【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態及び経営成績の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況の概要当第3四半期連結累計期間(2020年4月~2020年12月)における当社グループを取りまく経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大幅に悪化しました。経済活動は徐々に持ち直しの動きが見られるものの、感染再拡大の影響も懸念されており、先行き不透明な状況が続いています。自動車業界では、一時大幅減となった新車販売は、中国・北米を中心に需要の回復が見られ、国内需要も回復傾向にあるものの、東南アジアや欧州では回復が遅れています。建設機械及び産業機械・工作機械業界においては、米中貿易摩擦による昨年度からの国内メーカーの需要低迷に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響により大幅に減少した需要は、建設機械業界は下期から回復しているものの、産業機械・工作機械業界は未だ回復途上にあります。このような状況下、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比241億1千6百万円(27.0%)減収の651億5千7百万円となりました。営業利益は、売上減の影響と、特殊鋼鋼材事業における高炉改修に伴う備蓄在庫取り崩しによる一過性費用増加の影響に加え、下期からは高炉改修費用の負担もあり、固定費削減や海外拠点の改善効果、並びに前第2四半期連結会計期間での海外子会社の減損計上による償却負担の減少があったものの、前年同期比46億8千9百万円減益の42億8千3百万円の損失(前年同期は営業利益4億5百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は、42億7千9百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失145億4千1百万円)となりました。セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
特殊鋼鋼材事業につきましては、足元の需要は回復してきているものの、昨年度からの建設機械及び産業機械・工作機械メーカーの需要低迷と新型コロナウイルスの影響もあり、売上高は、前年同期比135億1千2百万円(31.7%)減収の290億4千5百万円となりました。営業利益は、国内事業では販売数量減と高炉改修に伴う備蓄在庫取り崩しによる一過性費用増加の影響に加え、下期からは高炉改修費用の負担もあり、損失となりました。一方、インドネシア海外事業では、第2四半期にあたる4~6月より新型コロナウイルスの影響を受けたものの、製造コスト及び固定費削減に向けた取り組みの効果や、前期の減損計上による償却負担の減少もあり、損失幅は大幅に縮小しました。特殊鋼鋼材事業全体としては、前年同期比36億9千3百万円減益の25億3百万円の損失(前年同期は営業利益11億9千万円)となりました。
ばね事業につきましては、新型コロナウイルスの影響は、第2四半期以降、経済活動の再開に伴い主に北米・中国自動車向け及び建設機械向けの需要回復が進んでいるものの、第1四半期における主要顧客の工場稼働停止や大幅な生産減の影響が大きく、売上高は、前年同期比91億3千5百万円(25.9%)減収の261億8千1百万円となりました。営業利益は、北米子会社の新製品立ち上げ時のトラブル解消や、前期に行った減損計上による償却負担の減少及び経費削減に加え、第2四半期以降の市場回復の影響もあり、第3四半期では、大幅な損益改善を達成しました。しかしながら、上期における新型コロナウイルスによる売上減の影響が大きく、前年同期比6億9百万円損失が拡大し、17億3千4百万円の損失(前年同期は営業損失11億2千5百万円)となりました。
素形材事業につきましては、新型コロナウイルスの影響により国内外の自動車部品・電子部品メーカーの需要が低迷し、精密鋳造品・特殊合金粉末等の売上げが減少しました。加えて、事業撤退に伴う磁気製品の売上減もあり、売上高は、前年同期比12億2千4百万円(17.2%)減収の58億8千5百万円となりました。営業利益は、売上減の影響が大きく、前年同期比2億6千8百万円減益の2億6千7百万円の損失(前年同期は営業利益1百万円)となりました。
機器装置事業につきましては、新型コロナウイルスの影響に伴う商談遅延による短納期品の受注低迷により、売上高は、前年同期比13億7百万円(18.3%)減収の58億5千万円となりました。営業利益は、採算改善への取り組みや各種コスト削減の効果があったものの、売上減の影響が大きく、前年同期比4千6百万円(21.2%)減益の1億7千3百万円となりました。
その他の事業につきましては、流通及びサービス業等でありますが、売上高は、前年同期比8億5百万円(28.8%)減収の19億9千4百万円、営業利益は、前年同期比5千7百万円(57.6%)減益の4千2百万円となりました。
