【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績の分析当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化に起因するインフレなどにより景気の先行きに不安感があるなか、新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことや全国旅行支援の延長などにより人流やインバウンド需要の回復が進み経済環境に改善傾向が見られました。世界経済(連結対象期間1-6月)につきましては、米国で雇用環境の改善や個人消費の増加が続き、欧州ではインバウンド需要の回復を含む人流の増加によりサービス業が堅調に推移しましたが、欧米とも高インフレや政策金利の引き上げが続く難しい状況でした。足元では、欧米で地政学リスクの高まりによる原油価格の上昇など、インフレ再燃による景気減速が懸念され、国内では社会経済活動の回復やインバウンド需要に期待がある一方、急速な円安による経済への悪影響が懸念されるなど益々不透明な状況となっています。当社および当社グループにつきましては、一昨年よりコストアップで苦戦していた食品事業が国内外とも値上げ効果が継続し大幅な増益となりました。一方で、水産事業は国内養殖がぶりを中心に堅調に推移したものの、主力の鮭鱒・すりみなどの市況が下落し減益となりました。このような状況下で当第2四半期連結累計期間の営業成績は、売上高は4,071億34百万円(前年同期比299億27百万円増)、営業利益は162億75百万円(前年同期比29億42百万円増)、経常利益は170億18百万円(前年同期比23億1百万円増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は116億85百万円(前年同期比62百万円減)となりました。なお、前期には連結子会社の日水製薬株式会社(現・島津ダイアグノスティクス株式会社)の売却益が計上されています。
(単位:百万円)
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する四半期純利益
2024年3月期第2四半期
407,134
16,275
17,018
11,685
2023年3月期第2四半期
377,207
13,332
14,716
11,747
前年同期増減
29,927
2,942
2,301
△62
前年同期比
107.9%
122.1%
115.6%
99.5%
セグメント別の概況は次の通りであります。 (単位:百万円)
売上高
前年同期増減
前年同期比
営業利益
前年同期増減
前年同期比
水産事業
163,253
5,799
103.7%
5,513
△2,712
67.0%
食品事業
219,113
31,732
116.9%
14,152
7,207
203.8%
ファイン事業
7,930
△9,188
46.3%
△33
△1,835
-
物流事業
7,797
△234
97.1%
895
17
102.0%
その他(注)
9,038
1,818
125.2%
369
△36
91.0%
全社経費
-
-
-
△4,622
302
93.9%
合計
407,134
29,927
107.9%
16,275
2,942
122.1%
(注)「その他」:エンジニアリング(工場・設備機器の企画・設計・施工等)事業、船舶運航事業等。
事業の概況は次の通りであります。①水産事業 水産事業につきましては、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでおります。<当第2四半期連結累計期間の概況> 水産事業では売上高は1,632億53百万円(前年同期比57億99百万円増)となり、営業利益は55億13百万円(前年同期比27億12百万円減)となりました。
漁撈事業:前年同期比で増収、増益<日本>・いわし、さばなどの漁獲が堅調に推移し増収・増益となりました。
養殖事業:前年同期比で増収、増益<日本>・秋口から競合の養殖ぶりの供給増が見込まれることから、春・夏でも高品質なぶりを供給できる完全養殖の強みを活かし前倒し販売を行いました。また、銀鮭で養殖オペレーションの改善により斃死・成長遅れもなく水揚げ数量が増加したことに加え、養殖まぐろの販売価格が堅調に推移したことにより増収・増益となりました。<南米>・生育環境改良による生残率の改善やトラウトの販売数量の増加、平均販売価格が上昇していたこともあり増収となりましたが、第2四半期末に向けて鮭鱒市況が調整局面に入ったことで在池魚評価(注1)の影響が大きくなり減益となりました。
加工・商事事業:前年同期比で増収、減益<日本>・外食・産業給食向けの食材化商品で値上げ効果が出始めたうえ、ぶりを中心とした国内養殖魚、魚油・ミールなどの販売が好調に推移しましたが、主力の鮭鱒・すりみ・輸入冷凍まぐろの市況が調整局面に入り、買い控えも見られたこともあり減収・減益となりました。<北米>・すけそうだらの漁獲枠増加により生産数量が増加した反面、人件費などのコストアップに加え、すりみ・フィレ価格の下落により増収・減益となりました。<欧州>・水産市況が調整局面に入り荷動きも低下したことに加え、すけそうだらの在庫評価減があり減益となりました。
②食品事業 食品事業につきましては、加工事業およびチルド事業を営んでおります。<当第2四半期連結累計期間の概況> 食品事業では売上高は2,191億13百万円(前年同期比317億32百万円増)となり、営業利益は141億52百万円(前年同期比72億7百万円増)となりました。
加工事業:前年同期比で増収、増益<日本>・家庭用・業務用とも値上げにより収益構造が改善し増収・増益となりました。業務用は人流回復の効果もあり外食・量販店惣菜向け冷凍食品の販売が堅調に推移しましたが、家庭用は値上げの影響で販売数量が減少し始めました。<北米>・高値疲れと思われる販売数量の減少が見られるものの、家庭用・業務用ともに値上げ効果により全体をカバーし増収・増益となりました。<欧州>・英国の改善に加え、スペイン・イタリアなどへ販売エリア拡大を進めました。フランス・ドイツでは販売数量の減少が見られましたが、値上げ効果もあり増収・増益となりました。
