【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営環境
当第2四半期連結累計期間の世界経済を概観しますと、ウクライナ戦争の長期化による、商品市況の高騰等、世界的にインフレが高進し、経済回復の足かせとなりました。また、中国のゼロコロナ政策継続や世界的な金融引締め等の影響により成長鈍化の懸念が高まりました。
米国経済は、人材確保のための賃上げ等により雇用・所得環境は良好で個人消費も底堅く、景気は回復基調となりました。一方で、インフレ高進や政策金利の急激な引上げ継続等の影響で先行き不透明感が強まりました。欧州経済は、ウクライナ戦争の影響を受け、エネルギー価格の高騰が物価上昇をけん引し、景気後退懸念が高まりました。中国経済は、上海の都市封鎖解除により、個人消費や工業生産等が回復基調となった一方で、感染再拡大に伴う一部の都市封鎖や不動産市場の低迷等が、景気回復の重石となりました。新興国経済は、経済活動再開、供給制約の緩和等により製造業や個人消費が持ち直し、景気は回復基調となりました。
こうした中、わが国経済は、経済正常化や供給制約緩和等により製造業は持ち直し、個人消費も回復基調となったものの、円安の急激な進行や物価高などが下押し圧力となり、回復のペースは鈍化しました。また、ウクライナ戦争の長期化や海外の経済減速懸念等により先行き不透明感が強まりました。
②セグメント別の事業活動
(Ⅰ)金属
豊通マテリアル株式会社は、福岡トヨタ自動車株式会社、トヨタ自動車九州株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社と、ハイブリッドカー用電源キットRe-Qを活用した地域防災力向上に関する連携協定を締結しました。本協定に賛同、参画した福岡県宮若市、久留米市、みやま市、広川町は、それぞれが保有するRe-Q搭載車両を活用して災害発生時の相互扶助ネットワークを構築します。本協定は、今後、更なるネットワーク拡大を目指します。(Mobility分野・Life & Community分野・Resources & Environment分野)
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
Car to Carのサーキュラーエコノミー(循環型社会)実現を目的に、ベトナムにおいてエアバッグの製造時に発生するナイロン端材のリサイクル事業を2023年4月より開始します。現地トヨタグループ各社とも連携し、再資源化プロセスを確立することで、CO2排出の削減や低炭素なエアバッグ製造事業を目指します。(Mobility分野・Resources & Environment分野)
(Ⅲ)自動車
途上国等におけるワクチン輸送の改善による接種率向上を目的に、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の開催に先立ち、2022年8月に、世界保健機関(WHO)が定める医療機材品質認証を取得したワクチン保冷輸送車1台を、チュニジア共和国の保健省に寄贈しました。ワクチン保冷輸送車の供給事業を通じて、グローバルヘルスに貢献していきます。(Mobility分野・Life & Community分野)
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
再生可能エネルギー事業の更なる拡大を目的に、東京電力ホールディングス株式会社が保有する株式会社ユーラスエナジーホールディングスの40%持分の株式を取得し、2022年8月に完全子会社化しました。カーボンニュートラルへの取り組みを推進することで、脱炭素社会への移行に貢献していきます。(Resources & Environment分野)
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
対話型AI関連の事業創造と市場拡大を目的に、コミュニケーションAIの企画・開発・サービスをワンストップで提供する株式会社emotivEと、対話型AIシステムを共同開発することを決定しました。本共同開発により、事業創造と市場拡大を行いつつ、シニアの社会課題解決、スマートホーム市場・モビリティ技術の発展等、Society5.0の実現に貢献していきます。(Mobility分野・Life & Community分野)
(Ⅵ)食料・生活産業
インド国内において病院向けリネンサプライ等の高品質な医療周辺サービスを提供することを目的に、株式会社トーカイと合弁会社Valabhi Hospital Services Private Limitedの設立準備を開始しました。同国内病院市場において、新しいリネンサプライの事業モデルを構築するとともに、高品質な医療周辺サービスの提供を通じて、より安心・安全な医療の提供と地域医療の発展に貢献していきます。(Life & Community分野)
(Ⅶ)アフリカ
第8回アフリカ開発会議(TICAD8)にて、アフリカ主要各国の首脳・閣僚級との面談や合計25件のMOU(覚書)を締結し、各国政府やパートナー企業との関係を一層強化しました。ホスト国のチュニジア共和国とは、再生可能エネルギー活用による海水淡水化調査等で、戦略的協業を目指した包括的MOUを締結しました。今後もアフリカで、社会課題の解決に留まらない未来を見据えた価値創造事業の推進に取り組んでいきます。(Mobility分野・Life & Community分野・Resources & Environment分野)
③当四半期連結累計期間の経営成績
当社グループの当第2四半期連結累計期間の収益は、自動車販売の増加、金属市況及び欧州電力価格上昇により、前年同四半期連結累計期間を1兆1,631億円(31.1%)上回る4兆9,077億円となりました。
利益につきましては、営業活動に係る利益は販売費及び一般管理費の増加の一方で、売上総利益の増加により、前年同四半期連結累計期間を585億円(39.2%)上回る2,079億円となりました。四半期利益(親会社の所有者に帰属)は前期一過性利益の影響があったものの営業活動に係る利益の増加に加え、持分法投資損益の増加等により、前年同四半期連結累計期間を237億円(18.6%)上回る1,512億円となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(Ⅰ)金属
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期一過性利益の影響があったものの、市況上昇及び豪亜における自動車生産関連の取り扱い増加等により、前年同四半期連結累計期間を9億円(2.0%)上回る453億円となりました。
(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、北米及び豪亜における自動車部品の取り扱い増加等により、前年同四半期連結累計期間を36億円(28.3%)上回る163億円となりました。
(Ⅲ)自動車
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、豪亜を中心とした海外自動車販売会社の取扱台数増加等により、前年同四半期連結累計期間を106億円(84.7%)上回る231億円となりました。
(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、前期一過性利益の影響があったものの、欧州電力価格の上昇等により、前年同四半期連結累計期間を14億円(7.7%)上回る194億円となりました。
(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、エレクトロニクス事業の取り扱い増加及び化学品事業における市況の上昇等により、前年同四半期連結累計期間を32億円(14.5%)上回る253億円となりました。
(Ⅵ)食料・生活産業
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、南米食料事業における輸送費負担増加等により、前年同四半期連結累計期間を21億円(42.9%)下回る28億円となりました。
(Ⅶ)アフリカ
四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車販売会社の取扱台数増加等により、前年同四半期連結累計期間を64億円(46.2%)上回る203億円となりました。
④財政状態
資産につきましては、棚卸資産で2,007億円、有形固定資産で904億円、現金及び現金同等物で722億円及び営業債権及びその他の債権で713億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ5,511億円増加の6兆6,942億円となりました。また、資本につきましては、四半期利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金が1,204億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ744億円増加の2兆172億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、営業活動及び財務活動による増加、投資活動による減少等により7,252億円となり、前連結会計年度末より722億円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、営業活動による資金の増加は787億円(前年同四半期連結累計期間比
469億円の収入増加)となりました。これは、税引前四半期利益及び運転資本の増加等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、投資活動による資金の減少は621億円(前年同四半期連結累計期間比
284億円の支出減少)となりました。これは、有形固定資産の取得等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において、財務活動による資金の増加は91億円(前年同四半期連結累計期間比
148億円の収入増加)となりました。これは、非支配株主からの子会社持分取得の一方で借入金が増加したこと等によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間において、特記すべき事項はありません。