【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化を背景に緩やかな回復基調が継続しているものの、継続的な資源・エネルギー価格の高騰や為替変動等、先行きが不透明な状況となっております。海外においても、物価高や金融引き締めの影響から米欧経済が減速しており、中国経済もゼロコロナ政策解除により一旦は持ち直しましたが、中国国内の需要低迷や輸出の伸び悩み等、引き続き不透明な状況が継続しております。
医療面におきましては、国内では高齢化や健康・医療ニーズの多様化を背景に、医療及びヘルスケア分野の需要が高まっております。政府も成長戦略の一つとして「次世代ヘルスケア」を挙げており、引き続き活性化が見込まれております。海外においても先進国の高齢化や新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大と医療の質・サービス向上へのニーズの高まりに加えて、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)等の最先端技術のヘルスケア領域への実装が急速に進展しており、今後も継続した成長が期待されております。
このような状況の下、当社は、Roche Diagnostics International Ltd.(以下、ロシュ)と、臨床検査室のお客様への更なる価値の提供及び持続可能な社会の実現に向けて、長期的な課題に両社で取り組んでいくことを目的に、Global Business Partnership Agreement(以下、GBP契約)を拡張いたしました。今回のGBP契約更新には、生化学検査・免疫検査製品とヘマトロジー製品を1社から同時に求められる案件に関する非独占協業契約の更新に加えて、環境課題解決に向けた協業テーマの検討を開始することを定めた協業契約の追加等が含まれます。今後、経営資源の共有やサプライチェーンの補完等、ロシュとの中長期的な相互の協業を通じて、お客様の期待を超える価値の高い製品・サービスの提供と、社会課題の解決に向けた新たな価値の協創に向けて取り組んでまいります。
免疫検査分野では、微量の血液からアルツハイマー病の原因となる脳内アミロイドβ(Aβ)の蓄積状態を調べる検査試薬の日本発売に続き、米国におけるLDT※1向け試薬として大手検査センターに供給を開始いたしました。今後、日本に続き、グローバルに本試薬の体外診断用医薬品としての薬事承認に向けた活動を推進してまいります。
ライフサイエンス分野における遺伝子検査では、遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD)※2の疾患原因遺伝子の情報を取得する「PrismGuide™ IRDパネル システム」が、IRDの遺伝子パネル検査※3システムとして国内で初めて保険適用を受けました。本システムは、IRDの原因となりうる82遺伝子の同定を目的として、IRD患者さん又はIRDと疑われる患者さんの血液から包括的なゲノムプロファイル※4を取得します。原因遺伝子に応じた治療計画やロービジョンケア※5計画の策定、及び遺伝カウンセリング※6が実施されれば、早期に適切な治療を開始できることに加えて、発症リスクや症状の進行予測を踏まえた就学・就職準備等、患者さんのライフイベントに合わせた事前対応が可能となり、患者さんやそのご家族のQOL向上に大きく貢献します。
加えて、「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」について、大鵬薬品工業株式会社が開発した分子標的薬フチバチニブ※7の胆道がん※8患者さんへの適応を調べるコンパニオン診断として、日本における保険適用を受けました。これに伴い、当社の子会社である株式会社理研ジェネシスが、国際基準に準拠した品質保証の下で、保険適用に対応したアッセイサービスを開始いたしました。これにより、フチバチニブの適応判定を保険診療下で行うことが可能になり、今後、胆道がんの患者さんへ新たな治療の選択肢を提供できることが期待されます。
最後にメディカルロボット事業では、日本発の手術支援ロボットシステム「hinotori™ サージカルロボットシステム」(以下、hinotori™)のグローバル総代理店である当社は、日本の医療機関を対象に製品導入を推進しております。また、当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイド(以下、メディカロイド)は、グローバル展開に向けた薬事・販売体制等の準備を推進しております。2023年7月には、手術操作と鉗子動作の接続を遮断するクラッチ操作を、足元のフットペダルに加え、手元でも操作できる「ハンドクラッチ機能」を搭載したバージョンアップモデルの販売を開始いたしました。海外においては、メディカロイドとシンガポール現地法人Medicaroid Asia Pacific Pte. Ltd.は、hinotori™について、2023年9月13日付でシンガポールのHealth Sciences Authority(健康科学庁)より販売承認を取得いたしました。今後も、メディカロイドが進める海外における薬事申請活動と連携し、海外市場においても順次製品の導入を目指します。
※1 LDT:Laboratory Developed Test(自家調製検査)の略。医療機関や検査センター等の臨床検査室内において、独自の品質管理規定に基づき行われる検査。
