【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 】
(1) 業績の状況当第2四半期連結累計期間における世界経済は、欧州では高インフレによる金融引き締めの影響から景気は足踏み状態にありましたが、米国では良好な雇用情勢と賃金上昇により個人消費が堅調に推移しました。一方、わが国では新型コロナウイルス感染症対策の規制緩和に伴い社会経済活動の正常化が進み、個人消費や企業の生産活動に持ち直しの動きがみられました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化によるインフレの進行、急激な為替変動の影響に加えて、世界的な金融引き締めや中国経済に減速の兆候が見られることなどから、景気は依然として不安定な状況で推移しました。このような状況下、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global2(EGG2)」に取り組み、収益性の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を目指しました。当第2四半期連結累計期間における主な取り組みとしては、化学合成農薬以外の事業ポートフォリオ拡充を目的として、連結子会社のNichino Europe Co., Ltd.が英国のアジュバント等の添加剤やバイオスティミュラントの製造・販売会社であるInteragro (UK) Limitedの全発行株式を取得しました。また、スマート農業への取り組みでは、スマートフォン用アプリケーション「レイミーのAI病害虫雑草診断」の機能向上の一環として、6月には「図鑑」機能と「その他野菜」の診断機能を、8月には「AI予察」機能を新たに追加しました。さらに、インドでは連結子会社のNichino India Pvt. Ltd.において新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサンの新たな混合剤を登録、また複数の農薬原体を製造できるマルチパーパスプラントが竣工しました。本プラントは本年度中の稼働開始を予定しております。当第2四半期連結累計期間の売上高は、中核事業である農薬事業が国内、海外ともに天候不順や過年度の流通在庫の影響などから伸び悩み、406億70百万円(前年同期比24億96百万円減、同5.8%減)となりました。利益面では、営業利益は11億76百万円(前年同期比18億54百万円減、同61.2%減)、経常利益は9億51百万円(前年同期比22億46百万円減、同70.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億95百万円(前年同期比18億87百万円減、同73.1%減)となりました。当第2四半期連結累計期間における報告セグメントの概況は以下のとおりです。
[農薬事業]国内農薬販売では、ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)を始めとする主力自社開発品目の普及拡販に努めました。しかしながら、天候不順による病害虫の少発生や過年度の流通在庫の影響などから販売が伸び悩み、国内販売全体の売上高は前年同期を下回りました。海外農薬販売では、世界最大の農薬市場であるブラジルで多雨によりサトウキビ向け除草剤需要が拡大したことなどからSipcam Nichino Brasil S.A.の売上高が伸長しました。また、アジアではインドで雨季の到来の遅れなどの天候不順の影響はあったものの園芸用殺虫剤トルフェンピラド、ピリフルキナゾンなどの自社開発品目の普及を進める販売戦略が奏功し、Nichino India Pvt. Ltd.の売上高が堅調に推移しました。一方、欧州では干ばつの影響からばれいしょ向け除草剤ピラフルフェンエチルの使用が減少し、Nichino Europe Co.,Ltd.の売上高が伸び悩みました。さらに、寒冷な気候が続いた北米では例年よりも害虫の発生が少なく殺ダニ剤フェンピロキシメートなどの殺虫剤需要が低迷し、Nichino America Inc.の売上高が伸び悩みました。これらにより為替は円安基調で推移したものの、海外販売全体の売上高は前年同期を下回りました。以上の結果、農薬事業の売上高は379億7百万円(前年同期比23億96百万円減、同5.9%減)、営業利益は9億75百万円(前年同期比17億64百万円減、同64.4%減)となりました。
[農薬以外の化学品事業]化学品事業では、株式会社アグリマートのシロアリ薬剤分野の販売が好調に推移しました。医薬品事業では、海外向けで需要が減少したことなどから外用抗真菌剤ルリコナゾールの販売が伸び悩みました。以上の結果、農薬以外の化学品事業の売上高は20億15百万円(前年同期比22百万円減、同1.1%減)、営業利益は5億18百万円(前年同期比51百万円減、同9.1%減)となりました。
(2) 財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ21億33百万円増加し、1,387億86百万円となりました。これは、売上債権の減少を上回る棚卸資産並びに投資有価証券の増加が主な要因です。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ12億45百万円減少し、622億82百万円となりました。これは、借入金の減少が主な要因です。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ33億78百万円増加し、765億4百万円となりました。これは、為替換算調整勘定等のその他の包括利益累計額の増加が主な要因です。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ50億22百万円減少し、93億44百万円となりました。 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、36億35百万円となりました。これは、売上債権の減少額106億22百万円等の資金の増加が、棚卸資産の増加額66億70百万円等の資金の減少を上回ったことが主な要因です。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、36億82百万円となりました。これは、関係会社株式の取得による支出25億23百万円、有形固定資産の取得による支出8億57百万円等の資金の減少が主な要因です。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、53億19百万円となりました。これは、長期借入金の返済による支出27億1百万円、短期借入金純減額18億52百万円等の資金の減少が主な要因です。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。なお、当社は、グループビジョン「Nichino Group-Growing Global」のもと、中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」に取り組み、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に努めてまいる所存です。また、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様が検討するための時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は、21億17百万円であり、主に農薬事業です。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。