【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、81,450百万円(前連結会計年度末は79,536百万円)となり、1,913百万円増加いたしました。
流動資産の残高は、46,038百万円(前連結会計年度末は45,360百万円)となり、677百万円増加いたしました。これは売掛金の増加881百万円、原材料及び貯蔵品の増加494百万円及び現金及び預金の減少663百万円が主な要因であります。
固定資産の残高は、35,411百万円(前連結会計年度末は34,176百万円)となり、1,235百万円増加いたしました。これは有形固定資産の増加827百万円が主な要因であります。
流動負債の残高は、42,643百万円(前連結会計年度末は40,103百万円)となり、2,540百万円増加いたしました。これは短期借入金の増加1,529百万円、製品保証引当金の増加1,478百万円が主な要因であります。
固定負債の残高は、12,588百万円(前連結会計年度末は12,056百万円)となり、532百万円増加いたしました。これは繰延税金負債の増加459百万円が主な要因であります。
純資産の残高は、26,219百万円(前連結会計年度末は27,377百万円)となり、1,158百万円減少いたしました。これは為替換算調整勘定の増加2,510百万円、利益剰余金の減少3,796百万円が主な要因であります。
自己資本比率は、32.2%となっております。
(2) 経営成績
当連結会計年度における国内外の経済は、世界的な半導体供給不足、中国の新型コロナ影響、原材料価格等の高騰、ロシア・ウクライナ情勢、急激な為替の変動等を受け、大変厳しい状況となりました。
このような状況の中、当連結会計年度における売上高は、全セグメントで続く半導体供給不足や中国の新型コロナ影響等による減収を受け、依然として厳しい状況にあるものの、為替影響、新車効果、原材料価格等の高騰の販売価格転嫁が一部進んだこと等により前期比19.5%増の103,359百万円となりました。製品別の売上高は、安全部品のうち、ハンドルは前期比19.5%増の26,857百万円、エアバッグは前期比21.3%増の28,259百万円、樹脂部品は前期比20.8%増の47,553百万円、その他は前期比48.6%減の690百万円となり、ハンドル、エアバッグ、樹脂部品は為替影響、新車効果等により増収となりました。損益面では、日本・北米での新車効果等による増収影響、合理化による収益改善、販売価格転嫁等の増益要因はあるものの、中国での減収影響、原材料価格や輸送費の高騰、半導体供給不足による直前での大幅減産に伴う生産ロスや北米の賃金上昇を受けた労務費の増加等により営業損失は966百万円(前期は722百万円の営業損失)となりました。経常損失は749百万円(前期は289百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は日本での減損損失及び製品保証引当金繰入額の計上等により3,602百万円(前期は8,018百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 日本
国内の売上高は、半導体供給不足の影響は続いているものの、新車効果、販売価格転嫁が一部進んだこと等により37,482百万円と前期に比べ9,497百万円(33.9%)の増収となりました。セグメント損失は、280百万円(前期は1,834百万円のセグメント損失)となりました。原材料価格や輸送費の高騰等により赤字となるものの、増収影響、前年度に減損損失を計上したことによる減価償却費の減少、合理化による収益改善等により前期に比べ赤字幅縮小となりました。なお、第4四半期(2023年1月~3月)は、新車効果及び得意先の生産回復に伴う増収、販売価格転嫁が進み、黒字に転じております。
なお、市場環境悪化に伴い、収益性が低下したことから、固定資産の一部回収が困難と判断したため、減損損失545百万円、製品保証引当金繰入額1,570百万円等を特別損失に計上しております。
② 北米
北米の売上高は、半導体供給不足の影響は続いているものの、為替影響、新車効果、販売価格転嫁が一部進んだこと等により40,658百万円と前期に比べ11,529百万円(39.6%)の増収となりました。セグメント損失は、1,215百万円(前期は1,436百万円のセグメント損失)となりました。原材料価格や輸送費の高騰、半導体供給不足による直前での大幅減産に伴う生産ロスやアメリカでの賃金上昇を受けた労務費の増加等はあるものの、増収影響、合理化による収益改善等により前期に比べ赤字幅縮小となりました。なお、第4四半期(2022年10月~12月)は、新車効果及び得意先の生産回復に伴う増収、販売価格転嫁が進み、黒字に転じております。
③ 中国
中国の売上高は、為替影響、販売価格転嫁が一部進んだこと等による増収はあるものの、半導体供給不足、上海ロックダウン影響に加え、第4四半期(2022年10月~12月)の中国での新型コロナ感染者急増による稼働停止を受けた大幅減産等により21,977百万円と前期に比べ4,298百万円(△16.4%)の減収となりました。セグメント利益は、合理化による収益改善、販売価格転嫁が一部進んだものの、減収影響、原材料価格の高騰等により898百万円と前期に比べ1,424百万円(△61.3%)の減益となりました。
④ 東南アジア
東南アジアの売上高は、為替影響等により3,240百万円と前期に比べ126百万円(4.1%)の増収となりました。セグメント損失は、543百万円(前期は327百万円のセグメント利益)となりました。合理化による収益改善をはかるものの、原材料価格の高騰、車種構成差、死蔵品の処分に伴う材料費の増加等により赤字に転じました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、663百万円(△5.4%)減少し、当連結会計年度末は11,646百万円となりました。
