【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
総資産は、前連結会計年度末に比べ6,621百万円増加し、198,021百万円となった。これは、主として現金及び預金と受取手形、売掛金及び契約資産が減少したが、棚卸資産、有形固定資産が増加したことによる。負債は、前連結会計年度末に比べ3,025百万円増加し、151,353百万円となった。これは、主として支払手形及び買掛金が増加したことによる。純資産は、前連結会計年度末に比べ3,595百万円増加し、46,667百万円となった。これは、主として為替換算調整勘定が増加したことによる。
②経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における国内経済は、全体としては緩やかな持ち直し傾向が続き、感染症対策がWithコロナに向けた新たな段階へ移行したことに伴い、サービス業を中心とした非製造業において回復傾向が見られた。海外においては、欧米各国での金融引き締めや、中国における感染再拡大の影響等により世界的に需要が減退し、原燃料価格などのコスト高止まりと合わせて国内の製造業にマイナス影響を与えた。
このような状況の下、当社グループは、中期経営計画「G-STEP30 1st(ジーステップ・サーティ ~ファースト)」の最終年度を迎え、基本方針である、「強固な事業ポートフォリオの構築」「グローバル化の推進」「社内風土・意識改革」の実現に向けた施策に取り組んできた。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比5.0%増収の88,173百万円となった。
一方、営業利益は、原燃料価格の高止まりや円安によるコストアップの影響を大きく受けて、同63.9%減益の1,769百万円となった。
なお、期初対比での円安により外貨建資産の為替評価益を計上した結果、経常利益は同46.6%減益の2,414百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同64.9%減益の1,101百万円となった。
事業セグメント別の経営成績は次のとおりである。
[高分子事業セグメント]
高分子事業セグメントでは、これまで堅調であった需要が停滞し、原燃料価格高騰と円安の影響が重なり、価格改定に取り組んだものの大幅なコストアップにより苦戦を強いられた。
フィルム事業では、包装分野、工業分野ともに需要が一段落し、流通過程の在庫調整に伴い受注が減少した。その中でも、ハイバリアナイロンフィルム「エンブレムHG」、シリコーンフリー離型ポリエステルフィルム「ユニピール」などの高付加価値品の販売は引き続き伸長した。原燃料価格の高騰に伴い価格改定を実施したが、改定幅を超えるコスト上昇により収益が圧迫された。この結果、事業全体で増収減益となった。
樹脂事業では、各用途で中国でのロックダウンや感染拡大により工場稼働が減少したが、レジャー用途の販売好調と、価格改定の効果により売上高は増加した。一方で、原燃料価格高騰の影響が価格改定の効果を上回った。この結果、事業全体で増収減益となった。
以上の結果、高分子事業セグメントの売上高は38,803百万円(前年同四半期比2.4%増)、営業利益は3,372百万円(同39.3%減)となった。
[機能資材事業セグメント]
機能資材事業セグメントでは、建築資材用途の販売は堅調であったが、電子材料用途の需要が急減した。原燃料価格や輸送コスト上昇の影響が続いており、収益面では苦戦した。
活性炭繊維事業では、主力の浄水器用途の需要が停滞し、自動車用途の販売も苦戦した。
ガラス繊維事業では、建築分野の不燃テント、シート等の販売が堅調であった。電子材料分野のICクロスは、半導体市況の悪化により第3四半期に入り需要が急減した。
ガラスビーズ事業では、道路用途の需要が徐々に回復したが、反射材用途の販売は低調であった。
不織布事業では、国内の販売状況は概ね横ばいであったが、海外への販売は順調に推移した。また、スキンケア用途では需要回復の兆しが見えた。
産業繊維事業では、各用途で需要が減退し、販売が減少した。また、原燃料価格の高騰により収益が大幅に悪化した。
以上の結果、機能資材事業セグメントの売上高は26,210百万円(前年同四半期比2.8%増)、営業損失は51百万円(前年同四半期は67百万円の利益)となった。
[繊維事業セグメント]
衣料繊維事業では、欧州の景況悪化を受け、海外向け販売の回復にブレーキがかかったが、国内では主力のユニフォーム分野やレディス衣料を中心に需要が回復した。一方で、原燃料高、円安、輸送費高騰など、サプライチェーン全般でのコスト上昇は続いており、収益が大幅に悪化した。
以上の結果、繊維事業セグメントの売上高は23,103百万円(前年同四半期比12.4%増)、営業損失は1,491百万円(前年同四半期は689百万円の損失)となった。
[その他]
その他の事業については、売上高は55百万円(前年同四半期比19.5%増)、営業損失は41百万円(前年同四半期は29百万円の損失)となった。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はない。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,788百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。