生化学自動分析装置の引合いは堅調に推移しました。一方で海外市場においては中国ロックダウンの影響などもあり、受注・売上ともに低い水準にとどまりました。
この結果、当事業の売上高は18,430百万円(前期比4.3%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は32,004百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,346百万円減少しました。
当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は3,351百万円(前期は22,603百万円の資金の増加)となりました。これは主に、売上債権、棚卸資産等の増加による支出があったものの、税金等調整前当期純利益が増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は5,734百万円(前期は648百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出により減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は8,732百万円(前期は5,517百万円の資金の増加)となりました。これは主に借入金の返済、配当金の支払いによる支出があったことなどによるものであります。
なお、不測の事態に備え、従来より銀行融資枠(コミットメントライン)を設定しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
理科学・計測機器事業
107,681
123.7
産業機器事業
60,075
163.6
医用機器事業
18,044
97.4
合計
185,801
130.6
(注)金額は、販売価格で表示しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
理科学・計測機器事業
102,899
109.5
51,639
118.6
産業機器事業
44,212
76.1
41,543
88.8
医用機器事業
17,553
91.9
2,404
73.3
合計
164,666
96.2
95,587
102.1
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
理科学・計測機器事業
94,795
111.3
産業機器事業
49,463
145.5
医用機器事業
18,430
95.7
合計
162,689
117.5
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
IMS Nanofabrication GmbH
16,694
12.1
26,820
16.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積りと見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から9,718百万円増加し199,280百万円となりました。主な要因としては、現金及び預金が9,972百万円減少しましたが、棚卸資産が9,642百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が9,207百万円増加したこと等によります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から6,272百万円減少し97,384百万円となりました。主な要因としては、電子記録債務が3,708百万円増加、支払手形及び買掛金が1,759百万円増加しましたが、長期借入金が4,739百万円減少、設備未払金の減少等により流動負債のその他が3,545百万円減少、契約負債が3,701百万円減少したこと等によります。
当連結会計年度末の純資産合計は利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ15,990百万円増加し、101,895百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末から5.8ポイント増加し51.1%となりました。
2) 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比の17.5%増の162,689百万円となりました。この要因としては、産業機器事業を中心とした売上の増加および円安による為替などの影響を受けたことが挙げられます。
損益面においては、営業利益24,155百万円(前期14,144百万円に比し70.8%増)、経常利益23,501百万円(前期16,313百万円に比し44.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益17,830百万円(前期12,278百万円に比し45.2%増)となりました。この要因としては、売上高が増加したことが挙げられます。この結果、営業利益は前期に比し10,011百万円増加し、前期に比し補助金収入の減少かつ為替差損が増加したものの、営業利益の増加に伴い、経常利益は7,187百万円増加しました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に伴い、前期に比し5,552百万円増加しました。
当社グループでは、理科学・計測機器事業で培った技術を軸として産業機器事業および医用機器事業をグローバルに展開しております。
理科学・計測機器事業においては、各国政府の活発な科学技術投資および半導体や次世代電池の研究開発関連の活況な需要により、受注・売上は好調に推移いたしました。
産業機器事業においては、マルチビームマスク描画装置は半導体市況の調整局面の影響により軟調な状況が継続しましたが、シングルビームマスク描画装置はパワー半導体需要により堅調に推移いたしました。
医用機器事業においては、国内市場における生化学自動分析装置の引合いは堅調に推移いたしましたが、海外市場においては中国ロックダウンの影響などもあり、受注・売上は低い水準にとどまりました。
2022年度から2024年度を対象とする中期経営計画「Evolving Growth Plan」では、前中期経営計画「Triangle Plan 2022」の基本的なビジョンである「70年目の転進」を基本としながら、「YOKOGUSHI」戦略をさらに発展させるとともに、研究開発力、ものづくり力、サービス力のUPにより顧客満足度の向上を図ることを通じ、事業規模の拡大と高収益化につなげます。また、より長期的かつ持続的な成長を実現するために必要な「次の打ち手」についても、新中期経営計画の次を見据え継続して改善・強化に取り組んでまいります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③資本の財源および資金の流動性についての分析
1) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2) 資金需要
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費および人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化および新製品開発を目的とした研究開発費が主な内容であります。投資活動については、製造用冶具設備および研究開発用設備への設備投資等が主な内容であります。
今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資等を継続していく予定です。
3) 財務政策
当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については有利子負債の調達を実施しております。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断し公募増資も視野にいれつつ実施していくこととしております。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクおよび為替変動リスクに晒されないよう、適切なヘッジ手段を検討・実施しております。
④経営上の目標の達成・進捗状況
当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を確保するため、適正な利益を継続的に確保することを重点に置いております。このため、経営指標として、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本当期純利益率(ROE)、自己資本比率を重視しております。
当連結会計年度における売上高営業利益率は14.8%(対前期比4.6ポイント増)、売上高経常利益率は14.4%(対前期比2.6ポイント増)、自己資本当期純利益率(ROE)は19.0%(対前期比1.1ポイント増)、自己資本比率は51.1%(対前期比5.8ポイント増)となりました。
今後も引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。