【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、資源価格上昇による部材の高騰や米国の政策金利の引き上げによる大幅な為替変動の影響を受けるとともに、入手難が続いている半導体デバイス部品は、一部製品では緩和の動きが見られましたが、自動車をはじめとする製造業は部品不足により、生産活動が滞る事業環境が継続いたしました。
一方、設備投資は、先進物流施設などの建設投資、脱炭素に向けた環境対応投資、半導体製造装置向けが下支えとなったことにより、緩やかな持ち直しとなり、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
また、海外においては、中国では、コロナ対応の行動制限が広範囲で発動され、再び景気に下押し圧力がかかるとともに、ウクライナ情勢など地政学リスクが、資源価格の更なる上昇を招く恐れがあるなど、世界経済の先行きは極めて不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境は、デジタル化やネットワーク化が急速に進展することで、半導体デバイス品、これらを生産する機械装置の需要は底堅いものがある一方、海外経済の減速を背景に半導体デバイス品を中心に需要の調整圧力が高まることが予想されるなど予断を許さない状態が続いております。
以上の結果、為替相場が円安基調で推移したことなどもあり、当第2四半期連結累計期間の売上高は310億3百万円、前年同期に比べて8.1%の増収、営業利益は10億8千3百万円、前年同期に比べて68.3%の増益、経常利益は10億9千5百万円、前年同期に比べて45.3%の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億7千万円、前年同期に比べて12.3%の増益という成績になりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(半導体デバイス事業)
・売上高
207億4千万円
(前年同期比16.1%増)
・営業利益
12億7千5百万円
(前年同期比74.8%増)
半導体デバイス事業においては、海外のサプライチェーンの混乱による部材不足は平常化に向かい始めましたが、未だ一部半導体デバイス部品においては、製品確保が難しい状況のため、自動車や白物家電、工作機械や半導体製造装置関係をはじめとする製造業での生産制約が続いております。
このようななか、売上面は、部材供給において、逼迫した状況が続いておりますが、総体として徐々に解消する方向で進んだことと為替相場が円安基調で推移したことなどにより、順調に推移いたしました。利益面は、売上面が順調であったことで好調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
半導体デバイスは、自動車関連では、危険運転対策用車載機器装置向けやその他装置向けの需要が底堅く推移いたしましたが、一部製品において製品確保が難しい状況が続いているため、堅調に推移いたしました。
白物家電関連は、部材不足のため、空調機の生産に制約が続いていることにより、インバータ用パワー半導体の売上が、減少傾向で推移いたしました。
産業機関連は、半導体製造装置向け、5G関連機器向け等での需要増加により、アナログ、パワー半導体の受注は好調を維持しておりますが、製品確保が難しい状況が続いているため、堅調に推移いたしました。
事務機器関連は、複合機向けの受注が伸長し、海外製メモリの売上が好調に推移いたしました。
スマートフォン関連は、納入先において他社品の受入れが停滞したことに伴い、当社納入デバイス品の受注が伸長し、好調に推移いたしました。
金属材料事業は、銅建値が高値圏で推移したことにより、売上増加の要因となり、順調に推移いたしました。
IC開発は、主力客先からの各種開発、テスト案件への増員要請に対し、パートナー会社活用により、好調に推移いたしましたが、IC試作サービスの受注に苦戦したことにより、全体としては堅調に推移いたしました。
(プリント配線板事業)
・売上高
33億8千7百万円
(前年同期比0.4%減)
・営業損失
3千万円
(前年同期営業損失5千1百万円)
プリント配線板事業においては、中国基板メーカーと連携して行っている海外基板ビジネスは、円安基調が継続していることにより、売上面、利益面とも低調に推移いたしました。
自社製基板ビジネスは、原価高騰による販売単価の見直しなどで売上面は改善いたしましたが、生産面は、基板材料等の納期長期化が継続していること、度重なる材料の値上げとともに生産設備の不具合などもあり、国内工場での生産効率が低下し、全体として営業損失となりました。
事業の詳細は以下のとおりです。
車載向け基板は、半導体不足による自動車メーカーでの生産制約が続いているため、メタルコア基板、厚銅箔基板、特殊技術を活用したLED応用製品向けモジュール基板の受注は堅調に推移いたしました。
民生向け薄板基板は、電子精密機器の需要低下が継続し、受注は低調に推移いたしました。
産業機向け基板は、各種ロボット制御向けや半導体製造装置向け基板の受注が好調に推移いたしました。
海外で中国基板メーカーと連携して行っている基板ビジネスは、円安基調が継続していることにより、売上面、利益面とも低調に推移するとともに、新規商談の進捗が停滞いたしました。
(産業機器システム事業)
・売上高
47億6千1百万円
(前年同期比11.2%減)
