【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績当連結会計年度の売上高は4,253,916千円と前年同期と比べ151,802千円(3.7%)の増収となりました。しかし、一部案件において赤字プロジェクトが発生したことや、人民元高が進んで中国子会社の費用が日本円建てで増加したことなどから、営業利益は184,799千円と前年同期と比べ18,164千円(△8.9%)の減益となりました。また、中国子会社が人民元高により営業外収益として計上した為替差益及び新型コロナウイルス対策の補助金収入が前年同期より減少したことなどにより、経常利益は198,788千円と前年同期と比べ86,040千円(△30.2%)の減益となりました。また、前年同期は中国・江蘇省の子会社を清算したことにより特別損失として子会社清算損を計上し、清算に伴う税務上の損金の計上により法人税等の額が減少しましたが、当期はその影響がなくなったため、親会社株主に帰属する当期純利益は134,705千円と前年同期と比べ136,737千円(50.4%)の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
[情報システム事業]当セグメントにおきましては、売上高はメディア以外の顧客に対するシステム開発を行っているプロフェッショナルサービス事業の売上がセグメント業績を牽引し、4,126,593千円と前年同期と比べ98,902千円(2.5%)の増収となりました。なお、内訳としては、メディア事業の売上高は2,071,039千円と前年同期と比べ492,748千円(△19.2%)の減収、プロフェッショナルサービス事業の売上高は1,815,701千円と前年同期と比べ266,264千円(17.2%)の増収、プロダクト推進事業の売上高は40,148千円と前年同期と比べ34,099千円(563.7%)の増収となりました。その他(進捗度に応じて収益を認識する未完成プロジェクト売上高の増減等)は199,704千円(前年同期は△91,582千円)でありました。売上原価は、一部プロジェクトでの赤字案件の発生や、中国子会社における費用が為替市況が元高に進展したことで2,995,976千円と前年同期比45,211千円(1.5%)増加した結果、売上総利益は1,130,617千円と前年同期比53,691千円(5.0%)の増益となりました。販売費及び一般管理費は主に人員増等により895,097千円と前年同期比34,048千円(4.0%)増加し、セグメント利益は235,520千円と前年同期比19,643千円(9.1%)の増益となりました。
[越境EC事業]当セグメントにおきましては、売上高は中国向けに製商品の販売が好調であったことや、プラットフォーム利用者が増加したこと等により、127,322千円と前年同期と比べ52,899千円(71.1%)の増収、売上原価は103,984千円と前年同期と比べ50,724千円(95.2%)増加、売上総利益は23,338千円と前年同期と比べ2,175千円(10.3%)の増益となりました。販売費及び一般管理費は主に荷造運賃の増加により74,058千円と前年同期と比べ39,983千円(117.3%)増加し、セグメント損失は50,720千円と前年同期と比べ37,807千円損失幅が拡大いたしました。
② 財政状態(資産)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して、304,308千円増加し、4,227,402千円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比較して、387,497千円増加し、2,860,358千円となりました。これは主に、新株発行により現金及び預金が484,134千円、進捗度に応じて収益を認識する未完成プロジェクト売上高の増加により契約資産が186,467千円それぞれ増加した一方で、売上代金の回収に伴い受取手形及び売掛金が311,769千円減少したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末と比較して、81,170千円減少し、1,366,590千円となりました。これは主に、償却によりのれんが59,300千円、繰延税金資産が38,008千円それぞれ減少した一方で、コンピューターの入替及び人民元高の影響などにより有形固定資産が25,520千円増加したことによるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して、295,479千円減少し、1,273,251千円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比較して、178,548千円減少し、725,668千円となりました。これは主に、返済期日の到来に伴う返済により短期借入金が100,000千円、期限到来による償還により1年内償還予定の社債が50,000千円、2021年度の消費税確定申告及び2022年度の消費税中間納付の影響で流動負債「その他」に含まれる未払消費税等が64,972千円、目的外取崩し(連結子会社である方株泰克(武漢)信息技術有限公司の持分取得時に、将来の見込損失として計上した引当金であり、将来の損失が見込まれなくなったため、当初の引当理由の解消による取崩し)により事業構造改善引当金が19,041千円、損害補償の支払により損害補償損失引当金が15,501千円それぞれ減少した一方、未払法人税等が21,714千円、保守サービスの前受けの増加により前受収益が17,820千円それぞれ増加したことによるものです。固定負債は、前連結会計年度末と比較して、116,930千円減少し、547,583千円となりました。これは主に、返済期日の到来に伴う返済により長期借入金が100,200千円、社債が30,000千円それぞれ減少したことによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して、599,787千円増加し、2,954,150千円となりました。これは主に、新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ206,469千円増加し、さらに親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が134,705千円、人民元高の影響により為替換算調整勘定が51,671千円それぞれ増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フロー収入が395,541千円、投資活動によるキャッシュ・フロー支出が258,776千円、財務活動によるキャッシュ・フロー収入が131,088千円となり、現金及び現金同等物に係る換算差額25,291千円を調整して、1,384,562千円(前連結会計年度比293,144千円増加)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は395,541千円となり、前連結会計年度より17,616千円の減少となりました。この収入の減少は主に、税金等調整前当期純利益が198,460千円、売上債権の減少が319,398千円、減価償却費が74,156千円、のれん償却額が82,507千円あった一方で、契約資産の増加が186,467千円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により流出した資金は258,776千円となり、前連結会計年度より230,204千円の増加となりました。この支出の増加は主に、定期預金の預入による支出が193,900千円、有形固定資産の取得による支出が40,365千円、無形固定資産の取得による支出が19,010千円、投資有価証券の取得による支出が7,993千円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は131,088千円となり、前連結会計年度より180,539千円の増加となりました。この収入の増加は主に、株式の発行による収入が412,939千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が100,200千円、短期借入金の返済による支出が100,000千円、社債の償還による支出が80,000千円あったことなどによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
情報システム事業
2,824,385
7.6
越境EC事業
12,520
54.6
合計
2,836,905
