【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における経済環境は、新型コロナウイルス感染拡大が、国内外の経済全体や個人の生活に大きな影響を与える状況が継続しました。新型コロナウイルス感染拡大に対しては、当社グループは、従業員や家族、顧客をはじめとする様々なステークホルダーの安全を最優先に考え、感染拡大を防ぐための取組みを実施しております。また、デジタルを活用した販売・マーケティングを強化する等、顧客のライフスタイルや嗜好の変化に適合するための様々な施策を推進しました。それに加え、中期ビジョン「CHANGE for the NEXT 挑戦・成長・進化」を掲げ、2018年4月にスタートした3ヵ年の中期計画のもと、IP(Intellectual Property:キャラクター等の知的財産)の世界観や特性を活かし、最適なタイミングで、最適な商品・サービスとして提供することでIP価値の最大化をはかる「IP軸戦略」のさらなる進化のための取組み、成長の可能性が高い地域や事業の強化に向けた取組み、世界の各地域においてALL BANDAI NAMCOでグループが一体となり総合力の発揮を目指す取組み等の施策を推進しました。
当第3四半期連結累計期間につきましては、各事業において新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けましたが、国内外のトイホビー事業においてハイターゲット層(大人層)に向けた商品や新規IPを活用した商品等が人気となったほか、ネットワークエンターテインメント事業において、ネットワークコンテンツの主力タイトルや家庭用ゲームのリピート販売が好調に推移しました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高543,456百万円(前年同期比2.0%増)、営業利益72,922百万円(前年同期比1.1%増)、経常利益75,144百万円(前年同期比2.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益50,634百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①トイホビー事業
トイホビー事業につきましては、国内において「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデルやコレクターズフィギュア等のハイターゲット層(大人層)向けの商品が、デジタルを活用した販売・マーケティング等が効果を発揮し好調に推移しました。また、「仮面ライダー」シリーズ等の定番IP商品や新規IPを活用した玩具、菓子等の玩具周辺商材が人気となりました。海外においては、小売店の休業による影響等を受けましたが、アジア地域を中心にハイターゲット層に向けた商品等が安定的に推移しました。
この結果、トイホビー事業における売上高は220,956百万円(前年同期比9.9%増)、セグメント利益は35,550百万円(前年同期比23.9%増)となりました。
②ネットワークエンターテインメント事業
ネットワークエンターテインメント事業につきましては、ネットワークコンテンツにおいて、ワールドワイド展開している「DRAGON BALL」シリーズや「ワンピース」、国内の「アイドルマスター」シリーズ等の主力タイトルがユーザーに向けた継続的な施策により好調に推移しました。家庭用ゲームにおいては、新作タイトルに加え、「DRAGON BALL」タイトル、「TEKKEN(鉄拳)7」、「DARK SOULS(ダークソウル)」シリーズ等の既存タイトルのリピート販売が、ユーザーに向けた継続的な施策や、デジタル販売需要の高まりから、海外を中心に人気となりました。
この結果、ネットワークエンターテインメント事業における売上高は258,427百万円(前年同期比11.4%増)、セグメント利益は47,746百万円(前年同期比30.9%増)となりました。
③リアルエンターテインメント事業
リアルエンターテインメント事業につきましては、新型コロナウイルス感染拡大を受け、国内外のアミューズメント施設等を休業したことにより、施設運営、業務用ゲーム機販売とも大きな影響を受けました。また、このような環境変化を受け、オンラインを活用したクレーンゲームの対応や、グループの商品・サービスの活用を強化する等のバンダイナムコならではの取組みを推進しました。なお、国や地方自治体からの要請を受けて臨時休業した施設等の休業期間中の固定費を「新型コロナウイルス感染症に伴う店舗臨時休業等による損失」として特別損失に計上しました。
この結果、リアルエンターテインメント事業における売上高は42,512百万円(前年同期比38.4%減)、セグメント損失は9,743百万円(前年同期は1,154百万円のセグメント利益)となりました。
④映像音楽プロデュース事業
映像音楽プロデュース事業につきましては、「ラブライブ!」シリーズや「アイドルマスター」シリーズ等のIPの映像・音楽パッケージソフトの販売等を行いましたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、ライブイベントの開催が中止となったことに加え、映像・音楽作品の制作スケジュールの遅れ等により、作品の公開やパッケージソフトの発売が延期となったことが業績に影響を与えました。また、このような環境変化を受け、無観客ライブイベントの配信等の環境変化に対応した新たなライブイベントへの取組みを行いました。
この結果、映像音楽プロデュース事業における売上高は16,815百万円(前年同期比46.8%減)、セグメント利益は245百万円(前年同期比95.6%減)となりました。
⑤IPクリエイション事業
IPクリエイション事業につきましては、「機動戦士ガンダム」シリーズや「ラブライブ!」シリーズ等の映像作品の制作や、「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」によるIPの情報発信等により話題喚起をはかり人気となりました。また、前連結会計年度に連結子会社となった㈱創通が第1四半期連結会計期間より本ユニットに所属したことにより、同社の収益を計上する一方でのれんの償却が発生しております。
