【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着きを見せ、経済活動の正常化の流れが進みつつあったものの、ウクライナ情勢の影響による資源価格の高騰や、円安の進行による物価の上昇の影響もあり、不透明な状況が続いております。当社グループが事業展開するインターネット広告市場においては、前年に続く社会のデジタル化を背景に、2022年は前年比14.3%増の3兆0,912億円となり、継続して成長を続けております。インターネット広告費のうち、インターネット広告媒体費は、ウクライナ情勢や円安、原材料高騰等の影響を受けたものの、インストリーム広告を中心とした動画広告の需要が増したことで、前年比15.0%増の2兆4,801億円となっております。(※1)このような事業環境の中で、当社グループは経営理念として『Digital Well-Being』を掲げ、世界を代表するデジタルビジネス・コングロマリットを目指し、事業創造と戦略投資の推進によるポートフォリオの拡大と、中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいりました。デジタルを通して安らぎを提供できるサービスとして、「楽しむ-Enjoy-」「繋げる-Connect-」「体験する-Experience-」の3つのカテゴリをもとに、インターネットメディア事業、プラットフォーム事業、インターネット広告事業及び新規事業にて事業を推進しております。当連結会計年度においては、インターネットメディア事業にて世界的なヒットを記録したハイパーカジュアルゲームアプリ「Save them all」に続くヒット作を創出できていないこともあり、売上高が減少いたしました。また、東アジアに向けてアプリの提供の本格化、Play―to―Earn(※2)領域のインセンティブゲームのプロモーションの強化、自社コンテンツのマルチプラットフォーム展開、知名度のある外部IPを活用したゲームの開発(※3)により費用が増加いたしました。以上の結果、当連結会計年度における売上高は50億71百万円、営業損失は54百万円(前期は営業利益4億65百万円)、経常損失は45百万円(前期は経常利益4億24百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は2億65百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益2億2百万円)、EBITDA(営業利益+のれん償却費+減価償却費)は3億18百万円(前年同期比55.1%減)となっております。なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用しており、2022年12月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、影響の生じる売上高について前期比は記載しておりません。また、新型コロナウイルス感染拡大に関して、業績への大きな影響は見られませんでした。
出所(※1)株式会社電通「2022年日本の広告費」(※2)Play―to―Earnとは、ゲームをプレイすることで、ユーザーがアプリ内通貨などのインセンティブを得られる形式のゲームです。(※3)外部IP(Intellectual Property)を活用したゲームとは、他社の所有する知的財産を活用して共同で事業を行う取り組みです。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(インターネットメディア事業)インターネットメディア事業は、昨年度において世界的なヒットを記録したハイパーカジュアルゲームアプリ「Save them all」に並ぶヒット作を創出できていないこともあり、売上高が減少いたしました。また、海外領域の拡大として東アジアへのアプリ提供、Play―to―Earn領域のインセンティブゲーム、自社コンテンツのマルチプラットフォーム展開、外部IPを活用したゲームの開発により費用が増加いたしました。重要指標である運用本数(※4)は345本(前年同期比30.2%増)となりました。ハイパーカジュアルゲームアプリにおきましては、10月より本格運用を開始した「draw flights」がApp Store(国内・無料ゲーム)にて第1位を獲得しました。新たな取り組みでは、外部IPを活用したゲームコンテンツを2タイトルリリースしたほか、Play―to―Earn領域では、インセンティブゲーム「ポイ活ソリティア」が既存ユーザーの継続と新規ユーザーの拡大により、順調に収益を伸ばしております。また、自社コンテンツのマルチプラットフォーム展開戦略として、家庭用ゲーム機向けにダウンロードコンテンツの提供を開始し、販売が好調に推移しております。さらに、株式会社ネクスグループとアライアンス契約を締結し、「ネクスコイン」を基軸通貨とするブロックチェーンゲームに特化したゲーム配信プラットフォームである「NCXC GameFi プラットフォーム」へ、当社がブロックチェーンゲームの供給を行う方針です。以上の結果、インターネットメディア事業セグメント合計の売上高は30億11百万円(前期比8.2%減)、セグメント利益は3億34百万円(同50.7%減)となりました。
(※4)運用本数とは、広告出稿による運用をともなう国内及び海外のスマートフォンアプリの1月当たりの平均本数としております。
(プラットフォーム事業)プラットフォーム事業は、主力事業である電話占い「カリス」が引き続き堅調に推移いたしました。新規会員獲得のためのCPA(顧客獲得単価)の改善と、SEO対策による自然流入会員の獲得を行うことで収益性の向上に繋げております。また、鑑定師の雑誌企画やTVへの積極的な出演、新たな広告媒体への広告出稿等、「カリス」の認知度向上のためのプロモーションに取り組んでおります。4月にサービスを開始したヘルステックアプリ「OWN.App」は、既存ユーザーの高い継続率と新規ユーザーの流入により、順調にアクティブユーザーが増加しております。11月にはヘルスケア領域における包括的なサービス提供に向け、ECサイト「OWN.Shop」を開設しておりますが、「OWN.App」の課金ユーザーを中心に自社開発のプロテインやマルチビタミンサプリの販売が好調に推移しております。11月には、Fortniteを活用したメタバース×ゲーム上でのメタバース広告を活用した「OWN.」ブランドのプロモーションを行い、今後も継続的なプロモーションによるユーザーの拡大を図る方針です。また、8月に公表した推し活×メッセージアプリ「B4ND」はアーティスト等の参画に向け、芸能プロダクションへの営業活動とそれによるニーズのヒアリングに伴い、アプリケーションの追加開発を行い、リリース時期を再調整しました。以上の結果、プラットフォーム事業セグメント合計の売上高は17億78百万円、セグメント利益(営業利益)は、1億56百万円(前期比16.9%増)、EBITDA(営業利益+のれん償却費+減価償却費)は、4億60百万円(同29.0%増)となりました。
