【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行されて以降は、人流やインバウンド需要の回復により、経済活動全般は回復傾向が続いておりますが、一方で、円安基調を背景とした国内諸物価の上昇により、消費者の生活防衛意識はいっそう高まりつつあり、国際情勢も見通せないなど、先行きは不透明です。この状況を受けて、当社グループと関連の深い、アパレル・ファッション業界では回復基調にも鈍化傾向が見られ、手芸関連業界も引き続き低調で、先行きが懸念される状況となりましたが、当社グループにおきましては、これらの状況に加えて、昨年の中国・上海地域のロックダウンによる2ヶ月にわたる事業停止後の様々な後遺症により、中国の販売子会社は厳しい状況が続いております。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、円安傾向に伴う為替換算レートの影響があったにもかかわらず、3,029百万円(前年同期比4.4%増)にとどまりました。また利益面につきましても、昨秋以降実施した国内販売価格の改正や販売品目構成の変化など、増益要因もありましたが、製造コストの高止まりのなか、国内工場の操業度が伸び悩んだことや中国子会社の回復遅れも響いて、営業損失は0百万円(前年同期は95百万円の損失)、経常利益は45百万円(前年同期は72百万円の損失)となりました。なお、前年同期には上海地域のロックダウンによる事業停止に伴い、新型コロナウイルス関連損失78百万円を特別損失に計上しましたが、当四半期には、海外子会社であった上海富士克貿易有限公司の清算手続き終了による子会社清算益76百万円を特別利益に計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は119百万円(前年同期は116百万円の損失)となりました。
当第2四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
日本当セグメントにおきましては、当第2四半期連結累計期間は、当社の2023年4月から9月まで、国内子会社の2023年2月から7月までの業績が連結されております。当四半期は、上述の通り、外国人観光客の増加も含めた人流の回復で経済活動全般の回復傾向が続きましたが、国内の諸物価上昇により、衣料品に対する消費マインドは低下傾向が見られ、その生産はまだら模様で、衣料用縫い糸の受注も鈍化傾向となりました。また、自動車生産台数の回復傾向が続いたことにより、車両内装用縫い糸の受注は増加しましたが、手芸関連業界では、国内の諸物価上昇による節約意識の高まりもあって、家庭用縫い糸を含む手芸関連商品は全般にわたって消費の低調が続きました。このような状況のなか、昨秋以降に実施した縫い糸全般の販売価格改正は増収要因となり、当セグメントの売上高は2,454百万円(前年同期比5.4%増)となりました。一方利益面は、価格改正や販売品目構成の変化は増益要因になりましたが、製造コストの高止まりのなか、上述の売上高や国内工場の操業度が伸び悩んだこともあって、セグメント利益は32百万円(前年同期は87百万円の損失)となりました。
アジア当セグメントに属する全ての海外子会社は、事業年度の末日を12月末日と定めており、当第2四半期連結累計期間は、2023年1月から6月までの業績が連結されております。当四半期は、上述の通り、日本向け衣料品は、コロナ禍での生産調整の反動や消費の回復に伴い、その生産は全般に増加傾向となりましたが、中国におきましては、昨年の同国のコロナ政策の不透明感から、そのリスクヘッジとして日本向け衣料品の生産が日本またはベトナムを始め近隣アジア諸国などへ移行するなど、コロナ禍の様々な後遺症が今なお続いていることで、当セグメントで販売の中心となっている中国販売子会社の受注の回復が見られませんでした。これらにより、前年同期には中国子会社4社の2ヶ月にわたる事業停止期間があり、また当四半期は円安傾向に伴う為替換算レートの影響があったにもかかわらず、当セグメントの売上高は574百万円(前年同期比0.5%増)にとどまりました。また利益面につきましても、製造コスト上昇のなか、販売価格への転嫁が困難であったアジア地域の状況に加えて、中国販売子会社の受注回復遅れも響いて、セグメント損失は19百万円(前年同期も19百万円の損失)となりました。
財政状態の状況は、次のとおりです。当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて447百万円増加し、11,365百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の減少105百万円があったものの、投資有価証券の増加335百万円、棚卸資産の増加127百万円、受取手形及び売掛金の増加52百万円などがありました。負債は、前連結会計年度末に比べて93百万円増加し、1,547百万円となりました。主な増減は、その他(固定負債)の増加99百万円などがありました。純資産は、前連結会計年度末に比べて353百万円増加し、9,817百万円となりました。主な増減は、その他有価証券評価差額金の増加233百万円、利益剰余金の増加50百万円などがありました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末より239百万円減少し、1,920百万円(前年同四半期末は2,159百万円)となりました。活動別キャッシュ・フローは次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)税金等調整前四半期純利益125百万円(前年同期は純損失151百万円)、減価償却費をはじめとする非資金項目が106百万円(前年同期は95百万円)となったものの、子会社清算益76百万円(前年同期は発生額なし)、売上債権の増加65百万円(前年同期は148百万円)、棚卸資産の増加66百万円(前年同期は242百万円の減少)、仕入債務の減少47百万円(前年同期は65百万円の増加)となったことなどにより、78百万円の流出(前年同期は94百万円の流入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)定期預金の預入による支出が558百万円(前年同期は500百万円)となったものの、定期預金の払戻による収入が617百万円(前年同期は400百万円)となったことなどにより、53百万円の流入(前年同期は138百万円の流出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)配当金の支払額が68百万円(前年同期は69百万円)となったことにより、68百万円の流出(前年同期は69百万円)となりました。
(3) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は35百万円であります。