・営業利益
4億1百万円
(前年同期比10.0%減)
産業機器システム事業においては、部材不足による納期長期化が続くなか、半導体製造装置向け加工機、機器製品等の需要増により、総じて堅調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
産業メカトロニクスは、主要客先からの加工装置・自動化システムの大型設備案件の受注は、順調に推移いたしました。
FA機器は、製品構成部材の材料不足により製品確保が難しい状況が続いておりますが、半導体製造装置関連向けの旺盛な需要により、順調に推移いたしました。
施設向け設備は、空調冷熱では、北海道、東北地区からの受注が堅調に推移いたしました。
3Dプリンタは、装置本体の受注に苦戦し、低調に推移いたしました。
制御装置は、物流倉庫向け搬送ロボット案件の受注に苦戦し、低調に推移いたしました。
(システム開発事業)
・売上高
19億1千5百万円
(前年同期比0.7%減)
・営業利益
2億3百万円
(前年同期比29.2%減)
システム開発事業においては、受託開発では、電力関連向けは、売上面、利益面ともに堅調に推移いたしましたが、受注ソリューションにおいて、食品製造業向けは、原材料高騰等により投資意欲が減速傾向となり、売上面、利益面、受注面ともに苦戦いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
受託開発は、電力関連向けにおいては、新規案件、既存システム保守・改良案件により、堅調に推移いたしました。その他向けでは、要員確保に苦戦したこともあり、売上面、利益面が低調に推移いたしました。
受注ソリューションは、原材料高騰等により投資意欲が減速傾向となり、食品製造業向けが総じて苦戦いたしました。
ビジネス系ソリューションは、既存顧客からの大型リプレース案件もあり、総じて順調に推移いたしました。
建設関連は、ソリューション案件では、積極的な商談開拓もあり、受注面は順調に推移いたしました。
(その他)
・売上高
2億9千8百万円
(前年同期比16.2%増)
・営業利益
2千9百万円
(前年同期比20.6%増)
協栄マリンテクノロジ株式会社が行う、救命設備の販売・整備事業は、航空機用救命具の整備受注が好調に推移するとともに、船舶用の整備受注も堅調に推移し、総じて順調に推移いたしました。
②財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて17億4千7百万円増加し、380億9千5百万円となりました。
・流動資産は、受取手形及び売掛金15億1千5百万円の増加、現金及び預金5億5千7百万円の増加、電子記録債権5千5百万円の減少、原材料及び貯蔵品4千5百万円の減少等により、19億円増加し、311億9千1百万円となりました。
・固定資産は、投資有価証券3億6千9百万円の減少、有形固定資産1億3千6百万円の増加等により、1億5千3百万円減少し、69億3百万円となりました。
・流動負債は、未払法人税等4億9千7百万円の減少、賞与引当金1億5千2百万円の減少、支払手形及び買掛金8億3千4百万円の増加等により、1億5千2百万円減少し、173億3千2百万円となりました。
・固定負債は、長期借入金12億6千8百万円の増加等により、12億8千万円増加し、51億7千8百万円となりました。
この結果、純資産は、6億1千9百万円増加し、155億8千4百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の41.2%から0.3ポイント減少し、40.9%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ5億5千7百万円増加し、23億3千6百万円(前年同期は21億6千5百万円)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、減少した資金は2億3千4百万円(前年同期は10億4千4百万円の減少)となりました。これは主として次の要因によるものです。
資金増加要因:
税金等調整前四半期純利益
9億6千3百万円
仕入債務の増加
4億8千4百万円
資金減少要因:
売上債権の増加
9億8千万円
法人税等の支払額
6億3千5百万円
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は3億3千万円(前年同期は4億2千2百万円の減少)となりました。これは主として固定資産の取得による支出等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は10億9千万円(前年同期は11億5千8百万円の増加)となりました。これは主として借入れによる収入等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループにおける当第2四半期結累計期間の研究開発費の総額は、1千2百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、プリント配線板事業の受注実績が著しく減少しております。
これは、2021年9月に相模原事業所が閉鎖したことに加えて、民生向け薄板基板において電子精密機器の需要低下が継続したこと等によるもので、受注高が12億9千3百万円(前年同期比53.7%減)、生産高が30億7千万円(前年同期比10.3%減)となっております。