【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営成績の状況当第2四半期連結累計期間(以下、当期)の日本経済は、緩やかな回復傾向を辿りました。円安により輸入物価が上昇する中でも個人消費に持ち直しがみられ、新型コロナウイルス禍で先送りされていた企業の設備投資も拡大が続きました。一方、世界経済は世界的なインフレ圧力の高まりを受けて、世界の主要な中央銀行が金融引き締め政策に転換したことで、減速傾向となりました。日本の株式市場は、円安・ドル高による企業収益の改善期待の一方で、世界の主要な中央銀行が進める金融引き締め政策の影響が強まり、調整ムードが色濃くなりました。日経平均株価は6月9日の取引時間中に高値2万8,389円まで上昇し、約5カ月ぶりの高値を付けましたが、その後は世界の主要な中央銀行による利上げが相次いだことを受けて下落に転じ、6月20日には2万5,520円の安値を付けました。8月は中旬にかけて米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの過度な警戒感がひとまず和らぎ8月17日には高値2万9,222円を付け、1月5日以来7カ月ぶりに節目の2万9,000円台を回復しました。しかし、反発も一時的で、パウエルFRB議長が8月26日の「ジャクソンホール会議」の講演で利上げを継続する姿勢を改めて示したことで米国株が急落し、リスク回避の売りが日本株にも波及しました。9月も世界の主要な中央銀行による利上げが続き、FRBもタカ派姿勢を維持したことで過剰な金融引き締めによる世界的景気後退が意識され、日経平均株価は2万5,937円で当期末を迎えました。外国為替市場では、日米の金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが一段と進みました。9月22日に1ドル=145円台後半を付けた後で、政府・日銀は1998年6月以来、約24年ぶりとなるドル売り・円買いの為替介入に踏み切りました。介入実施後は145円付近で推移し、当期末は1ドル=144円台後半で終えました。日本の新興株式市場で、東証マザーズ指数は6月20日に615を付け、終値としては2020年4月以来、約2年2カ月ぶりの安値となりました。その後、8月17日には761まで上昇しましたが、695で当期末を迎えました。東証グロース市場では、相対的な割高感が意識される高PER(株価収益率)銘柄が売られ、東証グロース市場指数は6月20日に安値781まで下げました。しかしその後、グロース銘柄への見直し買いが入り、883で当期末を迎えました。当期における東証プライム市場の一日平均売買代金は3兆2,350億円、スタンダード市場の一日平均売買代金は878億円、グロース市場の一日平均売買代金は1,245億円となりました。
当社は、このような環境下、お客様本位の「ストック型ビジネスモデル」の構築を目指して、引き続き「改革の断行」に取り組んでおります。また本年は、「ストック型ビジネスモデル」構築のために策定いたしました中期経営計画「アタック3」が最終年度をむかえ、数値目標であります預り資産3兆円への拡大とコストカバー率60%達成にむけて、より強力に取り組みを進めております。
株式につきましては、低金利環境、高インフレの下で安定性と配当に注目した資産株のご提案に加え、当社グループの強みであるリサーチ力を生かした中小型成長企業への投資のご提案をするなど、お客様の中長期における資産形成としての株式投資をお勧めして参りました。いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」につきましては、お客様の保守的な資産の中長期運用商品としてのニーズが引き続き拡がっており、当期末の残高は1,939億円(前年同期末比11.4%増)となりました。投資信託(ラップを除く)につきましては、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」や「いちよし中小型成長株ファンド(愛称:あすなろ)」「いちよし日本好配当株&Jリートファンド(愛称:明日葉(あしたば))」、本年6月30日に運用を開始いたしましたノーロードファンドの「いちよし・グローバル株式ファンド(愛称:いちばん星)」等、お客様のニーズに即した提案に努めて参りました。当期末の残高は、7,242億円(前年同期末比8.3%減)となりました。グループのいちよしアセットマネジメントにおきましては、投資信託の基準価額が下落した影響等もありましたが、ファンドラップの契約が増加した結果、当期末の運用資産残高は4,252億円(前年同期末比49百万円増加)となりました。
以上の結果、当社グループの純営業収益は85億10百万円(前年同期比15.7%減)となりました。また、販売費・一般管理費は77億73百万円(同5.9%減)となり、差し引き営業利益は7億37百万円(同59.8%減)となりました。
なお、当期末の預り資産は、1兆8,718億円(前期末比4.1%減)となりました。また、当社が収支構造の安定化と「ストック型ビジネスモデル」への進捗状況を示す重要な経営指標の一つと位置付けておりますコストカバー率(投資信託の信託報酬やラップフィー等のいわゆる安定収益の販管費に対する比率)は、53.5%(前年同期比0.9ポイント増)となりました。
内訳につきましては以下のとおりです。① 受入手数料受入手数料の合計は83億18百万円(前年同期比15.2%減)となりました。
