【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、地政学的リスク影響等による輸入資源・原材料等の高騰、国内外におけるサプライチェーン寸断、中国の不動産投資減退等による景気減速、欧米の利上げに伴う景気後退リスク等の複合的な要因が相俟って、先行きが不透明な状況が継続した。線材加工製品業界においては、普通線材製品のフェンス向けや土木向け等で需要低迷が続いた。特殊線材製品では電力通信向けで前年度の特需が剥落するとともに、国内完成車生産の回復遅れ等により自動車向けの需要が減少した。鋲螺線材製品については、中小物件が停滞する一方で、大型物件を中心に比較的需要が堅調に推移した。また、コスト面では、主副原料及びエネルギー等の価格が大幅に上昇し、これらの調達コスト増を製品価格に適切に転嫁することが収益を確保する上で不可欠となっている。このような状況の中、当社グループは、主副原料及びエネルギー等のコスト上昇を踏まえた販価への転嫁、鋲螺線材製品の販売数量拡大、変動費・固定費両面でのコスト低減対策等を積極的に推進した結果、財政状態及び経営成績は以下のとおりとなった。
a.財政状態 (資産の部)当第3四半期連結会計期間末の総資産は69,851百万円となり、前連結会計年度末に比べ626百万円の増加となった。流動資産は36,989百万円となり、前連結会計年度末に比べ146百万円の増加となった。これは主に受取手形及び売掛金の増加によるものである。固定資産は32,861百万円となり、前連結会計年度末に比べ479百万円の増加となった。これは主に投資有価証券の増加によるものである。 (負債の部)当第3四半期連結会計期間末の負債合計は19,186百万円となり、前連結会計年度末に比べ379百万円の減少となった。流動負債は12,265百万円となり、前連結会計年度末に比べ18百万円の減少となった。これは主に未払法人税等の減少によるものである。固定負債は6,920百万円となり、前連結会計年度末に比べ360百万円の減少となった。これは主に長期借入金の減少によるものである。 (純資産の部)当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は50,664百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,005百万円の増加となった。この結果、自己資本比率は67.8%となった。
b.経営成績当第3四半期連結累計期間の売上高は、販価改善並びに鋲螺線材製品の販売数量拡大等により、25,367百万円と前年同期に比べ2,300百万円(10.0%)の増収となった。しかしながら利益面においては、普通線材製品及び特殊線材製品の販売数量の大幅な減少等により、営業利益は1,381百万円と前年同期に比べ228百万円(△14.2%)の減益、経常利益は1,798百万円と前年同期に比べ280百万円(△13.5%)の減益、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,011百万円と前年同期に比べ362百万円(△26.4%)の減益となった。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。 また、セグメント利益は、営業利益ベースの数値である。
普通線材製品普通線材を素材とした各種めっき鉄線、また、めっき鉄線を素線とした加工製品からなり、公共土木向けのかご、落石防護網及び民間向けの各種フェンス等に使用されている。 売上高は、フェンス向けや土木向け等で販売数量が減少した一方で、主副原料及びエネルギー等のコスト上昇を踏まえた販価改善により、6,848百万円と前年同期に比べ113百万円(1.7%)の増収となった。 セグメント利益は、主副原料・エネルギーコストの上昇及び販売数量の減少等の減益要因が、販価改善及びコスト低減等の増益要因を上回ったことにより、141百万円と前年同期に比べ616百万円(△81.3%)の減益となった。 特殊線材製品特殊線材を素材とした硬鋼線、各種めっき鋼線、鋼平線、鋼より線、ワイヤロープ等からなり、自動車向け、電力通信向け及び公共土木向け等、多岐に渡って使用されている。 売上高は、電力通信向け等で販売数量が減少した一方で、主副原料及びエネルギー等のコスト上昇を踏まえた販価改善により、12,796百万円と前年同期に比べ1,442百万円(12.7%)の増収となった。 セグメント利益は、販価改善及びコスト低減等の増益要因が、主副原料・エネルギーコストの上昇及び販売数量の減少等の減益要因を上回ったことにより、430百万円と前年同期に比べ285百万円(197.0%)の増益となった。 鋲螺線材製品鋲螺線材を素材としたトルシア形高力ボルト、六角高力ボルト及びGNボルト等からなり、主として建築向けに使用されている。 売上高は、販売数量の拡大並びに主副原料及びエネルギー等のコスト上昇を踏まえた販価改善により、5,167百万円と前年同期に比べ773百万円(17.6%)の増収となった。 セグメント利益は、販売数量の拡大及び販価改善等の増益要因が、主副原料・エネルギーコストの上昇等の減益要因を上回ったことにより、733百万円と前年同期に比べ114百万円(18.5%)の増益となった。
不動産賃貸主に賃貸用不動産を所有・経営している。 売上高は、124百万円と前年同期とほぼ同額(△0.1%)となり、セグメント利益は79百万円と前年同期に比べ2百万円(3.6%)の増益となった。 その他めっき受託加工及び副産物の売上高は、483百万円と前年同期に比べ24百万円(5.2%)の増収となったものの、セグメント損失は3百万円と前年同期に比べ14百万円(前年同期は10百万円の利益)の減益となった。
(2) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は36百万円である。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。