※2 遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD):遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患であり、日本における指定難病の網膜色素変性症、黄斑ジストロフィ、アッシャー症候群が含まれる。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィと呼ぶ。夜盲(暗いところでものが見えにくくなる)や視野狭窄(視野が狭くなる)、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。
※3 遺伝子パネル検査:関連する複数の遺伝子の変異状況を一度に調べる検査法。
※4 包括的なゲノムプロファイル:疾患の診療上重要な、検体中の複数の遺伝子の変異を同時に解析して得られる情報。
※5 ロービジョンケア:視覚に障害があるため、生活上何らかの支障がある方に対するすべての支援の総称であり、医療的なケアから教育的、職業的、社会的、福祉的、心理的ケアまで、広い範囲にわたる支援を意味する。
※6 遺伝カウンセリング:日本医学会によると、疾患の遺伝学的関与について、その医学的影響、心理学的影響及び家族への影響を人々が理解し、それに適応していくことを助けるプロセスであり、リスクや状況に対するインフォームド・チョイス(十分な情報を得た上での自律的選択)と適応を促進するためのカウンセリング等が含まれるとされている。
※7 フチバチニブ:大鵬薬品工業株式会社が創製した新規経口抗がん剤で、遺伝子異常を持つ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)と呼ばれるタンパク質の働きを阻害することにより、がん細胞の増殖を抑制する。2022年9月には、米国において「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子またはその他の再構成を伴う切除不能な局所進行または転移性肝内胆管がん」の適応での迅速承認、2023年7月には、欧州において「全身療法後に進行したFGFR2融合または再構成を伴う局所進行または転移性の胆管がん」の適応で条件付き販売承認を取得している。
※8 胆道がん:胆道に発生するがんの総称で、発生部位により、胆管がん(肝臓内の胆管に発生する肝内胆管がんを含む)、胆のうがん、乳頭部がんに分類される。
<参考>地域別売上高
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
国内
28,792
14.9
27,668
13.0
96.1
米州
50,262
25.9
57,209
26.9
113.8
EMEA
55,178
28.4
60,474
28.4
109.6
中国
42,865
22.1
47,514
22.4
110.8
アジア・パシフィック
16,923
8.7
19,831
9.3
117.2
海外計
165,229
85.1
185,030
87.0
112.0
合計
194,022
100.0
212,698
100.0
109.6
国内販売につきましては、ヘマトロジー分野及び尿検査分野における機器の売上が増加いたしましたが、新型コロナウイルス感染症に関する検査需要の低下により免疫検査分野における試薬の売上が減少したことに加え、メディカルロボット事業分野における機器の売上が減少した結果、国内売上高は27,668百万円(前年同期比3.9%減)となりました。
海外販売につきましては、ヘマトロジー分野における機器、試薬及び保守サービスの売上が増加したことに加え、為替相場が円安に推移した結果、海外売上高は185,030百万円(前年同期比12.0%増)、構成比87.0%(前年同期比1.9ポイント増)となりました。
また、販売費及び一般管理費につきましては、前年同期は一部地域において新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限の影響が残っていたものの、当年度は販売及びサービス活動が再開したこと等により増加した結果、62,591百万円(前年同期比18.1%増)となりました。
以上により、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は212,698百万円(前年同期比9.6%増)、営業利益は33,824百万円(前年同期比2.0%増)、税引前四半期利益は33,300百万円(前年同期比3.6%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は22,186百万円(前年同期比7.5%減)となりました。
セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。
① 日本
ヘマトロジー分野及び尿検査分野における機器の売上が増加いたしましたが、新型コロナウイルス感染症に関する検査需要の低下により免疫検査分野における試薬の売上が減少したことに加え、メディカルロボット事業分野における機器の売上が減少した結果、売上高は29,761百万円(前年同期比3.9%減)となりました。
利益面につきましては、売上原価率が改善いたしましたが、販売費及び一般管理費の増加により、セグメント利益(営業利益)は22,591百万円(前年同期比5.4%減)となりました。
② 米州
北米においては、ヘマトロジー分野及び尿検査分野における機器、試薬及び保守サービスの売上が増加いたしました。南米においては、ヘマトロジー分野及び尿検査分野における機器及び試薬の売上が増加いたしました。その結果、売上高は54,242百万円(前年同期比14.7%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、増収及び売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は4,133百万円(前年同期比220.6%増)となりました。
