【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当第3四半期連結会計期間においては、当第2四半期までと同様に、世界的なインフレや円安などによる原材料価格およびエネルギー価格や物流費等の諸物価の大幅な上昇の影響が継続しており、収益を大きく圧迫する要因となっております。COVID-19の影響については、これまで同様に当社の事業活動への大きな影響はありませんでした。一方、当社のパーパスである「水が途切れない世界を実現する」ために、「管路分野のInnovative All in ワンストップ企業」に向けて行っている、既存事業とのシナジーを期待する新規・周辺事業の拡大等の取り組みについては、当期に入って新たに加えたいくつかの活動も含め、精力的に推進を図っております。
DX推進の一環として開発いたしました「だいさくくん」は、スマートフォンやタブレットで、点検業務、写真データ、観測データの収集・集計ができ、指定フォーマットに自動で編集できるソフトで、鉄蓋の点検業務における作業効率の劇的改善を実現したものであり、実証実験を開始しました。必要とされる事業体様・点検会社様へのご提案を進めてまいります。一方、公共インフラに関するシビックテックとしてWhole Earth Foundationとともに手掛けてきたマンホール聖戦については、昨年秋に岡崎市でも開催しました。短期間での画像データ収集に成功したことで、関心の高さを再認識できました。
当社開発商品である、プリセット接合工具「楽ちゃく」については、昨年10月に3年ぶりに実開催された2022名古屋水道展での実物展示により、ご来場の方々からの高い関心を集めることができました。誰でも楽に簡単に短時間で施工ができるところを実演することで、現場に寄り添った構造設計となっているところを身近に感じていただきました。さや管推進工法対応部品「オセール」については、水道展と併催で行われた「全国会議・水道研究発表会」において「さや管推進工法用推力伝達バンドの開発」というテーマにて発表を行いました。「オセール」は、利用していただいた施工会社の多くがリピーターになっていただくなど、好評を得ておりますが、「楽ちゃく」同様、人手不足や働き方改革など、水道工事事業の課題解決の一助となるもので、人材不足の課題を抱える工事施工会社にとって、極めて有用であり、それぞれ一層の拡販活動を進めているところです。2022名古屋水道展では、東京ガスネットワーク㈱様と共同開発した、インフラ設備の遠隔監視ソリューションについても展示にて紹介させていただきました。マンホール内の弁などの機器に計測器を取り付け、その情報を発信させることで、遠隔監視によって異常認識が可能となるものです。本ソリューションの導入により、現地での点検・保守作業の大幅な削減に加え、災害発生時の素早い被害状況の把握もできるようになります。また、㈱水研が販売開始しましたKATANAバルブは、知的財産を当社と共同保有し、当社が製造を担っているものです。切粉を一切混入させることなく短時間で簡単に管路にバルブを設置できるようにすることで、水質確保や施工時間の短縮といった社会課題解決に寄与しております。海外ではポリエチレン管の需要が高く、期待していただいております。これらの製品はいずれも、ESG経営の一環としても取り組んできたものであり、施工が簡単に短時間でできることなどにより、人材不足への対応といった社会問題解決に極めて有用と考えております。
ESG経営としての主な取り組みとしては、カーボンニュートラル実現に向け、昨年より電気炉建設チームを立ち上げ、キュポラ代替製法導入検討を急ピッチで進めております。また世界のすべての人に清潔な水、適切なトイレ、衛生習慣を届ける活動に取り組んでいる国際NGOウォーターエイドに対して、販売量に応じた寄付も継続して実施しており、販売先会社様への理解も一層進めてきております。当社はこのように、さまざまなパートナーとの連携も積極的に行いながら、新規・周辺事業の拡大やESG経営を推進しております。
当第3四半期連結累計期間の経営成績は以下のとおりとなっております。
売上高につきましては、前連結会計年度以来実施している原材料・諸物価高騰に伴う価格改定での増収等により、前年同期比では12億84百万円(前年同期比10.7%)増加の、133億46百万円となりました。収益につきましては、前年度の価格改定実施以後も原材料価格および電力・ガス・物流費等の諸物価の更なる上昇の継続に対し、販売価格の追加的引上げや継続的な合理化の成果などにより挽回を図り、営業利益は3億84百万円となり、経常利益はほぼ横ばいとなる5百万円(前年同期比1.2%)増加の4億27百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は1百万円(前年同期比0.4%)増加し2億63百万円となりました。これまでに取り組んできた施策を継続的に着実に遂行してきたことにより、環境変化にも耐えうる基盤は確立されてきているものの、原材料価格や諸物価の急激な高騰については、販売価格へ十分に反映するまでには至っておらず、引き続き価格改定をお客様のご理解を得ながら進めているところであります。安定供給責任を果たし、優れた製品・サービスの開発と提供ならびに環境に優しいESG経営をより推進していくことで、皆様のご期待に添える企業運営に努めてまいります。またさらなる安定利益を確保するよう一層努力してまいりますので、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① ダクタイル鋳鉄関連当第3四半期連結累計期間の売上高につきましては、原材料価格等の高騰に伴う価格改定での増収等により、前年同期と比べ13億18百万円(前年同期比12.3%)増加し、119億97百万円となりました。セグメント利益につきましては、前年度の価格改定実施以後も原材料価格及び電力・ガス・物流費等の諸物価の更なる上昇の継続に対し、販売価格の追加的引き上げや継続的な合理化の成果などにより挽回を図り、前年同期と比べ94百万円(前年同期比51.3%)増加し、2億79百万円のセグメント利益となりました。
② 樹脂管・ガス関連当第3四半期連結累計期間の売上高につきましては、子会社のリサイクル事業の売上が減少したこと等により、前年同期と比べ33百万円(前年同期比2.4%)減少し、13億48百万円となりました。 セグメント利益につきましても、子会社のリサイクル事業の売上が減少したこと等及び原材料価格及び電力・ガス・物流費等の諸物価の更なる上昇の継続により、前年同期と比べ1億16百万円(前年同期比54.3%)減少し、97百万円のセグメント利益となりました。
当第3四半期連結累計期間の総資産は、189億72百万円と前連結会計年度末と比べ11億92百万円増加しました。これは主に、流動資産の「現金及び預金」が12億92百万円減少した一方で、流動資産の「電子記録債権」が11億20百万円、「受取手形及び売掛金」が9億62百万円、「仕掛品」が1億46百万円それぞれ増加したことによるものであります。負債合計は、103億77百万円と前連結会計年度末と比べ9億89百万円増加しました。これは主に流動負債の「電子記録債務」が4億30百万円、「支払手形及び買掛金」が4億24百万円それぞれ増加したことによるものであります。純資産合計は、85億94百万円と前連結会計年度末と比べ2億2百万円増加しました。これは主に、「親会社株主に帰属する四半期純利益」を2億63百万円計上した一方で、配当金の支払いによる減少が70百万円であったことによるものであります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は30百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。