この結果、IPクリエイション事業における売上高は16,298百万円(前年同期比39.1%増)、セグメント利益は2,660百万円(前年同期比24.3%減)となりました。
⑥その他
その他事業につきましては、グループ各社へ向けた物流事業、印刷事業、その他管理業務等を行っている会社から構成されており、これらのグループサポート関連業務における効率的な運営に取り組んでおります。
その他事業における売上高は25,244百万円(前年同期比7.2%増)、セグメント利益は1,500百万円(前年同期比9.8%増)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
当第3四半期連結会計期間末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ98,895百万円増加し718,715百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が30,969百万円、投資有価証券が28,443百万円、仕掛品が20,898百万円増加したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ65,460百万円増加し230,596百万円となりました。これは主に長期借入金が20,012百万円、短期借入金が19,911百万円増加したことによるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ33,434百万円増加し488,118百万円となりました。これは主に配当金の支払額29,220百万円があったものの親会社株主に帰属する四半期純利益50,634百万円を計上したこと等により利益剰余金が21,414百万円、その他有価証券評価差額金が15,854百万円増加したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の72.5%から67.8%となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しています。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
なお、当社は、2020年8月7日開催の取締役会において、2022年3月期(2021年4月)のスタートを予定していた3ヵ年の次期中期計画を1年延期し、2023年3月期(2022年4月)よりスタートすることを決定しました。併せて、2021年4月にユニットの再編を行うことを決定し、2021年2月8日開催の取締役会において、その具体的な再編内容を決定いたしました。
①次期中期計画スタート延期の理由
今後、顧客のライフスタイルや価値観が大きく変化することが予想される中、環境変化と現中期計画の成果と課題を踏まえ、新しい時代におけるバンダイナムコの新しい戦い方となる次期中期計画を策定する必要があると判断しました。進行期の2021年3月期から2022年3月期にかけては、次期中期計画を策定し、戦略を推進するための事業基盤や組織体制を整備する期間と位置付けることとしました。また、新型コロナウイルス感染拡大が継続し、社会や経済全体に影響を与え、先行き不透明な状況が継続しています。このような不透明な環境下においては、不確定要素が多く、次期中期計画を2022年3月期よりスタートすることを前提に、計画を策定し提示することは、その信頼性においても懸念があると判断しました。
②グループ組織の再編について
2022年4月からの次期中期計画スタートに先駆け、2021年4月より、従来の5ユニット体制から、3ユニット体制へ組織再編を行います。
<再編の内容>
・「トイホビーユニット」と「ネットワークエンターテインメントユニット」を統合し、「エンターテインメントユニット」とします。
・「映像音楽プロデュースユニット」と「IPクリエイションユニット」を統合し、「IPプロデュースユニット」とします。
・「リアルエンターテインメントユニット」を「アミューズメントユニット」に名称変更します。
・「エンターテインメントユニット」は、㈱バンダイナムコエンターテインメントが「デジタル事業」(ネットワークコンテンツ、家庭用ゲーム等)を、㈱バンダイが「トイホビー事業」(玩具、プラモデル等)をそれぞれ事業統括会社として統括し、両社が連携してユニット全体を統括します。
・「IPプロデュースユニット」は、㈱バンダイナムコアーツが「映像音楽事業」(映像・音楽コンテンツ、ライブエンターテインメント等)を、㈱サンライズが「クリエイション事業」(アニメーションの制作等)をそれぞれ事業統括会社として統括し、両社が連携してユニット全体を統括します。
・「アミューズメントユニット」は、事業統括会社として㈱バンダイナムコアミューズメントが事業を統括します。
<再編の目的>
「エンターテインメントユニット」は、「デジタル事業」と「トイホビー事業」を統合することで、IPを軸に、より一体となり幅広い出口を相互活用した連携・拡大をはかるとともに、顧客の新たな価値観に対応したエンターテインメントの創出やデジタル対応を強化します。これにより、グローバル市場における競争力向上を目指します。
「IPプロデュースユニット」は、IP創出とプロデュースを行うスタジオ機能とプロデュース機能を集約し、より多彩で、ユニット内のみならずグループの各事業や外部パートナーとの協業による相乗効果を発揮できるIP創出機能の強化をはかります。
「アミューズメントユニット」は、IPやグループのリソースを活用するなど、バンダイナムコならではの強みに選択と集中を行い、グループの各事業とより一体となることで、安定して収益をあげることができる強い基盤づくりに取り組みます。
なお、上記グループ組織の再編による報告セグメントの区分の変更については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は16,759百万円であります。また、このほかに、主な開発部門で発生したゲームコンテンツ等に係る支出額は48,423百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
(9)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画から著しい変更はありません。
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