【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況[経営成績の状況]当第3四半期連結累計期間における世界経済は、アフターコロナの流れの中、小売・サービス業等の一部で改善の動きがありましたが、長期化するロシア・ウクライナ情勢や米中摩擦、中国経済の停滞、エネルギー価格の高止まりや物価上昇、欧米諸国における金融不安等様々な要因が重なり、厳しい状況が続きました。また、エレクトロニクス市場においては、個人消費の矛先が、コロナ禍における巣ごもり需要から旅行などのコト消費へ移行し、テレワークなどで一時的に需要が拡大した情報通信機器市場など、極めて厳しい状況が続きました。また、民生機器市場において消費の減退に加えて中国の不動産不況に依る景気減速の影響を受けると共に、中国など一部の自動車市場の回復に時間を要しており、関連する部品市場についてもその影響を受けました。わが国における経済は、雇用環境の改善や設備投資の回復、また株式市場も上昇傾向を辿る等、徐々に明るさが見え始めましたが、鉱工業生産が足踏み状態を続けるなど、景気回復に弱さが見られました。 電子部品業界におきましては、世界各地においてEVの販売が急速に増加するなど、自動車生産が堅調に推移しましたが、アルミ電解コンデンサなど一部の電子部品については、サプライチェーンの正常化に伴う過剰在庫の調整がありました。昨年夏から大きく落ち込んだ情報通信機器市場においては、PCやスマートフォンの需要の停滞が続いたことに加えて、各種家電製品の販売が大きく落ち込むなど、厳しい状況となりました。海底ケーブル機器市場におきましては、新たなケーブル敷設プロジェクトが発表される等、情報通信量の拡大ニーズに合わせた動きが見られたものの、一部の海底ケーブル敷設プロジェクトの遅延や変更が見られました。こうした中、当社では、中長期的な市場の成長に備え、中国蘇州工場の移転とグローバル生産比率の最適化を進める等、サプライチェーンの強靭化を図りました。また、サイバーセキュリティ対策や災害対策等リスクマネジメント体制の強化にも取り組みました。当第3四半期連結累計期間の経営成績は、リード端子事業、光部品・デバイス事業ともに厳しい状況となり、売上高は10,355百万円(前年同期比13.0%減)、営業利益は2,295百万円(前年同期比26.3%減)、経常利益は2,973百万円(前年同期比27.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,723百万円(前年同期比36.0%減)となりました。当第3四半期連結累計期間における期中平均レートは、1米ドル当たり138.24円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① リード端子事業当第3四半期連結累計期間におけるリード端子事業の売上高は5,580百万円(前年同期比11.6%減)、セグメント利益(営業利益)は61百万円(前年同期比77.0%減)となりました。自動車市場では、一部地域を除いて自動車生産台数が回復基調となり、中国を中心にEV化も進展しましたが、半導体不足の解消に伴う自動車生産の正常化の流れの中で、アルミ電解コンデンサにおける過剰在庫が顕在化し、在庫調整が続きました。加えて、ステイホーム需要で先食いしたデジタル・コンシューマをはじめとする民生機器市場全体の落ち込みが続き、売上は非常に厳しい状況が続きました。こうした中で、収益構造の改善や中長期的な市場の成長を視野に入れ、不採算製品についての価格見直し交渉、対振動特性や絶縁特性を大幅に改善した「バリレス」や自動車市場向けに需要の拡大が見込まれるEDLC(電気二重層キャパシタ)向け等の新製品の拡販など、収益力強化に努めました。また、製品の品質と信頼性の向上や生産効率の改善に向け、高効率・高精度を実現する新しい溶接技術の開発に取り組みました。更には、中国蘇州工場の移転を進めると共に、中国東莞工場とマレーシア工場での生産能力の強化を進めグローバル生産体制の最適化を進めました。
② 光部品・デバイス事業当第3四半期連結累計期間における光部品・デバイス事業の売上高は4,774百万円(前年同期比14.6%減)、セグメント利益(営業利益)は2,233百万円(前年同期比21.6%減)となりました。海底ケーブル向け光デバイス製品では、世界的な通信インフラの強化に伴う需要拡大を背景に、お客様から長期一括受注が入るなどのプラス要因がありましたが、昨年のサプライチェーンの混乱を契機とした納期調整が継続したことや、一部の海底ケーブル敷設プロジェクトの変更・遅延による受注減の影響も受けました。また、陸上光通信用光ファイバアレイ製品では、米中摩擦による禁輸措置に加えて、データセンタ市場の調整により売上が落ち込みました。 開発面では、さらなる情報通信量の拡大に向けた技術進展に合わせて、多芯化に対応した小型や複合製品の開発を進めました。また、将来技術であるマルチコアファイバに対応した、「シリコンフォトニクスを用いた4芯MCFコア間スイッチングモジュール(産業技術総合研究所との共同開発)」や、「海底ケーブルなど長距離通信向けの4コアファイバ用光アイソレータ」など次世代通信技術の進化に向けて、研究開発活動を強化しました。さらに、安定供給体制を強化するため、後工程拠点における生産の自動化、前工程拠点における止水対策等自然災害対策を強化しました。
[財政状態の分析](資産)流動資産は前連結会計年度末に比べ106百万円減少し、17,121百万円となりました。これは主に、現金及び預金が394百万円増加した一方で、受取手形及び売掛金が347百万円、電子記録債権が41百万円、原材料及び貯蔵品が60百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ1,171百万円増加し、8,229百万円となりました。これは主に、建物及び構築物(純額)が514百万円、機械装置及び運搬具(純額)が142百万円、建設仮勘定が217百万円それぞれ増加したことによるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ1,065百万円増加し、25,350百万円となりました。
(負債)流動負債は前連結会計年度末に比べ460百万円減少し、2,915百万円となりました。これは主に、買掛金が277百万円、短期借入金が95百万円、1年内返済予定の長期借入金が101百万円、未払法人税等が114百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ316百万円減少し、2,296百万円となりました。これは主に、リース債務が78百万円増加した一方で、長期借入金が443百万円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ776百万円減少し、5,212百万円となりました。
(純資産)純資産は前連結会計年度末に比べ1,842百万円増加し、20,138百万円となりました。これは主に、利益剰余金が1,229百万円、為替換算調整勘定が592百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は490百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。