【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況経営成績当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立が進行しましたが、一方で、不安定な国際情勢や原材料・エネルギー価格の高騰と急激な円安を背景に、幅広い品目で消費者物価が上昇しており、国内経済の先行きは不透明な状況が続いております。このような状況の中、当社グループでは、当2023年3月期を抜本的な構造改革の年として、2022年2月14日公表の「事業ポートフォリオの転換に関するお知らせ」に記載のとおり、当社アパレル事業の大幅縮小による多額の赤字の解消と、不動産事業の拡大による安定的な収益基盤の確保を柱とする全社的な事業構造改革に取り組んでまいりました。アパレル事業の縮小につきましては、2022年12月までに全国に展開する208店舗の閉鎖を計画し、2022年5月より順次店舗の閉鎖を実施するとともに、閉店セール及びEC販路を活用した在庫の徹底消化とキャッシュ・フローの最大化に取り組んでまいりました。本社人員体制のスリム化につきましては、事業縮小によるブランドの絞り込み、業務範囲の見直し等を推し進め、当第3四半期末までに2022年2月時点の人員数に対し約52%のスリム化を図ってまいりました。一方、不動産事業の拡大につきましては、2022年2月14日及び同年4月1日に公表いたしましたとおり、4月1日付で全国に約70の収益物件を所有する株式会社キムラタンエステート(旧和泉商事有限会社)の株式取得が完了し、子会社化いたしました。
当第3四半期の売上高は、前年同期比2.4%増の31億3百万円となりました。事業ポートフォリオ転換により不動産事業が大幅拡大となりましたが、アパレル事業につきましては店舗販売が既存ベースでは堅調な推移となったものの、店舗数の減少に伴い事業全体では減収となりました。売上総利益率は、アパレル事業において、円安の進行よるコスト増に加え、持越し在庫の完全消化を優先課題として、閉店セールでの値引率を大幅に深め徹底消化を図った結果、前年同期に対し16.8ポイント減の30.8%となり、売上総利益額は前年同期比33.9%減の9億54百万円となりました。販売費及び一般管理費につきましては、不動産事業の拡大に伴う経費の純増と、不動産事業のM&Aに伴う株式取得関連費用1億49百万円や後記のシンジケートローン契約に伴う登記費用30百万円等の一時費用及びのれん償却額70百万円の計上が増加要因となりましたが、一方でアパレル事業の経費については、店舗閉鎖や本社スリム化など事業の縮小による人件費の減少、店舗家賃の減少等により大幅減となったことから、全社ベースでは前年同期比7.1%減の16億77百万円となりました。以上の結果、当第3四半期の営業損失は、在庫一掃に向けた粗利益率の減少に加え、前掲の一時費用の負担が重く、7億22百万円(前年同期は営業損失3億60百万円)となりました。経常損失は、急激な円安の進行により為替差損22百万円を計上したことや、2022年9月22日付「シンジケートローン契約締結に関するお知らせ」において公表のシンジケートローン契約締結に伴うアレンジメントフィー等の借入手数料1億45百万円の計上等により9億76百万円(前年同期は経常損失3億74百万円)となり、親会社株主に帰属する四半期純損失は9億88百万円(前年同期は四半期純損失3億87百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの名称および区分を変更しており、以下の前第3四半期連結累計期間との比較は、変更後の区分及び利益又は損失の算定方法に基づいております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「3.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
アパレル事業当四半期における既存店ベースの売上高は、前年同期比28.2%増となりました。行動制限が緩和され新型コロナウイルス感染症の影響が低減したことにより堅調な推移となりました。また、当第3四半期において、191店舗の店舗閉鎖を実施しましたが、閉店セールにおいては、値ごろ感を訴求した売場展開、販売動向に合わせた売価変更等を行った結果、前年同期の倍以上の販売推移となり、在庫の消化を促進してまいりました。店舗数については、当四半期において、インショップ及び直営店191店舗の閉鎖を実施し、当四半期末の店舗数は25店舗となりました。なお、うち15店舗は2023年1月に閉店、1店舗は2月の閉店予定であり、アウトレット2店舗を含む9店舗は継続の予定であります。以上の結果、店舗業態の売上高は、既存店ベースでは堅調な推移でありましたが、業態全体としては店舗数の減少に伴い、前年同期比14.7%減の13億83百万円となりました。ネット通販につきましては、前期に倉庫移転前の在庫一掃セールやタイムセール等を実施しましたが、当四半期においては、実店舗での閉店セールにおいて在庫の徹底消化を図ることとし、ネットでは価格訴求型の販売促進の抑制、送料無料キャンペーンの休止などを行ったことやブランド絞り込みによる影響により、売上高は前年同期比39.6%減の2億92百万円となりました。卸業態については、大手量販専門店との取り組みが進行しましたが、秋冬シーズンでの追加受注が低調となり、当四半期の売上高は前年同期比4.3%減の7億57百万円となりました。以上のとおり、当第3四半期におけるアパレル事業の売上高は、前年同期比16.3%減の24億32百万円となりました。セグメント利益については、6億10百万円の損失(前期はセグメント損失3億44百万円)となり、持越し在庫の完全消化に向けて値引率を深め販売強化を図ったことにより赤字幅は拡大する結果となりましたが、店舗閉鎖、本社スリム化による固定費削減が進み、在庫消化も計画を上回るなど、事業黒字化に向けた構造改革が進捗する結果となりました。