7.8
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。2.金額は、製造原価によっております。
b 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
情報システム事業
174,423
△47.3
越境EC事業
94,707
111.1
合計
269,130
△28.4
(注)金額は、仕入価格によっております。
c 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
情報システム事業
4,274,389
4.7
1,338,303
23.3
越境EC事業
127,322
71.1
-
-
合計
4,401,712
5.8
1,338,303
23.3
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
d 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
情報システム事業
4,126,593
2.5
越境EC事業
127,322
71.1
合計
4,253,916
3.7
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
聖教新聞社
961,260
23.4
631,068
14.8
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ② 財政状態」をご覧ください。
b 経営成績
(売上高、売上原価、売上総利益)当連結会計年度の売上高は4,253,916千円と前年同期と比べ151,802千円(3.7%)の増収となり、売上原価は3,099,960千円と前年同期と比べ95,935千円(3.2%)増加いたしました。その結果、売上総利益は1,153,956千円と前年同期と比べ55,867千円(5.1%)増加いたしました。セグメントごとの状況及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
(情報システム事業)当セグメントにおきましては、新聞社等のメディア関連企業及びメディア関連企業以外の顧客から着実に受注をいただき、受注済み案件を順調に開発して納品することができたため、売上高は4,126,593千円と前年同期比98,902千円(2.5%)の増収となりました。主に開発人員の増加により労務費が175,964千円増加したことなどにより、当期製品製造原価が199,889千円増加し、逆にハードウエア販売が減少したことなどから当期商品原価が154,678千円減少したことにより、売上原価は2,995,976千円と前年同期比45,211千円(1.5%)の増加となりました。その結果、売上総利益は1,130,617千円と前年同期比53,691千円(5.0%)の増益となりました。
(越境EC事業)当セグメントにおきましては、日本製の品物を中国で販売するビジネスが拡大したため、売上高は127,322千円と前年同期比52,899千円(71.1%)の増収となりました。増収に伴う商品仕入高の増加などにより当期商品原価が46,303千円増加したことなどから、売上原価は103,984千円と前年同期比50,724,千円(95.2%)増加しました。その結果、売上総利益は23,338千円と前年同期比2,175千円(10.3%)の増益となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)販売費及び一般管理費については、人員増により人件費が28,520千円、採用費が10,951千円増加したこと、研究開発費が10,341千円増加したことなどにより、969,156千円と前年同期比74,031千円(8.3%)増加しました。その結果、営業利益は184,799千円と前年同期比18,164千円(△8.9%)の減益となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)営業外収益については、主に人民元高により武漢子会社の日本円建て借入金などに係る為替差益12,317千円及び補助金収入14,381千円を計上したことなどにより、33,360千円と前年同期比58,554千円(△63.7%)減少しました。営業外費用については、上場関連費用9,359千円を計上したことなどにより、19,372千円と前年同期比9,322千円(92.8%)増加しました。その結果、経常利益については、198,788千円と前年同期比86,040千円(△30.2%)の減益となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)特別利益については、連結子会社であった方株泰克(武漢)信息技術有限公司を買収したことに伴い計上した事業構造改善引当金の戻入益19,041千円及びリース解約益485千円を計上したことにより、19,526千円と前年同期比1,648千円(9.2%)増加しました。特別損失については、役員退職功労金19,200千円などを計上し、19,854千円と前年同期比25,891千円(△56.6%)減少しました。法人税等合計については、前年計上した子会社の清算に伴う税務上の損金の影響がなくなったため、63,755千円(前年同期は△14,480千円)となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は134,705千円と前年同期比136,737千円(△50.4%)の減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フロー」をご覧ください。当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらの資金については、基本方針に基づき、主に金融機関からの長期借入金及び社債によって調達することとしておりますが、負債と資本のバランスに配慮して調達額を決定してまいります。なお、一時的な資金の不足については、6億円の当座貸越枠を設定し、必要資金を適時に確保する体制を整えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
a 貸倒引当金当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
b 繰延税金資産の回収可能性当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
c 受注損失引当金当社グループは、ソフトウエア請負契約における将来の損失に備えるため、将来の損失が確実に見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについて、将来の損失発生見込額を計上しております。予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
d 固定資産の減損損失当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
④ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の分析経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおり、売上総利益率を経営指標として重視しております。売上総利益率を重視する理由は、ソフトウエア開発における競争力を表す指標であるためであります。当社単体の売上総利益率は2017年12月期22.2%、2018年12月期25.5%、2019年12月期27.7%、2020年12月期27.9%と順調に改善してまいりましたが、2021年12月期は、売上総利益率の低いハードウエア販売案件等による売上高の比率が高くなったため、24.7%と悪化してしまいました。2022年12月期は一部の開発プロジェクトで赤字が発生したため、23.0%とさらに悪化しております。連結上は2020年12月期31.2%から2021年12月期は26.8%に悪化しましたが、2022年12月期は27.1%と若干改善しております。今後につきましては、顧客に汎用的に提供できるクラウドサービスやプロダクトなど、初期開発費用が発生するものの、それ以降の費用の発生が少なく、売上総利益率の高くなるサービスやプロダクトの売上比率を上げていくことにより、売上総利益率の改善を図ってまいります。なお、初期開発費用は研究開発費として計上しております。
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