【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績に関する説明 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。 当第1四半期連結累計期間(以下、当期)における我が国経済は、雇用・所得環境が改善する中で、個人消費や設備投資を中心に持ち直しの動きが継続しました。世界経済は、ウクライナ問題の長期化、各国のインフレの高止まり及び利上げによる景気減速が懸念されています。 不動産市場においては、東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷)の6月の平均賃料は19,838円(坪単価)とピーク時(2020年7月)から35カ月連続の下落(計3,176円/13.8%)、同月の平均空室率は6.48%とほぼ横ばいで推移しており(民間調査機関調べ)、オフィス市況全般において軟調な状態は依然として続いております。一方、不動産投資市場は、機関投資家等による投資意欲は総じて強いものの、世界的な金融引き締め策の継続によって、先行きは予断を許さない状況が続いています。 当期において、当社グループの中核事業である不動産再生事業では、前年同期に物件販売が集中したことによる反動減により、前年同期比で減収減益となりましたが、これは期初計画通りの進捗です。不動産サービス事業においては総じて好調な業績を示しました。ホテル開発事業では、1軒のホテル売却が完了したため、前年同期に比べ大幅な増収増益となりました。また、ホテル運営事業では、「全国旅行支援」や訪日外国人観光客の回復による旅行需要増加を背景に、前年同期に比べ売上高が伸長し、利益は黒字となりました。
以上の結果、当期の業績は、売上高18,452百万円(前年同期比19.4%減)、営業利益4,206百万円(同36.9%減)、経常利益4,184百万円(同37.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益3,134百万円(同33.2%減)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりです。 (不動産再生事業)不動産再生事業では、①リプランニング事業、②賃貸ビル事業を行っています。 ①リプランニング事業では、ビルの仕入れから、再生・活用企画、建設工事、テナント誘致、管理、販売、そして、その後のビル経営に至るまで、一貫した不動産サービスをワンストップで提供しています。当期の販売は前年同期に比べ減少しましたが、投資家様の旺盛な購買意欲は継続しており、第2四半期に入り、販売は順調に推移しています。一方、仕入についてはマクロ経済の変動による不動産市況や金融政策の影響等を見極めつつ、積極的に物件購入を進めています。当期末において、契約済みで未決済の物件を含む仕入はコロナ禍前の水準を2割上回るペースで進捗しました。商品化においては、街やオフィス、働き方の変化を先取りしながら、ハイブリッドな働き方に対応し、新常態の中でも選ばれるオフィスづくりを目指しています。当期も予め内装工事が施され、テナント様の入居時及び退去時にかかる手間、時間及び費用の大幅削減が可能なセットアップオフィスを中心に商品化を進めました。賃貸仲介部門との連携により、テナント様の誘致を進め、高稼働・高付加価値の不動産商品に仕上げることで、国内外の幅広いお客様の期待に応える商品を販売しました。例えば、カプセルホテルの宿泊設備と浴室が残っていた物件や採光が難しかった物件をセットアップオフィスにバリューアップし、高稼働・高収益ビルとして販売しました。しかし、通年の販売件数の5割近くが集中した前年同期と比べ、当期の販売件数が半減したため、売上高と利益は減少しました。今年度は第2四半期以降に販売の進捗が本格化し、通年での売上高は前年度比で10%増を見込んでいます。足元で販売は順調に推移しており、通期の販売計画に変更はありません。2023年6月より、東京都練馬区にある新築認可保育園を小口所有商品として販売開始しており、本件は地域・社会の生活に貢献する意義があります。 ②賃貸ビル事業においては、ストック事業として安定した収益基盤を構築することを目的に、リプランニング事業における賃貸ビル物件数を拡大しつつ、不動産サービス部門で蓄積したオペレーション力を活かしながら、中長期的に賃料収入の増加を図っております。当期の業績は、前年同期と比べて、仕入が順調に推移したこともあって棚卸資産の増大に伴う賃料収入の増加により、売上高と利益は増加しました。
以上の結果、不動産再生事業全体の売上高は7,693百万円(前年同期比58.6%減)となり、セグメント利益は2,047百万円(同71.1%減)となりました。
当社グループは、「東京を世界一スタートアップフレンドリーな都市へ」という想いのもと、スタートアップを支援する取り組みを推進しています。その取り組みの一つとして、複数のベンチャーキャピタルやスタートアップ支援企業と連携し「START-UP FRONTIER TOKYO」プロジェクトを始動しました。このプロジェクトのキックオフイベントとして、『実現したい日本の10年後の未来』をテーマとした、ピッチコンテスト「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2023」を本年9月に開催する予定です。このコンテストの上位入賞企業には、当社グループが管理するオフィススペースを一定期間無償貸与し、将来の経済成長を担うスタートアップ企業の成長を加速させていきます。
