【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①経営成績当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、資源価格の高騰や円安の進行による物価上昇の影響が懸念される一方、行動制限の緩和などウィズコロナへの移行が進み、サービス消費に改善の動きが見られました。住宅業界におきましては、新設住宅着工戸数は前年同期比0.7%減の442千戸となりました。貸家・分譲住宅は増加しましたが、建築資材セグメントと関連のある持家については、前年同期比10.9%減の132千戸となりました。また、木材価格については、昨年度の短期的な上昇局面からは移行したものの、依然として一定の高値水準で推移しております。このような状況の中、当社グループは、2021年5月12日に発表した中期経営計画に掲げた諸施策を実行してまいりました。その結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間における売上高は1,140億18百万円(前年同期比9.3%増加)、営業利益は24億84百万円(前年同期比33.0%減少)、経常利益は23億2百万円(前年同期比32.7%減少)、親会社株主に帰属する四半期純利益は19億13百万円(前年同期比35.3%増加)となりました。また、当社は株式会社ヤマダホールディングスとの資本業務提携により、住生活産業に係る事業等で包括的に相互の事業発展を進めております。
当社は、新たにステートメント(宣言)「『彩りある未来』を想創(ソウゾウ)します」を理念体系の最上位に掲げ、持続的な成長及び更なる企業価値の向上を図ってまいります。このステートメント実現に向けた新たな取り組みの一環として、未来を彩る木質空間「WoWooD™」(注1)の提案をスタートし、全社横断型プロジェクトを進めております。「人と木と、ときめきをもっと。」をキーメッセージに、自然由来である木ならではの効能とデザイン性がもたらす「ときめき」へのアプローチで、木に魅せられ幸せを感じ、思わず「Wow」と口にしたくなるような空間をコンセプトとして、建築資材事業による最適な素材選定や、住宅事業で培った設計・デザインなどのノウハウを生かし、非住宅も含むあらゆる空間に展開してまいります。こうした取り組みを通じ、当社グループの総合力をより一層高め、シナジーの強化を図ってまいります。
(注1)「WoWooD™(ワウッド)」「Wow(ときめき)」+「Wood(木)」の造語で、木をもっと身近なものにしていきたいとの想いから生まれた当社グループの新たな木質空間コンセプトです。
②セグメントごとの経営成績
ア 建築資材事業建築資材価格の高騰等による影響から持家の新設着工戸数が減少する中、中期経営計画に掲げた重点戦略に基づき、木材の利用促進や、省エネルギー建材・設備及びエネルギー関連商材の販売拡大に努めてまいりました。国産材をはじめとした木材の利用促進に向け、木材の安定的な調達の実現を目指し、これまで培ってきた全国の製材事業者及び海外メーカーとのネットワークを活かした「多産地連携システム」を構築するとともに、住宅の構造材や羽柄材、内外装材など、家一棟分の木材を国産材でコーディネートする「国産材プレミアムパッケージ」の提案・普及に努めました。当社のオリジナル商品である、「Gywood®」(注2)や「ObiRED®」(注3)を含む木材製品の提案営業の仕組みにより、住宅分野だけでなく、様々な建築物において木造・木質化を推進いたしました。また、未来を彩る木質空間「WoWooD™」についても、針葉樹から広葉樹までの様々な樹種の魅せ方を追求し、適材適所に木材を選定・提案し、市場を開拓してまいります。このような取り組みの中、木の良さや価値をデザインの力で再構築することを目的とした顕彰制度『ウッドデザイン賞 2022』(一般社団法人日本ウッドデザイン協会主催)について、淡路島の座禅リトリート「禅坊 靖寧」(株式会社パソナグループ、株式会社坂茂建築設計、前田建設工業株式会社との共同申請)は、林野庁長官賞を受賞いたしました。同施設では、全長100メートルに及ぶデッキ材や外壁等に、「Gywood®」や「ObiRED®」が採用されております。このほか、家一棟分の木材を国産材でコーディネートする「国産材プレミアムパッケージ」や、「『WoWooD™』木への『ときめき』で幸せを感じ、暮らしに彩りを添える空間提案~人と木と、ときめきをもっと。~」ほか、全6作品が受賞いたしました。