委託手数料:株券の委託手数料は21億90百万円(前年同期比21.5%減)となりました。このうち、中小型株式(東証スタンダード、東証グロース、名古屋メイン、名古屋ネクスト)の委託手数料は3億25百万円(同34.5%減)となり、株券委託手数料に占める中小型株式の割合は14.9%となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料:発行市場では、主幹事2社を含む新規公開企業8社(前年同期は主幹事2社を含む新規公開企業20社)の幹事・引受シンジケート団に加入いたしました。また、既公開企業に係る公募・売出しはありませんでした。この結果、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は1億29百万円(前年同期比45.6%減)となりました。当期末における累計引受社数は1,198社(うち主幹事66社)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料:
投資信託に係る手数料が14億53百万円(前年同期比30.0%減)となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料の合計は14億72百万円(同29.9%減)となりました。
その他の受入手数料:
その他の受入手数料は、当社の受益証券残高に係る信託報酬が20億37百万円(前年同期比1.3%減)、いちよしアセットマネジメントの運用に係る信託報酬が9億74百万円(同11.0%増)となり、これに当社のファンドラップに係るフィー等11億48百万円(同17.9%減)等を加え、合計44億39百万円(同3.5%減)となりました。
② トレーディング損益株券等のトレーディング損益は、15百万円(前年同期比78.2%減)の利益となりました。債券・為替等のトレーディング損益は、14百万円(同103.3%増)の利益となりました。その結果、トレーディング損益合計は29百万円(同61.1%減)の利益となりました。
③ 金融収支金融収益は、信用取引貸付金の期中平均残高の減少により82百万円(前年同期比28.6%減)、金融費用は、18百万円(同21.6%減)となり、差し引き金融収支は64百万円(同30.3%減)となりました。
以上の結果、当期の純営業収益は85億10百万円(前年同期比15.7%減)となりました。
④ 販売費・一般管理費販売費・一般管理費は、人件費の減少等により、77億73百万円(前年同期比5.9%減)となりました。
⑤ 営業外損益営業外収益が、投資有価証券配当金11百万円等で33百万円となり、差し引き26百万円(前年同期比69.8%減)の利益となりました。
以上の結果、当期の経常利益は7億63百万円(前年同期比60.3%減)となりました。
⑥ 特別損益特別利益が、投資有価証券売却益等で2百万円となり、差し引き2百万円(前年同期比98.4%減)の利益となりました。
これらにより、税金等調整前四半期純利益は7億65百万円(前年同期比62.7%減)となりました。これに法人税、住民税及び事業税2億26百万円及び法人税等調整額38百万円を減算した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は5億円(同66.7%減)となりました。
(2)財政状態の状況① 資産前期末に比べて17億56百万円(3.7%)減少し、461億79百万円となりました。これは、預託金が22億9百万円減少したこと等によるものです。
② 負債前期末に比べて3億77百万円(2.1%)減少し、174億92百万円となりました。これは、受入保証金が14億80百万円減少したこと等によるものです。
③ 純資産前期末に比べて13億78百万円(4.6%)減少し、286億86百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益5億円を計上したものの、配当金の支払い6億85百万円及び自己株式の取得12億62百万円があったこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は62.1%(前期末は62.7%)となりました。また、当社の自己資本規制比率は520.3%(前年同期は498.9%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益7億65百万円を計上、顧客分別金信託22億10百万円減少による増加、信用取引資産及び信用取引負債7億40百万円減少等により、26億61百万円(前年同期比7億41百万円の減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出、無形固定資産の取得による支出等により、△2億5百万円(同1億53百万円の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出12億62百万円、配当金の支払額6億84百万円等により、△18億72百万円(同11億88百万円の減少)となりました。以上により、当期末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末残高に比べ、5億86百万円増加し、174億79百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動該当事項はありません。
(6)主要な設備該当事項はありません。
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