③ EMEA
ヘマトロジー分野における試薬及び保守サービス、ライフサイエンス分野における機器及び試薬の売上が増加した結果、売上高は61,488百万円(前年同期比9.6%増)となりました。
利益面につきましては、売上原価率の悪化、販売費及び一般管理費の増加により、セグメント利益(営業利益)は2,980百万円(前年同期比51.3%減)となりました。
④ 中国
検査需要の回復を背景に、現地生産化による効果も寄与しヘマトロジー分野における機器及び試薬の売上が増加、尿検査分野及び免疫検査分野における試薬の売上が増加した結果、売上高は47,450百万円(前年同期比10.8%増)となりました。
利益面につきましては、売上原価率の悪化、販売費及び一般管理費の増加により、セグメント利益(営業利益)は3,921百万円(前年同期比8.8%減)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
ヘマトロジー分野における機器、試薬及び保守サービス、免疫検査分野における試薬の売上が増加した結果、売上高は19,755百万円(前年同期比17.4%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加いたしましたが、増収及び売上原価率の改善により、セグメント利益(営業利益)は3,026百万円(前年同期比20.0%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて26,759百万円増加し、557,834百万円となりました。この主な要因は、営業債権及びその他の債権が3,569百万円、棚卸資産が7,214百万円、有形固定資産が7,317百万円、無形資産が4,512百万円増加したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて5,006百万円減少し、137,711百万円となりました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が4,120百万円、未払法人所得税が3,105百万円、未払賞与が2,234百万円減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて31,766百万円増加し、420,122百万円となりました。この主な要因は、その他の資本の構成要素が18,046百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の73.0%から2.2ポイント増加して75.2%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より851百万円減少し、68,608百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動の結果得られた資金は、30,671百万円(前年同期比2,401百万円増)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が33,300百万円(前年同期比1,246百万円減)、減価償却費及び償却費が17,075百万円(前年同期比1,634百万円増)、営業債権の減少額が3,112百万円(前年同期比7,974百万円減)、法人所得税の支払額が15,276百万円(前年同期比1,786百万円増)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動の結果使用した資金は、23,502百万円(前年同期比2,329百万円減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が10,552百万円(前年同期比3,428百万円増)、無形資産の取得による支出が11,659百万円(前年同期比867百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が273百万円(前年同期比4,807百万円減)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動の結果使用した資金は、12,809百万円(前年同期比863百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が8,788百万円(前年同期比629百万円増)、リース負債の返済による支払額が4,374百万円(前年同期比469百万円増)となったこと等によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」内の「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載について重要な変更はありません。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」内の「重要な会計方針及び見積り」の記載について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は15,012百万円であります。
また、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当第2四半期連結累計期間における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。
