【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日)におけるわが国経済は、世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の経済活動が強く制限される等、非常に厳しい状況となりました。緊急事態宣言解除後は一時的に個人消費の回復の兆しもみられたものの、感染の再拡大が生じており、依然として先行き不透明な状態が続いております。
食品業界では家庭での内食需要の高まりが見込まれる一方、外食業界におきましては、外出自粛による影響が大きく、引き続き経営環境は厳しいものとなりました。
このような状況のもと、当社グループは、変化する市場環境に柔軟に対応できるよう、ブランド力と商品開発力の強みを活かし、他社には真似できない商品づくりを行うことにより、さらなるブランド価値向上に努めてまいりました。
食品事業では商品価値訴求を目指す売り方改革や、パスタ関連商品の更なる店頭化拡大等の取り組みを行いました。レストラン事業では感染防止対策を徹底し、各種施策に取り組んでまいりましたが、時短営業や外出自粛による来客数の減少により、厳しい結果となりました。このような状況でありましたが、巣ごもり需要の高まりが追い風となった食品事業が好調だったことにより、増収増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は98億69百万円(前期比3.4%増)、営業利益は5億85百万円(前期比20.3%増)、経常利益は5億75百万円(前期比20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億20百万円(前期比44.8%増)となりました。
*参考(四半期別前年同期対比表)
単位:百万円
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
通期
売上高
金額
2,653
2,441
2,507
2,266
9,869
前期比
9.8%増
3.1%増
1.9%増
1.5%減
3.4%増
営業利益
金額
111
116
216
140
585
前期比
20.5%減
58.7%増
55.5%増
5.2%増
20.3%増
経常利益
金額
110
112
214
138
575
前期比
21.2%減
56.8%増
54.8%増
8.4%増
20.5%増
セグメントの経営成績は次のとおりです。
[食品事業]
売上高は80億76百万円(前期比16.3%増)、セグメント利益は23億23百万円(前期比26.5%増)となりました。
[レストラン事業]
売上高は16億26百万円(前期比33.1%減)、セグメント損失は3億29百万円(前期は28百万円の損失)となりました。
[その他(本社ビル等の賃貸)事業]
売上高は1億67百万円(前期比1.0%減)セグメント利益は89百万円(前期比0.2%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ5億13百万円増加し、93億99百万円となりました。
当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2億83百万円増加し、37億57百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2億30百万円増加し、56億42百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、6億39百万円の収入(前期は5億24百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5億65百万円の支出(前期は2億81百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億21百万円の収入(前期は3億7百万円の支出)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2億94百万円増加し、19億13百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
1. 生産実績
セグメントの名称
生産品目
当連結会計年度
(自
2020年4月1日
至
2021年3月31日)
数量(t)
前期比(%)
食品事業
ドレッシング280ml・600ml
5,182
100.9
ドレッシング180ml
59
75.1
おうちパスタシリーズ
692
167.2
レトルトパスタソース「洋麺屋ピエトロ」シリーズ
244
171.6
その他
219
121.4
小計
6,398
107.5
レストラン事業
業務用(食材)ドレッシング等
150
63.5
合計
6,548
105.8
(注)1 数量は生産容量によっております。
2 レストラン事業の業務用(食材)ドレッシング等の主な減少要因はメニュー受託事業製品の生産減少によるものです。
2. 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
3. 販売実績
a
品目別販売実績
セグメントの名称
品目
当連結会計年度
(自
2020年4月1日
至
2021年3月31日)
金額(千円)
前期比(%)
食品事業
ドレッシング280ml・600ml
5,628,868
104.6
ドレッシング180ml
73,435
75.7
おうちパスタシリーズ
888,793
179.4
レトルトパスタソース「洋麺屋ピエトロ」シリーズ
527,016
180.1
その他
957,911
140.5
小計
8,076,024
116.2
レストラン事業
直営店
1,310,838
63.3
FC店への食材供給等
307,563
127.2
その他
7,654
6.4
小計
1,626,056
66.9
その他事業(本社ビル等の賃貸)
167,634
99.0
合計
9,869,715
103.4
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.上記金額には、消費税等は含んでいません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先
前連結会計年度
(自
2019年4月1日
至
2020年3月31日)
当連結会計年度
(自
2020年4月1日
至
