【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(財政状態の状況)
総資産については、前年度末比3.4%増の52,179百万円(前連結会計年度末は、50,476百万円)となり1,703百万円増加いたしました。この主な要因は、前年度末に比べ、有形固定資産の増加1,905百万円及び棚卸資産の増加937百万円に、繰延税金資産の減少979百万円を加味したことによるものであります。
負債については、前年度末比12.1%増の24,650百万円(前連結会計年度末は、21,996百万円)となり2,653百万円増加いたしました。この主な要因は、前年度末に比べ、短期借入金の増加1,570百万円及び長期借入金の増加87百万円に、支払手形及び買掛金の増加738百万円を加味したことによるものであります。
純資産については、前年度末比3.3%減の27,529百万円(前連結会計年度末は、28,479百万円)となり950百万円減少いたしました。この主な要因は、為替換算調整勘定の増加876百万円に、親会社株主に帰属する当期純損失計上等に伴う利益剰余金の減少2,264百万円を加味したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末55.4%から51.6%となりました。
(経営成績の状況)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスによる影響が長期化する中、徐々に規制が緩和され経済活動が正常化しつつある一方、ウクライナ情勢の悪化の影響等による世界的な原材料価格の高騰、さらには欧米との金利差拡大を主因とする急激な円安の進行などから、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの関連するトラック製造業界は、世界的な半導体不足など部品不足による生産遅れの影響で供給が滞り、普通トラック(積載量4トン以上)の国内登録台数は、55,042台と前年度比28.8%の減少となりました。一方で、アセアン向けを中心とした輸出は堅調に推移いたしました。他方で、中国では新型コロナウイルス感染再拡大に伴う経済活動の抑制の影響等により、厳しい状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度における売上高は53,522百万円(前年度比4.5%増)となりました。損益面におきましては、営業損失は628百万円(前年度は営業利益598百万円)、経常損失は623百万円(前年度は経常利益1,232百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,065百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純利益783百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
日本におきましては、売上高は30,693百万円(前年度比2.0%増)、営業損失は425百万円(前年度は営業利益301百万円)となりました。
アジアにおきましては、売上高は18,339百万円(前年度比13.7%増)、営業利益は936百万円(前年度比5.7%増)となりました。
中国におきましては、売上高は4,204百万円(前年度比27.2%減)、営業損失は728百万円(前年度は営業利益18百万円)となりました。
北米におきましては、売上高は4,224百万円(前年度比27.2%増)、営業損失は449百万円(前年度は営業損失608百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,924百万円となりました。なお、当連結会計年度における連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動におけるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,539百万円(前年度は4,292百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純損失690百万円に減価償却費3,235百万円、仕入債務の増加641百万円及び棚卸資産の増加635百万円を加味したことによるものであります。
(投資活動におけるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3,847百万円(前年度は2,343百万円の使用)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出3,950百万円によるものであります。
(財務活動におけるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、958百万円(前年度は1,843百万円の使用)となりました。この主な要因は、短期借入金及び長期借入金の有利子負債が合計で1,292百万円増加したことと配当金の支払額199百万円によるものであります。
(キャッシュ・フローの指標)
第83期
2019年3月
第84期
2020年3月
第85期
2021年3月
第86期
2022年3月
第87期
2023年3月
自己資本比率(%)
55.2
51.2
52.7
55.4
51.6
時価ベースの自己資本比率(%)
21.7
27.1
26.0
20.9
15.2
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
1.4
2.7
1.5
1.7
3.5
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
23.1
17.9
31.2
31.4
12.5
(注)上記各指標の算式は次のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー / 利払い
③生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年度比(%)
日本
ブレーキ(百万円)
12,503
7.4
エンジンコンポーネント他(百万円)
17,184
△0.2
アジア
ブレーキ(百万円)
3,796
43.4
エンジンコンポーネント他(百万円)
14,385
9.0
中国
ブレーキ(百万円)
1,602
△51.8
エンジンコンポーネント他(百万円)
72
△54.5
北米
ブレーキ(百万円)
-
-
エンジンコンポーネント他(百万円)
4,141
28.4
合計(百万円)
53,685
4.4
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.自動車部品等製造事業はブレーキ、エンジンコンポーネント他で構成されており、これらの業務の意思決定は地域別に一括して決定しております。
ロ 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
受注高
(百万円)
前年度比(%)
受注残高
(百万円)
前年度比(%)
日本
ブレーキ
14,072
11.5
953
2.4
エンジンコンポーネント他
15,363
△0.5
997
△23.5
アジア
ブレーキ
3,515
24.3
863
6.9
エンジンコンポーネント他
13,777
△1.2
2,930
△11.7
中国
ブレーキ
