【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間は、半導体関連事業の市況が悪化したものの、トナー事業が引き続き好調に推移したことに加え、第3四半期連結会計期間半ばまでの円安による海外関連売上高の嵩上げもあり、売上高は25,865百万円、前年同期比で1,611百万円の増収(前年同期24,254百万円、前年同期比6.6%増)となりました。
利益面では、第2四半期連結会計期間からのディスプレイ関連に続き、半導体市況も調整に入ったことにより、電子材料事業の損益が悪化しました。また、原料価格の値上がりに加え、当社工場における発電および蒸気製造用LNGや購入電力料の上昇は12月まで継続しました。これら減益要因に対して、販売価格の上乗せを徹底しました。これに海外関連売上高の増益効果が加わったことにより、営業利益は1,827百万円と前年同期比185百万円の増益(同1,641百万円、同比11.3%増)となりました。
経常利益は、ディスプレイ向けフィルム加工を行う関連会社からの持分法投資利益が減少したことなどにより1,932百万円、前年同期比で59百万円の減益(同1,992百万円、同比3.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益については、第1四半期連結会計期間において2020年9月末に休止した米国トナー工場土地建物等の売却益を計上したほか、投資有価証券売却益の計上等により1,749百万円となり、前年同期比290百万円の増益(同1,458百万円、同比19.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.トナー事業
トナー事業においては、一部製品については需要が減少したものの、引き続き市場の需要動向が強く、受注が堅調に推移したほか、為替相場の円安傾向も追い風となりました。
利益面では、原燃料調達価格上昇の影響を受けたものの、販売価格の上乗せなどにより増益となりました。
また、当連結会計年度期初に懸念された納入業者事由に基づくトナー原材料調達難による売上・損益悪化影響については、利益率の高い製品への傾斜生産や他社原材料を使った製品の生産前倒しを行ったことにより解消いたしました。
この結果、売上高は10,586百万円(同9,042百万円、同比17.1%増)となり、セグメント(営業)利益は1,882百万円(同871百万円の利益、同比115.9%増)となりました。
b.電子材料事業
電子材料事業においては、半導体、電子材料市場が急速に調整局面入りし需要が落ち込んだこと、および光学フィルム関連事業における前年の一過性の特需案件が終了したことにより販売減となりました。
利益面では、光学フィルム関連事業での販売減少に加え、半導体関連事業の市況悪化に伴う販売減少が影響し、前年同期比で減益となりました。
この結果、売上高は4,261百万円(同4,566百万円、同比6.7%減)となり、セグメント(営業)利益は157百万円(同829百万円の利益、同比81.0%減)となりました。
c.機能紙事業
機能紙事業においては、既存事業の縮小が進む中、子会社も含め需要が好調な一部製品の拡販に注力したことや一部価格転嫁が進んだことにより前年同期比で増収となりました。
利益面では、原燃料調達価格の上昇による影響を受けましたが、2019年12月及び2022年3月に実施した2台の大型抄紙製造設備の停機を含む構造改革の効果により、前年同期に比べ赤字幅を圧縮しております。
この結果、売上高は7,968百万円(同7,547百万円、同比5.6%増)となり、セグメント(営業)損失は65百万円(同79百万円の損失)となりました。
d.セキュリティメディア事業
セキュリティメディア事業においては、カード関連製品などの拡販はあったものの、通帳類等の需要減少が継続したことに加え、前年の一過性の特需案件が終了したことにより販売減となりました。また内製比率の向上に努め、一層の固定費抑制を進めましたが、エネルギー価格上昇の影響を受けたこと、および一部の棚卸資産の評価減を行ったことなどから、売上高は2,869百万円(同2,930百万円、同比2.1%減)となり、セグメント(営業)利益は120百万円(同225百万円の利益、同比46.7%減)となりました。
e.新規開発事業
新規開発事業においては、主にiCas関連製品の開発と販売を鋭意進めておりますが、一部製品の納入時期の遅れなどにより、売上高は38百万円(同65百万円、同比40.9%減)となり、セグメント(営業)損失は357百万円(同328百万円の損失)となりました。
f.その他の事業
その他の事業においては、売上高は141百万円(同101百万円、同比39.4%増)となり、セグメント(営業)利益は62百万円(同86百万円の利益、同比28.0%減)となりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は42,925百万円となり、前連結会計年度末に比べ649百万円の減少となりました。流動資産は21,435百万円で、前連結会計年度末に比べ40百万円の増加となり、その主な要因は、前連結会計年度末に比べ受取手形及び売掛金が減少したものの棚卸資産が増加したことなどによるものです。固定資産は21,490百万円で、前連結会計年度末に比べ689百万円の減少となり、その主な要因は、閉鎖した米国トナー工場跡地の売却があったことに加え、経年による減価償却により有形固定資産等が減少したことなどによるものです。
負債合計は23,710百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,247百万円の減少となりました。このうち流動負債は14,697百万円で、前連結会計年度末に比べ145百万円の減少となり、その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が増加したものの、支払手形及び買掛金が減少したことや、冬季賞与の支給に伴い賞与引当金の計上額が減少したことなどによるものです。固定負債は9,012百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,102百万円の減少となり、その主な要因は、長期借入金の返済が進んだことなどによるものです。なお、当第3四半期連結会計期間末における有利子負債残高は11,084百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,570百万円の減少となりました。
また、純資産合計は19,215百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,598百万円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や、連結子会社の完全子会社化を株式交換により実施したことに伴う自己株式の減少などによるものです。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の
分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、622百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。