新築住宅における省エネ基準の強化が図られる中、ナイスサポートシステムでは、工務店様やビルダー様のZEHの取り組みを一気通貫でサポートする新サービス「スマとく」の提供を開始しました。エネルギー商材を含む建築資材の提案や光熱費・ローンシミュレーション、省エネ計算等をワンストップで提供することで、ZEH商材をはじめとする建材・住宅設備機器の販売が順調に推移いたしました。首都圏物流体制の再構築及び強化のため、ストックヤード機能の中核として関東物流センター第2期工事を進めてまいりました(10月竣工)。首都圏全体を見据えた市場競争力及び収益力の強化を目指し、木材製品のアッセンブル機能などを新たに付加するなど、プレカット工場等への広域配送における優位性を示すとともに、更なるサービスの向上を図ってまいります。また、生産性の向上や競争優位性の確立に向けた新サービスの開発等、DX化の取り組みに着手いたしました。これらの結果、売上高は943億72百万円(前年同期比13.8%増加)となり、営業利益は30億37百万円(前年同期比37.6%減少)となりました。
(注2)「Gywood®(ギュッド)」スギを中心とした国産針葉樹の主に大径材を使用し、表層部を特に圧密して高密度化するナイスグループオリジナルの技術を施した無垢材です。表層部と比べて中層部は圧密度が低いため、スギ材の長所である調湿性の高さや熱伝導率の低さ、衝撃吸収性、軽さなどはそのまま、キズに強い硬さを併せ持つ、ハイブリッドな無垢材を実現します。
(注3)「ObiRED®(オビレッド)」宮崎県産飫肥杉(おびすぎ)の大径材の赤身部分だけを使用し、豊富な抽出成分により高い防腐・防蟻性能を持ち、独自の乾燥技術による高い形状安定性を有しています。飫肥杉は、宮崎県飫肥地区で約400年の歴史を持つ杉材で、中心の赤身部分は、一般的な杉材と比べて油分が多く含まれており、防腐・防蟻性能に優れ、高い耐久性を有しています。
イ 住宅事業住宅事業については、中期経営計画の重点戦略である住宅ストックの活用及び既存住宅流通に係る事業等の強化・拡大を図るなど持続的な成長につながる収益基盤の構築を進めるとともに、環境性とレジリエンス性の高い住まいと暮らし方の普及に努めました。管理その他に含まれる既存住宅流通に係る事業については、当社が従来から基盤を持つ「横浜・川崎」エリアを中心に顧客接点を拡大・深化させ、住まいに関するワンストップソリューションの提供に努めたことで、売上高が増加いたしました。一戸建住宅・マンションは、前年同期比で売上計上戸数が減少したことから売上高が減少しましたが、第4四半期計上予定の免震マンション3棟(仙台、宇都宮、浜松)については契約が順調に推移しております。引き続き免震マンションの普及に努めてまいります。また、首都圏の中古マンション買取再販事業は、契約戸数、売上計上戸数ともに増加いたしました。また、お客様のライフスタイルや価値観の多様化に対応するべく、注文住宅事業部に加え、リフォーム事業部を新設しました。建築資材事業とのシナジーにより、最適な建材・住宅設備機器の提案から、木の魅力を生かした空間など、お客様のニーズに合ったリフォームを提供しております。なお、日本最大級の総合住宅展示場「tvkハウジングプラザ横浜」の当社モデルハウスでは、出展から一周年を迎えるにあたり、未来を彩る木質空間「WoWooD™」の特設展示を行いました。ここでは木の温もりにあふれる上質な暮らしを体感いただきながら、木を適材適所にあしらった内装・外装のデザインや、当社オリジナル商材を含む多彩な素材をご覧いただけます。「WoWooD™」のコンセプトとともに、一戸建住宅をはじめ、マンション、オフィス、店舗など、様々な空間における「ときめき」へのアプローチを、「木で彩る幸せのレシピ」として提案してまいります。このような中、売上高は147億43百万円(前年同期比11.7%減少)、営業損失は1億95百万円(前年同期は営業損失5億6百万円)となりました。
ウ その他の事業その他の事業には、一般放送事業(有線テレビ放送事業)や電気通信事業等の生活関連サービス事業、ソフトウェア開発事業及びシステム提供事業、建築工事事業等が含まれております。一般放送事業等を行うYOUテレビ株式会社では、新サービスのFTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)化の提供を10月より開始するにあたり、営業活動の強化を図っております。YOUテレビ株式会社や、ソフトウェア開発事業及びシステム提供事業を行うナイスコンピュータシステム株式会社が堅調に推移した結果、売上高は49億2百万円(前年同期比3.4%増加)、営業利益は5億41百万円(前年同期比20.6%増加)となりました。
