【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期累計期間のわが国経済は、主要国でインフレ抑制の金融引き締めが持続的に行われた影響を受け、経済統計にばらつきが大きい傾向になりました。国内総生産(GDP)は名目・実質とも2022年4~6月期まで3四半期連続で前期比プラス成長と堅調に推移し、法人企業景気予測調査でも大企業の2022年10~12月期及び2023年1~3月期の見通しは、「貴社の景況判断」BSI、「国内の景況判断」BSIとも「上昇」が優位となり、雇用面では完全失業率が低下傾向を示し、有効求人倍率は改善と好調を維持しています。反面、景気動向指数の先行CIは7月に2021年2月以来の基準値割れとなり、消費者物価指数(全国・総合)が2021年9月から前年比でプラス基調を継続する一方で勤労者世帯の実質可処分所得は2022年4月からマイナスに転ずるなど、景気の先行きを懸念させるデータも増えています。米国経済は、実質国民総生産(GDP)が2022年1~3月期・4~6月期と2四半期連続マイナス成長に沈んだ一方、国民総所得(GDI)は同期間もプラス成長を維持しています。雇用指標では非農業部門雇用者数や平均時給などが堅調で完全失業率は低下傾向となり、鉱工業の設備稼働率は今夏に80%に達するなど、物価上昇への警戒は緩められない状況となっています。当第2四半期累計期間の国内株式市場は、先進国は勿論、新興国でもインフレ抑制のための継続的な金融引き締めが行われるなど、主要国の金融政策に大きく影響される展開となりました。東京株式市場は、当初春から夏にかけての米国のインフレ率低下が期待されていたこともあり、夏場まで底堅い推移となりました。しかしながら米国のインフレ率は高水準を維持したことから、8月下旬に開催されたジャクソンホール会合で米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ抑制を優先し、急速な金融引き締めの継続を示唆したことを受け、企業や家計への痛みも容認する姿勢を示された米国株の下落に引きずられ、東京株式市場も9月中旬以降大きく調整する展開を余儀なくされました。最終的に、当第2四半期累計期間の日経平均株価は、2022年3月末と比べ6.8%安い25,937円21銭で終了しました。このような環境下、当第2四半期累計期間の業績は、営業収益が57億70百万円(前第2四半期累計期間比 80.4%)と減少し、営業収益より金融費用27百万円(同 98.7%)を控除した純営業収益は、57億42百万円(同 80.3%)と減少しました。また、販売費・一般管理費は57億76百万円(同 94.1%)となり、その結果、営業損失は34百万円(前第2四半期累計期間実績 営業利益10億12百万円)、経常利益は2億38百万円(前第2四半期累計期間比 19.0%)、税金費用が12百万円(同 3.7%)となったことから、四半期純利益は1億69百万円(同 18.6%)となりました。
主な比較・分析は以下のとおりであります。 ① 流動資産当第2四半期会計期間の「流動資産」は、前事業年度に比べ11億9百万円増加し、498億76百万円となりました。これは、「預託金」が14億16百万円、「信用取引資産」が2億29百万円減少する一方、「トレーディング商品」が14億8百万円、「募集等払込金」が9億23百万円、「現金・預金」が4億91百万円増加したことなどによるものです。
② 固定資産当第2四半期会計期間の「固定資産」は、前事業年度に比べ4億25百万円減少し、153億19百万円となりました。これは、「投資有価証券」が3億23百万円、「長期差入保証金」が1億79百万円減少したことなどによるものです。
③ 流動負債当第2四半期会計期間の「流動負債」は、前事業年度に比べ12億81百万円増加し、216億71百万円となりました。これは、「従業員株式給付引当金」が2億84百万円、「受入保証金」が1億92百万円、「賞与引当金」が65百万円減少する一方、「信用取引負債」が8億87百万円、「預り金」が6億74百万円、「有価証券担保借入金」が2億79百万円増加したことなどによるものです。
④ 固定負債及び特別法上の準備金当第2四半期会計期間の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ3億71百万円減少し、46億78百万円となりました。これは、「従業員株式給付引当金」が40百万円増加する一方、「繰延税金負債」が2億49百万円、「資産除去債務」が1億54百万円減少したことなどによるものです。
⑤ 純資産当第2四半期会計期間の「純資産」は、前事業年度に比べ2億25百万円減少し、388億45百万円となりました。これは、「自己株式の処分」で2億62百万円、「四半期純利益」で1億69百万円増加する一方、「剰余金の配当」で3億90百万円、「その他有価証券評価差額金」で1億97百万円、「自己株式の取得」で69百万円減少したことによるものです。
⑥ 受入手数料当第2四半期累計期間の「受入手数料」の合計は、49億4百万円(前第2四半期累計期間比 76.5%)となりました。
(委託手数料) 「委託手数料」は、19億30百万円(同 63.6%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が3,712億円(同 77.5%)と減少したことにより、株券の委託手数料が19億7百万円(同 63.4%)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は22百万円(同 96.0%)となりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、3百万円(同 9.4%)となりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料)主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、12億17百万円(同 81.5%)となりました。これは、世界の米ドル建株式・債券等や、米国の持続的な成長企業、世界のサイバーセキュリティ関連企業の株式に投資をする投資信託の販売に注力しましたが、投資環境が悪化し販売額が減少したことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、ファンドラップ手数料や投資信託の代行手数料の減少等により17億52百万円(同 95.0%)となりました。
