【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルスの感染対策が進み正常化の兆しが見られましたが、半導体不足の長期化やロシアによるウクライナ侵攻により不安定な状況となっております。一方でわが国経済は、中国の都市封鎖によるサプライチェーン混乱や原材料価格高騰等の影響を受け、内需の回復は鈍化しております。
特殊鋼業界の主要な需要先である自動車産業においては、半導体等の部品不足により生産台数が計画を下回る等、不安定な状況が長期化しております。
このような環境の中、当社グループの特殊鋼事業につきましては、販売価格に原材料価格の上昇分を転嫁することで売上高は前年同四半期実績を上回りました。しかしながら、電力や副資材等の価格高騰により大幅に増加した費用については販売価格へ十分転嫁できていないことから、利益面では前年同四半期実績を下回り、増収減益となりました。
不動産賃貸事業につきましては、売上高は商業施設の店舗改装工事等が減少したことに伴い前年同四半期実績を若干下回ったものの、安定的に収益を確保し利益面では前年同四半期実績を上回りました。
その結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は前年同四半期に比べ1,183百万円増の15,986百万円となりました。経常利益は前年同四半期に比べ389百万円減の1,236百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同四半期に比べ261百万円減の920百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
①特殊鋼事業
売上高は前年同四半期に比べ1,212百万円増の14,224百万円、セグメント利益(営業利益)は464百万円減の274百万円となりました。
②不動産賃貸事業
売上高は前年同四半期に比べ29百万円減の1,762百万円、セグメント利益(営業利益)は27百万円増の864百万円となりました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ770百万円増加し、31,987百万円となりました。主な要因は次のとおりであります。
・売上高の増加により売掛金が177百万円、電子記録債権が46百万円各々増加しております。
・原材料価格高騰や溶解設備の稼働開始に伴う原材料使用量の増加等により商品及び製品が251百万円、仕掛品が346百万円、原材料及び貯蔵品が187百万円各々増加しております。
・機械装置及び運搬具が1,225百万円増加しておりますが、この大部分は溶解設備等の稼働開始に伴う建設仮勘定からの振替によるものであります。
一方、当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ128百万円増加し、6,030百万円となりました。主な要因は次のとおりであります。
・一部取引先の決済方法が変更になったこと等により電子記録債務が786百万円増加しております。
また、当第3四半期連結会計期間末の純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益920百万円を主な要因として、前連結会計年度末に比べ642百万円増加し、25,957百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と変わらず、81.1%となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、286百万円(売上金額比1.8%)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。