【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の分析当社グループ(当社及び連結子会社3社)は、遺伝子の働きを利用した「遺伝子医薬」の開発、実用化を目指し、研究開発を行う創薬系のバイオベンチャーです。遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指して、自社における医薬品の開発及び開発パイプラインの拡充のための国内外企業との共同開発、業務提携、資本参加等を積極的に行っています。当第3四半期連結累計期間の事業収益は前年同期に比べ1百万円増加し45百万円(前年同期比3.1%増)となりました。当社グループでは、コラテジェン®の条件及び期限付製造販売の承認を取得し、2019年9月から田辺三菱製薬株式会社(以下「田辺三菱製薬」といいます。)より販売しておりますが、当面の治療に必要な数量を前年度中に概ね出荷完了しているため、当第3四半期連結累計期間においての製品売上高は7百万円(前年同期比23百万円の減収)となりました。一方、アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下「ACRL」といいます。)において前2021年度第3四半期連結会計期間より実施している希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査は安定的に推移し、手数料収入として38百万円(同24百万円の増収)を計上いたしました。 一方、当第3四半期連結累計期間における事業費用は、前年同期に比べ2億93百万円増加し、125億1百万円(同2.4%増)となりました。 売上原価は、前年同期に比べ34百万円増加し、73百万円(同86.4%増)となりました。これは主に、ACRLにおける希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査にかかる原価を計上したことによります。 研究開発費は、前年同期に比べ37百万円増加し、85億27百万円(同0.4%増)となりました。新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの製造関連費用及びVasomune Therapeutics, Inc.(以下「Vasomune社」といいます。)との共同開発品であるTie2チロシンキナーゼ受容体アゴニスト(AV-001)について共同開発費当社負担分を計上したこと等により、外注費が4億73百万円増加しております。主にEmendo社の人員の増加により、給料手当が2億6百万円増加しております。一方、新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの目標症例の投与が完了したことにより、研究用材料費は4億64百万円減少しております。また、新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの研究にかかる研究用消耗品等の減少により、消耗品費が2億28百万円減少しております。当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業は先行投資が続きますが、提携戦略などにより財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発の詳細については、本報告書「(4)研究開発活動」をご参照ください。 販売費及び一般管理費は前年同期に比べ2億21百万円増加し、38億99百万円(同6.0%増)となりました。為替の円安に伴い、Emendo社買収に伴うのれん償却額が前年同期より3億23百万円増加しております。主にEmendo社に関連する弁護士等専門家及びコンサルタントへの報酬が減少したため、支払手数料が前年同期より91百万円減少しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の営業損失は前年同期に比べ2億91百万円拡大し、124億55百万円(前年同期の営業損失は121億63百万円)となりました。
当第3四半期連結累計期間の経常損失は前年同期に比べ17億60百万円縮小し、100億62百万円(前年同期の経常損失は118億23百万円)となりました。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より採択された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」の助成金に関して、すでに入金が行われ前受金に計上しておりましたが、当第3四半期連結累計期間において2021年度分の確定検査結果通知を受領したことから、1億18百万円を前受金から補助金収入に振替えております。また、Vasomune社が米国及びカナダにおいて獲得した助成金について、当社開発費負担分に応じて2億51百万円受領し、補助金収入に計上しております。この結果、補助金収入は3億69百万円となりました。さらに、為替の円安に伴い、外貨預金及びEmendo社への貸付金の評価替を行った結果、為替差益が20億15百万円発生しております(前年同期は3億69百万円の為替差益)。当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失は、17億58百万円改善し、101億94百万円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失は119億52百万円)となりました。前年同期においては、ストックオプションの権利行使期間終了による権利失効に伴い新株予約権戻入益を32百万円計上しておりましたが、当期においては発生しておりません。当社が保有する固定資産につきまして、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、投資額と投資期間全体を通じた回収可能額について比較検討した結果、「医薬品開発ビジネス事業」の固定資産につき1億4百万円を減損損失として計上しております。