2021年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
加藤産業株式会社
1,065,575
11.2
1,364,249
13.8
三菱食品株式会社
1,078,651
11.3
1,225,713
12.4
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
1. 売上高・売上総利益
売上高は前連結会計年度に比べ3.4%増収の98億69百万円となりました。緊急事態宣言解除後におきましても内食需要は一定の高止まり状態にあり、ドレッシング及びパスタ関連カテゴリーともに好調に推移しました。特にパスタ関連カテゴリーは前期に比べ大きく伸長いたしました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大などの影響により、レストラン事業の売上高が大きく減少いたしました。
売上総利益は前連結会計年度に比べ1.9%増の58億74百万円となりました。これは主に売上高の減少によるものです。
2. 売上原価・販売費及び一般管理費
売上原価率は、前連結会計年度に比べ0.9%上昇し、40.5%となりました。これはドレッシングの価格引き上げやレストランメニューの見直しにより原価率改善を行った一方、原価率の高いFC店舗への売上が増加したことによるものです。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて0.2%増加し、52億89百万円となりました。これは主にCMの集中放映による広告宣伝費が増加したこと等によるものです。
3. 営業利益
売上総利益の増加により、営業利益は前連結会計年度に比べ20.3%増加し、5億85百万円となりました。
4. 経常利益
営業利益の増加により、経常利益は前連結会計年度に比べ20.5%増の5億75百万円となりました。
5. 特別損益
当連結会計年度の特別損益は感染症関連損失等の計上により純額で70百万円の損失となりました。
6. 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ44.8%増の3億20百万円となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
[食品事業]
今期の方針である「商品価値訴求を目指す売り方改革」「第二の柱・パスタ関連カテゴリー商品のさらなる成長」「第三の柱・スープカテゴリーの育成」のもと商品価値を大切にした新たな販売方法の確立を行い、売上、利益拡大を図ってまいりました。
緊急事態宣言解除後におきましても内食需要は一定の高止まり状態にあり、ドレッシング及びパスタ関連カテゴリーともに好調に推移しました。特にパスタ関連カテゴリーは前期に比べ2倍近くの売上高を確保し、大きく伸長いたしました。
ボトル入り液状パスタソースの「おうちパスタ」シリーズは、前期からの営業施策の効果及び4月上旬にテレビCMの集中放映を行ったことが奏功し、店頭化拡大につながりました。さらに巣ごもり需要も追い風となり、前年実績を大きく上回りました。また、レトルトパスタソースの「洋麺屋ピエトロ」シリーズは高価格帯でありながら、大好評の「絶望スパゲティ」を中心に好調に売上を伸ばしました。
食材にこだわったプレミアム冷凍パスタや、前期より販売を開始したイタリアのプレミアムブランド「AGNESI(アネージ)」のパスタ麺も着実に店頭化が進みました。
ドレッシングカテゴリーでは、商品価値を訴求した販売施策を継続した結果、主力の「和風しょうゆ」をはじめとするドレッシング全体の売上高は前期比105%と上回りました。また一昨年行った価格改定と業務改善により製造原価の削減ができた結果、商品の利益率も向上しました。
育成事業であるスープカテゴリーでは、直販店舗や期間限定ショップでの新しい情報発信を行い、販売強化に取り組んでまいりました。ギフト需要やオンライン等での売上が着実に増加しており、徹底したブランディング戦略でさらなる認知度拡大を図ってまいります。
さらに通信販売では、オンライン強化や新しい施策に取り組んだことにより順調に売上を伸ばしました。
以上の結果、セグメント売上高は80億76百万円(前期比16.3%増)、セグメント利益は23億23百万円(前期比26.5%増)となりました。
[レストラン事業]
レストラン事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、特に緊急事態宣言下にあった第1四半期連結会計期間(2020年4月から2020年6月)は、来客数が大幅に減り、売上、利益ともに大きく減少しました。
感染対策といたしまして、新型コロナウイルスの予防を徹底し、お客様と従業員の安全を第一に考え、全従業員へのマスク着用、検温の徹底、ご来店されたお客様にもアルコール除菌のご協力を頂くとともに、テーブルやメニューの消毒等、衛生管理の強化を行ってまいりました。さらに、テーブルの間隔を広げて客数を減らす等、三密防止への取り組みを行いながら、営業を行ってまいりました。
非常に厳しい状況下ではありましたが、高付加価値メニューの訴求を行ったことで客単価アップを図った他、顧客満足度向上のため、店舗休業中を利用してリモート等を活用したスタッフのサービス研修の強化を実施してまいりました。また、さらに需要が高まってきたテイクアウトメニューの拡充やデリバリー、店頭での物販強化も行ってまいりました。
このような取り組みのもと、緊急事態宣言解除後は幾分回復傾向にあり、2020年10月には既存店前期比90%を超える売上に達しましたが、その後、感染の再拡大が生じており、再度、休業や時短要請を受け、予断を許さない状況が続きました。
また、アフターコロナを見据えた取り組みとしては、ディナーメニューを充実させた新業態「PASTA&TAPAS PIETRO 豊洲店」の出店を5月に行いました。さらにフランチャイズ店舗として9月に「洋麺屋ピエトロ千里中央店」、10月に「ピエトロイオンモール広島府中店」の出店を行い、エリア戦略によるピエロブランドの認知向上につなげてまいります。
以上の結果、セグメント売上高は16億26百万円(前期比33.1%減)、セグメント損失は3億29百万円(前期は28百万円の損失)となりました。
[その他(本社ビル等の賃貸)事業]
