【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染状況が緩やかに改善し、政府の感染対策についても緩和されたことから、経済活動は持ち直し正常化に向かう一方、急激な為替変動やロシアウクライナ情勢を背景としたグローバルサプライチェーンの混乱等から資源価格の上昇の影響もあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
住宅関連業界におきましては、建築資材や住設機器、物流コストの上昇により、住宅建築価格の上昇傾向が続いており、2022年1月~2022年12月における新設住宅着工戸数は859,529戸と前年同期比0.4%増となりましたが、持家の着工戸数自体は253,287戸と前年同期比11.3%減と大きく減少しております。これまで政府などによる各種住宅取得支援策の継続実施等により新築住宅需要は下支えされてきましたが、住宅ローン金利上昇懸念と急激な物価高が住宅取得における消費マインドを徐々に鈍らせており、今後の経営環境への影響を懸念しております。
このような状況のなか、当社グループは、木材関連事業では中期的な新設住宅着工戸数の減少に対応するため、新設住宅着工戸数に依存しない新規市場での収益獲得が重要な課題となっており、リフォーム市場やDIY、ECビジネス等の個人向け市場、非住宅市場、海外市場などに向けた製品展開が重要と考えております。このような様々な市場ニーズを反映した当社製品を、お客様がユーザ体験をしていただけるよう様々な収納アイデアを取り入れた収納体験型ショールームを全国4か所に開設してきましたが、このうち東京ショールームを2023年1月にリニューアルオープンし、製品PRを強化いたしました。
また国内の主力事業である収納建材事業の基盤を更に強化するため、製造、物流機能に対しても積極投資を行いました。具体的には2022年11月に新事業所であります南海プライウッド朝日新町資材物流センターが完成いたしました。従来の保税倉庫より施設面積の拡大及び資材に関するロジスティクス機能を拡充したことで、生産効率化と生産能力向上に寄与することが見込まれます。これに加え、海外事業においては、2022年12月に当社の連結子会社でありますPT.NANKAI INDONESIAにおいて供給リスクマネジメントとファルカタ集成板の生産力増強を目的として、インドネシア東ジャワ州にジュンベル工場を新設いたしました。これにより、日本向け収納材の供給面におけるリスクを削減することができる事に加え、従来の工場と合わせて将来的にこれまでの1.5倍の生産能力の拡大が可能になると見込んでおります。併せて当社は、2022年12月5日にフランス子会社のNP ROLPIN SASへの貸付金に対して債権放棄及びデッドエクイティスワップによる財務体質改善のための金融支援を実施いたしました。これまでも当社はフランス子会社の生産合理化や生産能力向上を目的として設備投資支援などの取り組みを推進してきましたが、将来の生産量増加に伴う販売量拡大の観点から、取引上の信頼性が特に重要なものになると考えております。本財務体質の改善により取引先からの信頼を確保し、海外市場における収益の安定獲得に向けて、黒字化実現のための取り組みを推進してまいります。この他、当社はサステナビリティに関するリスクと機会が将来の事業環境に重要な影響を与えることが考えられることから、シナリオ分析等によるサステナビリティに関するリスクと機会の識別やこれらに対応した実効的な取組を推進させるためサステナビリティに関するガバナンス体制の構築に着手いたしました。今後は経営計画の策定においてもこれらのリスクや機会の側面を考慮し、当社グループの持続的な成長のためサステナビリティに関する取り組みを推進してまいります。当社グループは住宅業界が将来的にも厳しい市場環境におかれることが予測されることから、将来の安定的収益獲得のために事業基盤強化につながる投資への資本配分に重点を置き、企業価値向上に取り組んでまいります。
電線関連事業では、四国エリアを中心に電線および電設資材を販売しております。当エリアにおきましては、大型の新設物件が低迷するなか、銅をはじめとした資材価格の高騰による影響から電線、電材の仕入価格の値上がりにより、競合他社との価格競争が一段と厳しい状況が継続しております。このような状況のなか、引き続き、徹底した原価管理や販売品目の見直しによる利益率改善に重点を置きつつ、販売の拡大に注力してまいります。
一般管工事関連事業では、西日本エリアにおける化学プラント物件向け配管工事、ライニング工事を中心とした事業展開をしております。新型コロナウイルス感染症の感染状況の改善に伴い、工場の設備改修需要が回復基調にあります。更なる収益拡大に向けて鉄工関連の受注も併せて獲得できるよう現場管理の人員強化、体制の整備等に注力してまいります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,683百万円増加し、31,347百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,055百万円増加し、8,864百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,627百万円増加し、22,483百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高23,061百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益906百万円(前年同期比58.2%減)、経常利益880百万円(前年同期比65.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,590百万円(前年同期比12.5%増)となりました。
当連結会計年度における各セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(木材関連事業)
当セグメントにおける、国内市場については、収納材を中心にお客様のニーズを第一に製品の生産・販売活動に注力した結果、新規販売先の開拓や新規採用品の増加に繋がり、販売先の拡大が継続しております。しかし世界的なインフレ基調と円安相場の継続により原材料価格やエネルギーコストが高止まりの状態となっており、製造原価・物流コストの上昇によるセグメント利益率の低下が避けられない状況が継続しております。また、海外市場については、フランス子会社の合板製造販売事業において、販売価格の値上げや製造工程の見直しによる赤字幅の縮小を目指しております。しかし、ロシアウクライナ問題に起因するエネルギー価格の高騰が製造コストを上昇させる状況が継続しており、経営を取り巻く状況は厳しさを増しております。引き続き、安価なグレードの合板の生産比率が高くなるという生産上の課題に対して、より市場価格の高い高品質な合板の生産比率を上げることや歩留を改善するための設備投資等の梃入れを行い、経営状況の改善に取り組んでまいります。
結果、当セグメントの経営成績は、売上高20,986百万円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益775百万円(前年同期比61.6%減)となりました。
(電線関連事業)