当社が保有する投資有価証券について、簿価に比べて時価が著しく下落したため、減損処理による投資有価証券評価損6百万円を計上しております(前年同期は1億63百万円の計上)。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べ55億60百万円減少し、398億95百万円となりました。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より助成金7億74百万円の入金がありましたが、当期事業費用への充当により、現金及び預金は78億47百万円減少し、100億51百万円となりました。コラテジェン®の原薬を製造したことに伴い、原材料及び貯蔵品が3億17百万円増加して15億11百万円となりました。新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチンの製造が終了したことに伴い、前渡金が12億73百万円減少して4億40百万円となりました。前年度の消費税等の還付により、未収消費税等が1億26百万円減少して2億93百万円となりました。流動資産は89億66百万円減少し、124億59百万円となっております。 当第3四半期会計期間末の固定資産は34億5百万円増加し、274億35百万円となっております。これは主に、のれんが前連結会計年度末に比べ34億93百万円増加して261億69百万円となったことによるものです。のれんの償却による21億6百万円の減少はありましたが、円安による為替変動の影響により56億円増加しております。 当第3四半期連結会計期間末の負債は前連結会計年度末に比べ2億43百万円増加し、70億64百万円となりました。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より採択された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に関する助成金が入金され、前受金が6億44百万円増加しております。前年度の費用の支払により、買掛金が1億37百万円、未払金が1億70百万円減少しております。
当第3四半期連結会計期間末の純資産は前連結会計年度末に比べ58億3百万円減少し、328億30百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失101億94百万円の計上により、利益剰余金が減少しております。主にのれんに係る為替変動の影響により、為替換算調整勘定が44億3百万円増加しております。
(3) 対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更、及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における研究開発費は85億27百万円(前年同期比37百万円(∔0.4%)の増加)となりました。当第3四半期連結累計期間における研究開発活動では、2022年9月7日に発表いたしました「HGF遺伝子治療用製品の慢性動脈閉塞症における安静時疼痛の適応追加に向けた国内開発の中止に関するお知らせ」、「新型コロナウイルス感染症(武漢型)向けDNAワクチンの開発中止及び新型コロナウイルス感染症の変異株に対する改良型DNAワクチン並びにその経鼻投与製剤の研究開始に関するお知らせ」及び「改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤に関する米国スタンフォード大学との共同研究契約の締結について」のとおり、既存開発品の開発中止並びに改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤の共同研究を開始いたしました。その結果として、以下に、当社グループが取り組んでいる研究開発の状況をお知らせいたします。
■HGF遺伝子治療用製品(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド)(自社品)HGF遺伝子治療用製品は、当社が設立以来手がけてきた主力のプロジェクトで、重症下肢虚血を対象とした開発を進め、再生医療等製品として2019年3月26日、厚生労働省から重症下肢虚血の潰瘍の改善の効能効果で条件及び期限付製造販売承認を取得し、国内初の遺伝子治療用製品「コラテジェン®」として2019年9月10日より発売を開始いたしました。現在、製造販売後調査を実施しており、本承認に向けた申請準備を進めております。なお、日本における安静時疼痛に対する適応追加につきましては、2022年9月7日の発表のとおり、主要評価項目である二重盲検試験期(ステージ1)において12週後の安静時疼痛(VAS)の投与前値からの変化量においてプラセボ群に対して有意差を見出せなかったことから、開発の中止を決定いたしました。また、米国における慢性動脈閉塞症の下肢潰瘍患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験も概ね計画に沿って進捗しており、承認申請に向けて今後も開発を継続してまいります。田辺三菱製薬と当社は、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の販売に関し、日本及び米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結しており、同社が販売を担当いたしております。■NF-κBデコイオリゴDNA当社は、椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAの開発を米国において進めております。2018年2月より椎間板性腰痛症を対象とした後期第Ⅰ相臨床試験は、投与後の観察期間6カ月間に続き、12ケ月間を経た結果でも、患者の忍容性は高いうえ、重篤な有害事象も認められず、安全性を確認しております。さらに、探索的にデータを評価したところ、患者の腰痛の著しい軽減とその効果の持続が認められ、有効性も確認いたしました。現在、今後の開発方針を検討しております。■高血圧治療用DNAワクチン(自社品)当社は、血圧上昇作用を持つ体内物質である「アンジオテンシンⅡ」に対する抗体を体内で作り出し、その働きを抑えることで高血圧を治療することを目的に高血圧治療用DNAワクチンの開発を進めております。