(インターネット広告事業)インターネット広告事業は、新規広告商品開発の取り組みとして進めていたSEOメディアによる売上高が増加したものの、開発費やメディアの広告費の増加、またVOD(※5)サービスへの広告運用において、主要クライアントからの受注状況の変動の影響もあり、営業利益は減少しました。以上の結果、インターネット広告事業セグメント合計の売上高は2億60百万円、セグメント損失は14百万円(前期のセグメント利益51百万円)となりました。
(※5)ⅤOD(ビデオ・オン・デマンド)とは、ユーザーが観たい時にいつでも様々なコンテンツを視聴することが可能なインターネット動画配信サービスです。
(その他)その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントでありますが、投資事業、ソリューションセールス事業、メタバース事業、デジタルサイネージ事業及び新規事業開発等に取り組んでおります。デジタルサイネージ事業については、引き続き多店舗を持つ企業への積極的な営業活動を推進しております。以上の結果、その他セグメント合計の売上高は21百万円、セグメント損失は97百万円(前期はセグメント損失63百万円)となりました。
② 財政状態当連結会計年度末における財政状態は、資産が38億84百万円(前期末比3.0%減)、負債が30億5百万円(同4.7%増)、純資産は8億79百万円(同22.5%減)となりました。資産の主な減少要因は、顧客関連資産1億31百万円及びのれん91百万円が償却により減少したことによるものであります。負債の主な増加要因は、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)42百万円及び未払金62百万円増加したことによるものであります。純資産の主な減少要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が2億65百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度において現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて7百万円減少し、当連結会計年度末には8億98百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動の結果、2億57百万円の収入(前連結会計年度は3億5百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費2億81百万円及びのれん償却額91百万円があったことに対し税金等調整前当期純損失1億41百万円及び法人税等の支払額1億66百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動の結果、3億7百万円の支出(前連結会計年度は18億46百万円の支出)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出1億64百万円、有形固定資産の取得による支出46百万円及び無形固定資産の取得による支出76百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動の結果、36百万円の収入(前連結会計年度は17億44百万円の収入)となりました。これは、長期借入れによる収入15億78百万円があった一方、長期借入金の返済による支出15億36百万円及び借入手数料の支払額10百万円があったことによるものであります。
④ 生産実績当社グループの提供する事業の性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
⑤ 受注実績当社グループの提供する事業の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
⑥ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
インターネットメディア事業
3,011,196
91.8
プラットフォーム事業
1,778,570
138.9
インターネット広告事業
260,970
163.5
その他
21,181
182.3
合計
5,071,918
107.2
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
Google Asia Pacific Pte. Ltd.
889,891
18.8
776,233
15.3
AppLovin Corporation
499,845
10.6
747,243
14.7
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積りのれん、顧客関連資産及び商標権の評価「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営成績等の状況に関する認識及び検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績、②財政状態 及び③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
③経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループにおける主な資金需要は、業容拡大のための人件費、サービスの品質向上のための開発費、広告宣伝費であります。財源につきましては、事業収益から得られる資金、金融機関からの借入、資本政策に基づく資金調達を基本として、流動性を適切にコントロールしております。
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