【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類変更や行動制限の撤廃に伴い、国内消費者の行動心理が活性化し、外食需要やインバウンドを含めた観光需要等が大幅に回復、百貨店やコンビニエンスストア等の流通業も堅調に売上を伸ばしており、経済活動は平常化に戻りつつあります。一方、原材料価格や、エネルギーコストは高値が継続、円安の再度の進行、労働コストも高まる等、製造コストの上昇が続いております。このため前期に引き続き当期も様々な業種において値上げが複数回実施されており、食品全体の値上げ品目数は前期を上回る見通しです。このような状況を受け、ベースアップ等で賃金水準は上昇に向かっているものの、物価上昇率に比べれば十分とは言えず、生活防衛意識の高まりから消費拡大に直結するとは言い難い市場環境となっています。当業界におきましても、上記の製造コストの上昇に加えて、現地相場高、円安水準の継続、疾病問題等の畜肉市場が大きく変動する要因が多く、厳しい事業環境が継続しております。このような状況の中、当社グループは「目指す姿」である「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という基本的な考えのもと、中期経営計画目標の達成に向けて、「ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化」と「外部環境の変化に対応した収益基盤の構築」及び「成長投資とグローバル展開」を基本方針と位置づけ、諸施策を講じてまいりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高2,227億35百万円(前年同期比5.2%増)となりました。また、利益面におきましては、営業利益68億29百万円(前年同期比24.8%増)、経常利益74億27百万円(前年同期比27.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益38億61百万円(前年同期比4.7%増)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。<加工食品事業部門>2023年4月に3回目のハム・ソーセージ商品及び加工食品の価格改定を行い、販売先への納品価格の引き上げを実施いたしました。業界全体では生産数量や市販用商品市場の販売額が前年を下回る厳しい環境が継続しておりますが、当社のシェアは昨年度に引き続き上昇いたしました。
① ハム・ソーセージ部門主力ブランドの「香薫®あらびきポークウインナー」は、定番の2個束商品に加え、大袋ジッパー付き商品の販売も引き続き好調に推移しました。販売促進政策では、東京ディズニーリゾート®ご招待キャンペーンやSNSを活用したキャンペーン等を継続的に実施し、今期も販売シェア拡大を継続することができました。新たに建て替えた鹿児島工場が、今春より本格的に稼働を開始し、安定した商品の提供に寄与しております。結果、市販用商品、業務用商品とも売上高及び販売数量は前年を上回り、順調に推移いたしましたが、損益面では値上げの浸透以上に原材料のコストが上昇し、前年を下回る結果となりました。
② 加工食品部門加工食品部門では、常温商品の「ストックディッシュ」、手軽に食べられる「サラダチキンバー」等の市販用商品が消費者から評価を得ており、順調に拡販を進めることができました。また業務用商品においては、市場の回復や価格改定の効果により売上高を拡大できましたが、原材料等の仕入れコストの大幅な上昇を補いきれず、利益面では前年同期を下回る結果となりました。コンビニエンスストア向けのベンダー事業については、原材料高騰や、燃料高、人件費アップなど製造コストが上昇したものの、お客様の要望に応えた新商品を開発、発売を継続的に行ったことにより、売上高、利益面とも前期を上回ることができました。
これらの結果、加工食品事業部門は、売上高1,571億39百万円(前年同期比5.9%増)となり、セグメント利益63億1百万円(前年同期比7.2%増)となりました。
<食肉事業部門>海外の畜肉相場高に加え、円安による輸入仕入れコストの上昇等、食肉事業の仕入環境は厳しい状況が継続しています。販売先の店頭価格は、食肉の相場上昇を補うまでの十分な価格上昇には至らないものの、段階的に販売先への価格転嫁を進めるとともに、相場と連動した取引への変更も徐々に浸透し、昨年を上回る売上高、利益を確保できました。国産の豚肉相場は高水準で推移しているものの、飼料価格も依然として高い水準の為、養豚事業は収益的には厳しい環境ですが、宮城新農場の肥育は順調に進み、夏場以降予定通り出荷を開始しており、良質な豚肉を適正な価格で販売拡大できるよう、様々な取り組みを進めていく所存です。
これらの結果、食肉事業部門は、売上高653億32百万円(前年同期比3.7%増)となり、セグメント利益6億26百万円(前年同期はセグメント損失1億95百万円)となりました。
<その他>その他事業(理化学機器の開発・製造・販売等)は、売上高2億63百万円(前年同期比3.7%増)となり、セグメント利益1億1百万円(前年同期比13.5%減)となりました。
(2) 財政状態の分析<資産>当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ148億74百万円増加し、2,447億61百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が75億47百万円、棚卸資産が62億59百万円、現金及び預金が39億62百万円、投資有価証券が22億52百万円、無形固定資産が20億10百万円増加し、預け金が69億74百万円減少したことによるものです。
<負債>負債については、前連結会計年度末に比べ112億39百万円増加し、1,179億31百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が126億89百万円増加し、長期借入金(1年内返済予定を含む)が19億34百万円減少したことによるものです。
<純資産>純資産については、前連結会計年度末に比べ36億35百万円増加し、1,268億29百万円となりました。これは主に、利益剰余金が16億3百万円、その他有価証券評価差額金が9億61百万円、為替換算調整勘定が5億17百万円増加したことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて40億86百万円減少(前年同期は1億31百万円減少)し、100億12百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、134億72百万円のネット入金(前年同期は49億61百万円のネット入金)となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益68億79百万円、減価償却費55億円、仕入債務126億86百万円の増加、売上債権75億12百万円の増加、棚卸資産62億41百万円の増加、その他流動負債26億46百万円の増加です。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、132億12百万円のネット支払(前年同期は57億97百万円のネット支払)となりました。主な要因は、生産設備更新、生産性向上及び品質安定を目的とした有形固定資産の取得による支出73億34百万円、基幹システム構築を目的とした無形固定資産の取得による支出34億34百万円です。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、44億37百万円のネット支払(前年同期は6億80百万円のネット入金)となりました。主な要因は、配当金の支払22億61百万円、長期借入金の返済による支出19億34百万円です。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1億77百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 資本の財源及び流動性についての分析当社グループでは、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に資金支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。当社及び国内子会社においてキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うとともに、当社グループの余剰資金を、伊藤忠商事㈱のグループ金融制度に預け入れ、資金の効率的な運用を図っております。また、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、当社及び当社グループの十分な手元流動性の確保をしております。