チルド事業:前年同期比で増収、増益・人流回復でコンビニエンスストア向けおにぎり・サラダの販売が増加するなどベンダー事業が好調に推移しました。また、2023年7月から同業のベンダー事業を営む株式会社グルメデリカが連結子会社として加わったことが寄与し増収・増益となりました。
③ファイン事業 ファイン事業につきましては、医薬原料、機能性原料(注2)および機能性食品(注3)などの生産・販売を行っております。 <当第2四半期連結累計期間の概況> ファイン事業では売上高は79億30百万円(前年同期比91億88百万円減)となり、営業損失は33百万円(前年同期比18億35百万円減)となりました。
・2022年9月に連結子会社の日水製薬株式会社(現・島津ダイアグノスティクス株式会社)の全株式を売却したことに加え、医薬原料の米国向け輸出の中断、巣ごもり需要の減速による通信販売の減少などがあり減収・減益となりました。
④物流事業 物流事業につきましては、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでおります。<当第2四半期連結累計期間の概況> 物流事業では売上高は77億97百万円(前年同期比2億34百万円減)となり、営業利益は8億95百万円(前年同期比17百万円増)となりました。
・冷蔵倉庫事業・通関事業において取扱い数量の減少があり減収となりましたが、電力料・人件費のコストアップに対して作業の効率化・保管料の値上げを進めたことにより収益性が改善し増益となりました。
(注1) 国際財務報告基準(IFRS)に基づき、海面養殖魚(在池魚)について出荷想定価格による評価を実施。(注2) サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。(注3) 主に通信販売している機能性表示食品「ごま豆乳仕立てのみんなのみかたDHA」、特定保健用食品「イマークS」などの健康食品。
(2)財政状態の分析
(単位:百万円)
2023年3月期
2024年3月期
第2四半期
増減
流動資産
304,349
335,964
31,614
(うち 棚卸資産)
175,884
195,423
19,539
固定資産
244,664
267,625
22,961
資産合計
549,013
603,589
54,576
流動負債
198,771
227,727
28,956
固定負債
129,606
129,174
△432
負債合計
328,377
356,901
28,523
純資産合計
220,635
246,688
26,052
(資産) 資産合計は前連結会計年度末に比べて545億76百万円増の6,035億89百万円(9.9%増)となりました。 流動資産は316億14百万円増の3,359億64百万円(10.4%増)となりました。売上増加などにより受取手形及び売掛金が175億85百万円増加したこと、棚卸資産が195億39百万円増加したことが主な要因です。 固定資産は229億61百万円増の2,676億25百万円(9.4%増)となりました。新規連結化などにより有形固定資産が171億49百万円増加しました。
(負債) 負債合計は前連結会計年度末に比べて285億23百万円増の3,569億1百万円(8.7%増)となりました。 流動負債は289億56百万円増の2,277億27百万円(14.6%増)となりました。運転資金需要増などにより短期借入金が99億50百万円増加したことが主な要因です。 固定負債は4億32百万円減の1,291億74百万円(0.3%減)となりました。返済により長期借入金が18億87百万円減少したことが主な要因です。
(純資産) 純資産合計は前連結会計年度末に比べて260億52百万円増加し、2,466億88百万円(11.8%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を116億85百万円計上したこと、剰余金の配当を31億15百万円行ったこと、円安の影響により為替換算調整勘定が116億19百万円増加したこと、新規連結化などにより非支配株主持分が40億34百万円増加したことなどによります。
(3)キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
2023年3月期第2四半期
2024年3月期第2四半期
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
△12,868
17,134
30,003
投資活動によるキャッシュ・フロー
△10,165
△19,024
△8,859
財務活動によるキャッシュ・フロー
21,899
492
△21,407
現金及び現金同等物期末残高
15,407
14,159
△1,248
営業活動によるキャッシュ・フローは、171億34百万円の収入(前年同期は128億68百万円の支出)となりました。税金等調整前四半期純利益および減価償却費の合計が278億67百万円となった一方で、売上債権をはじめ運転資本の増加による資金の減少が123億96百万円、法人税等の支払額が15億60百万円あったことなどによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、190億24百万円の支出(前年同期比88億59百万円の支出増)となりました。国内における生産設備への投資等に伴う有形固定資産の取得による支出が143億28百万円あったことが主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは、4億92百万円の収入(前年同期比214億7百万円の収入減)となりました。長期借入金の返済による支出が67億20百万円、配当金の支払額が31億10百万円あった一方で、短期借入金の増加が92億78百万円あったことなどによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(5)研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は21億24百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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