(不動産サービス事業)不動産サービス事業では、①プロパティマネジメント事業、②ビルメンテナンス事業、③売買仲介事業、④賃貸仲介事業、⑤貸会議室事業、⑥滞納賃料保証事業等を行っています。各事業部門は、都心のオフィスビル分野において、それぞれの専門性を持ち寄り、協働しながら事業を展開しています。また現場における創意工夫を通して養った専門性を連鎖的に掛け合わせることで付加価値を生み出し、リプランニング事業における高い収益性を創出する基盤にもなっています。 ①プロパティマネジメント事業においては、きめ細やかなビル管理によってテナント様の満足度を高めるとともに、賃貸仲介部門との協働によるテナント様誘致、適正賃料への条件改定等に取り組むことで、高稼働・高収益なビル経営を実現し、オーナー様もサポートしています。当期の業績は、軟調な市況の中、前年同期比、受託棟数を24棟増加させ、売上高、利益ともに増加しました。
2021年6月末
2022年6月末
2023年6月末
受託棟数
403棟
440棟
464棟
稼働率
93.5%
91.8%
90.8%
②ビルメンテナンス事業では、「東京を世界一美しい街に」を合言葉に、建物を維持・管理するための点検、美観や快適な空間を保つ清掃、リニューアル工事など、ビルのトータルメンテナンスを行なっています。ブランコによる窓・外壁等の高所清掃、防水工事、外壁改修工事を強みに、プロパティマネジメント部門との協働を推進しています。当期の業績は、コロナ消毒の減少や不採算現場の解約等により前年同期に比べ売上高は減少し、人件費を吸収できず、利益も減少しましたが、管理総棟数は9%近く伸長しました。③売買仲介事業においては、不動産コンサルティングの一環としてプロパティマネジメント事業や賃貸仲介事業をはじめとする他部門のお客様からの相談案件に迅速に対応しています。オフィス部門が一体となってビルオーナー様のビル経営に寄り添って顧客層を拡大し、積み重ねてきた信任をベースに売買仲介の成約につなげています。当期の業績は、前年同期の大型案件の剥落による反動減により、売上高、利益ともに減少しました。④賃貸仲介事業では、都心を中心に10拠点のサービス網を展開し、地域のビルオーナー様に寄り添う身近な相談窓口として機能しています。また、リーシング現場でいち早く得たテナント様のニーズや変化を、オフィス空間の最適活用の研究や提案に活かすことで、リプランニング事業の商品企画において、お客様視点の新たな価値観の創出につなげています。当期の業績は、成約件数の増加により、前年同期比、売上高、利益ともに増加しました。 ⑤貸会議室事業では、時代の変化を捉えたサービスを提供するとともに、データに基づいた集客が奏功し、地域密着でお客様のご要望にフレキシブルかつ機動的な提案営業を通して、継続利用や新規顧客層の需要を掴んできました。当期は、企業研修、セミナー、検定試験、全国規模の学会及びイベント等の需要が更に増加し、2022年9月以降に新設した拠点や増床した拠点を含む各貸会議室で受注増となったため、前年同期比、売上高、利益ともに増加しました。 ⑥滞納賃料保証事業では、テナント様の滞納賃料の保証のみならず明け渡しまでをサポートし、ビル経営における負担感を和らげるなど、ビルオーナー様に寄り添ったサービスを提供しています。2023年2月からサービスを開始した新ブランドである「TRI-WINS(トライウインズ)」は、ビル経営者様・テナント様双方が抱えるリスクや課題を解決し、経済成長や社会の安定に貢献していく、「三方良し」=Win-Win-Winのサービスであり、一般的な保証サービスと比較して調査・審査、滞納賃料保証、滞納対応、退去対応等、サービスの範囲を拡大しています。当期の業績はグループ内取引があった前年同期からの反動減により減収減益となりましたが、空室の増加やテナント様の信用懸念等によりビルオーナー様からのニーズは増加しており、新規保証契約及び再保証契約件数とも増加しました。
以上の結果、不動産サービス事業全体の売上高は2,665百万円(前年同期比11.6%増)となり、セグメント利益は1,551百万円(同0.6%減)となりました。
