【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態及び経営成績の状況の概要は次のとおりであります。なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細につきましては、「第4 経理の状況1四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご確認ください。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況の概要当第3四半期連結累計期間(2021年4月~2021年12月)における当社グループを取りまく経営環境は、自動車業界において、国内及び海外の需要は回復が進んでいますが、半導体供給不足の影響が長引いており、新車販売減少の影響が続いています。一方、建設機械業界においては、昨年度後半から急回復した需要は、引き続き好調を維持しています。このような状況下、当第3四半期連結累計期間の売上高は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前年同期からの反動増により、前年同期比391億7千4百万円(60.1%)増収の1,043億3千2百万円となりました。営業利益は、売上げの回復及び生産数量増によるコスト改善と、前期に実施した固定費削減に加え、特殊鋼鋼材事業における昨年度の高炉改修に伴う一過性費用の解消等により、前年同期比89億3千5百万円増益の46億5千1百万円(前年同期は営業損失42億8千3百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、当社グループ会社であるMSSC Ahle GmbHにおける工場火災に伴う特別損失を計上したものの、損害の一部に対する保険金や政策保有株式及び遊休不動産の売却に伴う特別利益の計上を行ったことから、34億2千3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失42億7千9百万円)となりました。セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
特殊鋼鋼材事業につきましては、昨年度後半からの建設機械及び産業機械・工作機械メーカーの需要増が継続していることに加え、新型コロナウイルスの影響からの回復もあり、売上高は、前年同期比334億6千7百万円(115.2%)増収の625億1千3百万円となりました。営業利益は、国内事業では売上数量増及び生産数量増によるコスト改善効果と、昨年度の高炉改修に伴う一過性費用の解消により、大幅な増益となりました。また、インドネシア事業では、売上数量増と製造コスト及び固定費削減に向けた取り組みの効果により、増益となりました。特殊鋼鋼材事業全体としては、国内外ともに原材料価格上昇の売価反映タイムラグによるマイナス要因があったものの、前年同期比69億1百万円増益の43億9千7百万円(前年同期は営業損失25億3百万円)となりました。
ばね事業につきましては、自動車向けは世界的な半導体不足による生産減の影響は続いているものの、新型コロナウイルスの影響からの回復が進み、建設機械向けについても需要増が継続しており、売上高は、前年同期比78億6千9百万円(30.1%)増収の340億5千1百万円となりました。営業利益は、前年同期比増収ながらも、上期に北米で材料供給問題に対する緊急対応として一時的な空輸費用が発生したことに加え、海上輸送でも世界的なコンテナ不足による海上輸送費の高騰等の影響を受けました。これらの北米輸送コストの影響は、第3四半期以降は解消しているものの、前年同期比7億5百万円の改善に留まり、10億2千9百万円の損失(前年同期は営業損失17億3千4百万円)となりました。
素形材事業につきましては、新型コロナウイルスの影響からの回復による需要増に加え、特殊合金粉末及び精密鋳造品の新規受注品の売上げが好調に推移したことにより、売上高は、前年同期比18億5千5百万円(31.5%)増収の77億4千1百万円となりました。営業利益は、売上数量増及び生産コスト改善により、前年同期比10億1百万円増益の7億3千4百万円(前年同期は営業損失2億6千7百万円)となりました。
機器装置事業につきましては、受注から売上げを計上するまでの期間が比較的長いことから、新型コロナウイルスの影響による昨年度の商談遅延の影響を受けたものの、第3四半期における大型案件の売上計上により、売上高は、前年同期比5億6千4百万円(9.6%)増収の64億1千4百万円、営業利益は、前年同期比3億2千万円(184.5%)増益の4億9千4百万円となりました。なお今期の受注は、注力している洋上風力発電関連機器を中心とした大型受注が積み上がり、前期実績を上回る進捗となりました。
その他の事業につきましては、流通及びサービス業等でありますが、売上高は、前年同期比8億6千3百万円(43.3%)増収の28億5千7百万円、営業利益は、前年同期比3千2百万円(77.3%)増益の7千4百万円となりました。
(2) 財政状態当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ58億1千8百万円増加し、1,381億3千9百万円となりました。これは主に需要回復での販売増に伴う売掛金の増加と生産量増に伴う棚卸資産の増加によるものであります。当第3四半期連結会計期間末の負債総額は、前連結会計年度末に比べ49億2千5百万円増加し、923億5千1百万円となりました。これは生産量増に伴う仕入債務の増加と需要回復等による損益改善に伴う未払法人税の増加によるものであります。当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ8億9千3百万円増加し、457億8千7百万円となりました。これは主に利益剰余金等が増加したことによるものであります。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、9億5千5百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 生産、受注及び販売の状況当第3四半期連結累計期間における生産実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。①生産実績
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
52,987
92.3
ばね事業
28,855
33.5
素形材事業
8,006
37.1
機器装置事業
6,432
11.3
合計
96,282
58.4
(注)金額は販売価格によっております。
②販売実績
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
62,513
―
ばね事業
34,051
―
素形材事業
7,741
―
機器装置事業
6,414
―
その他の事業
2,857
―
調整額
(△9,246)
―
合計
104,332
―
(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、当第3四半期連結累計期間に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、対前年同四半期増減率は記載しておりません。
(5) 主要な設備当第3四半期連結累計期間において、新たに取得した設備は以下のとおりであります。
会社名
所在地
事業の種類別セグメントの名称
設備の内容
帳簿価額(百万円)
完成後の増加能力
MSSC CANADA INC.
Chatham,Ontario,Canada
ばね
スタビライザ製造設備新設
199
生産能力の増強
(注)
上記所要資金は借入金によって賄いました。
(6) 資本の財源及び資金の流動性①資金需要当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料や部品の購入、及び設備投資によるものであります。②財務政策当社グループは、設備投資を厳選して実施することで財務の健全性を保ちながら、営業活動によるキャッシュ・フロー収入を基本に、将来必要な運転資金及び設備資金を調達していく考えであります。