営業活動の結果獲得した資金は5,466百万円(前年同期は1,306百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費5,718百万円をはじめ、製品保証引当金の増加1,470百万円及び棚卸資産の減少1,230百万円等の資金増加要因が、税金等調整前当期純損失2,925百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は5,099百万円(前年同期は6,869百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,992百万円等によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は1,664百万円(前年同期は6,378百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3,615百万円等の資金減少要因が、長期借入れによる収入2,500百万円等の資金増加要因を上回ったことによるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
日本(百万円)
37,453
33.1
北米(百万円)
40,902
39.0
中国(百万円)
22,100
△17.4
東南アジア(百万円)
3,171
△10.0
合計(百万円)
103,628
18.0
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高(百万円)
前年同期比
(%)
日本
38,404
39.1
3,308
38.6
北米
42,112
47.2
3,862
60.4
中国
20,464
△22.3
868
△63.5
東南アジア
3,264
6.6
283
9.2
合計
104,246
21.8
8,323
11.9
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
日本(百万円)
37,482
33.9
北米(百万円)
40,658
39.6
中国(百万円)
21,977
△16.4
東南アジア(百万円)
3,240
4.1
合計(百万円)
103,359
19.5
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高
(百万円)
割合(%)
販売高
(百万円)
割合(%)
日産自動車㈱
13,412
15.5
21,073
20.4
Nissan North America, Inc.
10,326
11.9
16,140
15.6
東風汽車有限公司
11,511
13.3
12,373
12.0
3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。重要な見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(6) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要については、事業伸長・生産性向上・合理化等、企業競争力強化を目的とした投資及び事業遂行に関連した投資が主な内容であります。今後の重要な資本的支出の予定及びその調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金及び製品保証引当金の資金を効率的・安定的に確保するため、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主とし、必要に応じて金融機関からの借入等により充当しており、当社グループの資金調達については本社で一元管理しております。
また、国内金融機関において流動性の補完に対応可能な40億円のコミットメントライン契約を締結し緊急時の対応資金を確保しております。
(7) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2021年3月期からの3年間を計画期間とする第5次中期経営計画を定め「お客様品質評価No.1」、「投下資本利益率 2.8%(2023年3月期)」「SDGsへの貢献」を経営目標として掲げ、活動を推進し、2023年3月期がその最終年度となりました。
また、2024年3月期からの3年間を計画期間とする第6次中期経営計画をスタートし、「品質:ゼロディフェクトのやり切り」「収益:営業利益率3%」「SDGs:CO2/廃材排出量削減」を経営目標として掲げ、活動を推進しております。
・お客様品質評価No.1
2023年3月期までの第5次中期経営計画では、「お客様品質評価No.1」を経営目標として掲げ、その達成に向け体制強化や工程保証度強化施策の積極的な推進、監査・教育推進活動の強化等、大小さまざまな活動に取り組みました。しかしながら、半導体影響等様々な外的要因により生産体制が不安定となる中、経営目標は未達となっております。第6次中期経営計画では、ゼロディフェクトのやり切りとして、工程保証度評価制度の厳格化、機械による品質保証等、人と機械の両輪で確実に品質を保証する仕組みづくりに取り組んでまいります。
・投下資本利益率 2.8%(2023年3月期)
2023年3月期は投下資本利益率2.8%を経営目標に掲げ、新機種生産設備の導入等による生産体制の強化やアロケーションの最適化、自動化や省人化等の生産効率や収益良化を見込んだ投資等をおこないました。しかしながら、半導体影響等による生産ロスが大きく収益を圧迫し、経営目標は未達となっております。第6次中期経営計画では、前述の生産ロス是正に向けた自動化・省人化投資を含め、労働分配率の改善、新車利益の確保、有利子負債の削減等に関する施策を包括的に実施し、経営目標である営業利益率3%の達成を目指してまいります。また、将来のビジネス拡大に向けて、固有技術をベースとした魅力ある商品・技術の提案に引き続き取り組みつつ、新規事業の創出にも挑戦してまいります。
・SDGsへの貢献
2023年3月期までの第5次中期経営計画では、SDGs専任組織を発足し、「CO2排出量ゼロ化」「社内廃材実質ゼロ化」を目標に定め、当社の創立100周年である2048年の達成を目指し活動を推進し、CO2排出量では基準年度である2013年度比で原単位41.2%の削減、廃材排出量については2019年度比で原単位17.6%と、経営目標を上回り達成しております。その他の取り組みとしては、昨年度開始した「しずおか未来の森サポーター」協定に基づく森林整備・森林環境推進活動の継続実施に加え、富士宮市と連携し、地域の小学生を対象としてプラスチックリサイクルの重要性を伝える社会教育や工場見学会を開催する等、環境活動、地域貢献活動を推進しております。第6次中期経営計画においても、第5次中期経営計画にて策定したサスティナビリティガイドラインとそれに基づく具体的な目標の達成に向け、活動をさらに強化してまいります。
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