【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況[経営成績の状況]当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が徐々に緩和され、輸出入や設備投資等の経済活動が段階的に回復に向かったものの、中国における断続的なロックダウンや、米中貿易摩擦、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格等の高騰など、それらに影響を受けたインフレの進行等により、先行き不透明な状況となりました。またわが国におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和傾向となり、徐々に経済活動が正常に戻り始めた一方で、急激な円安ドル高が物価の上昇をもたらす等、景気に対するマイナス要因も懸念される状況となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高が11,901百万円(前年同期比11.6%増)、営業利益は、リード端子事業において売上数量が減少したことにより操業度が低下したこと、並びに、それに伴い期の前半の材料価格の高騰によるコストアップを回収しきれなかったことにより3,115百万円(前年同期比2.4%減)、経常利益は4,088百万円(前年同期比20.6%増)、親会社株主に帰属する四半期当期純利益は2,693百万円(前年同期比21.2%増)となりました。また、当第3四半期連結累計期間における期中平均レートは、1米ドルあたり128.30円となりました。トピックスとして、光部品・デバイス事業では海底ケーブルの多芯化に対応した超小型化光アイソレータを業界に先駆けて販売したことに加えて、光ファイバ通信の大容量化に関連するマルチコアファイバ光デバイスの開発成果の国際会議での発表など、研究開発活動を積極的に進めました。リード端子事業では、自動車市場向け耐振動対応と絶縁特性向上に資する新製品(※1)を開発し、お客様にサンプル出荷を始めました。この新製品は、EV向け等への採用ニーズの高まりにより今後使用数の増加が見込まれることから、量産準備を進めました。加えてESG活動の一環として、滋賀県北部に位置する県内最大級の湿原である「山門水源の森」の環境保全活動の推進や、本社社屋へのソーラーパネルの設置等、2050年のカーボンニュートラルを目指したCO2削減等の活動に注力しました。
※1 新製品の特長アルミ電解コンデンサの大容量化、高品質化のニーズに合わせて、コンデンサ内のアルミ箔の箔切れ防止効果の高いリード端子。耐振動性、絶縁特性が向上する。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① リード端子事業当第3四半期連結累計期間におけるリード端子事業の売上高は6,312百万円(前年同期比15.4%増)、セグメント利益(営業利益)は材料費の増加等により267百万円(前年同期比42.6%減)となりました。自動車市場向けでは、EV市場の急成長が続きましたが、半導体不足による減産の影響により、市場全体としては横ばい傾向が続きました。一方で、情報通信機器・民生機器市場向けについては新型コロナ感染に伴う関連需要の一巡、ロックダウンを契機とした中国経済の悪化や、米国における利上げ、欧州経済の調整など世界のマクロ経済の悪化に伴いパソコン・家電製品向けの受注が急減しました。その結果、夏以降の売上が前年に比べ数量ベースで2桁を超える減少となりました。当社においては、中長期的に成長が期待できる自動車市場において、高まる高機能化のニーズに合わせて、アルミ電解コンデンサの耐振強度向上・漏れ電流低減特性・絶縁特性等の信頼性向上や、アルミ電解コンデンサ製造工程での歩留まり改善等に寄与する高機能製品のラインアップ拡充に努めました。コスト面では、原材料であるアルミニウム・銅・錫といった非鉄金属価格相場(LME相場)が上半期において高騰、顧客への価格転嫁の時期ずれ等の影響で収益の圧迫を受けました。下半期に入り価格転嫁が進んだものの、売上数量の大幅な減少により収益の改善は限定的なものとなりました。
② 光部品・デバイス事業当第3四半期連結累計期間における光部品・デバイス事業の売上高は5,589百万円(前年同期比7.5%増)、セグメント利益(営業利益)は2,847百万円(前年同期比4.5%増)となりました。海底ケーブル用途の光デバイスでは、従来の通信事業者に加えてGAFAM等の大手グローバルテック企業が牽引する海底ケーブルの投資継続を背景とし、光アイソレータ等が引き続き堅調に推移いたしました。また、海底ケーブルの大容量化で加速している「多芯化」に対応した小型光アイソレータの生産販売を開始し、順調に売上を伸ばしました。一方で、光ファイバアレイ製品では、夏以降の情報通信機器の調整局面により、高速光トランシーバ用途で調整の影響がありました。他方では、5月から7月ごろにかけて日本でも大きく報道されましたスリランカの政治・経済混乱につきましては、徐々に落ち着き、財政再建のための金融政策が引き続き模索されております。このような状況の中でスリランカに立地する当社子会社のKOHOKU LANKA (PVT).LTD.は、混乱に起因する現地での電力不足や物価高騰等に対応するため、工場の停電対策や従業員への生活支援等を行うことにより通常生産を継続し、これらの結果事業に対する影響はありませんでした。研究開発等におきましては、引き続き光ファイバ通信の高速大容量化のニーズを先取りした新製品の開発や、生産効率改善のための生産システムの開発等を進めてまいりました。また、次世代の成長事業として位置付けている高純度石英ガラス製品の研究開発を進めました。
[財政状態の分析](資産)流動資産は前連結会計年度末に比べ231百万円増加し、17,597百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が131百万円増加、電子記録債権が152百万円増加、製品が434百万円増加、原材料及び貯蔵品が171百万円増加した一方で、現金及び預金が792百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ801百万円増加し、5,974百万円となりました。これは主に機械装置及び運搬具(純額)が504百万円増加、建設仮勘定が171百万円増加、投資有価証券が104百万円増加したこと等によるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ1,032百万円増加し、23,572百万円となりました。
(負債)流動負債は前連結会計年度末に比べ1,575百万円減少し、3,737百万円となりました。これは主に短期借入金が969百万円減少、未払法人税等が348百万円減少、1年内返済予定の長期借入金が102百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ625百万円減少し、1,451百万円となりました。これは主に長期借入金が569百万円減少、リース債務が35百万円減少したこと等によるものであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ2,201百万円減少し、5,189百万円となりました。
(純資産)純資産は前連結会計年度末に比べ3,233百万円増加し、18,383百万円となりました。これは主に利益剰余金が2,207百万円増加、為替換算調整勘定が1,003百万円増加したこと等によるものであります。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき財務上の課題該当事項はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は385百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。