【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営者の視点による当社の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況及び分析
当第3四半期累計期間の国内株式市場は、期首に27,600円台で取引を開始した日経平均株価が、4月は主に米国の積極的な金融引き締めによる景気後退への懸念から軟調に推移しましたが、5月に入ると中国でのロックダウン緩和や岸田政権による「新しい資本主義」が評価されたことなどを受けて堅調な動きとなりました。7月の参院選で自民党が圧勝して以降は、記録的な円安・ドル高水準に伴う輸出関連銘柄への買いや日銀の金融緩和維持が追い風になり、8月中旬には29,000円台まで上昇しました。その後は、インフレ抑制を重視する米国の金融引き締めの加速によって世界経済が後退するとの懸念から下落し、9月末に25,900円台をつけました。10月に入ると、外国為替市場で約32年ぶりの円安・ドル高水準を記録したことなどを背景に株価は上昇し、11月には28,000円台を回復しました。しかし12月になると、低調な米国の経済指標を受けて同国経済の先行きに対する警戒感が高まったほか、日銀が長期金利の許容上限を引き上げたことから下落し、12月末の日経平均株価は26,000円台で取引を終えました。このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前第3四半期累計期間と比較して8%増加しました。当社の主たる顧客層である個人投資家については、大きく株価が動いた局面で取引が拡大し、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同5%増加となりました。なお、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は21%と、前第3四半期累計期間の22%からやや低下しました。当社の株式等委託売買代金については同4%の減少となりました。当第3四半期累計期間における当社の取組みとしては、株式取引において、「一日信用取引」にかかる金利・貸株料を無料化し、デイトレードに関して業界最安水準の取引コストを実現しました。また、顧客の利便性を向上させるため、投資判断に必要な情報を1か所に集約した新しい投資情報ツール「マーケットラボ」の提供を開始し、継続的に機能を拡充しています。FXについては、eスポーツイベントとのタイアップをはじめとしたプロモーションを積極的に展開したほか、注文数量に応じたスプレッドの提供やAPI環境の公開を開始するなど、サービス品質の向上に努めました。米国株については、お客様サイトの機能改善を図ったほか、取扱銘柄を1,600銘柄超まで拡充しました。その他、投資情報メディア「マネーサテライト」などにおいて、若年層や投資初心者の方も楽しく資産運用を学べる動画や、日本株・米国株・FXそれぞれの個別銘柄を紹介・解説する動画を配信するなど、顧客向けサービスの拡充に努めました。以上を背景に、当第3四半期累計期間においては、株式等委託手数料率の低下や株式等委託売買代金の減少により受入手数料が12,076百万円(対前第3四半期累計期間比8.0%減)となりました。また、信用取引平均買残高が減少したこと等により、金融収支は同12.4%減の7,495百万円となりました。この結果、営業収益は22,957百万円(同1.0%減)、純営業収益は21,228百万円(同5.0%減)となりました。また、営業利益は8,666百万円(同12.9%減)、経常利益は8,591百万円(同13.9%減)となりました。前第3四半期累計期間において投資有価証券売却益2,590百万円を計上したこともあり、四半期純利益は5,924百万円(同31.7%減)と大幅な減少となりました。収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)受入手数料は12,076百万円(同8.0%減)となりました。そのうち、委託手数料は11,414百万円(同8.7%減)となりました。これは株式等委託手数料率の低下や株式等委託売買代金の減少によるものです。
(トレーディング損益)トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、1,657百万円の利益となりました。
(金融収支)金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は7,495百万円(同12.4%減)となりました。これは主として、信用取引平均買残高が減少したことによるものです。
(販売費・一般管理費)販売費・一般管理費は、同1.4%増の12,562百万円となりました。これは主として、広告宣伝費の減少等により取引関係費が同11.3%の減少となった一方で、事務委託費の増加により事務費が同24.5%の増加となったことによるものです。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の概況及び分析当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当第3四半期会計期間末の資産合計は、対前事業年度末比8.7%増の956,249百万円となりました。これは主として、信用取引貸付金が同21.4%増の281,015百万円となったことや、預り金等の増加に伴い預託金が同4.6%増の555,112百万円となったことによるものです。負債合計は、同10.1%増の881,801百万円となりました。これは主として、信用取引貸付金の増加等に伴い短期借入金が同22.1%増の204,900百万円となったことや、預り金が同10.3%増の341,345百万円となったことによるものです。純資産合計は、同5.4%減の74,448百万円となりました。当第3四半期累計期間においては、2022年3月期期末配当金及び2023年3月期中間配当金計10,285百万円を計上する一方、四半期純利益5,924百万円を計上しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の原資に対応するものです。経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当第3四半期会計期間末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第3四半期累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(6) 経営方針・経営戦略等 当第3四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(7) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はなく、新たに生じた課題もありません。
(8) 研究開発活動該当事項はありません。
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