【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態及び経営成績の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況の概要当第3四半期連結累計期間(2022年4月~2022年12月)における当社グループを取りまく経営環境について、自動車業界では、上海ロックダウンや長引く半導体等の部品不足の影響を受けたものの、生産台数の回復が進みました。また建設機械業界では、需要は引き続き堅調に推移しました。高騰していた鉄鉱石・原料炭市況は足元では一時期に比べると落ち着きをみせ、昨年急速に進行した円安も解消傾向にあるものの、調達コストは前年同期と比較し依然として高い水準が続いています。加えて、エネルギー価格の高騰も続いています。このような状況下、当第3四半期連結累計期間の売上高は、原材料価格高騰に伴う売価転嫁等により、前年同期比221億1千5百万円(21.2%)増収の1,264億4千7百万円となりました。営業利益は、北米ばね子会社の損益悪化の影響等により、前年同期比17億7千8百万円(38.2%)減益の28億7千3百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比21億8千8百万円(63.9%)減益の12億3千4百万円となりました。セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
特殊鋼鋼材事業の売上高は、原材料価格やエネルギー価格の高騰及び円安進行に対する売価転嫁が進んだことにより、前年同期比134億7千7百万円(21.6%)増収の759億9千万円となりました。営業利益は、国内事業では、コストアップ分の売価反映を進めたことから増益となりました。またインドネシア海外事業でも、スクラップ価格高騰に対する売価転嫁が進んだことや増産効果により、増益となりました。特殊鋼鋼材事業全体としては、前年同期比3億4千万円(7.7%)増益の47億3千8百万円となりました。
ばね事業の売上高は、自動車向けでは、上海ロックダウン及び半導体等の需給ひっ迫の影響があったものの、需要回復により北米を中心に生産が増加しました。また、建設機械向け需要が堅調に推移したことに加え、円安による換算影響や原材料価格等高騰に伴う売価転嫁もあり、前年同期比88億6千6百万円(26.0%)増収の429億1千7百万円となりました。営業利益は、北米子会社において、昨年度下期から続く生産混乱により生産性の低下や緊急輸送対応等の追加コストが発生したことに加え、北米子会社の損失が円安により拡大したこと等から、ばね事業全体でも、前年同期比17億8千7百万円損失が拡大し、28億1千7百万円の損失(前年同期は営業損失10億2千9百万円)となりました。なお、北米子会社については、現在、生産混乱解消に向けた安定在庫の確保等による生産コストの正常化に加え、不採算製品の値上げ及び取引解消等の対策を行い、再建に向けた取り組みを進めております。
素形材事業の売上高は、特殊合金粉末の新規品の受注があったものの、自動車内燃機関向け部品の顧客在庫調整の影響に加え、鋳鋼製品(エスコ)生産終了により売上数量は減少しました。一方で、原材料価格等の上昇に対する売価改善を進めたことにより、前年同期比1億9千7百万円(2.6%)増収の79億3千9百万円となりました。営業利益は、売上数量の減少と売価改善が原材料価格等の上昇に追い付かなかったことにより、前年同期比2億2千万円(30.0%)減益の5億1千3百万円となりました。
機器装置事業の売上高は、前年同期に計上した鍛圧機械大型案件の売上減があったものの、洋上風力発電関連機器等の売上増で補い、前年同期比1億8百万円(1.7%)増収の65億2千3百万円となりました。営業利益は、鍛圧機械の売上減の影響が大きく、採算改善の取り組みの効果はあったものの、前年同期比1億5千4百万円(31.3%)減益の3億3千9百万円となりました。
その他の事業につきましては、流通及びサービス業等でありますが、売上高は、前年同期比1億6千5百万円(5.8%)減収の26億9千2百万円、営業利益は、前年同期比1千3百万円(17.7%)増益の8千8百万円となりました。
(2) 財政状態当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ57億9千万円増加し、1,487億5千3百万円となりました。これは売掛金の減少や政策保有株式売却により投資有価証券が減少した一方で、生産増により棚卸資産が増加したことによるものであります。当第3四半期連結会計期間末の負債総額は、前連結会計年度末に比べ53億円増加し、993億4千9百万円となりました。これは法人税及び消費税などの支払いや火災関連損失引当金の取崩により負債が減少した一方で、借入金が増加したことによるものであります。当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ4億8千9百万円増加し、494億3百万円となりました。これは主に利益剰余金等が増加したことによるものであります。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、12億4千5百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 生産、受注及び販売の状況当第3四半期連結累計期間における生産実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。①生産実績
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
62,884
18.7
ばね事業
35,595
23.4
素形材事業
8,345
4.2
機器装置事業
6,489
0.9
合計
113,314
17.7
(注)金額は販売価格によっております。
②販売実績
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
75,990
21.6
ばね事業
42,917
26.0
素形材事業
7,939
2.6
機器装置事業
6,523
1.7
その他の事業
2,692
△5.8
調整額
(△9,614)
(―)
合計
126,447
21.2
(5) 主要な設備当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した設備の新設等の計画は以下のとおりであります。
会社名
所在地
事業の種類別セグメントの名称
設備の内容
帳簿価額(百万円)
着手年月
完成予定年月
完成後の増加能力
三菱長崎機工㈱
長崎県長崎市
機器装置
製造設備新設
285
2022年9月
2023年7月
生産能力の増加
丸中産業㈱
長崎県諫早市
機器装置
製造設備更新
168
2022年8月
2023年5月
生産性向上によるコストダウン
(注)
上記所要資金は自己資金によって賄いました。
(6) 資本の財源及び資金の流動性①資金需要当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料や部品の購入、及び設備投資によるものであります。②財務政策当社グループは、設備投資を厳選して実施することで財務の健全性を保ちながら、営業活動によるキャッシュ・フロー収入を基本に、将来必要な運転資金及び設備資金を調達していく考えであります。