【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)におけるわが国経済は、緩やかに持ち直しの動きが続いているものの一部に弱さがみられ、また海外景気の下振れによるリスクや物価上昇、供給面での制約等による影響が懸念される等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社が属する出版業界におきましては、紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は、4年ぶりのマイナス成長となりました。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2022年(1月から12月まで)の紙と電子出版を合算した推定販売金額は前年比2.6%減の1兆6,305億円となり、その内訳は、紙の出版物については同6.5%減の1兆1,292億円、電子出版については同7.5%増の5,013億円と、紙の市場が前年を下回った一方で、電子出版市場の拡大が続いております。
こうした環境の中、インターネット発の出版の先駆者である当社は、「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」、「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネット時代の新しいエンターテインメントを創造することを目的とし、インターネット上で話題となっている小説・漫画等のコンテンツを書籍化する事業に取り組んでまいりました。
当事業年度における書籍のジャンル別の概況は以下の通りであります。
(ライトノベル)
当事業年度の刊行点数は前期を大きく上回る273点(前期比60点増)となりました。各書籍の売れ行きにつきましては、TVアニメ化が決定した『とあるおっさんのVRMMO活動記』等の人気シリーズの続刊が引き続き堅調に推移いたしました。また、女性向けファンタジーレーベル「レジーナブックス」の新作『継母の心得』が増刷となる好調な売れ行きを示し、さらに女性向け小説と親和性の高い電子書籍販売においても販売数を伸ばして同レーベルの売上を牽引いたしました。
結果、当事業年度の売上高は想定通りの着地となりましたが、前期における『月が導く異世界道中』のTVアニメ放送に伴う原作小説売上の大幅伸長の反動減から、前期を僅かに下回る金額で着地いたしました。
(漫画)
当事業年度の刊行点数は前期を上回る161点(前期比23点増)となりました。各書籍の売れ行きにつきましては、シリーズ累計113万部を突破した『素材採取家の異世界旅行記』や同95万部を突破した『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』等の大型人気シリーズの続刊が引き続き好調に推移いたしました。また、漫画と親和性が非常に高い電子書籍販売につきましては、販売体制の強化や拡販施策を推進したこと等により、当ジャンルの電子書籍売上高は前期から大幅に増加いたしました。
結果、当事業年度の売上高は『月が導く異世界道中』のTVアニメ放送に伴う特需により大きく伸長した前期をさらに上回る金額で着地いたしました。
(文庫)
当事業年度の刊行点数は前期を上回る159点(前期比17点増)となりました。キャラ文芸ジャンルからは『後宮の棘』『あやかし狐の身代わり花嫁』の第2巻等、複数書籍を刊行し、同ジャンルの強化を推進してまいりました。さらに、青春小説として、第12回ドリーム小説大賞の受賞作である『さよなら私のドッペルゲンガー』を刊行する等、取り扱いジャンルの拡大にも引き続き注力してまいりました。
結果、当事業年度の売上高は前期を上回る金額で着地いたしました。
(その他)
当事業年度の刊行点数は7点(前期比2点減)となりました。強化中の絵本ジャンルから、第12回絵本・児童書大賞にて優秀賞を受賞した作家の新作絵本『あしあし ぱぁっ』を刊行し、同ジャンルの拡大に注力してまいりました。また、当社Webサイトの人気ビジネス連載を書籍化した『話しやすい人になれば人生が変わる』を刊行する等、特定ジャンルに依存しない幅広いジャンルにおける書籍刊行を推進いたしました。
結果、当事業年度の売上高は前期を上回る金額で着地いたしました。
以上の活動の結果、当事業年度の売上高は、『月が導く異世界道中』のTVアニメ放送により大幅に伸長した前事業年度の売上高を上回る9,288,579千円(前期比2.2%増)となりました。
利益面におきましては、主に前期7月から9月に実施したテレビCM放映を中心とした当社サービスの認知度向上に向けた大型成長投資により一時的に増加した販売費及び一般管理費が減少したこと等から、当事業年度の営業利益は2,417,261千円(前期比10.2%増)、経常利益は2,426,044千円(同10.2%増)、当期純利益は1,506,274千円(同8.4%増)と前期を上回る金額で着地いたしました。
結果、売上高は6期連続で、利益は5期連続でそれぞれ過去最高を更新いたしました。
また、当事業年度末における資産合計は12,436,001千円(前事業年度末比18.4%増)、負債合計は2,150,279千円(同24.9%増)、純資産合計は10,285,722千円(同17.2%増)となりました。
(注)シリーズ累計部数:同作品の続編に加え、同作品の漫画及び文庫を含み、部数は電子書籍販売数を含む。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末より1,669,145千円増加し、8,771,740千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,618,854千円の収入(前事業年度は1,073,594千円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益の計上によるものであります。また、主な減少要因は、法人税等の支払によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは25,848千円の収入(前事業年度は37,863千円の支出)となりました。これは主に、出資金の払込による支出8,000千円並びに有形固定資産の取得による支出4,849千円が発生した一方で、敷金及び保証金の回収による収入38,697千円が発生したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは24,442千円の収入(前事業年度は21,605千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出24,253千円が発生した一方で、長期借入れによる収入50,000千円が発生したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社は出版事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
a.生産実績
事業区分
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
出版事業(千円)
3,452,892
109.9
合計(千円)
3,452,892
109.9
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載はしておりません。
c.販売実績
事業区分
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
出版事業(千円)
9,288,579
102.2
合計(千円)
9,288,579
102.2
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社メディアドゥ
5,277,053
58.1
5,015,298
54.0
株式会社星雲社
2,051,837
22.6
2,002,111
21.6
株式会社カカオピッコマ
934,658
10.3
1,219,446
13.1
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べ1,957,721千円増加し、12,098,101千円となりました。これは主に、現金及び預金が増加(前事業年度末比1,669,145千円増)したこと並びに売掛金が増加(同162,880千円増)したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ23,314千円減少し、337,900千円となりました。これは主に、無形固定資産が減少(同12,727千円減)したこと及び投資その他の資産が減少(同6,306千円減)したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ408,662千円増加し、2,109,950千円となりました。これは主に、未払法人税等が増加(前事業年度末比221,955千円増)したこと、未払金が増加(同88,799千円増)したこと及び返金負債が増加(同30,268千円増)したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ19,470千円増加し、40,328千円となりました。これは主に、長期借入金の増加(同20,795千円増)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ1,506,274千円増加し、10,285,722千円となりました。これは全て、利益剰余金の増加によるものであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は9,288,579千円となり、前事業年度に比べ198,383千円の増加となりました。これは主に、電子書籍の販売体制強化等により電子書籍売上が大幅に伸長したことによるものであります。
(営業利益)
当事業年度の営業利益は2,417,261千円となり、前事業年度に比べ222,826千円の増加となりました。これは主に、売上高が増加したこと並びに前事業年度に実施したテレビCM放映を中心とした大型成長投資により一時的に増加した販売費及び一般管理費が減少したことによるものであります。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は1,506,274千円となり、前事業年度に比べ116,553千円の増加となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性について
当社の運転資金需要のうち主なものは、出版事業に係わる製造費(印刷費、印税など含む。)、販売費及び一般管理費等の営業費であります。投資を目的とした資金需要は、当社ビジネスモデルの基幹となる投稿サイトに対する開発費となります。
当社は、運転資金及び投資を目的とした資金につきましては、内部資金または借り入れにより資金調達することとしております。
なお、当事業年度末における借入金の残高は、62,999千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、8,771,740千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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