(2) 財政状態当第3四半期連結会計期間末の総資産は、借入金返済による現金及び預金の減少、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた受注減に伴う営業債権等の減少、高炉改修により備蓄していた在庫の消化に伴うたな卸資産の減少により、前連結会計年度末に比べ125億2千4百万円減少し、1,288億6千6百万円となりました。当第3四半期連結会計期間末の負債総額は、借入金返済や新型コロナウイルス感染症の影響を受けた生産減に伴う仕入債務等の減少により、前連結会計年度末に比べて82億9千4百万円減少し、844億8千万円となりました。当第3四半期連結会計期間末の純資産は、親会社株主に帰属する四半期純損失による利益剰余金の減少により、前連結会計年度末に比べて42億3千万円減少し、443億8千5百万円となりました。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、9億4千6百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 生産、受注及び販売の状況当第3四半期連結累計期間における生産実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。①生産実績
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
27,551
△ 25.6
ばね事業
21,612
△ 26.9
素形材事業
5,839
△ 19.1
機器装置事業
5,779
△ 18.9
合計
60,783
△ 24.9
(注)金額は販売価格によっております。
②販売実績
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
29,045
△31.7
ばね事業
26,181
△25.9
素形材事業
5,885
△17.2
機器装置事業
5,850
△18.3
その他の事業
1,994
△28.8
調整額
△3,800
(―)
合計
65,157
△27.0
(5) 主要な設備①当第3四半期連結累計期間において、新たに取得した設備は以下のとおりであります。
会社名
所在地
事業の種類別セグメントの名称
設備の内容
帳簿価額(百万円)
完成後の増加能力
MSSC Ahle GmbH
Lindlar, Germany
ばね
建物附属設備新設
220
生産能力の増強
(注)
上記所要資金は自己資金及び借入金によって賄いました。
②当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画は以下のとおりであります。
会社名
所在地
事業の種類別セグメントの名称
設備の内容
投資予定額(百万円)
着手年月
完成予定年月
完成後の増加能力
MSSC CANADA INC.
Chatham, Ontario, Canada
ばね
スタビライザ製造設備新設
163
2020年7月
2021年3月
生産性向上によるコストダウン
寧波菱鋼弾簧有限公司
中国浙江省寧波市
ばね
スタビライザ製造設備新設
125
2020年11月
2021年12月
生産能力の増強
MSSC Ahle GmbH
Lindlar, Germany
ばね
巻ばね製造設備新設
342
2020年9月
2021年8月
生産性向上によるコストダウン
(注)
上記所要資金は自己資金及び借入金によって賄う予定であります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性①資金需要当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料や部品の購入、及び設備投資によるものであります。②財務政策当社グループは、設備投資を厳選して実施することで財務の健全性を保ちながら、営業活動によるキャッシュ・フロー収入を基本に、将来必要な運転資金及び設備資金を調達していく考えであります。
(7) 継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための改善策当社は「1 事業等のリスク 継続企業の前提に関する重要事項等」に記載のとおり、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。このような状況を解消すべく、喫緊の課題である「海外事業の構造改革」として、北米ばね子会社ならびにインドネシア特殊鋼鋼材子会社の再建を進めております。加えて、希望退職による人員削減、設備投資の厳選など固定費削減を徹底して行うとともに、遊休不動産や政策保有株式の売却、在庫圧縮により財務体質を強化していきます。また、資金面では、第2四半期連結会計期間末日において純資産の金額に係る財務制限条項に抵触しているものの、当連結会計年度の業績予想数値及び翌連結会計年度の事業計画等をもとに金融機関に対し説明を行い、期限の利益請求喪失事由の発生により貸付人が取得した契約上の借入人としての当社に対する権利を2021年3月末まで放棄することについて了承を得ております。また、主要取引銀行と緊密な関係を維持し建設的な協議を継続していることから、2021年4月以降も主要取引銀行より継続的な支援が得られるものと考えています。