【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の状況当第2四半期連結累計期間の世界経済は、ウクライナ情勢に伴う資源価格の高止まりや中国のゼロコロナ政策によるロックダウン、及び欧米を中心としたインフレの進行が個人消費に影響したこと等により、成長が鈍化しました。国内経済については、コロナ禍からの回復が続いていますが、資源高の進行が、円急落と相まって同回復に対して下押し圧力となりました。このような事業環境の中で、当社グループは2020年5月より、「持続的かつ健全な成長」を目指し、「成長分野でのグローバルな拡大」、「競争力強化」、「経営基盤強化」を基本戦略とした新たな中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022”を実行しています。当四半期は、原燃料価格の変動と、価格転嫁とのタイムラグが損益に影響を及ぼしました。以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前年同期比18.7%増の1兆2,618億円、事業利益(注1)は同22.5%減の544億円となりました。営業利益は同7.0%増の738億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同3.0%減の591億円となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりです。
(繊維事業)衣料用途は、コロナ禍からの回復が見られましたが、衛材用途は需給バランス悪化の影響で低調に推移しました。産業用途は、自動車生産台数の回復遅れにより需要が伸び悩みました。また、ほぼ全ての用途・地域において、原燃料価格及び運輸費高騰の影響を受けました。以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前年同期比26.8%増の5,090億円、事業利益は同1.8%減の239億円となりました。
(機能化成品事業)機能化成品事業は原燃料価格高騰の影響を受けました。樹脂事業は、国内自動車生産の回復の遅れや中国市場の需要減少の影響により低調となりました。ケミカル事業は、ファインケミカルが好調に推移しました。フィルム事業は、ポリエステルフィルムで光学用途・電子部品関連の在庫調整の影響を受けました。電子情報材料事業は、有機EL関連材料、回路材料の需要が減少しました。以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前年同期比6.5%増の4,733億円、事業利益は同52.0%減の251億円となりました。
(炭素繊維複合材料事業)原燃料価格上昇の影響、及び航空宇宙用途で民間旅客機のビルドレート低調の影響を受けましたが、一般産業用途において風力発電翼用途や圧力容器用途が拡大したほか、スポーツ用途が伸長しました。また、価格転嫁を推進しました。以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前年同期比41.5%増の1,400億円、事業利益は同92億円増の56億円となりました。
(環境・エンジニアリング事業)水処理事業は、逆浸透膜などの需要が堅調に推移し、新たに稼働を開始した設備が業績に寄与しました。国内子会社では、エンジニアリング子会社でリチウムイオン二次電池関連装置の出荷が増加しました。以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前年同期比23.5%増の1,061億円、事業利益は同35.8%増の83億円となりました。
(ライフサイエンス事業)医薬事業は、経口そう痒症改善薬レミッチ®(注2)において、後発医薬品発売の影響を受けたほか、薬価改定の影響を受けました。医療機器事業は、血液透析ろ過用のダイアライザーが国内で堅調に推移しましたが、原燃料価格高騰の影響を受けました。以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前年同期比3.1%増の259億円、事業利益は同8億円減の3億円となりました。
(その他)売上収益は前年同期比7.2%増の75億円、事業利益は同38.6%増の10億円となりました。
(注) 1.事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。2.レミッチ®は、鳥居薬品㈱の登録商標です。
(2) 財政状態の状況当第2四半期連結会計期間末の財政状態は、資産・負債ともに、円安による海外子会社の円換算額増加の影響がありました。資産は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ2,770億円増加し3兆3,209億円となりました。負債は、社債及び借入金が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,166億円増加し1兆6,608億円となりました。資本は、利益剰余金やその他の資本の構成要素の増加を主因に、前連結会計年度末に比べ1,605億円増加し1兆6,601億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆5,620億円となりました。当第2四半期連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.9ポイント上昇し47.0%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を280億円下回った一方、有利子負債の増加を主因に財務活動による資金の増加が31億円となったこと、及び為替変動による増加が208億円となったことにより、前連結会計年度末に比べ40億円減の2,263億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業債務及びその他の債務の増加額が前年同期比170億円増加した一方、営業債権及びその他の債権の増加額が同369億円増加したこと等により、営業活動による資金の増加は同396億円(66.6%)減の199億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資の売却及び償還による収入が前年同期比327億円減少したこと等により、投資活動による資金の減少は同378億円(376.6%)増の478億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)短期借入債務の純増額が前年同期比834億円増加したこと等により、財務活動による資金の増加は同913億円増の31億円となりました。
(4) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費総額は330億円です。