不動産事業前掲のとおり、当連結会計年度の期首においてM&Aによる株式会社キムラタンエステートの子会社化と不動産部門の設置、運営・管理体制の整備を行い、不動産事業を本格的に開始いたしました。当四半期においては、既存物件の価値向上による収益力の最大化を目指して、物件ごとに異なる顧客ニーズへの対応力強化による稼働率の向上と、徹底した効率化による管理コストの最小化を課題に掲げ、物件ごとの詳細な現状の分析や戦略立案に取り組んでまいりました。以上の結果、当四半期の不動産事業の売上高は、6億円となりセグメント利益は1億57百万円(前期はセグメント利益26百万円)となりました。
その他事業保育園事業においては、子育て応援企業として事業領域の拡大と本業アパレル事業とのシナジー創出による企業価値の向上を目指しながら、特徴ある保育園運営を継続しつつ、園児の募集にも注力し、園児の充足率の向上を目指してまいりました。その一方で全国的にも保育所が過剰となる転換期を向かえつつあり、保育そのものの質の向上による他園との差別化を迫られるなど競争が激化してきております。ウェアラブルIoT事業においては、引き続き導入園の拡大に向けて保育博への出展等の営業強化に注力するとともに、午睡中の見守りに特化した「おひるねバンド」型の新製品“cocolin lite”の開発に取り組んでまいりました。“cocolin lite”では、午睡中の姿勢の変化の誤検知が限りなくゼロであるウェアラブルならではの特長をそのままに、リスクの高い午睡時の体動変化の検知に特化することで、着脱が容易であるメリットを付加することにより、幅広く保育施設のニーズに対応しながら導入園の拡大を目指してまいります。上記のとおりウェアラブルにおいては、IoT技術への関心がより高まり広がっていることに加え、保育の現場でのニーズによりフィットした商品の提供も開始していることにより、前期売上高を超えて徐々に拡大しておりますが、一方で保育園事業においては競争激化に伴い、園児の確保、サービスや保育の質の向上にかかる費用の増加も相まって、当四半期におけるその他事業全体としての売上高は、前年同期比5.9%減の70百万円となり、セグメント利益は48百万円の損失となりました。
以上のとおり、当第3四半期においては、アパレル事業における在庫消化のための値引き販売増とM&Aに関連する一時費用の計上等により営業損失が前期に比べ拡大しましたが、アパレル事業においては計画に沿った店舗閉鎖と本社スリム化を着実に実行し赤字解消に向けた転換を推し進めており、不動産事業では四半期を通じて一定の稼働率を維持していることから、年度を通じた利益貢献が見込まれる状況にあります。今後も事業構造の改革を推進し、業績改善、黒字化に向け、一層の努力を重ねてまいります。
財政状態当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ、55億67百万円増加し81億54百万円となりました。期首に株式会社キムラタンエステート(旧和泉商事有限会社)の株式取得を行い子会社化したことに伴い、同社が所有する収益不動産及びのれんが増加したことが主要因であり、有形固定資産の増加56億48百万円、無形固定資産の増加12億47百万円が主な内訳であります。一方で現金及び預金3億82百万円、受取手形及び売掛金3億15百万円が減少したことに加え、アパレル事業縮小に伴う閉店セールにより在庫消化が進み、商品及び製品が6億76百万円減少しました。負債は、前連結会計年度末と比べ、55億86百万円増加し80億54百万円となりました。総資産と同様に株式会社キムラタンエステートの子会社化により、借入金が57億56百万円増加したことが主要因であります。純資産は、前連結会計年度末と比べ、19百万円減少し1億円となりました。主な増加要因は、2022年6月3日開催の取締役会決議に基づく新株式の発行(DES)による資本金及び資本剰余金の増加8億9百万円と、第16回新株予約権の権利行使(94,000個)による増加1億73百万円であります。主な減少要因は親会社株主に帰属する四半期純損失9億88百万円であります。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の3.8%から1.0%となりました。なお、アパレル事業の縮小については当第3四半期までに概ね計画どおりに進捗しており、第4四半期以降は黒字転換を見込んでおりますが、一方で2023年1月30日に公表いたしました「(開示事項の変更)子会社の事業縮小の中止並びに子会社に対する債権放棄及び子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ」に記載のとおり、子会社中西株式会社の株式譲渡及び同社に対する貸付金債権の一部放棄に伴って発生する損失を 2023年3月期に計上する予定であり、将来に向けて財務健全化を図るために、期末までに資本増強を実行することを検討しております。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間において、特記すべき事項はありません。
(6) 従業員数
① 連結会社の状況当第3四半期連結累計期間において、当社グループはアパレル事業の縮小を実行しており、本社人員のスリム化と店舗の閉店を順次行っております。これに伴い、アパレル事業の従業員数は18名減少しております。なお、従業員数は就業人員数であります。
② 提出会社の状況当第3四半期累計期間において、当社はアパレル事業の縮小を実行しており、本社人員のスリム化を行っております。これに伴い、アパレル事業の従業員数は、11名減少しております。なお、従業員数は就業人員数であります。