① 2023年5月 当社は、日本国内において、「フローサイトメーター XF-1600」、「検体前処理装置 PS-10」を合わせたクリニカルフローサイトメトリー※1システム、及び抗体試薬等の関連製品を発売いたしました。
※1 フローサイトメトリー(FCM):微細な粒子を流体中に分散させ、その流体を細く流して、個々の粒子を光学的に分析する手法のこと。主に細胞を個々に観察する際に用いられる。
② 2023年6月 当社は、血液からアルツハイマー病の原因となる脳内アミロイドβ(Aβ)の蓄積状態を調べる検査試薬「HISCL™ β-アミロイド 1-42 試薬」及び「HISCL™ β-アミロイド 1-40 試薬」を日本で発売いたしました。
③ 2023年6月 当社は、尿路感染症※2が疑われる患者さんの尿検体を用いて、測定開始後最短約30分で細菌の有無及び抗菌薬の有効性を判定する迅速薬剤感受性検査システムを欧州で発売いたしました。
※2 尿路感染症:尿路(腎臓から尿の出口まで)に細菌が進入し炎症が生じたものを尿路感染症という。膀胱では膀胱炎、腎臓では腎盂腎炎を引き起こす。日常診療において最も頻度が高いとされる細菌感染症の一つで、女性の約6割が生涯に一度は感染するとされている。
④ 2023年7月 当社は、手術支援ロボット「hinotori™サージカルロボットシステム」において、手術操作と鉗子動作の接続を遮断するクラッチ操作を、足元のフットペダルに加え、手元でも操作できる「ハンドクラッチ機能」を搭載したバージョンアップモデルの販売を開始いたしました。
⑤ 2023年8月 当社は、血液中のアミロイドβを測定する試薬を米国におけるLDT※3向け試薬として大手検査センターに供給を開始いたしました。本LDTは、アルツハイマー病の原因とされる脳内のAβの蓄積状態の把握を補助する検査であります。
※3 LDT:Laboratory Developed Test(自家調製検査)の略。医療機関や検査センター等の臨床検査室内において、独自の品質管理規定に基づき行われる検査。
⑥ 2023年8月 当社は、遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD)※4の患者さん又はIRDと疑われる患者さんの血液から包括的なゲノムプロファイル※5を取得することで、IRDの原因遺伝子の同定に有用な情報を提供する「PrismGuide™ IRDパネル システム」(2023年5月に国内での製造販売承認取得)が、IRDの遺伝子パネル検査※6システムとして国内で初めて保険適用を受けました。
※4 遺伝性網膜ジストロフィ(Inherited Retinal Dystrophy: IRD):遺伝子変異が原因と考えられる遺伝性進行性の疾患。類似の症状を示すいくつかの疾患を総じて遺伝性網膜ジストロフィと呼ぶ。夜盲(暗いところでものが見えにくくなる)や視野狭窄(視野が狭くなる)、視力低下が主な症状であり、進行すると場合によっては失明に至ることもある。代表的な疾患は網膜色素変性症(指定難病:告示番号90)であり、頻度は4,000~8,000人に1人とされている。
※5 包括的なゲノムプロファイル:疾患の診療上重要な、検体中の複数の遺伝子の変異を同時に解析して得られる情報。
※6 遺伝子パネル検査:関連する複数の遺伝子の変異状況を一度に調べる検査法。
⑦ 2023年9月 当社は「OncoGuide™ NCCオンコパネルシステム」が、大鵬薬品工業株式会社が開発した「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子※7陽性の治癒切除不能な胆道がん」への治療薬フチバチニブ※8の胆道がん※9患者さんへの適応を調べるコンパニオン診断として、日本における保険適用を受け、子会社である株式会社理研ジェネシスでの保険適用に対応したアッセイサービスを開始いたしました。
※7 FGFR2融合遺伝子:FGFR(fibroblast growth factor receptor)はFGFR1-4の4種類が同定されており、細胞の成長や増殖に関わる線維芽細胞増殖因子受容体と呼ばれるタンパク質である。FGFR遺伝子異常には、融合、変異、増幅等があり、これら遺伝子異常により機能が活性化されると、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性等に結び付くと考えられている。日本において胆道がんの一種である切除不能な胆管がんの患者さんを対象とした研究では、FGFR2遺伝子再構成の陽性率は、肝内胆管がんで7.4%、肝外胆管がん(肝門部領域胆管がん)で3.6%との報告がある。
※8 フチバチニブ:大鵬薬品工業株式会社が創製した新規経口抗がん剤で、遺伝子異常を持つ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)と呼ばれるタンパク質の働きを阻害することにより、がん細胞の増殖を抑制する。2022年9月には、米国において「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子またはその他の再構成を伴う切除不能な局所進行または転移性肝内胆管がん」の適応での迅速承認、2023年7月には、欧州において「全身療法後に進行したFGFR2融合または再構成を伴う局所進行または転移性の胆管がん」の適応で条件付き販売承認を取得している。
※9 胆道がん:胆道に発生するがんの総称で、発生部位により、胆管がん(肝臓内の胆管に発生する肝内胆管がんを含む)、胆のうがん、乳頭部がんに分類される。