1,806
△51.4
-
-
エンジンコンポーネント他
97
△40.9
20
325.5
北米
ブレーキ
-
-
-
-
エンジンコンポーネント他
4,214
28.1
-
-
合計
52,848
1.6
5,765
△10.5
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.自動車部品等製造事業はブレーキ、エンジンコンポーネント他で構成されており、これらの業務の意思決定は地域別に一括して決定しております。
ハ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年度比(%)
日本
ブレーキ(百万円)
13,618
6.4
エンジンコンポーネント他(百万円)
15,919
1.5
アジア
ブレーキ(百万円)
3,583
41.9
エンジンコンポーネント他(百万円)
14,187
8.8
中国
ブレーキ(百万円)
1,897
△49.0
エンジンコンポーネント他(百万円)
102
△3.6
北米
ブレーキ(百万円)
-
-
エンジンコンポーネント他(百万円)
4,214
27.2
合計(百万円)
53,522
4.5
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.自動車部品等製造事業はブレーキ、エンジンコンポーネント他で構成されており、これらの業務の意思決定は地域別に一括して決定しております。
3.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
4.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
自 2021年4月1日
至 2022年3月31日
当連結会計年度
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
いすゞ自動車株式会社
9,588
18.7
10,237
19.1
三菱ふそうトラック・バス
株式会社
3,912
7.6
4,650
8.7
株式会社小松製作所
1,726
3.6
1,863
3.5
日野自動車株式会社
2,183
4.3
1,757
3.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、日本セグメントでは、半導体不足により売上が見込よりも伸長しなかったこと、原材料・エネルギーコストの高騰、原材料等のコスト上昇に対する価格転嫁の遅れにより増収減益となりました。アジアセグメントでは、タイにおいては、国内・輸出向とも堅調に推移し、インドにおいては、主要顧客向けの売上増により、アジアセグメントは増収増益となりました。中国セグメントでは、インフラ投資や不動産投資の停滞等により需要が引き続き停滞しており、減収減益となりました。北米セグメントでは、引き続き需要は堅調に推移したことと材料比率の良化により減益幅は縮小しました。
ブレーキ部門の売上高は、前連結会計年度に比べて52百万円増(前年度比0.3%増)の19,098百万円となり、エンジンコンポーネント他部門の売上高は、前連結会計年度に比べて2,275百万円増(前年度比7.1%増)の34,423百万円となりました。
主な販売先別の状況につきましては、いすゞ自動車株式会社に対する売上が、前連結会計年度に比べて648百万円増(前年度比6.8%増)の10,237百万円、三菱ふそうトラック・バス株式会社に対する売上が、前連結会計年度に比べて737百万円増(前年度比18.8%増)の4,650百万円、株式会社小松製作所に対する売上が、前連結会計年度に比べて137百万円増(前年度比8.0%増)の1,863百万円、日野自動車株式会社に対する売上が、前連結会計年度に比べて425百万円減(前年度比19.5%減)の1,757百万円となりました。
売上原価につきましては、前連結会計年度に比べて3,331百万円増(前年度比7.3%増)の49,151百万円となり、売上高に占める売上原価の割合は、前連結会計年度に比べて7.3%増の91.8%となりました。その要因として、材料市況高騰による材料費の増加・原油価格高騰に起因するエネルギーコストの上昇による動力費の増加によるものであります。
販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度に比べて224百万円増(前年度比4.7%増)の5,000百万円となりました。増加の主な要因は、運搬費、支払手数料等の費用増加によるものであります。
営業外損益につきましては、5百万円の利益(前年度比99.2%減)となりました。前連結会計年度は、持分法による投資利益となっておりましたが、当連結会計年度は、持分法による投資損失となったことが主な要因であります。
特別損益につきましては、66百万円の損失(前年度は20百万円の利益)となりました。これは、投資有価証券評価損の計上が主な要因であります。
税金費用につきましては、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額などを加えた金額は、前連結会計年度では430百万円の費用となっておりましたが、当連結会計年度におきましては1,270百万円の費用となりました。これは、法人税、住民税及び事業税として271百万円を計上する一方で、繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額として999百万円の費用を計上したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の購入費用及び製造費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は8,949百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,924百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、現時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、期末時点で入手可能な情報を基に見積りを行っております。
新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ割引前将来キャッシュ・フローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、この4月より適用の新市場区分について、プライム市場を選択しておりますが、上場維持基準については適合できていない状況にあります。このような状況を鑑み、新市場への上場維持基準適合を重要テーマと捉え、持続的な成長ビジョンを描くため、「Challenge to the future~未来への挑戦~」を活動スローガンに掲げた第15次中期経営計画を策定いたしました。我々の未来は自分たちで創造(つくり)だすものと考え、当社グループが企業としての価値を今以上に創造(つくり)だすため、「新たな時代の変化に合った創造する企業(自分)に生まれ変わる」ことに重点を置いて活動してまいります。
その結果として、中期経営計画最終年度となる2025年3月期には、「連結売上高600億円」、「連結営業利益率5%」、「ROE8%」を目標財務指標としております。
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