その他(本社ビル等の賃貸)事業におきましては、売上高は1億67百万円(前期比1.0%減)セグメント利益は89百万円(前期比0.2%増)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べて5億13百万円増加し、93億99百万円となりました。これは主に現金及び預金が3億8百万円、売掛金が77百万円、有形固定資産が62百万円、敷金及び保証金が45百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2億83百万円増加し、37億57百万円となりました。これは主に長期借入金(1年内を含む)が4億6百万円増加する一方、未払金が1億49百万円減少したこと等によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2億30百万円増加し、56億42百万円となりました。これは前期決算の剰余金の配当1億28百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益3億20百万円の計上によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
単位:百万円
2020年3月期
2021年3月期
差額
営業活動によるキャッシュ・フロー
524
639
114
投資活動によるキャッシュ・フロー
△281
△565
△284
財務活動によるキャッシュ・フロー
△307
221
528
現金及び現金同等物に係る換算差額
0
△1
△1
現金及び現金同等物の増減額
△63
294
357
現金及び現金同等物の期末残高
1,618
1,913
294
営業活動によるキャッシュ・フローは、6億39百万円の収入(前期は5億24百万円の収入)となりました。税引前当期純利益が5億4百万円であり、減価償却費が3億44百万円それぞれ計上があったことと、法人税等の支払額1億88百万円があったこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5億65百万円の支出(前期は2億81百万円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出6億20百万円、有形固定資産の売却による収入が1億73百万円があったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億21百万円の収入(前期は3億7百万円の支出)となりました。長期借入金による収入が6億11百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が2億4百万円、配当金の支払額1億28百万円があったこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、19億13百万円となりました。
項
目
2020年3月期
2021年3月期
自己資本比率
60.9%
60.0%
時価ベースの自己資本比率
106.4%
119.9%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
2.9年
2.9年
インタレスト・カバレッジ・レシオ
77.2倍
82.0倍
(注)1.各指標の計算は以下により算出しております。
自己資本比率
:自己資本 / 総資産
時価ベースの自己資本比率
:株式時価総額 / 総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
:有利子負債 / 営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ
:営業キャッシュ・フロー / 利払い
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
3.株式時価総額は、期末終値株価×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は貸借対照表上に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、有利子負債の返済及び運転資金等です。また株主還元につきましては、財務の健全性に留意しつつ、配当政策に基づき安定配当を行ってまいります。
運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金の他、金融機関からの借入を基本としています。
今後の資金需要のうち、主なものは、工場設備費用や店舗の出店費用です。これらの資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入を実施する等、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金の調達を行ってまいります。
突発的な資金需要に対しては、主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠等の調達手段により、流動性リスクに備えています。
また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は19億13百万円であり、上記の調達手段と合わせて、当社グループの今後の事業活動において、必要な運転資金及び設備資金を確保することは可能と考えています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積りは、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な方法に基づき行っていますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において適用される重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えています。
1. 固定資産の減損
固定資産の減損については、「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表
注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
2. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収見込み額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収見込み額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。