オーストラリアでの第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験は投与後の初期の試験結果の評価を行ったところ、重篤な有害事象はなく、安全性に問題がないことを確認し、アンジオテンシンⅡに対する抗体産生を認めました。分析結果は、論文としHypertension Researchに掲載し、第43回日本高血圧学会総会Late Breaking Abstractでも発表いたしました。今後、安全性、免疫原性及び有効性を評価する試験の実施に向けて継続的に検討を行ってまいります。■新型コロナウイルス感染症予防DNAワクチン(自社品)当社は、プラスミドDNAの技術を用いて2020年3月より大阪大学と共同で新型コロナウイルス感染症に対する予防用ワクチンの開発を開始し、これまでに第Ⅰ/Ⅱ相及び第Ⅱ/Ⅲ相の臨床試験を実施いたしました。さらに有効性を高めるための取り組みとして、高用量製剤での第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を、接種方法を筋肉注射と皮内投与の2種類とし、2021年11月に目標症例の接種を完了いたしました。2022年9月7日の発表のとおり、臨床試験の速報データにより、安全性については確認されたものの、高用量製剤は当初開発した初期のワクチンよりも免疫原性は増強したものの、筋肉内接種群と皮内接種群いずれにおいても、主要評価項目である、12週後のSARS-CoV-2のシュードウイルスに対する中和活性及び12週後のSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質特異的抗体価が期待する水準には至らなかったことから、開発の中止を決定いたしました。一方、同日の発表のとおり、当社は、スタンフォード大学と同大学医学部教授であるDr.Ramasamy Paulmurugan及びDr.Tarik Massoudが開発した「Gold-Nanostar Octopod」技術を活用し、新型コロナウイルス感染症を含むウイルス性肺疾患に対し、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待される改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤の共同研究を開始いたしました。■Tie2チロシンキナーゼ受容体アゴニスト(新型コロナウイルス感染症治療薬)(共同開発品)当社は、カナダのバイオ医薬品企業であるVasomune社と急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした医薬品を共同開発しております。Tie2チロシンキナーゼ受容体アゴニスト(AV-001)は、新型コロナウイルス感染症治療薬として、2020年12月より健康成人を対象とした第Ⅰ相臨床試験を米国において実施し、安全性と忍容性を認め、良好な結果を確認いたしました。2022年1月より前期第Ⅱ相臨床試験を米国で実施しております。■Zokinvy(一般名:ロナファルニブ)(導入品)当社は2022年5月10日に米国の医薬品企業であるEiger
BioPharmaceuticals Inc.(以下「Eiger社」といいます。)と、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群とプロジェロイド・ラミノパチーの適応症の治療薬であるZokinvyについて、日本における独占販売契約を締結しました。当社は、一日も早い薬事承認・薬価収載を目指し、国内承認取得の準備を進めております。
■ゲノム編集技術による遺伝子治療用製品開発当社は、究極の遺伝子治療法ともいわれるゲノム編集技術を用いた遺伝子疾患治療に挑むため、2020年12月にゲノム編集における先進技術及びそれを活用した開発パイプラインを持つEmendo社を子会社化いたしました。Emendo社では、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼ(※1)を探索・最適化するプラットフォーム技術(OMNI Platform)を確立しており、ゲノム編集でしばしば問題視される「オフターゲット効果」(※2)を回避できるなど、新たな特徴をもった新規ヌクレアーゼ(OMNI ヌクレアーゼ)を数多く作出し、特許を出願しております。Emendo社ではOMNI Platformの更なる性能向上、効率化を目指した開発を継続しております。同時にEmendo社では、様々な遺伝子疾患について、その疾患と遺伝子変異の分子機構の理解に基づき、疾患に応じてゲノム編集戦略を構築し、数多くのOMNI ヌクレアーゼの中から適切なヌクレアーゼを選択し、それをさらに標的配列に対して最適化して、これまでゲノム編集では対象とできなかった疾患を含め、様々な疾患に対する安全で有効な治療の開発を進めております。なかでも、ELANE(好中球エラスターゼ遺伝子)の異常によるELANE関連重症先天性好中球減少症(※3)を対象とするゲノム編集治療については、米国での治験に向け、FDAと協議を開始しております。ELANE関連重症先天性好中球減少症では、対になっている遺伝子配列の一方のみの変異により発症するため、その治療は、ほとんど同じ配列をもつ対の遺伝子のうち、変異のある遺伝子のみを破壊するという非常に精度の高いゲノム編集が必要となります。※1 新規CRISPRヌクレアーゼ:ゲノム編集で使用する新たなRNA誘導型DNA切断酵素で、ガイドRNAで規定した塩基配列を識別し、
その標的とした塩基配列を切断する。※2 オフターゲット効果:ゲノム編集で、DNA鎖上の目的とする塩基配列以外の別の領域に、意図せぬ突然変異を引き起こしてしま
うこと。※3 ELANE関連重症先天性好中球減少症:顆粒球系細胞の成熟障害により発症する好中球減少症で、発症すると細菌感染などが起き
やすくなり、中耳炎や気道感染症、蜂窩織炎、皮膚感染症を繰り返し、敗血症などにより死亡することもある。
