【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当第1四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態及び経営成績の状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績の状況の概要当第1四半期連結累計期間(2022年4月~2022年6月)における当社グループを取りまく経営環境は、自動車業界において、自動車生産は半導体による減産影響が大きく出た昨年より北米を中心に改善しているものの、上海ロックダウンや半導体等の部品不足によるサプライチェーン混乱による減産の影響が続いており、先行き不透明な状況が継続しています。一方、建設機械業界からの需要は引き続き好調を維持しています。しかしながら、調達コストについては、原材料やエネルギー価格の高騰に加え、円安の急速な進行により上昇しており、さらなる売価への転嫁が大きな課題となっています。 このような状況下、当第1四半期連結累計期間の売上高は、販売数量増に加え、原材料価格高騰に伴う売価転嫁により、前年同期比81億3百万円(25.5%)増収の398億8千9百万円となりました。営業利益は、特殊鋼鋼材事業における価格高騰前の原材料在庫使用があったものの、北米ばね子会社における生産混乱の影響等により、前年同期比7億6千3百万円(47.8%)減益の8億3千2百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比29億1千万円(87.3%)減益の4億2千2百万円となりました。 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
特殊鋼鋼材事業の売上高は、建設機械関連からの堅調な需要に加え、原材料価格高騰に対する売価転嫁が進んだことにより、前年同期比56億9千3百万円(31.3%)増収の239億8百万円となりました。営業利益は、国内事業では、原材料・エネルギー価格高騰及び円安進行に対する売価転嫁のタイムラグの影響があったものの、価格高騰前の原材料在庫使用等により、増益となりました。一方、インドネシア海外事業では、製造コスト及び固定費削減により増益となりました。特殊鋼鋼材事業全体としては、前年同期比2億6千3百万円(18.9%)増益の16億5千4百万円となりました。
ばね事業の売上高は、自動車向けでは、上海ロックダウンの影響があったものの、半導体による減産影響が大きく出た昨年より北米を中心に生産が増加し、また建設機械向け需要も堅調に推移、加えて円安による換算影響もあり、前年同期比26億4千2百万円(24.4%)増収の134億6千9百万円となりました。営業利益は、北米子会社において、昨年度下期から自動車メーカーの急激な発注変更等を起因とした生産混乱により、生産性の低下や緊急輸送対応等が続く中、混乱の影響がさらに拡大したこと、及び北米子会社の損失が円安により拡大したことから、ばね事業全体でも前年同期比8億8千6百万円損失が拡大し、11億5百万円の損失(前年同期は営業損失2億1千9百万円)となりました。なお、北米子会社の生産混乱については、現在、安定在庫の確保等の解消に向けた対策を行い、再建に向けた取り組みを進めております。
素形材事業の売上高は、半導体等の部品不足の影響を受けたものの、特殊合金粉末の売価改善や新規品の受注等により、前年同期比1億8千9百万円(7.2%)増収の28億1千4百万円となりました。営業利益は、各製品の原材料や副資材・購入品価格上昇に対する売価転嫁のタイムラグの影響が大きく、前年同期比1億1千5百万円(38.6%)減益の1億8千3百万円となりました。
機器装置事業の売上高は、洋上風力発電関連機器等の売上増があったものの、前年同期は鍛圧機械の大型案件の売上計上があったことから、前年同期比2億5千9百万円(13.2%)減収の17億9百万円となりました。営業利益は、売上高の減少により、前年同期比5千6百万円(47.2%)減益の6千2百万円となりました。なお受注面については、磁力選別機案件の好調な受注により前年実績を上回る進捗となりました。
その他の事業は、流通及びサービス業等でありますが、売上高は、前年同期比1億7千3百万円(16.8%)減収の8億5千9百万円、営業利益は、前年同期比1百万円(4.8%)減益の3千2百万円となりました。
(2)財政状態当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ10億6千7百万円減少し、1,418億9千4百万円となりました。これは生産増による棚卸資産が増加した一方で、仕入債務や法人税及び消費税、配当金の支払いにより現金が減少したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の負債総額は、前連結会計年度末に比べて3千6百万円増加し、940億8千5百万円となりました。これは仕入債務及び法人税、消費税等の支払いがある一方で借入金が増加したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて11億4百万円減少し、478億9百万円となりました。これは四半期純利益による増加がある一方で、配当金の支払いや為替変動により為替換算調整勘定が減少したことによるものであります。
(3)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3億6千5百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)生産、受注及び販売の状況当第1四半期連結累計期間における生産実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。① 生産実績
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
17,147
18.1
ばね事業
9,806
22.8
素形材事業
2,276
△16.6
機器装置事業
1,766
△10.9
合計
30,997
13.9
(注)金額は販売価格によっております。
② 販売実績
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
23,908
31.3
ばね事業
13,469
24.4
素形材事業
2,814
7.2
機器装置事業
1,709
△13.2
その他の事業
859
△16.8
調整額
(△2,870)
(―)
合計
39,889
25.5
(5)資本の財源及び資金の流動性① 資金需要当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料や部品の購入、及び設備投資によるものであります。
② 財務政策当社グループは、設備投資を厳選して実施することで財務の健全性を保ちながら、営業活動によるキャッシュ・フロー収入を基本に、将来必要な運転資金及び設備資金を調達していく考えであります。