③セグメントごとの連結売上高及び連結営業利益
売上高
(単位:百万円)
セグメント
前第2四半期連結累計期間(自
2021年4月1日至
2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自
2022年4月1日至
2022年9月30日)
前年同期比(%)
建築資材
82,901
94,372
13.8
住宅
16,690
14,743
△11.7
その他
4,743
4,902
3.4
合計
104,335
114,018
9.3
営業利益
(単位:百万円)
セグメント
前第2四半期連結累計期間(自
2021年4月1日至
2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自
2022年4月1日至
2022年9月30日)
前年同期比(%)
建築資材
4,871
3,037
△37.6
住宅
△506
△195
-
その他
449
541
20.6
消去又は全社
△1,102
△898
-
合計
3,711
2,484
△33.0
(参考)財務指標
(単位:%)
前第2四半期連結累計期間(自
2021年4月1日至
2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間(自
2022年4月1日至
2022年9月30日)
売上高総利益率
17.3
13.7
売上高営業利益率
3.6
2.2
売上高経常利益率
3.3
2.0
自己資本比率
27.9
28.6
④財政状態総資産は、前連結会計年度末に比べ37億82百万円増加し、1,617億4百万円となりました。これは、売上債権が減少しましたが、棚卸資産が増加したことなどによるものです。また、YOUテレビ株式会社のFTTH化工事が進捗したことなどにより有形固定資産も増加しております。負債は、前連結会計年度末に比べ28億55百万円増加し、1,122億33百万円となりました。これは、未払法人税等が減少しましたが、仕入債務及び借入金が増加したことなどによるものです。純資産は、前連結会計年度末に比べ9億26百万円増加し、494億70百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上、配当金の支払い及び退職給付制度の改定による退職給付に係る調整累計額の減少などによるものです。
(キャッシュ・フローの状況)当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ53百万円減少し、329億53百万円となりました。営業活動による資金の減少は、8億80百万円(前年同期は44億18百万円の減少)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益25億8百万円、売上債権の減少11億81百万円、仕入債務の増加20億2百万円、棚卸資産の増加55億98百万円及び法人税等の支払額14億34百万円です。投資活動による資金の減少は、7億27百万円(前年同期は5億39百万円の増加)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出6億87百万円です。財務活動による資金の増加は、15億3百万円(前年同期は8億91百万円の増加)となりました。主な内訳は、借入金の純増加額22億20百万円及び配当金の支払額5億83百万円です。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当第2四半期連結累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析当第2四半期連結累計期間において、資本の財源及び資金の流動性の重要な変更はありません。
(2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の重要な変更及び新たに定めた経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第2四半期連結累計期間において重要な変更及び新たに定めた基本方針はありません。
(5)研究開発活動該当事項はありません。
(6)従業員数当第2四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(7)仕入及び販売実績当第2四半期連結累計期間において、仕入実績及び販売実績の著しい増減はありません。
(8)主要な設備当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。