⑦ トレーディング損益当第2四半期累計期間の「トレーディング損益」は、株券等が米国株式の売買代金の増加により5億35百万円(前第2四半期累計期間比 114.5%)、債券・為替等は2億23百万円(同 126.1%)となり、合計で7億59百万円(同 117.7%)となりました。
⑧ 金融収支当第2四半期累計期間の「金融収益」は、信用取引収益の減少等により93百万円(前第2四半期累計期間比 87.4%)、「金融費用」は信用取引費用の減少等により27百万円(同 98.7%)で差引収支は66百万円(同 83.4%)の利益となりました。
⑨ 販売費・一般管理費 当第2四半期累計期間の「販売費・一般管理費」は、本社移転を控え、前事業年度に移転後利用見込みのない固定資産について耐用年数を短縮し、原状回復工事に係る資産除去債務につき見積りを変更したことにより「減価償却費」が増加する一方、営業収益の減少により賞与引当金繰入などの「人件費」が減少したことから、57億76百万円(前第2四半期累計期間比 94.1%)となりました。
⑩ 特別損益当第2四半期累計期間の「特別損失」は、「本社移転費用」が56百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ4億91百万円増加し、232億14百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は12億87百万円の増加となりました。これは「トレーディング商品の増減額」で14億円、「募集等払込金の増減額」で9億23百万円減少する一方、「顧客分別金信託の増減額」で14億円、「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」で11億16百万円、「預り金及び受入保証金の増減額」で4億82百万円、「その他の資産・負債の増減額」で2億90百万円、「有価証券担保借入金の増減額」で2億79百万円増加したことなどが要因です。なおこれは、前第2四半期累計期間の「営業活動によるキャッシュ・フロー」56億24百万円の増加と比較すると43億37百万円の減少となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は5億63百万円の減少となりました。これは「有形固定資産の取得による支出」で2億20百万円、「敷金の差入による支出」で1億54百万円、「投資有価証券の取得による支出」で1億14百万円減少したことなどが要因です。なおこれは、前第2四半期累計期間の「投資活動によるキャッシュ・フロー」2億55百万円の減少と比較すると3億8百万円の減少となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期累計期間における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は4億61百万円の減少となりました。これは「配当金の支払額」で3億89百万円、「自己株式の取得による支出」で69百万円減少したことなどが要因です。なおこれは、前第2四半期累計期間の「財務活動によるキャッシュ・フロー」7億90百万円の減少と比較すると3億28百万円の増加となっております。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第2四半期累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第2四半期累計期間において、経営方針等について重要な変更又は新たに定めたものはありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更又は新たに生じたものはありません。
(6) 財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針該当事項はありません。
(7) 研究開発活動該当事項はありません。
(8) 従業員数当第2四半期累計期間において、従業員数の著しい変動はありません。
(9) 主要な設備当第2四半期累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前事業年度末における計画の著しい変更はありません。
(10) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式・外国債券のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安になると円ベースの価格が上昇いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価格が上下しますが、基準価格が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは8種類のファンドとMRFを組み合わせ、国際分散投資をしていることから、運用成績や為替の動向で、残高に対する報酬が増減いたしますが、販売は運用成績にあまり影響を受けず、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。
(11) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第2四半期会計期間の現金・預金残高は232億14百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。当社の現金・預金残高の主な変動要因は信用取引貸付金であります。市況が良い時には信用取引が増加するため、貸付金増加に対応するための資金を確保しておく必要があります。また、お客さまの利便性向上や業務の効率化等のためのシステム投資を行っており、こうした成長投資を継続して実施するための資金を必要としております。株主還元実施後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や成長投資のための資金として有効に活用いたします。
#C8622JP #水戸証券 #証券商品先物取引業セクター