【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績に関する説明当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルスとの共存が続いているものの、緊急事態宣言の解除後の経済活動は徐々に正常化に向かいつつあります。しかしその回復速度は業種・業態によって濃淡が出ているほか、感染拡大の第2波への懸念などから、先行きが不透明な状況が続いています。このような状況の中、アニコムグループの中核子会社であるアニコム損害保険株式会社(以下「アニコム損保」といいます。)の重点施策と位置付けている「ペット保険の更なる収益力向上」に向け、商品開発の強化や販売チャネルの営業活動の強化などに注力したことに加え、堅調なペット飼育需要により、業績については堅調に推移しており、新型コロナウイルス感染症が当社の業績に対し、大きく影響を与えるような状況は生じていません。また、当社グループは前連結会計年度より基礎固めから第二期創業期としてのフェーズへ移行する期がスタートしており、あらゆるデータから、病気・ケガを分析し、「健康度」を見る予防型保険会社グループへ成長するため、新規事業の重点施策に対する取組みを加速させております。遺伝子検査事業については、避けられる遺伝病を繁殖前後の遺伝子検査によって回避し、その後は遺伝子解析といった科学・技術・データに医療のサポートを加えたブリーディング支援に繋げていきます。加えて、腸内フローラ測定によるどうぶつの健康チェックの普及、共生細菌をキーにしたフード開発、生活習慣コンサル等の事業化を進めております。更に、どうぶつ医療における高度先進医療(細胞治療、再生医療)を実用化し、拡大を図るとともに、カルテ管理システム事業の拡大(予約システム等の機能の充実)等とあわせ、データのさらなる活用による予防法の開発、ペット関連事業の海外展開を目指しております。以上の結果、当社グループにおける当第2四半期連結累計期間の業績は次のとおりとなりました。保険引受収益21,190百万円(前年同四半期比11.3%増)、資産運用収益284百万円(同47.4%増)、新規事業等を含むその他経常収益2,120百万円(同162.0%増)を合計した経常収益は23,595百万円(同17.7%増)となりました。一方、保険引受費用15,125百万円(同10.9%増)、営業費及び一般管理費6,433百万円(同15.8%増)などを合計した経常費用は22,265百万円(同13.9%増)となりました。この結果、経常利益は1,330百万円(同167.2%増)となりました。また親会社株主に帰属する中間純利益は、特別損失に計上したソフトウェアの減損損失278百万円などの影響により、718百万円(108.7%増)となりました。
当社グループの事業セグメントは、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、“損害保険事業(ペット保険)”、“ペット向けインターネットサービス事業”及び“その他の事業”です。
セグメントの名称
前第2四半期連結累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年9月30日)
対前年同四半期比
金額(百万円)
金額(百万円)
(%)
損害保険事業(ペット保険)
19,244
21,479
11.6
損害保険(アニコム損害保険㈱)
19,244
21,479
11.6
(うち正味収入保険料)
19,043
21,190
11.3
ペット向けインターネットサービス事業
-
772
-
その他の事業
801
1,343
67.6
動物病院支援
109
121
11.1
保険代理店
7
7
-0.5
動物医療分野における研究・臨床
340
735
116.0
その他
343
478
39.3
合計
20,045
23,595
17.7
<損害保険事業> 損害保険事業の経常収益は、前年同期比2,235百万円増(同11.6%増)の21,479百万円となりました。 アニコム損保では、重点施策と位置付けているペット保険の販売チャネルの営業活動を強化したこと、当社グループ独自のサービスである「どうぶつ健活」を付帯した保険商品の提供等によるお客様への訴求力が高まったこと、コロナ禍においても堅調なペット飼育需要があったことなどにより、新規契約件数は107,295件(前年同期比33.2%増)、保有契約件数は870,987件(前期末から54,733件の増加・同6.7%増)と順調に増加しています。 E/I損害率注1)については、新型コロナウイルスの影響による在宅時間の増加等を要因として通院数が増加したことなどから59.3%と前年同期比で0.2pt上昇いたしました。また、規模拡大に向けた積極投資は継続しながらも経費管理を実施した結果、37.2%と前年同期比で0.6pt低下いたしました。この結果、両者を合算したコンバインド・レシオ(既経過保険料ベース)は前年同期比で0.4pt低下し96.5%となりました。 注1) E/I損害率:発生ベースでの損害率。
(正味支払保険金+支払備金増減額+損害調査費)÷既経過保険料にて算出。
注2) 既経過保険料ベース事業費率:発生ベースの保険料(既経過保険料)に対する発生ベースの事業費率。
損保事業費÷既経過保険料にて算出。
なお、保険引受の状況及びソルベンシー・マージン比率は、以下のとおりです。