(ホテル・観光事業)ホテル・観光事業は、①ホテル開発事業、②ホテル運営事業等を行っています。 ①ホテル開発事業は、既存ホテルの再生、新規ホテルの開発等を行い、国内外の富裕層や投資家の皆様に中長期的収益を目指す投資商品として販売する事業です。当期は、2023年4月に1軒のホテルを売却したため、前年同期比、売上高、利益ともに増加しました。これにより、2022年10月に売却した2軒のホテルを含め、2022年8月に売却契約したホテルの引き渡しは、すべて完了しました。これら3軒のホテル売却によって回収した資金につきましては、今後、「たびのホテル」ブランドと分譲型ホテルコンドミニアムを中心に、M&Aを含むホテル開発に再投資して事業を拡大していきます。2023年7月に、当社グループは、山形県酒田市との間で「地域振興に向けた連携協定」を締結しました。この協定では両者が共同で地域の振興と活性化を更に推進することを目標としており、当社グループでは、酒田市の中心市街地に「心温かい楽しいホテル」をテーマに、そして「お客様にとって『世界でたった一つのホテル』に」をコンセプトとしたホテルの建設を予定しています。酒田市でのホテル建設計画と同様に、現在、北海道石狩市及び山梨県の富士河口湖町においてホテルの開発計画を進めています。当社グループが開発・運営するホテルを通じて、交流人口を増やし地域に活気を取り戻すとともに、地元での雇用創出を通じて、地域の幸せづくりを目指しています。 ②ホテル運営事業では、全国で合計21ホテル 2,373室を運営しております(2023年8月9日現在)。当期は、「全国旅行支援」の延長や訪日外国人観光客の増加を背景に、国内観光需要の拡大が続き、当社グループの高付加価値戦略に基づき、運営するすべてのホテルで稼働率と客室単価が上昇しました。その結果、前年同期に比べ、当期の売上高は増加し、黒字となりました。また、新たな取り組みとして2023年6月23日に、新潟県佐渡市において、サービスアパートメント「たびのホテルLive(リヴ)佐渡」の運営を開始しました。当サービスアパートメントは、「たびのホテル佐渡」のリピーター様の声から誕生したもので、長期滞在のお客様にも快適にお過ごしいただける、生活必需品を完備しています。また、徒歩2分に位置する「たびのホテル佐渡」の大浴場もご利用いただけ、当社グループの「心温かい楽しいホテル」を体感いただけるサービスアパートメントです。尚、足元の国内観光需要につきましては、6月末にほとんどの都道府県で「全国旅行支援」が終了したことにより落ち込みが懸念されましたが、訪日外国人旅行客の更なる増加もあり、引き続き強い状態です。その恩恵により、当社グループが運営するホテルでは、高い稼働率と客室単価が継続しています。
以上の結果、ホテル・観光事業全体の売上高は8,029百万円(前年同期比318.7%増)となり、セグメント利益は2,638百万円(前年同期は252百万円の損失)となりました。
(その他)その他では、①海外開発事業、②建設事業等を行っております。 ①海外開発事業においては、成長が期待できる東南アジアへ進出し、日本の高度な施工技術によるマンション・住宅等を中心とした不動産開発を行い、アジアの方々に日本品質を体感いただくことに拘って事業を展開しています。当期は、ベトナムでのマンション管理事業をストック・ビジネスとして推進するとともに、新規のマンション開発に取り組んでいます。売上高及び利益はほぼ横ばいとなりました。なお、インドネシアでの事業につきましては清算手続きを行っています。 ②建設事業においては、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事および電気通信工事等を行っております。当期の業績は、グループ子会社において大型工事の完成が続いたこと、及びオフィスの電気通信工事の売上増等から、前年同期に比べ、売上高は増加しましたが、利益率の低い工事が増加したため利益は減少しました。
以上の結果、その他全体の売上高は368百万円(前年同期比20.4%増)となり、セグメント利益は33百万円(同8.1%減)となりました。
当社グループは、「社是(Credo)である利他の心を大切に、事業活動を通して持続可能な社会の実現に貢献する」ことをビジョンに掲げ、サステナビリティ経営を推進しています。当期においては、2023年6月に、重要課題(マテリアリティ)にもとづく具体的施策とKPIの進捗をサステナビリティサイトに掲載しました。2023年3月期においては、13項目中12項目(内4項目は2024年3月期施策)を達成しました。また、KPIを定めていない施策のひとつとして、各ホテルにおける自治体のSDGsパートナー認定取得を目指す等、地域と連携した活動を強化しています。併せて、2023年6月には、TCFD提言に基づく情報開示を実施するとともに、温室効果ガス排出量の連結報告(Scope1,2)を開始し、更なる情報開示レベルの向上を目指しています。2023年7月には、株式会社あおぞら銀行より、当社グループの事業活動を通じた社会課題解決への取り組みをご評価いただき、同行としては初となる、あおぞらESGフレームワークローンに基づくポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約を締結しました。今後も「環境保護」「地域創生」「人財育成」の3つの重要課題の解決を目指し、事業活動を通したサステナビリティ活動を推進していきます。*TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
該当事項はありません。
(4)生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。
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