【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
(a) 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて26億1百万円減少し、711億34百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて65億15百万円減少し、296億99百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて39億13百万円増加し、414億34百万円となりました。
(b) 経営成績経営成績の概要は、次のとおりであります。当連結会計年度の経営成績は、前年同期比で増収増益を達成いたしました。営業利益につきましては中期経営計画「中期経営計画2.0」の2022年度の目標38億円を超過達成したほか、すべての連結対象会社の資本金が1億円以下になったことに伴い税務上の優遇措置が適用され法人税等が抑制され、「中期経営計画2.0」の2023年度目標であった親会社株主に帰属する当期純利益37億50百万円を前倒しで達成しております。その結果、連結売上高は366億68百万円(前年同期比3.7%増)、連結営業利益は42億80百万円(同14.8%増)、連結経常利益は41億85百万円(同15.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は40億42百万円(同11.0%増)となりました。
(売上高)新型コロナウイルス対策を目的とする「飲食」「移動」「イベント」などの経済活動の制限が緩やかに解消されたことに伴い、葬祭セグメントにおいては、東京博善が運営する総合斎場への来場者数が増加し、休憩室の利用や菓子飲料の需要が増加いたしました。また人材セグメントにおいては採用需要が増えたことにより、求人媒体・人材派遣・人材紹介事業ともに堅調に推移しました。一方、情報セグメントにおいては、前期好調であったコロナ関連の自治体BPO案件が年度末にかけ減少したことに加え、印刷全般の需要縮小が影響いたしました。情報・人材セグメントで減収となったものの、葬祭セグメントの増収が補い、全体としては、前連結会計年度に比べ増収となりました。その結果、連結売上高は366億68百万円(前年同期比3.7%増)となりました。(営業利益)葬祭セグメントにおける来場者数増に伴う増収が、グループ全体の増益に大きく貢献しました。情報セグメントにおいても印刷・BPO案件の受注減少が続くも、通期では利益を確保し、連結営業利益は42億80百万円(同14.8%増)となりました。(親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度は、売上高及び営業利益が増加したことに加え、すべての連結対象会社の資本金が1億円以下になったことに伴い税務上の優遇措置が適用され法人税等が抑制された結果、親会社株主に帰属する当期純利益が増加しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は40億42百万円(同11.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(イ) 葬祭セグメント葬祭セグメントは、エンディング関連事業で構成されており、当社子会社の東京博善株式会社において、火葬炉併設の総合斎場を都内6カ所で運営しております他、株式会社広済堂ライフウェルならびに株式会社グランセレモ東京にて葬儀事業を展開しております。また2023年2月より金融・法務サービスの提供を行う東京博善あんしんサポート株式会社が事業を開始いたしました。東京博善株式会社の総合斎場運営事業において、葬儀の簡素化傾向は依然継続するも、新型コロナウイルス感染症への懸念が一段と後退したことから葬儀参列者が大幅に増加し、式場や休憩室の利用や、飲食等の周辺事業が回復いたしました。一方、火葬に関しては燃料費高騰の影響を受けるも2022年6月からサーチャージ型の変動料金を導入し、収益への影響は軽微なものにとどまりました。以上の結果、売上高は119億43百万円(前年同期比27.3%増)、セグメント利益は42億円(同29.9%増)となりました。
(売上高)葬儀参列者の大幅な増加等により、前年同期比27.3%増の119億43百万円となりました。(セグメント利益)燃料費高騰の影響を受けるも、増収の影響もあり、前年同期比29.9%増の42億円となりました。(セグメント資産)当連結会年度の当期純利益等による現預金の増加等により、前連結会計年度に比べ22億68百万円増加の419億7百万円となりました。
(ロ) 情報セグメント情報セグメントは、情報ソリューション事業で構成されており、出版・商業印刷を始めとする印刷関連ソリューションと、IT受託開発を中心としたデジタルソリューション、データ入力代行やコールセンター業務などお客様の事業をサポートするBPOサービスといった事業を展開しております。情報セグメントの事業では、出版印刷にて一部タイトルで好調案件があるも、印刷関連事業では需要後退が依然として継続しました。BPOサービスについてもコロナ関連の公共事業縮小、競争激化を受け減収となりました。一方収益面については印刷関連事業ならびにBPOサービスにおいて、通期で利益を確保することができ、情報セグメントは前年同期比で減収増益となりました。以上の結果、売上高は180億47百万円(前年同期比5.6%減)、セグメント利益は8億33百万円(前年同期比14.2%増)となりました。
(売上高)出版印刷及び新聞印刷が依然として厳しい事業環境にあることに加え、コロナ関連の自治体BPO案件が縮小した結果、前年同期比5.6%減の180億47百万円となりました。(セグメント利益)人員の葬祭セグメントへの配置転換等による固定費削減や印刷工場の内製化率向上に向けた取り組みの効果により、前年同期比14.2%増の8億33百万円となりました。(セグメント資産)売掛金及び仕掛品が減少し、現金及び預金が増加した結果、前連結会計年度に比べ3億39百万円増加の158億84百万円となりました。
(ハ) 人材セグメント人材セグメントは、人材サービス事業で構成されております。人材事業は、HRテック・求人媒体事業を始めとして、人材紹介・人材派遣、海外(ベトナム等)における、人材紹介、人材育成・研修、日本語教育、留学サポート等の事業を手掛けており、人材の発掘から採用、教育・研修までトータルな人材ソリューションを提供しております。人材セグメントの事業では、社会経済活動が回復し採用需要が増えたことにより、求人媒体・人材派遣・人材紹介事業ともに堅調に推移いたしました。そのなかでも求人媒体領域においては地方における飲食・観光業の回復を受け増収増益となりました。一方、前年度好調だったBPO事業を第3四半期より情報セグメントに移管した影響もあり、人材セグメント全体としましては前年同期比で減収減益となりました。以上の結果、売上高は66億77百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は1億33百万円(前年同期比72.2%減)となりました。