当セグメントでは、地方における電材業界に寄与する物件の新設が減少傾向にあることに対応するため、新規顧客の開拓、小口販売の拡充などの営業強化に取り組みましたが、電材仕入価格の上昇に反して同業各社におけるシェア拡大のための価格競争が激化したことでセグメント利益率は低下する状況となりました。
結果、当セグメントの経営成績は、売上高1,577百万円(前年同期比17.4%増)、セグメント利益40百万円(前年同期比7.5%減)となりました。
(一般管工事関連事業)
当セグメントでは、顧客の設備投資および設備改修工事が増加傾向にあり、前期に引き続き安定的に工事物件を受注することができました。しかしながら資材価格の高騰の影響により利益率は低下する状況となりました。
結果、当セグメントの経営成績は、売上高498百万円(前年同期比3.6%減)、セグメント利益63百万円(前年同期比16.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ344百万円減少し、2,986百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、支出した資金は1,587百万円(前年同期は、1,888百万円の獲得)となりました。
これは、主な増加要因としては、売上債権の減少額1,035百万円、税金等調整前当期純利益1,029百万円、減価償却費638百万円、固定資産圧縮損439百万円等であるのに対し、減少要因として、棚卸資産の増加額2,341百万円、法人税等の支払額1,324百万円、移転補償金537百万円、仕入債務の減少額498百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は1,927百万円(前年同期は、1,861百万円の支出)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得による支出1,434百万円、投資不動産の取得による支出422百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は2,989百万円(前年同期は、867百万円の獲得)となりました。
これは、主に長期借入れによる収入2,500百万円、短期借入金の増加額1,069百万円、長期借入金の返済による支出380百万円、配当金の支払額193百万円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
木材関連事業(千円)
20,986,339
4.5
電線関連事業(千円)
1,577,398
17.4
一般管工事関連事業(千円)
498,257
△3.6
合計(千円)
23,061,995
5.1
(注)1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
SMB建材株式会社
5,939,630
27.1
6,298,261
27.3
住友林業株式会社
4,132,338
18.8
4,322,170
18.7
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
以下の文中における将来の事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産につきましては、総資産の額が31,347百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,683百万円の増加となりました。主な要因は、投資不動産(純額)1,433百万円の増加、商品及び製品1,204百万円の増加、原材料及び貯蔵品961百万円の増加等によるものです。
負債につきましては、負債合計の額が8,864百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,055百万円の増加となりました。主な要因は、長期借入金1,890百万円の増加、短期借入金1,387百万円の増加、未払法人税等699百万円の減少、支払手形及び買掛金409百万円の減少等によるものです。
純資産につきましては、純資産合計の額が22,483百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,627百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金1,396百万円の増加、為替換算調整勘定374百万円の増加等によるものです。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ1,127百万円増加し、23,061百万円(前年同期比5.1%増)となりました。これは主に、木材関連事業において引き続き住宅向け収納建材におけるサイズや色柄、オプション部材などのラインナップをさらに拡充し、積極的な収納プランの提案や販売活動に注力したことで伸長したものであります。
各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、木材関連事業が91.0%、電線関連事業が6.8%、一般管工事関連事業が2.2%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ1,259百万円減少し、906百万円(前年同期比58.2%減)となりました。これは主に、木材関連事業における原材料価格やエネルギーコストの高止まりの状態が継続している影響を受けた、製造原価・物流コストの上昇等によるものであります。また、連結売上高営業利益率は3.9%(前年同期9.9%)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ86百万円減少し、331百万円(前年同期比20.7%減)となりました。営業外費用は、フランス子会社のNP ROLPIN SASにおいて、電力代未使用に関するペナルティとして違約金損失196百万円を計上したこと等で前連結会計年度に比べ301百万円増加し、357百万円(前年同期比537.5%増)となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ1,648百万円減少し、880百万円(前年同期比65.2%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、旧朝日新町保税倉庫の移転及び新設に関する補助金収入537百万円により前連結会計年度に比べ438百万円増加し、680百万円(前年同期比181.4%増)となりました。特別損失は、旧朝日新町保税倉庫の移転及び朝日新町資材物流センターの新設に関する補助金の交付に伴い固定資産の圧縮損を439百万円計上したこと等で前連結会計年度に比べ304百万円増加し、531百万円(前年同期比133.8%増)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ176百万円増加し、1,590百万円(前年同期比12.5%増)となりました。
セグメント毎の経営成績に関しましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は5,672百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,986百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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