その他の研究開発の状況■マイクロバイオームを用いた治療薬・サプリメントなどの開発当社は、腸内細菌叢を利用した疾患治療薬や健康維持のサプリメントを開発しているイスラエルのMyBiotics
Pharma Ltd.(以下「MyBiotics社」といいます。)と2018年7月に資本提携しております。MyBiotics社では、腸内細菌叢の微生物の構成を再現した培養物(SuperDonor)の製造法を確立しており、クロストリジウム・ディフィシル感染症の治療薬MBX-SD-202の第1相臨床試験をイスラエルにおいて完了し、今後の開発を米国で実施するべく、FDAと協議を行っております。
(5) 事業のリスクに記載した重要事象等についての分析及び改善するための対応方法医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループにおいては、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 当社グループは当該状況を解消すべく、下記を重要な課題として取り組んでおります。①自社既存プロジェクトの推進当社グループでは、2019年3月に国内初の遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の条件及び期限付承認を厚生労働省から取得し、同年9月から販売を開始いたしました。現在、製造販売後承認条件評価を行うとともに米国では閉塞性動脈硬化症を対象とした臨床試験を進めております。また、現在海外で臨床試験を進めております椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNA、高血圧DNAワクチンの開発、及びスタンフォード大学との新型コロナウイルス感染症の変異株に対する改良型DNAワクチンとその経鼻投与製剤の共同研究、Vasomune社と共同開発している急性呼吸不全など血管の不全を対象とする治療薬のプロジェクトを推進しております。これらのプロジェクトを確実に推進していくことが最優先課題であると考えております。②開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大当社グループはゲノム編集における先進技術を持つ子会社のEmendo社において、究極の遺伝子治療ともいわれるゲノム編集で具体的なプロジェクト化に向けて準備を進めています。同社は、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼを探索・最適化するプラットフォーム技術(OMNI Platform)を確立しており、本技術の更なる性能向上、効率化を目指した開発を継続しております。同時にEmendo社では、様々な遺伝子疾患について、その疾患と遺伝子変異の分子機構の理解に基づき、疾患に応じてゲノム編集戦略を構築し、数多くのOMNI ヌクレアーゼの中から適切なヌクレアーゼを選択し、それをさらに標的配列に対して最適化して、これまでゲノム編集では対象とできなかった疾患を含め、様々な疾患に対する安全で有効な治療の開発を進めております。当社は米国の医薬品企業であるEiger社と、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群とプロジェロイド・ラミノパチーの適応症の治療薬であるZokinvyについて、日本における独占販売契約を締結し、一日も早い薬事承認・薬価収載を目指し、国内承認取得の準備を進めております。また、昨年開設いたしましたACRLの「希少遺伝性疾患のオプショナルスクリーニング検査」は安定的に推移しております。これらの開発パイプラインの拡充や事業基盤の拡大により、当社グループは遺伝子治療の世界でグローバルリーダーを目指します。今後も、ライセンス導入や共同開発、創薬プラットフォーム技術の獲得を目指した事業提携に加え、他社に対する資本参加や他社の買収等により開発品パイプラインの拡充による事業基盤の拡大を図り、将来の成長を実現してまいります。③開発プロジェクトにおける提携先の確保当社グループでは、開発プロジェクトのリスクを低減するために、製薬会社と提携し、契約金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進めるという提携モデルを基本方針としております。「コラテジェン®」について日本と米国を対象とした独占的販売契約を田辺三菱製薬と締結しており、マイルストーン収入やロイヤリティ収入が見込めます。また、2019年2月にイスラエルにおけるHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」の独占的販売権の許諾について同国Kamada社と基本合意書を締結しております。さらに2020年10月にスペシャルティ薬(特定疾患専門薬)を扱うトルコのEr-Kim社と「コラテジェン®」のトルコでの導出(独占的販売権許諾)に関する基本合意書を締結しました。また、本年5月に米国の医薬品企業であるEiger社と、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群とプロジェロイド・ラミノパチーの適応症の治療薬であるZokinvyについて、日本における独占販売契約を締結しました。今後も、製薬会社との提携を進めることにより、事業基盤の強化に努めてまいります。④資金調達の実施当社グループにとって、研究開発活動及び事業基盤の拡大を推進することは継続的な発展のために重要であり、そのためには状況に応じ機動的に資金調達を行うことが必要となります。2022年10月12日に発行したCantor Fitzgerald & Co.を割当先とする第42回新株予約権(第三者割当て)について2022年11月9日までにその一部が行使され、14億74百万円(新株予約権発行による入金を含む)を調達いたしました。今後も、研究開発活動推進及び企業維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。これら諸施策の実施により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。