(ⅰ) 保険引受の状況アニコム損害保険株式会社における保険引受の実績は以下のとおりであります。
(ィ)元受正味保険料(含む収入積立保険料)
区分
前第2四半期連結累計期間(自 2019年4月1日至 2019年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自 2020年4月1日至 2020年9月30日)
金額(百万円)
構成比(%)
対前年同四半期増減(△)率(%)
金額(百万円)
構成比(%)
対前年同四半期増減(△)率(%)
ペット保険
19,043
100.0
14.1
21,190
100.0
11.3
合計
19,043
100.0
14.1
21,190
100.0
11.3
(うち収入積立保険料)
(-)
(―)
(―)
(-)
( )
( )
(注) 元受正味保険料(含む収入積立保険料)とは、元受保険料から元受解約返戻金及び元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含む)
(ロ)正味収入保険料
区分
前第2四半期連結累計期間(自 2019年4月1日至 2019年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自 2020年4月1日至 2020年9月30日)
金額(百万円)
構成比(%)
対前年同四半期増減(△)率(%)
金額(百万円)
構成比(%)
対前年同四半期増減(△)率(%)
ペット保険
19,043
100.0
14.1
21,190
100.0
11.3
合計
19,043
100.0
14.1
21,190
100.0
11.3
(ハ)正味支払保険金
区分
前第2四半期連結累計期間(自 2019年4月1日至 2019年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自 2020年4月1日至 2020年9月30日)
金額(百万円)
構成比(%)
対前年同四半期増減(△)率(%)
金額(百万円)
構成比(%)
対前年同四半期増減(△)率(%)
ペット保険
9,852
100.0
8.7
11,346
100.0
15.2
合計
9,852
100.0
8.7
11,346
100.0
15.2
(ⅱ) 単体ソルベンシー・マージン比率アニコム損害保険株式会社の「ソルベンシー・マージン比率」については、以下のとおりであります。
前事業年度末(2020年3月31日)(百万円)
当第2四半期会計期間末(2020年9月30日)(百万円)
(A) ソルベンシー・マージン総額
21,515
22,742
資本金又は基金等
17,572
17,971
価格変動準備金
68
74
危険準備金
-
-
異常危険準備金
1,458
1,473
一般貸倒引当金
364
423
その他有価証券の評価差額(税効果控除前)
△736
△153
土地の含み損益
19
29
払戻積立金超過額
-
-
負債性資本調達手段等
-
-
払戻積立金超過額及び負債性資本調達手段等のうち、マージンに算入されない額
-
-
控除項目
-
-
その他
2,768
2,923
(B) リスクの合計額
10,502
11,083
√{(R1+R2)²+(R3+R4)²}+R5+R6
一般保険リスク(R1)
10,179
10,778
第三分野保険の保険リスク(R2)
-
-
予定利率リスク(R3)
-
-
資産運用リスク(R4)
1,373
1,194
経営管理リスク(R5)
231
239
巨大災害リスク(R6)
-
-
(C) 単体ソルベンシー・マージン比率(%)
409.7%
410.3%
[(A)/{(B)×1/2}]×100
(注) 上記の金額及び数値は、保険業法施行規則第86条及び第87条並びに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。
<ソルベンシー・マージン比率>・損害保険会社は、保険事故発生の際の保険金支払や積立型保険の満期返戻金支払等に備えて準備金を積み立てておりますが、巨大災害の発生や、損害保険会社が保有する資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。・この「通常の予測を超える危険」を示す「リスクの合計額」(上表の(B))に対する「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(すなわちソルベンシー・マージン総額:上表の(A))の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたのが、「単体ソルベンシー・マージン比率」(上表の(C))であります。・「通常の予測を超える危険」とは、次に示す各種の危険の総額をいいます。
① 保険引受上の危険(一般保険リスク)
:
保険事故の発生率等が通常の予測を超えることにより発生し得る危険(巨大災害に係る危険を除く)
(第三分野保険の保険リスク)
② 予定利率上の危険(予定利率リスク)
:
積立型保険について、実際の運用利回りが保険料算出時に予定した利回りを下回ることにより発生し得る危険
③ 資産運用上の危険(資産運用リスク)
:
保有する有価証券等の資産の価格が通常の予測を超えて変動することにより発生し得る危険等
④ 経営管理上の危険(経営管理リスク)
:
業務の運営上通常の予測を超えて発生し得る危険で上記①~③及び⑤以外のもの
⑤ 巨大災害に係る危険(巨大災害リスク)
:
通常の予測を超える巨大災害(関東大震災や伊勢湾台風相当)により発生し得る危険
・「損害保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(ソルベンシー・マージン総額)とは、損害保険会社の純資産(社外流出予定額等を除く)、諸準備金(価格変動準備金・異常危険準備金等)、土地の含み益の一部等の総額であります。・ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつでありますが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされております。
<ペット向けインターネットサービス事業> ペット向けインターネットサービス事業の経常収益は、772百万円となりました。 株式会社シムネットにおいて、犬や猫を販売するブリーダーと飼い主とのマッチングサイトや、保護された犬や猫
の譲渡の機会を提供する里親マッチングサイトを運営しています。
<その他の事業>
その他の事業の経常収益は、前年同期比541百万円増(同67.6%増)の1,343百万円となりました。
・動物病院支援事業
アニコムパフェ株式会社において、動物病院経営に必要となる顧客管理、レセプト精算、診療明細書の発行等の
機能を有しているカルテ管理システム「アニコムレセプター」の開発、販売、保守等を行っており、当第2四半期
連結累計期間における経常収益は121百万円(前年同期比11.1%増)となりました。・保険代理店事業
アニコムフロンティア株式会社において、ペット関連の取引先企業等に対して損害保険及び生命保険の募集・販
売を行っており、当第2四半期連結累計期間における経常収益は7百万円(前年同期比0.5%減)となりました。
・動物医療分野における研究・臨床事業
アニコム先進医療研究所株式会社において、どうぶつ医療分野における基礎研究の推進、科学的根拠に基づく診
療方法の確立及び、予防・先進医療の開発に向けた研究・臨床・開発等を行うとともに、地域獣医療のサポートと
しての病院承継を行った結果、当第2四半期連結累計期間における経常収益は735百万円(前年同期比116.0%増)と
なりました。アニコム先進医療研究所株式会社では、自ら動物病院を運営し、予防から1次・2次診療を展開して
いるところ、その過程で得られた医療データ等を活用し、次世代の予防法の確立を目指しています。
・その他事業
当社グループ会社では、上記のほかに、オンラインショップ「パフェオンライン」、子犬子猫の検索サイト「ハ
ローべいびぃ」の運営、ペットの健康に関する24時間365日の電話相談サービス、ペットを失った悲しみ(ペットロ
ス)を支えるWEBサイト「アニコムメモリアル」の運営、ペットショップ及びブリーダー向け遺伝子検査の販売、動
物関係者に特化した人材紹介サイト「アニジョブ」の運営等の新たな収益源確保を図ってきました。その結果、こ
れらの事業の経常収益は478百万円(前年同期比39.3%増)となっています。
なお、アニコムキャピタル株式会社において、当社グループにシナジーのある企業及び研究等に対して投資及び
育成を行っていますが、投資先の上場等により資金回収を行う事業モデルであることから、当事業による経常収益
は計上されていません。
(2) 財政状態に関する説明① 資産、負債及び純資産の状況当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ7,622百万円増加して53,221百万円となりました。その主な要因は、現金及び預貯金の増加6,551百万円であります。負債の部は、前連結会計年度末に比べ6,334百万円増加して28,607百万円となりました。その主な要因は、社債発行による増加5,000百万円であります。なお、金融機関等からの借入金はありません。純資産の部は、前連結会計年度末に比べ1,288百万円増加して24,613百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する中間純利益718百万円の計上によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、保有契約の順調な増加により、責任準備金が850百万円増加したこと等により2,000百万円の収入となり、前第2四半期連結累計期間に比べると22百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、610百万円の支出となりました。主に固定資産の取得による支出であり、前第2四半期連結累計期間に比べると5,661百万円の支出の減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前第2四半期連結累計期間では96百万円の支出、当第2四半期連結累計期間では5,000百万円の社債発行により5,160百万円の収入となりました。これらの結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より6,551百万円増加し、28,128百万円となりました。
(3) 重要な会計方針及び見積り前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。