【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営者の視点による当社の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況及び分析当第1四半期累計期間の国内株式市場は、期首に28,200円台で取引を開始した日経平均株価が、日銀が金融緩和策の維持を決定したことや、東京証券取引所が進めるPBR1倍割れ企業への改善要求に対する期待から堅調に推移しました。5月に入ると悪材料がない日本株に国内外の投資家から買いが集中し、5月末には31,328円とバブル経済崩壊後の高値を更新しました。6月に入ってもこの流れは続き、連続して高値を更新しました。短期的な過熱感への懸念から一時的に値を下げる場面があったものの、6月中旬には33年ぶりの高値となる33,706円をつけました。その後は、FRBによる利上げ長期化の懸念や、ロシア情勢をめぐる不透明感が重荷となり、6月末の日経平均株価は33,100円台で取引を終えました。このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前第1四半期累計期間と比較して15%増加しました。当社の主たる顧客層である個人投資家については、堅調な株価推移を背景に取引が拡大し、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同32%増加となりました。なお、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は23%と、前第1四半期累計期間の20%から上昇しました。当社の株式等委託売買代金については同38%の増加となりました。当第1四半期累計期間における当社の取組みとしては、株式取引において、「松井証券 株アプリ」とPC向け取引ツール「ネットストック・ハイスピード」の同時利用を可能とし、取引環境の向上を図りました。FXについては、eスポーツイベントへの協賛をはじめとしたプロモーションや、24時間売買可能なリピート型自動売買機能の提供を開始しました。米国株については、取扱銘柄を2,500銘柄超まで拡充したほか、人気の米国株投資ブロガーによる無料セミナーを開催し、お客様とのコミュニケーション拡充を図りました。その他、投資情報メディア「マネーサテライト」などにおいて、若年層や投資初心者の方も投資の面白さを学べる動画や、個別銘柄の紹介、マーケット解説といった動画を配信するなど、顧客向けの情報発信の拡充に努めました。以上を背景に、当第1四半期累計期間においては、株式等委託売買代金の増加等により、受入手数料が4,850百万円(対前第1四半期累計期間比23.3%増)となりました。また、有価証券貸借取引収支が増加したことや、信用取引平均残高の増加やプレミアム空売り料の増加により信用取引収支が増加したこと等により、金融収支は同18.9%増の2,939百万円となりました。この結果、営業収益は9,472百万円(同30.6%増)と大幅な増加となりました。また、純営業収益は8,232百万円(同20.0%増)、営業利益は3,596百万円(同27.2%増)、経常利益は3,594百万円(同27.9%増)となり、四半期純利益は2,360百万円(同21.3%増)となりました。収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)受入手数料は4,850百万円(同23.3%増)となりました。そのうち、委託手数料は4,611百万円(同23.5%増)となりました。これは主として、株式等委託売買代金の増加によるものです。
(トレーディング損益)トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、443百万円の利益となりました。なお、FXに係るトレーディング益と金融収支の合計は497百万円(同8.9%増)となりました。
(金融収支)金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は2,939百万円(同18.9%増)となりました。これは主として、有価証券貸借取引収支が増加したことや、信用取引平均残高の増加やプレミアム空売り料の増加により信用取引収支が増加したことによるものです。
(販売費・一般管理費)販売費・一般管理費は、同15.0%増の4,636百万円となりました。これは主として、事務委託費の増加により事務費が同26.7%の増加となったことや、減価償却費が同22.1%の増加となったこと、広告宣伝費の増加等により取引関係費が同7.5%の増加となったこと、人件費が同11.9%の増加となったことによるものです。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の状況及び分析当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当第1四半期会計期間末の資産合計は、対前事業年度末比14.4%増の1,116,574百万円となりました。これは主として、預り金及び受入保証金等の増加に伴い預託金が同23.4%増の682,612百万円となったことによるものです。負債合計は、同15.9%増の1,042,960百万円となりました。これは主として、預り金が同31.3%増の428,209百万円となったことや、受入保証金が同18.2%増の296,378百万円となったことによるものです。純資産合計は、同3.6%減の73,614百万円となりました。当第1四半期累計期間においては、2023年3月期期末配当金5,144百万円を計上する一方、四半期純利益2,360百万円を計上しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の原資に対応するものです。経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当第1四半期会計期間末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(6) 経営方針・経営戦略等当第1四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(7) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はなく、新たに生じた課題もありません。
(8) 研究開発活動該当事項はありません。
#C8628JP #松井証券 #証券商品先物取引業セクター