(売上高)社会経済活動が回復し採用需要が増えたことにより、求人媒体・人材派遣・人材紹介事業ともに堅調に推移しましたが、前年度好調だったBPO事業を第3四半期より情報セグメントに移管した影響もあり、前年同期比2.6%減の66億77百万円となりました。(セグメント利益)売上高の減収の影響により、前連結会計年度に比べ347百万円減少のセグメント利益1億33百万円となりました。(セグメント資産)主に現預金の減少により、前年連結会計年度に比べ6億32百万円減少の36億20百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、186億35百万円と、前連結会計年度末に比べて29億62百万円(13.7%)の減少となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、62億93百万円の資金の増加となり、前連結会計年度が36億60百万円の増加であったことに比べて、26億32百万円の増加となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、39億36百万円の資金の減少となり、前連結会計年度が7億円の資金の減少であったことに比べて、32億35百万円の減少となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、54億円の資金の減少となり、前連結会計年度が55億40百万円の資金の増加であったことに比べて、109億41百万円の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績(a) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
情報
13,934
△0.2
合計
13,934
△0.2
(注) 1.葬祭及び人材は、生産実績の記載が困難であるため、省略しております。2.セグメント間取引は消去しております。
(b) 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
情報
16,131
△14.9
1,212
△61.2
人材
6,677
△10.5
-
-
合計
22,809
△13.7
1,212
△61.2
(注) 1.葬祭は、受注の記載が困難であるため記載を省略しております。2.セグメント間取引は消去しております。
(c) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
葬祭
11,943
27.3
情報
18,047
△5.6
人材
6,677
△2.6
合計
36,668
3.7
(注) 1.セグメント間取引は消去しております。2.相手先別販売実績については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(a) 経営成績等(イ) 財政状態
(資産合計) 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて26億1百万円減少しております。主な要因は、借入金の返済による現金及び預金の減少や売掛金の減少等によるものであります。
(負債合計) 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて65億15百万円減少しております。主な要因は、借入金等の返済等によるものであります。
(純資産合計) 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて39億13百万円増加しております。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益40億42百万円を計上したことによるものであります。
(ロ) 経営成績当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (b)経営成績」に記載のとおりであります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「3.事業等のリスク」をご参照ください。
(ハ) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ29億62百万円(前年同期比13.7%減)減少し、当連結会計年度末には186億35百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、62億93百万円の資金の増加となり、前連結会計年度が36億60百万円の増加であったことに比べて、26億32百万円の増加となりました。これは主に、減少要因である売上債権及び棚卸資産が減少、増加要因である税金等調整前当期純利益によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、39億36百万円の資金の減少となり、前連結会計年度が7億円の資金の減少であったことに比べて、32億35百万円の減少となりました。これは主に、減少要因である有形及び無形固定資産の取得による支出及び貸付けによる支出等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、54億円の資金の減少となり、前連結会計年度が55億40百万円の資金の増加であったことに比べて、109億41百万円の減少となりました。これは主に、短期借入金の返済等によるものであります。
(b) 資本の財源及び資金の流動性(イ) 資金需要当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造やシステム開発に関わる原材料等の仕入れ及び外注費等の経費、各事業についての一般管理費等の運転資金需要、印刷事業と葬祭事業における設備投資等の設備資金需要、事業成長のためのM&Aやアライアンス等の事業投資を目的とした資金需要であります。
(ロ) 財政政策当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金調達を行っており、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、金利スワップなどの手段を活用しております。また、国内金融機関と総額55億円のコミットメントラインを締結することで、流動性の補完にも対応可能とし、グループ全体の借入金等の削減も図っております。
② 中期経営計画「中期経営計画2.0」1年目の総括当社グループは中期経営計画(2022~2024年度)「中期経営計画2.0」に基づき、「シニア・エンディング ナンバー1企業」になることを目標に掲げ、「1.葬儀業に進出します」「2.「超高齢化社会」銘柄への脱皮」「3.復配し、株主還元の向上を実現します」の基本方針の下、中期経営計画の実現に取り組んでまいりました。当計画において、連結売上高444億円、連結営業利益62億円を達成目標としておりました。中期経営計画1年目において実行した重点施策は以下のとおりです。・葬儀業への進出・斎場における新規サービスの企画・推進・印刷案件受注の安定化および内製化率の向上・BPOサービスの受注拡大・求人媒体におけるWebサイト改善、HRテックの推進これらの施策を推進した結果、当連結会計年度において、連結売上高366億円、連結営業利益42億円、親会社株主に帰属する当期純利益40億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益については、2023年度目標を前倒し達成いたしました。また、斎場における新規サービスの推進から「相続にまつわるコンサルティングサービスの可能性」および「式場を増設することによる事業成長の伸びしろ」を見出したことから「中期経営計画3.0」へのバージョンアップに至ることとなりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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